概要
ビジネスは常に発展しています。組織的に成長する場合も、買収によって成長する場合もあります。ビジネスは複雑化しています。そして、組織が成長したり、新しい基盤インフラを追加したり、サポート対象の拠点や顧客が増えたりすることでさらに複雑になりつつあります。新しいサービスの変化や採用が高速化したことで、データセンターの専門家は、いっそう素早くリソースを提供するよう求められています。
また、クラウドの導入やインフラストラクチャの変革に対応するために、データセンターも、パフォーマンスやサービスの質を低下させることなく拡張することが必要となります。しかし、手動のプロセスや、設計に問題があるプロセスによって、データセンターは変化スピードに対応する能力を削がれてしまいます。手動による手順は個々の帯域幅や速度に依存しており、それは日によって変動する可能性があります。また、人が関与する作業はエラーが発生しやすくなります。さらに、手動のタスクは時間がかかる上、使用リソースの予測も困難です。
手動作業の対応を解消することで、データセンターの俊敏性と効率が高まります。手動のプロセスを減らすためには自動化が必要です。自動化により、次のことが可能になります。
● データセンターの生産性の向上
● データセンターの複雑さの低減
● 一貫性の向上
● 使いやすさおよびモニタリング機能の向上
● IT および運用部門の管理者による、セルフサービス カタログに基づく新しいサービス提供の導入
データセンターをビジネスの速度に合わせて拡大
手動のプロセスを置き換え、データセンターの効率を高めるには Cisco UCS® Director が必要です。この製品は、シスコ®および他社のインフラ製品の運用自動化、設定、管理を行います。ファイアウォール、ロード バランサ、およびサービスを自動化できます。それぞれの手動プロセスが、1つにまとめられた自動化されたプロセスに置き換わります。これにより、データセンターのスタッフは、ビジネスを差別化するための革新的なプロジェクトに集中できるようになります。
Cisco UCS Director のモデルベースの自動化は、一貫性のあるインフラストラクチャ自動化を実現するための主要なコンポーネントです。この製品は、環境の検出とマッピングを行います。また、ハードウェアとソフトウェアをプログラム可能なタスクに抽象化します。IT 部門の専門家はこれらのタスクを使用して、自動化されたワークフローを構築し、手動のタスクを置き換えることができます。インフラストラクチャ サービスは短時間で提供できるようになります。
プロセスの標準化と Cisco UCS Director を組み合わせて使用することで、ビジネスに乗数的な効果をもたらします。人的関与に起因するばらつきの解消は、繰り返し作業の一貫性の確保と、人員工数負荷の軽減に寄与します。これにより生産性が向上します。
「56 の手動のタスクを自動化することで、テナントの仮想データセンターを 20 分で導入できるようになりました」 |
さらに詳しく
Cisco UCS Director は標準的なインフラストラクチャのプロビジョニングから、マルチテナントまたはベアメタル環境の設定および導入に至るまで、広範なサービスをサポートします。
● シスコおよび他社製のハードウェアにおいて、物理およびベアメタル環境に対してリソースを設定し割り当てる。
● セキュリティおよび分離モデルを割り当てて導入し、特定のテナントあるいはアプリケーションの要件に対応する。
● システム化された Cisco UCS およびハイパーコンバージド インフラストラクチャを Day 0 でセットアップし、Day 1 でインフラ定義およびサービス導入できます。
● 利用者に対してセルフサービス カタログからデータセンター リソースを提供します(図 1)。このインターフェイスは、管理者がサービス リクエストを確認および承認して、仮想マシン、ベアメタル サーバ、およびアプリケーション コンテナを設定・提供することができます。
● プロビジョニングされ予約された物理および仮想リソースをモニタし、レポートを作成する(図 2)。レポートは、シートまたはグラフィカル形式の選択肢があり、管理者は、ユーザが自分のリソース使用状況を理解するのに役立つ適切な形式を選択できます。
● Hadoop および Splunk クラスタをワンクリックでインストール、プロビジョニング、導入することで一貫性を強化し、リアルタイムの診断と履歴の分析によってリスクを低減します。
表 1 に、Cisco UCS Director の主な機能を示します。
表 1. 主な機能
機能 |
特長 |
インフラストラクチャの自動化 |
● Cisco UCS のコンバージド ソリューションおよびハイパーコンバージド ソリューションの自動化、オーケストレーション、および管理
● ネットワークの安全なセグメンテーションおよび分離による、マルチテナント環境のオンデマンド プロビジョニング
