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Circuit Emulation Service(CES; 回線エミュレーション サービス)を使用すると、Constant Bit Rate(CBR; 固定ビット レート)の ATM Permanent Virtual Circuits(PVC; 相手先固定接続)またはソフト PVC によって、DS-n および E-n の回線を ATM ネットワークに透過的に拡張できます。CESは、ATM Forum standard af-vtoa-0078.0000 (PDF)に基づいています。 この標準では、CES Interworking Function(CES-IWF; CES インターワーキング機能)が定義されています。これは、T1、E1、E3、および T3 などの非 ATM CBR 回線と ATM UNI インターフェイスとの間で通信できるようにする機能です。CES は通常、ATM スイッチに実装されますが、ルータなどの ATM エッジ装置にも実装できます。CES は、主に非 ATM テレフォニー装置(PBX、TDM、およびチャネル バンクなど)またはビデオ装置(CODEC など)、さらに ATM 装置(Cisco LS1010 および Catalyst 8540-MSR ATM スイッチなど)との間の通信や、ATM アップリンク(Cisco 7200 上の PA-A2 など)経由の通信に使用されます。
ドキュメント表記の詳細は、『シスコ テクニカル ティップスの表記法』を参照してください。
このドキュメントに関しては個別の前提条件はありません。
このドキュメントの内容は、特定のソフトウェアやハードウェアのバージョンに限定されるものではありません。
このマニュアルの情報は、特定のラボ環境に置かれたデバイスに基づいて作成されました。このドキュメントで使用するすべてのデバイスは、初期(デフォルト)設定の状態から起動しています。実稼動中のネットワークで作業をしている場合、実際にコマンドを使用する前に、その潜在的な影響について理解しておく必要があります。
この項では、CES の基本的な用語について説明します。詳細は、このセクションのサブトピックを参照してください。
注:このドキュメントでは、T1の例に焦点を当てていますが、この理論をE1にも適用できます。
CESは通常、ATMネットワーク経由で音声またはビデオトラフィックを転送するために使用されます。音声とビデオは、データ トラフィックとは異なり、遅延および遅延変動の影響を受けやすくなっています。CES は、許容可能な遅延および遅延変動が保証される、CBR ATM サービス カテゴリの Virtual Circuits(VC; 仮想回線)を使用します。そのため、CES は音声とビデオの両トラフィックのニーズを満たします。ITU-T.I.363.1 が指定する ATM adaptation layer one(AAL1; ATM アダプテーション層 1)は、CES-IWF で使用されます。
CES の代表的なアプリケーションを次に示します。
下図のように、複数のキャンパス間にプライベート電話網を拡張します。たとえば、Private Branch Exchange(PBX; 構内交換機)を使用しているキャンパスが 2 つあるとします。PBX 自体に ATM 機能がなくても、ATM ネットワークを使用して 2 台の PBX を接続できます。こうすると、2 つのキャンパス間の音声トラフィックは、専用回線の代わりに私設 ATM のバックボーンを使用します。そのため、、音声とデータが同じ ATM ネットワークを共有します。
次の図に示すような、複数のサイトを結ぶビデオ会議。
ATM フォーラムでは、(DS-1、DS-3、E-1、E-3、J-1、および J-3 などの)Telco 回線の多くのタイプについて CES-IWF を定義しましたが、CES-IWF で最も一般的な回線タイプは DS-1 サービスと E-1 サービスです。シスコでは、企業向けに、8510-MSR、Catalyst 8540-MSR、および 7200 シリーズ ルータの PA-A2 ポート アダプタ用の T-1 および E-1 CES を提供しています。また、MGX 8220 などのサービス プロバイダー製品のいくつかでも CES をサポートしています。ただし、このドキュメントでは、エンタープライズ製品を中心に取り上げます。
