一日約 2万ヒット、前代未聞のアクセス数を誇る Web 日記「勝谷誠彦の××な日々」を雨の降る日も風の吹く日も、日本の片隅からもイラクの戦場からも、バカ正直に毎日更新し続けてはや 5年。未開の荒野と自ら断言する電脳ワールドにほとんど素手で乗り込んできた IT 義賊・カツヤが語る、現代を、人生を、ネットの世界を、よりよく生きるための「武装術」!
― ほとんどデジタルライフとは無縁でいらした勝谷さんが、5年ほど前から IT ワールドに颯爽と攻め込んでいらした。その理由をまずお聞かせいただけますか?
「さるさる日記」というサイトで Web 日記を始めたこと。それがすべての始まりですね。それまでのボクは原稿こそワープロで書いていましたが、それをフロッピーに落としてバイク便で送る、という原始的なことしかやっていなかったんです。道義上、ワープロ専用機でつくったデータをテキストデータにして渡すということまではやりましたが、ボクの IT 化は長い間そこで止まっていたんです。
ところが 5年ほど前でしょうか、ある女性ファンからお手紙を頂戴して「勝谷先生はメールはなさらないんですか」と、そう唆されたわけです。そこでハップンしまして、Eメールの使い方を覚え、彼女とめでたくメル友になり(笑)、Web 日記という存在も彼女から教えられて、今も毎日更新中の「勝谷誠彦の××な日々」を始めることになったわけです。残念ながら今では音信不通になってしまったんですが、その人がボクをこの世界に引き込んだ張本人ということになるでしょうね。
― 今や、一日 2万ヒットというオバケ Web 日記となった「勝谷誠彦の××な日々」(2000.5~) ですが、これを毎日更新されるご苦労は並大抵のものではないのでは?
これはですね、ボクにとっての一種のラジオ体操なんです(笑)。アスリートのトレーニングと一緒ですよ。毎朝 4時には起きて、新聞全紙に目を通して……必ず朝の 10時までには更新しています。毎日タダで 1000字も書いてるんですから、バカみたいでしょう? 本心では書きたくなんかないんですよ。だってね、いくら大勢の人が読んでくれるといっても、内容をちゃんと理解してくれてるのは 1/3 くらいだと思うんです。それでも何があっても続けているのは、これをやり続けることが自分自身の知識の蓄積になり、日々のウォームアップになるから。あと、反応が早い、あくまでもボク主体のツールである、やめたきゃいつでもやめていい、という点は確かに他の媒体にはない魅力ですけれどね。
書くことの辛さより、どんなときでも朝の 10時までに日記を更新できる環境にいなきゃならない。その接続の苦労のために夜も眠れないことが多いです。仕事柄、よくいろんなところに出かけますから、常に接続手段と接続環境を考えて移動することになる。まず接続手段として、LAN、PHS、携帯電話、ダイヤルアップの 4段階は必ず確保しておきます。普通はこのうちのどれかでどうにかなるんですが、それでもダメなときに備えてプリンタを持って行きます。プリントアウトしたものを FAX で送信して、別の場所で HTML 化してもらえるよう手を打っておく場合もあります。去年、イラクに行ったときがそうでした。ここまでやらないと毎日の更新ってできないんですよ。自衛隊が駐留しているサマワのホテルの屋上で、必死に通信作業をしたのを昨日のことのように覚えています。夜だったんで、ボクの姿を撮るためにカメラマンがフラッシュを焚いたら、「何をする、やめろー、危ない!」って、もう現場は大騒ぎ(笑)。おかげで臨場感のある原稿をずいぶんイラクがらみでは書けましたけどね(笑)。