ハイブリッドワーク成熟度モデルで組織の現状を評価

ハイブリッドワークの進捗と今後必要な対応について把握できていますか。シスコと IDC 社の共同調査であるハイブリッドワーク成熟度モデルについて、セキュリティおよびアプリケーション担当 SVP 兼ゼネラルマネージャの Jeetu Patel が解説します。このモデルは、組織がハイブリッドワークへの移行の現状と、目標を達成するために何が必要なのかを評価するのに役立ちます。

パンデミックが起きたとき、ほぼ一夜にしてテレワークへの移行が進められました。しかし、それは働き方に変革をもたらしているハイブリッドワークへの移行の始まりにすぎませんでした。ハイブリッドワークへの移行は、人間社会に大きな影響を与える変化であると私は思います。

ハイブリッドワークは、従業員、テクノロジー、職場を統合する革命的なものだからです。そして、ワークライフバランスや組織のアジリティ、サステナビリティ、世界でのビジネス機会にまで、あらゆるものにプラスの影響をもたらす可能性があります。

そのため、ハイブリッドワークを正しく理解することが極めて重要です。

ハイブリッドワークは、テクノロジーに変革をもたらし続け、地域、言語、社会経済の障壁を取り払います。ただし、テクノロジーの変革はその一部にすぎず、文化と職場の変革も同じように重要になってきます。今や仕事とは、出かける「場所」のことではなく、場所を問わず行う「こと」なのです。

この改革には、真摯に取り組まねばなりません。大量退職時代が到来し、働き方と働く場所を柔軟に選択できないことが主な不満となっています。しかし大量退職時代は、組織が大きな変革を実現する絶好の機会にもなります。もう、過去の職場の柔軟性に欠けるモデルと階層化された組織構造に戻ることはないからです。

私が話をした世界中のお客様は、こうした変革を歓迎しています。このようなお客様は、素晴らしい働き方を実現できるかどうかがビジネスの成功を左右することを知っているため、計画を実行に移しています。私たちはハイブリッドワークへの移行を進める中で、成功を定義して課題を明らかにし、成功事例を共有していく必要があります。そのため私は、シスコがサポートするソートリーダーシップの推進に大きな関心を持っています。

ハイブリッドワーク成熟度モデル

ハイブリッドワーク成熟度モデルは、組織がハイブリッドワークへの移行の現状と、目標を達成するために何が必要なのかを評価するのに役立ちます。シスコと IDC 社の共同調査であるこのモデルでは、進捗を計るための実用的なフレームワークが提供されます。

ビジネスリーダーと IT リーダーは、パンデミックの中ですばやくテレワークに適応することの難しさを目の当たりにしましたが、ハイブリッド ワーク エクスペリエンスを実現することがビジネスにおいて非常に重要になるだろうと理解しています。そのためIDCは、シスコと連携し、ハイブリッドワーク成熟度モデルを作成しました。このモデルにより、リーダーはハイブリッドワークの移行の現状を評価し、成功へとつながる継続的な改善のための戦略を策定できるようになります。

IDC 社 Future of Work 調査担当ディレクタ、Amy Loomis 氏

 

今日の組織は、チームのためにハイブリッドワークを実現するにあたっての助言を求めています。ハイブリッドワークへの移行の現状、組織の成熟度が高まることで得られるメリットと成果、そして後れを取った場合に残される課題について知りたいと考えています。この調査の目標は、ハイブリッドワークの成熟度がさまざまな段階にある企業のビジネスの状況に関する重要なデータポイントを、数値化して検証することにより、こうした疑問を解消することにあります。

シスコと IDC 社の調査は、あらゆる規模の数千の組織と、世界中の複数の業界から得た調査の結果に基づいて進められます。まだ移行を開始していない組織から、導入と学習を開始した組織、実際にハイブリッドワークモデルを取り入れてリーダーシップを発揮し、このような新しい働き方でさらなる目標の達成を目指している組織まで、さまざまな組織のハイブリッドワークの成熟度を調査します。

シスコは間もなく、主な調査結果の共有を開始します。これらの結果は、シスコのハイブリッド ワーク ソリューションのページでご覧いただけます。

グローバル ハイブリッド ワーク インデックス

シスコは、グローバル ハイブリッド ワーク インデックス でハイブリッドワークの動向を調査する独自の取り組みを開始しました。グローバル ハイブリッド ワーク インデックスには、新たな労働の動向だけでなく、組織が創造力を解き放ってイノベーションを推進し、従業員のウェルビーイングを向上させる方法が示されています。

このようなインサイトを得るために、シスコは自社のコアプラットフォームとコラボレーション(Webex)、ネットワーキング(Meraki)、インターネット可視化(ThousandEyes)、およびセキュリティ(Talos、Duo、Umbrella)ソリューションから取得した、数百万の匿名化されたお客様のデータポイントを活用しました。さらに、第三者が 34 ヵ国の 3 万 9,000 人に対して実施した匿名調査(対象は、CIO、IT 意思決定者、従業員)結果も組み合わせています。広範囲に及ぶ調査では、シスコ独自の人事関連データも使用されました。

主な結果として、多くの組織が、ハイブリッドワークの成功の重要な特性である、十分な柔軟性を従業員に与えていないことがわかりました。64% の従業員は、このようなハイブリッドワークの柔軟性の欠如が、会社に残るか退職するかの判断に影響すると考えています。一方、自社が今後 6 ~ 12 ヵ月の間に、場所を問わない働き方を自由に選択できるようにしてくれると期待している従業員は、わずか 47% にとどまっています。

また、将来の成功のためにハイブリッドワークが重要である(また多くの組織で IT の役割が進化している)にもかかわらず、今もなお、IT 意思決定者の半数近くは、従業員のエクスペリエンスやビジネス成果より運用効率を優先させています。

リモートワークへの移行に関して言えば、これほど短期間で進歩を遂げたのは素晴らしいことです。しかし、このデータが示すように、多くの企業がハイブリッドワークの大きなメリットを完全に得られるようになるまでには、まだ長い時間がかかります。そのため、これからハイブリッドワークへの移行の現状(と将来何を達成できるのか)を明確にしていくことが不可欠です。

今後数ヵ月の間に、さらに調査結果を共有できるかと思いますが、そうした情報が増えれば、それだけ早くハイブリッドワークの大きなメリットを得ることができます。

ハイブリッドワーク実現に重要な要素