CES-IWF は、PBX などの Customer Premises Equipment(CPE; 宅内装置)から着信した DS-n または E-n フレーム全体を AAL1 ATM セルに変換し、1 つの VC を使用して ATM ネットワークに送信します。リモート エンドの ATM スイッチまたはルータでは、AAL1 ATM セルが DS-n または E-n のフレームに変換されます。それらは、次に Ds-n または E-n の CPE 装置に転送されます。このタイプの CES は、非構造化 CES と呼ばれ、1 つの VC 上の ATM ネットワーク全体にクリア チャネル T1(全 24 チャネル)を拡張します。
この基本機能の他にも、CES では、T1 を複数の Nx64k 回線に分割して、さまざまな ATM VC を介して複数の宛先に転送する、チャネライズド T1 サービスがサポートされています。そのため、たとえば、ハブ PBX上の 1 つの T1 ポートを使用して、1 台の PBX が複数のリモート PBX と通信できるようになります。このタイプのハブアンドスポークは 構造化 CES と呼ばれます。次に例を示します。
T1 および T1 回線エミュレーションに関連したシグナリングには、2 つのタイプがあります。それは、Channel Associated Signaling(CAS; 個別線信号方式)と Common Channel Signaling(CCS; 共通線信号方式)です。CAS は、インバンド シグナリングで、CCS はアウトバンド シグナリングです。
一般的に CAS を使用するのは、T1 フレームの ABCD ビットを使用する専用シグナリング プロトコルを透過的に送信する場合です。CAS 用に設定された Cisco ATM スイッチでは、ABCD ビットは変更されず、影響を受けることもないため、専用のシグナリングを ATM ネットワークを介して使用できます。
注:CASを提供する場合は、構造化CESを使用する必要があります。
また、Cisco Enterprise ATM スイッチでのオンフック検出にも CAS を使用できます。CAS によるオンフック検出がサポートされるのは、(56k/64k)DS0 回線に限られます。CES-IWF は、音声を CBR ATM トラフィックとして送信するように指示します。これは、送信対象となるユーザ トラフィック(音声)がないときにも、ATM スイッチに音声回線用に帯域幅を確保させる方法です。そのため、音声の通信がない場合にも、AAL1 セルは「ヌル」データを送信して ATM リンク上の帯域幅を使用し続けます。ATM リンク上の「ヌル」セルを最小限にするには、音声コミュニケーションがない場合は「ヌル」セルを送信しないようにします。
8510-MSR は、次のようにオンフック検出を実装します。
オンフック/オフフックの状態を検出します。検出するためには、CPE が使用するオンフック信号を示すように ABCD パターンを設定する必要があります。つまり、8510-MSR 上でこれが設定される方法が、CPE によって指示されます。CPEと8510-MSRは同じ設定にする必要があります。
オンフックを検出したら、AAL1 セルの送出を停止します。
送信先 CBR 回線を装備した ATM スイッチに、オンフック モードであることを示します。この結果、セル(データまたは「ヌル」)をまったく受信しなくても、リモート スイッチは Loss of Cell Delineation(LCD; セル同期損失)を宣言しなくなります。
オンフックが検出されなくなった時点で(つまり、CPE 機器から送信された ABCD パターンが設定したパターンと一致しなくなったときに)、AAL1 セルの送信を開始します。
注:8510-MSRのオンフック検出を使用するCASは、CPE機器がCASをサポートし、オンフック状態を検出できる場合にのみ使用できます。
Cisco Enterprise スイッチおよびルータ上の損失ビット シグナリングは、ces dsx1 signalmode robbedbit コマンドを使用して設定できます。CAS およびオンフック検出を構成するには、ces circuit コマンドを使用します。
Cisco Enterprise スイッチの CES ポートでは、CAS がサポートされており、シグナリング メッセージを送信するために、6 番目の T フレームのすべてのチャネルから 1 ビットを「損失」させます。そのため、CAS は「損失ビット シグナリング」とも呼ばれます。損失されたビットは、SF では AB ビット、または ESF では ABCD ビットと呼ばれます。CAS はオンフック検出に使用できるので、ユーザ トラフィックがない場合にもネットワークのリソースを効率的に利用できます。