● コンバージド インフラストラクチャとハイパーコンバージド インフラストラクチャのどちらに対応し、一元化・一貫性のある管理
● リソース使用および消費状況をユーザごとに測定し、別の課金システムにエクスポートできるショーバック(コスト通知)データを提供することにより、ユーザおよび組織に対する従量制の課金が可能になります
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セルフサービス カタログ |
● 特定のアプリケーション環境を対象としたインフラストラクチャ コンポーネント、ベアメタル サーバ、または包括的なインフラストラクチャ スタックについて、ユーザ自身の要求にもとづくオーダーおよび展開
● リソース消費状況を追跡するための、カスタマイズ可能なダッシュボード
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ネットワーク管理 |
● 物理スイッチ、仮想スイッチ、動的ネットワーク トポロジのオンデマンド プロビジョニング
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コンピューティング(サーバ)およびストレージの管理 |
● シスコおよび他社製のハードウェア環境における物理、仮想、およびベアメタル サーバのプロビジョニング、管理、およびモニタリング
● ストレージ仮想マシン、ファイル管理アプリ、仮想ファイル管理アプリ(vFiler)、論理ユニット番号(LUN)、およびボリュームの自動化プロビジョニングおよび管理
● サーバおよびストレージについて、低い使用率や使用率が過剰なリソースを識別するための、使用傾向とキャパシティ分析
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包括的な検出およびインベントリ収集 |
● データセンター リソースの物理および論理トポロジの検出、マッピング、およびモニタリング
● IT 部門によって決定された頻度で実施される検出プロセスによる、リソースの変更および動向の検知
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複数種類のハイパーバイザおよびベアメタルの自動化のサポート |
● VMware ESX、ESXi、Microsoft Hyper-V、Red Hat の各ハイパーバイザのサポート
● ベアメタル OS(Red Hat Enterprise Linux(RHEL)、CentOS、および Microsoft Windows)のインストールおよびハイパーバイザ(ESXi および Hyper-V)のインストールのサポート
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オーケストレーションとワークフロー デザイナ |
● シスコおよび他社製ハードウェア コンポーネントで実行可能な、3,000 を超える組み込みタスク
● ハードウェアおよびソフトウェア スタックで実行する API ベースのカスタム タスクの作成
● IT および運用の専門家が自動化ワークフローの作成に使用できる、標準組み込みのワークフロー デザイナ
● 設定時のエラー、使用可能なリソースの不足、不適切なリソースの割り当てなどを把握するためのワークフローの検証機能
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オープン オートメーション ソフトウェア開発キット(Open Automation Software Development Kit)(SDK) |
● オープン オートメーション SDK を使用し、Cisco UCS Director の統合を開発するパートナーのエコシステムが拡大中です
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● ダウンロードできる 300 以上の事前定義済み認証コード サンプル。各ダウンロードには、コード サンプル、利用説明、およびサンプル トポロジが含まれています
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利点
● 新しいサービスをより早く提供およびサポートすることにより、顧客の獲得、顧客へのサービス提供、顧客との関係維持を可能にします。
● インフラストラクチャを透過的に拡大または縮小することにより、リソースをビジネス ニーズに合わせて素早く調整します。
● インフラストラクチャ コンポーネントの抽象化により、リソースのプロビジョニング、プーリング、スケジューリングをワークロードの要件に応じて素早く実施します。
● 強力なオープン コミュニティが、情報共有・コラボレーションを通じてイノベーションを推進します。
● 時間を問わずに対応するデータセンターの専門家が本格的なビジネス パートナーとしての役割を果たし、ビジネスに対して競争力のある価値を提供します。
