Cisco CleanAir の発展

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Updated: 2023 年 10 月 18 日

偏向のない言語

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翻訳について

このドキュメントは、米国シスコ発行ドキュメントの参考和訳です。リンク情報につきましては、日本語版掲載時点で、英語版にアップデートがあり、リンク先のページが移動/変更されている場合がありますことをご了承ください。あくまでも参考和訳となりますので、正式な内容については米国サイトのドキュメントを参照ください。

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最初にリリースされた Cisco CleanAir® は、Wi-Fi 業界の考え方を大きく変えました。これ以降、企業 Wi-Fi のカバレッジから Wi-Fi 以外の干渉を積極的になくす動きが見られるようになったのです。干渉の問題に注意を払わないと困難に見舞われます。たとえば、Bluetooth では Wi-Fi への干渉が考慮されておらず、この状況下で、大部分の「ワイヤレス」コントローラやコンシューマ向けガジェットが 2.4 GHz 帯のワイヤレス技術を使い構築されました。

CleanAir のこれまでのコア ハードウェア テクノロジーは、個々の非 Wi-Fi デバイスを分析して、正確に識別することを目的としており、同様のデバイスが多数存在する室内でもそれらを可能にしました(今日でもこの業界で比類のない技術です)。こうした高い精度を持つ CleanAir は、さまざまなサービスのデータソースに利用でき、Wi-Fi 以外の干渉源を種類(Bluetooth、電子レンジなど)ごとに識別することも、正確な位置をマップで確認することも可能にします。影響度を測定し、それらをシビラティ(重大度)マップにして、実際の影響のあるエリアに重ねられるため、影響を予測すると同時に干渉源の位置を素早く特定できます。シスコが RF 干渉の現実について業界の認識を積極的に高めたことで、コンシューマ向けデバイスメーカーでは Wi-Fi を中心に据えた設計が行われるようになり、今日では、5 GHz 帯を使う Wi-Fi 以外のコンシューマ向け機器の大半と問題なく共存することが可能になっています。CleanAir は、シスコのアクセスポイントが備えるエンタープライズグレードのツールとして、2010 年に初めてリリースされました。CleanAir には、RF 属性の特徴を、既知の RF エネルギーのパターンを比較対象にして慎重に分析できる機能が求められました。こうした機能は、今日の AI/ML の世界で「特徴量に基づく分類」と呼ばれています。しかし、CleanAir は、現在の実用的な AI/ML よりも早く、この機能を備えることができました。

2020 4 月に、米国の連邦通信委員会(Federal Communications Commission)が過去最大の帯域幅を Wi-Fi 向けに認可しましたが、これが、利用密度が高まる現在の Wi-Fi 空間に大きな恩恵をもたらしています。米国や、世界のその他の主要な規制地域には、空いている(使用されていない)周波数帯はありません。そのため、再指定された周波数帯には、多くの場合、その帯域をすでに利用している既存のライセンスユーザーを保護する条件が設定されます。6 GHz 帯には、運用が開始されているユースケースがあります。たとえば、衛星用アップリンクや、テレビ放送や遠隔地向けのマイクロ波リピーターなどです。既存ユーザーを保護する必要があるため、規制の策定では、Wi-Fi による既存ユーザーへの干渉を防ぐことが重視されました。しかし、Wi-Fi を保護するための規制はありません。さらに、UNII-6 UNII-8 の帯域内に集中しているこうした既存ユースケースの一部では、低電力(屋内)(LPI)運用を十分に妨害しうる電波が発せられます。6 GHz 帯は、Wi-Fi 技術にとって、今後も世界中に価値をもたらす計り知れない機会を生み出すでしょう。周波数帯が 180% 拡張されるため、まったく新しい RF 干渉源の発生も予想され、それを追跡し続ける必要があります。つまり、CleanAir の機能を次のレベルに引き上げるときが来たのです。

CleanAir Pro の登場

CleanAir Pro は、Wi-Fi 業界に影響を与えている現在の課題や当面の課題を解決するために、ゼロから構築されたまったく新しいソリューションです。シスコのデータレイクには、解像度と精度の高い周波数帯データが蓄積されており、こうしたデータは Wi-Fi 以外の信号発生源から取得した数千万件のサンプルで構成されています。発生源は、信号が一定したキャリアから、高度な周波数ホッピングスペクトラム拡散(FHSS)、時分割多元接続(TDMA)、一般的な干渉源まで多岐にわたります。