CCS では、それぞれの基本 T1 フレームのチャネル全体がシグナリングに使用されます。CCS の例としては ISDN PRI があり、64k の D チャネル全体がシグナリングに使用されます。CCS は、Cisco LightStream および Catalyst ATM スイッチではネイティブにサポートされていません。ただし、8510-MSR(または8540-MSR、LS1010)は、Cisco VSC2700シグナリングコントローラと共にSimple Gateway Control Protocol(SGCP)を使用して同様のの機能ををできます。 このソリューションは、8510-MSR がシグナリング DS0 チャネルを VSC2700 ゲートウェイに伝搬することで実装されます。VSC2700 ゲートウェイには、複数のシグナリング プロトコルを認識して、64k ソフト PVC を設定する必要のある ATM アドレスのシグナリングを 8510-MSR に戻す機能が備わっています。エンドツーエンド回線が確立すると、8510-MSR がユーザ トラフィックの転送を受け持ちます。オンデマンド帯域幅をこのように実行することで、必要なインターフェイスの総数も削減し、タンデム PBX の必要も排除できます。
CES は、PVC またはソフト PVC を使用して実装できます。PVC の場合は、ATM クラウドの ATM スイッチごとに手作業による設定が必要になります。ソフト PVC の場合は、VC を確立するために ATM シグナリングに依存します。そのため、1 台の ATM スイッチにだけ、VC を設定する必要があります。ソフト PVC のもう 1 つの長所は、リンク障害の発生時に VC を再ルーティングできることです。
一方、PVC の場合は、ATM シグナリングのようにダイナミック コンポーネントに依存しないため、ソフト PVC よりも安定しています。ATM ネットワークに ATM シグナリングをサポートしていない ATM スイッチがある場合は、PVC を選択するしかありません。CES にとってクロッキングが非常に重要であることに留意してください。リモート CPE で受信する T1 ストリームは、送信する T1 ストリームと同じクロッキング特性を備えている必要があります。そのためには、ATM ネットワークではクロックの特性を大幅に変更しないでください。これには、「回線エミュレーションのクロッキング」で説明するクロッキング方式のいずれか 1 つを使用できます。
前述のように、CES-IWF は、T1 フレームを AAL1 ATM セルに変換します。CES-IWF 機能は、ATM スイッチの CES Port Adapter Module(PAM; ポート アダプタ モジュール)に実装されています。簡潔に表現すれば、T1 フレームは CES PAM に着信し、そこでバッファリングされて、47 バイトのセルに分割されます。AAL1 ヘッダーの 1 バイトが 47 バイトの各セルに追加されて 48 バイトのセルになります。ATM セル ヘッダーの 5 バイトが追加されて、53 バイトのセルが発信 ATM インターフェイスへ切り替えられます。CES サービスのタイプによっては、追加のステップが発生する場合もあります。受信側では、逆の処理が行われます。
CES サービスには、2 種類の分類方法があります。同期か非同期かによる分類と、構造化か非構造化かによる分類です。
同期サービスは、それぞれの側で同期クロックが使用可能であるという前提に基づきます。そのため、ATM セルではクロッキング情報が転送されません。そのため、ネットワーク全体にクロック ソースを伝播させる必要があります。
非同期サービスでは、クロッキング情報が ATM セルによって回線のリモート エンドに送信されます。ATM セルによって送信されるクロッキング情報は、同期残余タイム スタンプ(SRTS)と呼ばれます。
SRTS 値は 4 ビットを使って指定されます。8 つのセルごとに、シーケンス番号が奇数であるセルの AAL1 ヘッダー内の 1 ビットを使用して送信されます。送信後も、基準クロックはネットワーク全体に伝播される必要があります。
非構造化サービスは「クリア チャネル」とも呼ばれており、T1 帯域幅全体を使用します(つまり、シングル チャネルが 1 つ存在します)。 ATM スイッチは T1 を調べずに、受信ポートから送信ポートまでのクロッキングでビット ストリームを再生するだけです。
構造化サービスはチャネライズド T1 または相互接続とも呼ばれており、ポイントツーポイントのフラクショナル T1(Nx64k)接続をエミュレートするように設計されています。これによって、異なる送信先に向かう複数の DS-0 チャネルに、T1 を分割できます。複数の回線(AAL1)エンティティが、同じ物理 T1 インターフェイスを共有します。このサービスを提供できるように、AAL1 は、反復する固定サイズのデータ ブロックを識別します(ブロック サイズは、オクテットの整数で示されます。オクテットは 64k チャネルを表します)。