「Cisco UCS Director の効果は絶大です。チームが環境の導入に費やす時間は半分に短縮されます。NESIC では、他の自動化管理ツールも検討しましたが、仮想環境と物理環境の両方を管理できるのは Cisco UCS Director だけでした」 —NEC ネッツエスアイ企業ソリューション事業本部ニューソリューション推進事業部クラウド構築部主任 Hiroshi Matsuda 氏 |
プラットフォーム サポートと互換性
Cisco UCS Director は広範なハードウェア ソリューションをサポートしています。詳細については、この互換性マトリックス [英語] を参照してください。
製品仕様
詳細については、以下のリンクを参照してください。
● ベアメタル インストールおよび設定ガイド [英語]
● Cisco UCS Director の Microsoft Hyper-V へのインストール [英語]
システム要件
システム要件については、こちら [英語] をご覧ください。
保証
詳細については、シスコのソフトウェア保証ポリシー [英語] を参照してください。
ライセンス
Cisco UCS Director のライセンスは、サーバ数を基準として供与されます。また、マルチティアおよびエンタープライズ ライセンス契約もご利用いただけます。詳細については、シスコのセールス担当者またはリセラーにお問い合わせください。
シスコとパートナーによるサービス
シスコおよび認定パートナーが提供するサービスは、データセンターの変革と、ビジネスの刷新および成長の加速に寄与します。詳細については、http://www.cisco.com/jp/go/services/ を参照してください。
Cisco Capital ファイナンス プログラム
Cisco Capital® ファイナンスは、目標を達成して競争力を維持するために必要なテクノロジーのご購入をお手伝いします。設備投資(CapEx)の削減、企業の成長促進、投資と ROI の最適化を支援します。Cisco Capital ファイナンス プログラムは、ハードウェア、ソフトウェア、サービス、および補完的なサードパーティ製機器の柔軟な購入を支援します。支払いが統一されるため、予想外の支払いが発生することもありません。シスコ キャピタルは 100 ヵ国以上でサービスを展開しています。詳細はこちら
Cisco ONE Enterprise Cloud Suite
Cisco UCS Director は、Cisco ONE™ Enterprise Cloud Suite のコンポーネントです。Enterprise Cloud Suite は、インフラストラクチャにとどまらない自動化機能の拡張を提供します。
● Cloud Management により、約 20 のデータセンター、プライベート/パブリック クラウド環境で、アプリケーションのモデリング、プロビジョニング、導入と、インフラストラクチャのサポートが可能になります。
● Service Management により、IT および非 IT タスク向けの統合セルフサービス カタログが提供され、卓越したカスタマー エクスペリエンスが実現します。
● Big Data Automation により、Hadoop インフラストラクチャおよびソフトウェア コンポーネントの導入、適応、拡大/縮小を、ワンタッチで一元的に実行できるようになります。
シスコが選ばれる理由
技術系サイトのブログ、業界のウェビナー、または会議の議題などを見れば、この業界が急速な変化に対応するためにビジネス変革という考え方に焦点を合わせていることがわかります。ビジネス上の課題は複雑であり、またどのビジネスも同じではありません。従来型の IT サイロから自動化・一貫性という新しい世界に向けた変革を加速できるベンダーは、ほとんど存在していません。しかしシスコにはそれが可能です。シスコは、長年にわたるデータ管理とビジネスの高速化の実績を通じて、ビジネスの推進に必要とされる自動化によるスピードと俊敏性を実現するには何が必要かを、正確に認識しています。
今が最適なタイミング
市場は待ってくれません。組織のさまざまな部分で変化が進んでいる中で、今こそ変革に着手すべきです。Cisco UCS Director は、標準化されたインフラストラクチャ リソースを提供するために必要な、異種混合のインフラストラクチャの自動化をごくわずかな時間で実現します。また、このソリューションを使用して、プライベート クラウドをサポートするインフラストラクチャおよびベアメタル サーバを導入します。何よりも重要なのは始めることです。詳細については、http://www.cisco.com/web/JP/product/hs/ucs/ucsd/index.html を参照してください。
次のステップ
Cisco UCS Director のデモンストレーションやさらに詳細な情報については、シスコのセールス担当者またはリセラー パートナーにお問い合わせください。