CleanAir Pro の開発目的を次に示します。

     持続可能で適応が容易なソリューションを構築することで、CleanAir の膨大なナレッジベースを活用した機械学習(ML)で独自の分類子を作成する。

     将来を見据えるとともに、6 GHz 帯の技術が世界中で進化する中で、新たな周波数帯の占有に伴う課題に既存の技術で対処する。

     以前の CleanAir による保護を継続するために、その CleanAir をなくてはならないものにしたコアバリューを維持する。これには次の機能が必要です。

    一般的な非 Wi-Fi 干渉源を正確に検出し特定する。

    Wi-Fi のパフォーマンス低下が特定のセル内の Wi-Fi トラフィックにどのような影響を及ぼすかを定量化する。

    複数のアクセスポイントで同時に検出されたインスタンスを、1 つのデバイスアラートとしてマージ
する。

    甚大な影響を及ぼす干渉イベントを特定し、その影響を即座に軽減する。

    シスコの Radio Resource ManagementRRM:無線リソース管理)と AI 拡張 RRM アルゴリズムで使用される非 Wi-Fi 周波数帯データを提供し、競合企業の機器や技術との共存をより適切に管理する。

     新しい干渉源に迅速かつ継続的に適応すると同時に、機械学習によって将来の拡張にも対応できるように
する。

CleanAir Pro の機能(Cisco IOS XE 17.13 以降)

     Cisco AI/ML 分析によって 2.456 GHz 帯のデバイスを分類する。

     2.456 GHz 帯のスペクトログラムと分類の詳細を Cisco DNA Center のアシュアランス インテリジェント キャプチャ スペクトラム ダッシュボードで表示する。

     同じデバイスに関する複数のレポート(独自の特許取得済みレポート)を 1 つのアラートにマージする。このアラートをフロアプラン上で確認することで、問題のある信号を修復できる。

     永続的デバイス回避(2.4 および 5 GHz 帯のみ)により、非 Wi-Fi デバイスとその要件や影響に関する RRM の情報を強化し、さまざまな技術が使用される環境での共存を向上させる。

     3 つの周波数帯(2.456 GHz)すべての干渉源に Event-Driven RRMED-RRM)を使用する。ED-RRM を導入すると、影響のあったアクセスポイントを素早く識別して問題のない周波数帯で復旧を行い、運用効率を維持できる。その後そうしたイベントをマークしてモニターし、イベントの影響が弱まるまで(重大度に応じて 30 秒以内)、対象範囲内の全アクセスポイントでそれらを回避できるよう対処する。

     電波品質と個々のシビラティ(重大度)メトリックにより、根本原因となっているデバイスの電波を明確にする。

以前の CleanAir の機能に加え、コアハードウェアによるスキャンを活用する CleanAir Pro の新機能によって、干渉のない Wi-Fi ユーザー体験を提供します。

     ワイヤレス侵入検知と防御(WIDS/WIPS)、不正 AP 検知、封じ込めを行う。

     RRM オフチャネル送受信のすべての要件に対応する。

     FastLocate に対応する。

CleanAir Pro の新たな仕組み

カバレッジの要件が拡大した場合は、まだ分析されていない電波のデータ収集を最初に行います。CleanAir Pro ではモニターリソースが、他の帯域外モニターサービス(RRMFastLocate、適応型 WIDS/WIPS)と共有されます。現在、6 GHz 帯では、CleanAir Pro のオペレーションが総滞留時間の 30% を占めています。CleanAir Pro の無線は滞留時間ごとに 160 MHz 帯をスキャンし、最適化されたサンプリング間隔に従って、サポート対象の各サービスに必要な総滞留時間を確保しています。また、さまざまな優先順位に対応できるよう、集中してスキャンする対象と滞留回数を動的に変更します。このように、現在の CleanAir Pro は、以前の CleanAir に匹敵するソフトウェアとハードウェアを備えています。

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図 1.                           