ブロックのサイズが 1 つのオクテットよりも大きい場合、AAL1 はポインタ メカニズムを使用して構造ブロックの開始位置を示します。AAL1 ヘッダーのコンバージェンス副層(CS)インジケータ(CSI)ビットが 1 に設定されている場合は、構造化サービスを示します。CSI ビットが 0 に設定されている場合は、非構造化サービスを示します。したがって、CSI が 1 である場合は、構造の開始位置を識別するポインタが、偶数番号セルの CSI フィールドに挿入されます。このポインタによって、受信側スイッチは、AAL1 セルを適切なフラクショナル T1 に変換する方法を認識します。
Cisco Enterprise スイッチおよびルータでは、ces aal1 service コマンドを使用して、このタイプの回線エミュレーション サービスを設定します。
クロッキングは、CES にとって非常に重要です。このセクションでは、次の 2 つのクロッキングのコンセプトを取り上げます。
クロッキング モード
クロックの分配
クロッキング モードは、T1 回線のエンドツーエンドの送信側と受信側でクロックを同一にする複数の方法を定義します。つまり、PBX1 が送信する T1 ストリームのクロッキング特性と、PBX2 が受信するクロッキング特性を同じにするという意味です。反対方向に送受信する場合も同じです。
(同期および SRTS など)クロッキング モードによっては、基準クロック ソースに依存する場合があります。そのため、基準クロック ソースは、ネットワーク全体で同一である必要があります。これらのクロッキング モードでは、基準クロック ソースのクロック分配が不可欠です。
次のセクションでは、各種のクロッキング モードおよびクロック分配の方法について説明します。また、各クロッキング モードの長所と短所についても取り上げます。
クロッキング モードには、主に次の 3 つがあります。
同期クロッキング
SRTS
適応クロッキング
精度の高いクロック分配は、ハードウェアのサポートによって実現されることに留意しておく必要があります。この処理に使用される、Phased Lock Loop(PLL)チップは、8540-MSR のネットワーク クロック モジュールを装備した LS1010 および RP の ASP-PFQ カードにしか搭載されていません。CES を使用する ATM ネットワークの設計時には、これらのモジュールの使用を強くお勧めします。詳細は、「LightStream 1010、Catalyst 8510-MSR、および Catalyst 8540-MSR のクロッキング要件」を参照してください。
送信クロック周波数は、外部ソースによって生成されます(プライマリ基準信号(PRS)とも呼ばれます)。PRS は、すべての装置が同じクロックに同期できるように、ATM ネットワーク全体に分配されます。
長所 | デメリット |
---|---|
構造化および非構造化の 両 CES サービスをサポートします。 | ネットワークのクロック同期が必要です。 |
ワンダ特性およびジッタ特性に優れています。 | CES インターフェイスを PRS に接続します。PRS に障害が発生した場合は、冗長 PRS が使用可能でない限り、回線のパフォーマンスが低下する場合があります。 |
PRS に障害が発生すると、その他のインターフェイス(ATM スイッチ上でネットワーク クロックを取得するのに使用される CBR または ATM インターフェイスを除く)も影響を受ける場合があります。Cisco ATM スイッチでは、CES に関連するインターフェイスだけではなく、スイッチのすべてのインターフェイスで、システム クロックとして派生クロックが使用されます。 |
SRTS は非同期クロッキング方法です。SRTS は、CBR インターフェイスで受信されたサービス クロックとネットワーク全体の基準クロックとの間の差を測定します。この差が Residual Time Stamp(RTS; 残余タイム スタンプ)です。 RTS は、AAL1 ヘッダーに示された回線のリモート エンドに伝搬されます。受信側のエンドでは、RTS 値によって基準クロックを調整することで、クロックを再構築します。基準クロックはネットワーク全体に伝搬される必要があることに注意してください。つまり、スイッチにはクロックを分配する機能が必要です。
長所 | デメリット |
---|---|
外部で生成されたユーザ(PBX、MUX、または CODEC など)のクロッキング信号を ATM ネットワーク全体に伝搬し、CES 回線ごとに独立したクロッキング信号を提供します。 | ネットワークのクロック同期サービスが必要です。 |
