データ シートCisco 1000 シリーズ Connected Grid ルータCisco® 1000 シリーズ Connected Grid ルータ(CGR 1000 シリーズ)は、公共およびエネルギー事業、スマート シティなどの業界の通信インフラストラクチャ向けに構築された多目的通信プラットフォームです。このルータを使用すれば、高度メーター インフラストラクチャ(AMI)、配電自動化(DA)、分散型エネルギー リソース(DER)の統合、リモート ワーカーの自動化など、さまざまなアプリケーションを 1 つのプラットフォームに統合できます。CGR 1000 シリーズでは、屋外の有線および無線センサー ネットワークをサポートしており、街路灯やスマート パーキングなどのスマート シティ アプリケーションの実行が可能です。製品概要CGR 1000 シリーズ ルータは、公共事業会社などの業界のお客様が、セキュアで信頼性が高く、スケーラブルな通信インフラストラクチャを構築できる、モジュラ型の高耐久性プラットフォームです。この製品は、厳しい環境基準を満たし、イーサネット、シリアル、セルラー、WiMAX、RF メッシュ、電力線通信(PLC)などのさまざまな通信インターフェイスをサポートするように認定されています。 Cisco CGR 1000 シリーズは、Cisco IOS® ソフトウェアを実行しています。これは、世界中にある何百万台ものシスコ ルータを制御しているオペレーティング システムです。グリッド オペレータは、FlexVPN をはじめとした Cisco IOS ソフトウェアのさまざまなレイヤ 3 サービスのメリットを活用できます。Cisco CGR 1000 シリーズの配布インテリジェンス機能により、アプリケーション プロトコル トランスレーション、データの分散処理およびフィルタリング、アプリケーション セキュリティなどのサードパーティ製アプリケーションを、ルータで直接実行できます。 Cisco CGR 1000 シリーズは、図 1 に示すように 2 つのプラットフォームを提供します。屋内用の Cisco 1120 Connected Grid ルータ(CGR 1120)と、屋外用として NEMA Type 4 エンクロージャ内に格納された全天候型ルータです。 Connected Grid フィールド エリア ネットワーク ソリューションと CGR 1000 シリーズ世界中の公共事業会社が、伝送から消費へとグリッドを移行させています。規制の適用により、スマート メーターやグリッドの信頼性、ソーラーやウィンド ファームの配電グリッドへの統合に関するイニシアチブが推進されています。こうした状況により、公共事業会社は独自の課題を課せられ、これらの多様なアプリケーションの使用を可能にして、数百ものエンドポイントに拡張できる、双方向通信フィールド エリア ネットワーク(FAN)の構築が求められています。 Cisco Connected Grid FAN ソリューションは、業界をリードする Cisco GridBlocks™ アーキテクチャの設計原理を採用することで、こうした課題に対応するよう特別に開発されています。GridBlocks アーキテクチャでは、配電グリッドの一般的な通信ネットワークは、Neighborhood Area Network(NAN)と Wide Area Network(WAN)の 2 層のアーキテクチャで構成されています。 NAN は、スマート メーターや街路灯などの環境センサーをはじめとしたエンドポイントへのネットワーク接続を提供します。これらのエンドポイントは、無線周波数(RF)や電力線通信(PLC)テクノロジーをベースとしたメッシュ ネットワークを形成します。メッシュ ネットワークは、ポールトップや二次変電所に装着された CGR 1000 に集約されます。CGR 1000 はまた、配電自動化(DA)用のローカル接続デバイスも集約します。一方 WAN 層は、CGR 1000 から公共事業会社のコントロール センターまでのネットワーク接続を、パブリック 2G/3G ネットワーク、公共事業会社の所有するプライベート WiMAX や Wi-Fi ネットワーク、イーサネット ファイバ ネットワークを経由して実現します。 図 2 は、ネットワーク内のソリューションを示しています。 