CleanAir Pro のリリースタイムライン

CleanAir Pro の機能と利点

マージ

CleanAir Pro は、各デバイスを正確に識別する機能を主な差別化要因としています。この機能がない場合、デバイスを識別可能な各アクセスポイントから干渉デバイスレポート(IDR)を取得することになります。しかし、エンタープライズクラスの電波密度になると、Bluetooth 信号が数十のアクセスポイントで同時にモニターされることもあり、その信号の発生源が、複数のデバイスか、複数のポイントで検出された同一のデバイスかを判断できません。CleanAir Pro ではマージアルゴリズムによって、複数のレポートがシステムレベルで 1 つのレポートに統合されます。図 2 のワイヤレス コントローラ コンソールには、アクセスポイントで検出された干渉源が表示されており、クラスタ ID ごとにクラスタのメンバーを確認できます。「クラスタ」とは同じ検出デバイスをマージしたものです。

The CleanAir Pro cluster ID denotes devices that are part of the same cluster

図 2.                           

CleanAir Pro のクラスタ ID は、同じクラスタに属するデバイスを示している

クラスタ ID は検出データとともに保存されており、これにより、検出結果を画面上で明確に確認できます。この
情報には、コマンドラインからもアクセス可能で、Cluster Center を表示すると、受信信号強度表示(RSSI)と、他の検出可能アクセスポイントの ID リストに基づいて、デバイスの場所に最も近いアクセスポイントを確認でき
ます。

Command-line output of CleanAir Pro cluster ID contents

図 3.                           

クラスタ ID の詳細を示す、CleanAir Pro のコマンドライン出力

このマージプロセスがなければ、アクセスポイントごとに個別のデバイスを検出して記録することになり、問題となっているデバイスが複数あるのか、同一のデバイスが複数のアクセスポイントで検出されたのかを判断できません。複数のアクセスポイントで同じデバイスが検出された場合、そのデバイスが出力に表示されますが、件数は表示されません。また、RSSI 値は、最後にそれを報告したアクセスポイントの RSSI 値となるため、アクセスポイントによって検出レポートが異なると、値が増減します。出力には、CleanAir 以外の従来のアクセスポイントで以前リリースされたスペクトルインテリジェンスと同じ情報が表示されます。

シビラティ(重大度)メトリック

シビラティ(重大度)とは、そのデバイスが負荷の高いセルに存在した場合にエアタイムがどの程度失われるかを示した推定値であり、デバイスの種類や Wi-Fi の既知の通信に基づいて決定されます。RSSI とデューティサイクルも推定値を決定する要素であり、デバイスがアクセスポイントに近く、アクセス数が多いほど、シビラティ(重大度)は高くなります。シビラティ(重大度)は 1% 100% で表され、100% はそのセルが完全にブロックされていることを意味します。

CleanAir Pro 以外のシステムでは、シビラティ(重大度)メトリックを算出できません。個々のデバイスを識別できないため、検出可能なアクセスポイントと照らし合わせて各デバイスを評価することもできません。スペクトルインテリジェンスでも、シビラティ(重大度)メトリックは算出されません。

電波品質指標(AQ と AQI)

電波品質(AQ)は、対象アクセスポイントのセル内に存在する全デバイスに同時に及んでいる悪影響を、検出し蓄積したデバイス情報に加え、それらによる干渉のシビラティ(重大度)メトリックに基づいて表したものです。電波品質インデックス(AQI)は 100% 1% の値で表され、値が大きいほど品質が高いことを意味します。たとえば、アクセスポイントから、異なる 5 つの Bluetooth デバイスが報告され、それぞれのシビラティ(重大度)の値が 2% で、最初の AQI 100% だとしましょう。この場合、5 台のデバイス x 2% = 10% と計算します。最初の 100% 良好な AQI から、その 10% を引くと 90% となり、レポート元のアクセスポイントのセルでは 90% AQI が確保されていることになります。つまり、ある程度の影響はあっても、重大ではありません。