複数の外部クロック ソースが存在するネットワークに有効です。 | 非構造化 CES サービスだけをサポートします。 |
ワンダ特性およびジッタ特性は中程度です。 |
適応クロッキングでは、発信元 CES IWF が送信先 CES IWF にデータを送信するだけです。送信先 CES IWF は、segmentation and re-assembly(SAR)バッファにデータを書き込んで、ローカル T1 サービス クロックによりデータを読み取ります。ローカル(インターフェイス)サービス クロックは、実際に受信した CBR データによって決まります。
SAR バッファのレベルは、中間地点周辺の充填レベルを継続的に測定します。この測定値を提供して Phase Lock Loop(PLL)を駆動することで、ローカル クロック周波数を制御します。PLL は測定値を受け取ると、ローカル クロック(送信クロック)を駆動します。 したがって、送信クロック周波数は、リアセンブリ バッファの深度を一定に維持するように修正されます。CES IWF で SAR バッファがいっぱいになったことが感知されると、送信クロック レートが増加されます。また、SAR バッファが空になっていることが感知されると、CES IWF では送信クロック速度が減少されます。
バッファの長さを適切に選択することで、バッファのオーバーフローやアンダーフローを防止し、同時に遅延も管理できます(バッファ サイズが大きくなると遅延も増します)。 バッファの長さは、最大の Cell Delay Variation(CDV; セル遅延変動)に比例します。これは、ユーザによって Cisco ATM スイッチに設定できます。ネットワーク管理者は、回線パスの各ネットワーク装置の CDV を合計することで、最大 CDV を予測できます。各装置の CVD の合計値は、設定した最大 CDV よりも小さくなければなりません。そうでない場合には、アンダーフローやオーバーフローが発生します。非構造化サービスの使用時に、シスコの機器で実際の CDV を表示するには、show ces circuit interface cbr x/y/z 0 コマンドを使用します。
長所 | デメリット |
---|---|
ネットワーク クロック同期が不要です。 | 非構造化 CES サービスだけをサポートします。 |
ワンダ特性が最も劣ります。 |
Cisco Enterprise 製品でこのクロッキング モードを設定するには、ces aal1 clock CBR interface コマンドを使用します。
同期クロッキング モードと SRTS クロッキング モードでは、ネットワーク全体に PRS を分配する必要があります。この 2 つのクロッキング モードのいずれか 1 つを使用する場合は、まずどのクロック ソースが PRS の役割を担い、ネットワークレベルのクロック分配トポロジを設計するのかを選択する必要があります。
PRS に関して決定すべき事項は、クロックの精度とネットワークでの PRS の位置です。
クロックの精度は、ストラタムのレベルで決まります。一般に、サービス プロバイダーの場合、ATM スイッチまたは CPE 機器などの機器に搭載されたローカル発振器より、高精度のクロック(ストラタム 1 または 2)を提供します。 (ビデオ アプリケーションでよく見られるように)サービス プロバイダーのクロックが存在しない場合は、PRS などの高精度のローカル発振器を搭載した装置を選択します。
PRS に関して決定すべきもう 1 つの事項は、ネットワーク内で PRS の役割を担う装置の位置です。これが問題となるのは、同じ精度レベルのクロック ソースが複数ある場合、または ATM ネットワークが非常に大規模の場合です。クロックはネットワーク ノードを通過するたびに劣化するため、PRS の位置を選択する場合には、クロックが PRS からエッジ装置までの間に通過する必要のあるネットワーク装置の数を最小限にする必要があります。
PRS を選択した後に決定すべきことは、基準クロックを伝搬する最適な方法を見つけることです。ネットワーク分配トポロジは、ループ フリーでなければなりません。つまり、このトポロジは、ツリー構造またはツリーのセットである必要があります。クロック分配トポロジでは、各種ネットワーク装置のストラタム レベルに基づいて、トポロジのアクティブ コンポーネントの厳密な階層順位も実現する必要があります。つまり、選択できる 2 つのホップ パスがある場合は、より精度の高い(ストラタム値が小さい)機器を通過するパスを選択します。
次の図のネットワーク クロック分配ツリーを参照してください。