Connected Grid FAN ソリューションを構成する製品は、Cisco CGR 1000 シリーズ、Connected Grid Device Manager(CG-DM)、Connected Grid Network Management System(CG-NMS)および Connected Grid End Point リファレンス デザイン(CG-EP)です。CG-EP は、オープン スタンダード ベースの IPv6 ネットワーキング スタックで、スマート メーターなどのさまざまなスマート グリッド エンドポイントに組み込むことができます。センサーやアクチュエータを所有し、CG-EP RF メッシュや PLC メッシュを自社の製品に統合したいパートナーは、Cisco Developer Network/DevNet(http://www.cisco.com/jp/go/cdn/)に参加する必要があります。 ビジネス上のメリットとアーキテクチャの特長CGR 1000 シリーズ ルータは、シスコのコア IP ネットワーキング テクノロジーを最大限に活用します。シスコのハードウェアとソフトウェアを使用して、業界に適したオープン プラットフォームを作成し、非常にセキュアなマルチサービス FAN を構築するとともに、総所有コストを削減できます。 統合マルチサービス ネットワーク アーキテクチャCGR 1000 シリーズは、さまざまな有線および無線インターフェイスをサポートするモジュラ プラットフォームです。このルータは、902-928 MHz IPv6 RF メッシュをサポートし、スマート メータをはじめとした最大 5,000 台のエンドポイントを集約できます。このルータには、イーサネットおよびシリアル インターフェイスが統合されており、センサー、コンデンサ バンク コントローラ、リクローザ コントローラ、リモート ターミナル ユニットなどの DA デバイスに接続します。 SCADA プロトコル(シリアルから IP への)変換機能により、レガシー(非 IP)デバイスを IP ネットワークに簡単に統合できます。統合 Wi-Fi ポートにより、リモート ワーカーの自動化とセキュアなワイヤレス コンソール アクセスが可能になるとともに、統合 GPS でルータのロケーション マッピングを実現できます。モジュラ設計で、プラットフォームを交換することなく、将来の通信インターフェイスへの簡単なアップグレード パスが提供されます。 CGR 1000 シリーズのポートフォリオには、屋内配備用と屋外配備用のプラットフォームがあります。これらのプラットフォームには、柔軟なマウント キットが付属しているため、配線柱、壁、内部のパッド マウント エンクロージャをはじめとしたさまざまな既存資産にルータを配備できます。さらに、CGR 1000 シリーズでは、カバレッジ、スループット、範囲要件を満たすさまざまな外付けアンテナが提供されています。 Cisco IOS ソフトウェアは、統合通信ネットワークで複数のアプリケーションを実行できる、ネットワーク レイヤおよびアプリケーション レイヤ サービスを提供します。ネットワーク セグメンテーションおよび Quality of Service(QoS)機能により、各トラフィック フローに特定の制約ポリシーを適用して、アプリケーション トラフィックを論理的に分離できます。さらに、CGR 1000 シリーズでは、お客様やパートナー固有のアプリケーションを統合およびホストできます。そのため、お客様はコスト、スペース、電力を削減するとともに、異なるデバイスの配備と管理に伴う複雑さを軽減できます。 セキュリティシスコでは、セキュリティを FAN アーキテクチャの基本的な構成要素として統合しています。CGR 1000 シリーズのセキュリティは、Cisco Connected Grid のセキュリティ原理にのっとり、暗号化規格とセキュリティ規格を幅広く採用しています(表 1 を参照)。 表 1 Cisco Connected Grid のセキュリティ原理
オープン スタンダードシスコのアプローチでは、スマート グリッド用にオープンな通信規格の作成と採用を推奨しています。このアプローチにより、さまざまなベンダーの提供する標準ベースの相互運用可能なデバイスやアプリケーションのエコシステムが拡大します。相互運用可能なエコシステムによって、最終的に公共事業会社が新しいテクノロジーを採用する際のリスクが軽減されます。Cisco Connected Grid は、さまざまなオープン スタンダードに基づいて構築されており、その多くが IPv6 などの IP テクノロジーから採用されています。これらの規格を使用することで、アプリケーション レイヤや物理レイヤのインフラストラクチャに依存することなく、ネットワークを設計できます。