製品概要
Cisco IOS® XRv 9000 ルータには Cisco IOS XR ソフトウェアの機能セットが実装されています。仮想化された汎用 x86 コンピューティング プラットフォームで動作し、Cisco IOS XR ソフトウェアを利用する従来の物理的な Cisco® ルータ プラットフォームを補完します。これらの物理ルータには、Cisco Network Convergence System ルータ、Cisco ASR 9000 シリーズ ルータ、Cisco Carrier Routing System(CRS)プラットフォームなどが含まれます。このため、サービス プロバイダーは、物理ルータを活用した運用の効率改善やサービスの強化を図りながら、物理ルータを仮想フォーム ファクタへ容易に移行できるようになりました。Cisco IOS XRv 9000 ルータ(図1)によって、俊敏性やネットワーク効率の向上、資本コストと運用コストの削減、需要に基づいたネットワーク容量の効果的な増減が可能になります。
Cisco IOS XRv 9000 ルータの主な機能
● ネットワーク機能仮想化(NFV)インフラストラクチャによるエンドツーエンドのソリューション、
仮想ネットワーク機能、サービス オーケストレーションおよび管理
● 復元性と安定性に優れ、充実した機能を持つ Cisco IOS XR ソフトウェアをベースに、Cisco IOS XR
ソフトウェアと同じノースバウンド API と管理機能を備え、既存の OSS やビジネス サポート システム(BSS)との円滑な統合を実現
● QoS、アクセス コントロール リストなどのサービス プロバイダー エッジ機能を備えた高性能データ
プレーン
● コントロール プレーンとデータ プレーンを分離したアーキテクチャにより、マルチコア、マルチソケット間でのシステムの拡大、縮小を実現
Cisco IOS XRv 9000 ルータは、次の 2 つの形態での導入が可能です。
● 「仮想ルート リフレクタなどのコントロール プレーン機能を備えたルータ」と「Cisco nPower ネットワーク プロセッサ ユニット(NPU)用に特別に開発され、x86 用に最適化されたコードベースと
インテル® データ プレーン開発キット(DPDK)または仮想ブロードバンド ネットワーク ゲートウェイを活用した高性能データ プレーンを備えたルータ」
コントロール プレーンとしての Cisco IOS XRv 9000 ルータ:Cisco IOS XR ソフトウェアは、業界をリードするキャリアクラスのオペレーティング システムで、広く普及しているシスコのエッジおよびコア ルータ プラットフォームをサポートしています。このモジュラ型 OS は非常に高いレベルの可用性を実現します(図2)。また、マルチプロセス/マルチスレッド アーキテクチャに基づき、最新のマルチソケット、マルチコア プロセッサを活用することで、拡張性とパフォーマンスを強化しています。
データ プレーン(バーチャル フォワーダ)としての Cisco IOS XRv 9000 ルータ:仮想フォワーダは、Cisco NPU ベースの物理プラットフォーム向けに開発された機能とフォワーディング コードを使用します。ただしそれは、NFV ベースの汎用 CPU 環境向けに最適化されたものです。ソフトウェア ベースのパケット分類機能を改善するために、Intel Streaming SIMD Extensions 2(SSE2)と Advanced Vector Extensions(AVX)命令を使用しています。機能を並列処理するためにメモリ アクセスは非同期です。またデータ構造は、キャッシュを最も効率よく使用できるよう最適化されています。さらに、バッチ化されたパケット配信と処理、および機能実行プロセス全体での高速な負荷分散処理によって、サービス プロバイダーが必要とする機能を備えた非常に高性能なデータ プレーンを実現します。
ブロードバンド ネットワーク ゲートウェイ(BNG)としての Cisco IOS XRv 9000 ルータ:BNG は、サブスクライバがブロードバンド ネットワークに接続するためのアクセス ポイントです。BNG と顧客宅内機器(CPE)の間に接続が確立されると、サブスクライバはネットワーク サービス プロバイダー(NSP)またはインターネット サービス プロバイダー(ISP)によって提供されるブロードバンド サービスにアクセスできます。BNG は、IPoE サブスクライバ セッションを確立して管理します。セッションがアクティブである場合、BNG は、アクセス ネットワークのさまざまなサブスクライバ セッションからのトラフィックを集約し、サービス プロバイダーのネットワークにルーティングします。注:Cisco IOS XRv 9000 ルータの BNG は PPPoE サブスクライバをサポートしていません。
表 1. 導入モデルと利点
機能 |
利点 |
サービス プロバイダーは、低スループットで十分なロケーションでもレイヤ 3 プロバイダー エッジ機能を提供する必要があります。この場合、サービス プロバイダーはすでに物理的な Cisco ASR 9000 シリーズ デバイスに基づくサービスを提供しており、低スループットで十分な |
|
仮想プロバイダー エッジ |
●
広く使用されている
ASR 9000
シリーズ
プラットフォームで一貫したアーキテクチャ
●
Cisco IOS XR
ソフトウェアをベースにした充実したネットワーク
エクスペリエンス
●
従量性ベースのモデルを使用することで資本コスト(
CapEx
)と運用コスト(
OpEx
)を
削減 |
仮想ブロードバンド ネットワーク |
●
ブロードバンド
サブスクライバの終端(
IPOE/PPPoE
)
●
サブスクライバの識別
●
サブスクライバの認証
●
サブスクライバ
ポリシーの決定と適用
●
ポリシーの動的更新
|