CleanAir Pro を導入していない場合、デバイスごとのシビラティ(重大度)を得られず、周囲のセルとの関係に基づいてデバイスを特定することもできません。つまり、対象アクセスポイントのセルの合計 AQI を決定するための値を得られないのです。スペクトルインテリジェンスの機能を持つアクセスポイントでも AQI は算出されません。

Event-Driven RRM

Wi-Fi の干渉は、Wi-Fi にさまざまな影響を及ぼします。干渉が Wi-Fi のクリアチャネルアセスメント(CCA)のしきい値を超えた場合、Wi-Fi のチャネルへのアクセスと電波送信が妨げられます。かなり深刻になると、電波を受信するどのデバイスも Wi-Fi を使用できなくなる可能性があります。ED-RRM は、きわめて深刻な影響を受けているセルにとって安全弁のような役割を果たします。これによってチャネルを即座(30 秒以内)に変更できるため、DCA サイクルを待つ必要がありません。

RRM のデフォルトの間隔は 10 分ですが、数時間に設定することもできます)。ED-RRM は、特定のアクセスポイントまたは周波数帯の AQI に基づいて動作します。そのトリガーとなる感度は、次のように設定できます。

     高感度:AQI = 60%

     中感度:AQI = 50%

     低感度:AQI = 31%(デフォルトの感度。推奨のベストプラクティスでもある)

ED-RRM configuration for 6 GHz (Cisco IOS XE 17.13.1)

図 4.                           

6 GHz ED-RRM 設定(Cisco IOS XE 17.13.1

CleanAir Pro は、リリース当初から、2.4 GHz 5 GHz の周波数帯で ED-RRM に対応しており、Cisco IOS XE リリース 17.13 は、6 GHz 帯にも対応しています。

CleanAir Pro のデータを可視化

CleanAir Pro は、Cisco DNA Center Assurance と完全に統合され、インテリジェント キャプチャ スペクトラムでインテリジェント キャプチャ ツール スイートの一部として機能しています。

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CleanAir Pro のデータは、Cisco Catalyst 9800 シリーズ ワイヤレス コントローラでも表示できます。表示するには、ランディングページのメインダッシュボードにアクセスします。

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メインダッシュボードからドリルダウンするか、[モニタリング(Monitoring] > [ワイヤレス(Wireless] > [CleanAir の統計(CleanAir Statistics] > に移動すると、アクセスポイントごとの検出結果などを確認できます。

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[モニタリング(Monitoring] のテーブルで、デバイスを選択すると、その AQI RSSI のデータをグラフ形式で表示できます。

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まとめ

2010 年以降、CleanAir は、シスコのワイヤレス技術の卓越性を実現するのに不可欠なソリューションとなりました。シスコは、コンシューマ用とプロフェッショナル用のワイヤレスデバイスが Wi-Fi ネットワークに与える影響を特定し、それらへの認識を高めることで業界をリードしてきました。業界が長年進化する中、このリーダーシップによって、ワイヤレス通信を利用するデバイスが Wi-Fi 機器と共存できるようになりました。こうしたデバイスで Wi-Fi が使用されるようになれば、理想的と言えるでしょう。

2020 年に Wi-Fi の運用に 6 GHz 帯が追加されました。これによって、Wi-Fi の経済的メリットが拡大し、Wi-Fi では、現在だけでなく今後も提供される素晴らしい機能が活用されるようになります。この新たな周波数帯によって、Cisco CleanAir にあらためて注目するだけでなく、現在の課題や変化する課題の背景を踏まえて Cisco CleanAir を刷新する機会を得られました。

現在の CleanAir Pro は、以前の Cisco CleanAir と同等の機能と効果をもたらし、周波数帯で生じる現在と将来の課題に対応できます。Cisco CleanAir Pro はゼロから再設計されており、これによって、信号情報で構成される膨大なデータレイクを ML で分析して、運用で使用する干渉源シグネチャを作成できます。また、干渉を自動的に検出する機能も新たに備えており、現在利用されているデバイスの分類だけでなく、将来の新しいデバイスの分類も自動化できます。

CleanAir Pro は、状況に応じた情報を検出し有用なインサイトを導き出す機能でこれからも業界をリードします。このソリューションを導入することで、1 24 時間ネットワークに求められる重要な判断を下せるようになります。

 

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