こうした機能によって、既存投資を保護できるとともに、通信ネットワークの総所有コストを経時的に削減できます。 ネットワークの信頼性と高可用性CGR 1000 シリーズ ルータは、厳しい物理環境に対応するため、デバイス レベルとネットワーク レベルでの信頼性を確立できるように設計されています。CGR 1000 シリーズは、IEEE 1613 や IEC 61850-3 などの厳格なコンプライアンス規格を満たすように構築されています。可動部品のない高度な温度設計と伝導冷却により、拡張温度サポートに対応しています。また、このルータにはバックアップ電源のメカニズムが備わっているため、停電時にもミッションクリティカルなアプリケーションのアップタイムを維持できます。さらに、複数の WAN 通信モジュールのほか、Cisco IOS ソフトウェアのネットワーク復元性およびルーティング機能をサポートしているため、公共事業会社は配電グリッドの通信ネットワークでエンタープライズクラスの高可用性を実現できます。 通信ネットワークの管理ネットワーク管理アプリケーションは、公共事業会社の運用コストを削減し、通信ネットワークの可用性を高めるために欠かせません。こうしたツールは、さまざまなネットワーク要件の管理に関連する日常タスクの大部分を簡素化し、自動化します。CGR 1000 シリーズで使用できる組み込みの管理機能と、CG-NMS や CG-DM などのアプリケーションを併せて使用すれば、こうした要件に効果的に対応できます。 CG-NMS は、スマート グリッドのマルチサービス通信ネットワークとセキュリティ インフラストラクチャを管理するモジュール型ソフトウェア プラットフォームです。マルチベンダー機能のエコシステム促進を目的に設計されているため、さまざまな通信ネットワークだけでなく、レガシーまたは次世代のパワー グリッド機器で長期間の相互運用性を実現します。 Connected Grid Device Manager(CG-DM)は、使いやすい Windows アプリケーションで、エンジニアやオペレータが Cisco 1000 シリーズ Connected Grid ルータの設定、テスト、トラブルシューティングをすばやく実行できます。たとえば、現場の技術者によるデバイス構成の確認と更新、ファームウェア アップグレードの実行、リアルタイムのルータ統計情報の収集が可能です。 Cisco FAN ソリューションは、位置情報、ワイヤレス インターフェイス、バッテリ管理などのグリッド固有の詳細情報について、幅広いインスツルメンテーションおよび診断情報を提供します。この情報は、CG-NMS にフィードして、日常業務、オペレータ ダッシュボード、リアルタイム トラブルシューティングに使用できます。セキュアなゼロタッチ コミッショニングやグラフィカル フィールド ツールなどの使いやすい機能を使用して、IT 以外の現場技術者が FAN 通信機器を効果的に導入し、管理できます。公共事業会社固有の機能に加えて、シスコのソリューションでは真のエンタープライズクラスの障害、構成、アカウンティング、パフォーマンス、セキュリティ(FCAPS)機能を提供しています。これにはたとえば、Network Configuration Protocol(NETCONF)業界規格ベースのプログラマティック XML インターフェイスや、ロールベース アクセス コントロール(RBAC)、Over-The-Air ソフトウェア アップグレード、セキュリティ管理機能などがあります。 Cisco 1000 シリーズ Connected Grid ルータの仕様表 2 は、CGR 1000 シリーズ ルータのハードウェアの仕様、表 3 は、同ルータの特長とプロトコルのサポートを示しています。 表 2 Cisco CGR 1000 シリーズのハードウェア仕様
表 3 Cisco Connected Grid OS の特長とプロトコルのサポート
関連情報Cisco 1000 シリーズ Connected Grid ルータの詳細については、 Cisco のフィールド エリア ネットワーク ソリューションの詳細については、http://www.cisco.com/go/fan/ を参照してください。
1 動作温度範囲は、選択した通信モジュールやバッテリ バックアップ オプションによって異なります。 |
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