従来よりサービス プロバイダーは、ルート リフレクタとして物理的なルーティング デバイスを導入していました。ルート リフレクタ アプリケーションは、コントロール プレーンを集中的に使用し、データ プレーンの使用率が低くなります。そのため物理ルータが持つ性能を十分に活用しているとは言えません。 |
|
仮想ルート リフレクタ |
●
Cisco IOS XRv 9000
ルータを使用して、多くのルート
リフレクタを、少数の仮想ルート
リフレクタに集約
●
多くの物理ルート
リフレクタを維持するために必要な物理的な専有面積、電力供給、
冷却、配線にかかる諸経費を大幅に削減 |
ライセンス
Cisco IOS XRv 9000 ルータは、複層的で柔軟なライセンス スキームを提供しています。拡張性、スループット、導入モデル、期間などの条件を選択できます。このライセンス構造により、サービス プロバイダーは必要とされるライセンスだけ購入頂くことが可能となります。ライセンスは Cisco Smart Software Licensing でアクティブ化されます。Cisco Smart Software Licensing の詳細については、https://www.cisco.com/c/ja_jp/products/software/smart-accounts/software-licensing.html を参照してください。
製品仕様
Cisco IOS XRv 9000 ルータの仕様を表 2 に示します。
表 2. Cisco IOS XRv 9000 ルータの仕様
機能 |
説明 |
|
Cisco IOS XR パッケージ |
このソフトウェアは、ISO、仮想マシン ディスク(VMDK)、OVA、QCOW2 形式で利用可能。 |
|
サポートされる |
●
VMware ESXi 5.5
、
6.0
、および
6.5
次に基づく
Linux KVM
●
Red Hat Enterprise Linux 7
、
7.1
、
7.2
、
7.3
、および
7.4
●
Ubuntu 16.04 LTS
●
Ubuntu 14.04.03 LTS
●
CentOS 7
、
7.1
、
7.2
、
7.3
、
7.4
●
Openstack 10
|
|
OS レベルの仮想環境 |
Linux Containers(LXC) |
|
リソース仕様 |
Cisco IOS XRv 9000 ルータは、Cisco Unified Computing System™(Cisco UCS®)サーバ、および VMware ESXi、Red Hat KVM、Ubuntu KVM をサポートするサードパーティ サーバで動作します。サーバは少なくとも次のリソースを提供する必要があります。
●
仮想
CPU
コア(必須):
最小
2
コアのソケット
X 1
●
仮想マシン
メモリ
サイズ:
12 GB
以上(
10G
インターフェイスには
19 GB
を推奨)
●
ディスク容量:
vPE
および
vRR
イメージ
バリアント用に
45 GB
以上
●
ネットワーク
インターフェイス:
|
|
最小 4 つの NIC: |
●
管理用
X 1
●
予約済み
X 2
●
トラフィック用
X 1
|
|
最大 11 の NIC: |
●
管理用
X 1
●
予約済み
X 2
●
トラフィック用
X 8
|
|
管理 |
●
仮想マシンの作成と導入:
OpenStack
、
VMware vCenter
、
VMware vCloud Director
●
プロビジョニングと管理:
Cisco IOS XR CLI
、
Secure Shell
(
SSH
)
Protocol
、
Telnet
、
Cisco Prime
™
インフラストラクチャ、
Cisco Prime
ネットワーク
サービス
コントローラ、
OpenStack
コンフィグ
ドライブ
●
モニタリングとトラブルシューティング:
Simple Network Management Protocol
(
SNMP
)、
Syslog
、
Embedded Event Manager
(
EEM
)
|
|
サポートされる機能 |
●
NFV
:
仮想
PE
(
vPE
)および仮想
RR
(
vRR
)
●
ルーティング:
Border Gateway Protocol
(
BGP
)、
Open Shortest Path First
(
OSPF
)、
Intermediate System to Intermediate System
(
IS-IS
)
Protocol
、マルチプロトコル
ラベル
スイッチング(
MPLS
)、
Label Distribution Protocol ( LDP )、 RFC 3107 準拠
●
ブロードバンド
ネットワーク
ゲートウェイ(
BNG
):
IP over Ethernet
(
IPoE
)および
Point-to-Point Protocol over Ethernet
(
PPPoE
)サブスクライバ終端、
Proxy Mobile IPv6
(
PMIPv6
)を使用したローカル
モビリティ
アンカー(
LMA
)
●
カプセル化:
IEEE 802.1Q VLAN
、
IEEE 802.1ad
(
QinQ
)、高可用性:プロセスリスタート、
SMU
、
Bidirectional Forwarding Detection
(
BFD
)、
BGP Prefix-Independent Convergence
(
PIC
)
●
データ
プレーン機能:
階層型
QoS
(
H-QoS
)、アクセス
コントロール
リスト(
ACL
)、合法的傍受、
Unicast Reverse Path Forwarding
(
uRPF
)
|
保証に関する情報
保証については、Cisco.com の製品保証のページを参照してください。
Cisco Capital
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関連情報
https://www.cisco.com/c/en/us/products/ios-nx-os-software/ios-xr-software/index.html