8510-MSR 上の発振器および Cisco 7200 の PA-A2 は、ストラタム 4 のクロックを提供します。オプションのネットワーク クロック モジュールを装備した Catalyst 8540-MSR の場合は、ストラタム 3 のクロック ソースを提供できます。オプションのネットワーク クロック モジュールを装備していない場合は、Catalyst 8540-MSR はストラタム 4 のクロックを提供します。Catalyst 8540-MSR にオプションのネットワーク クロック モジュールが装備されている場合は、T1/E1 Building Integrated Timing Supply(BITS; ビル内統合タイミング供給)のポートもクロック ソースとして使用できます。
クロック分配ツリーがネットワーク全体を調べる方法を決定したら、その方法を Cisco ATM スイッチも含めた各装置に実装する必要があります(つまり、ATM スイッチ内の内部クロック分配を設定する必要があります)。 Cisco Enterprise ATM スイッチおよびルータの内部クロック分配を設定するには、次の 2 つのコマンドを使用します。それは、ces dsx1 clock source と network-clock-select です。
ATM スイッチのシステム クロックとして使用するクロック ソース(インターフェイスまたは内部発振器)を指定するには、network-clock-select コマンドを使用します。CES をサポートするシスコ製品では、冗長性をもたせるために、複数のネットワーク クロック ソースとそれらの優先順位を指定できます。何も設定しない場合には、8510-MSR および Catalyst 8540-MSR では、デフォルトで、ATM Switch Processor(ASP; ATM スイッチ プロセッサ)または Route Processor(RP; ルート プロセッサ)上のローカル発振器がシステム クロックとして使用されます。ネットワーク派生クロックを使用するように設定されたすべてのインターフェイスでは、 network-clock-select 文で指定されたクロック ソースが、そのインターフェイスの送信クロックとして使用されます。8510-MSR および Catalyst 8540-MSR 上のすべての ATM および CBR インターフェイスは、デフォルトで、ネットワーク派生となるように設定されています。PA-A2 ポート アダプタの ATM および CBR のインターフェイスも同様です。ces dsx1 clock source 文は、インターフェイス上で送信クロックとして使用するクロック ソースを、それぞれのインターフェイスに指定します。次のオプションを使用できます。
ネットワーク派生:前述したように、インターフェイスをネットワーク派生として設定した場合には、network-clock-select 文で指定したクロック ソースは、そのインターフェイス上で送信クロックとして使用されます(つまり、送信クロックは、ATM スイッチの内部クロック分配メカニズムにより提供されるクロック ソースから取得されます)。 使用中のクロック ソースを確認するには、show network-clock コマンドを使用します。ネットワーク派生は、すべての Cisco ATM スイッチ インターフェイスで、デフォルトとして設定されています。
ループタイム:インターフェイス上の送信クロックは、同じインターフェイスで受信したクロック ソースから取得されます。高精度のクロック ソースを持つ装置に接続するときには、このモードを使用できます。
フリーランニング:インターフェイス上の送信クロックは、ポート アダプタにローカル発振器があれば、その発振器から取得されます。ポート アダプタにローカル発振器が装備されていなければ、プロセッサ ボードの発振器が使用されます。このモードでは、送信クロックはシステムのいずれの受信クロックとも同期しません。このモードを使用する必要があるのは、一部の LAN 環境に見られるように、同期が必要ない場合に限られます。
CES を実装および設定する前に、この文書で説明した情報に基づいて次の事項を決定する必要があります。
(非構造化または構造化の)どちらのタイプのサービスを必要としていますか。
(同期、SRTS、または適応の)どのクロッキング モードを使用しますか。
同期または SRTS いずれかのクロッキング モードを選択した場合は、ネットワークのどの装置がネットワークの残りの部分にクロック ソースを提供しますか。PLL を装備している装置はありますか。クロックをサポートしていないインターフェイスからクロックを取得する予定はありますか。詳細は、「LightStream 1010、Catalyst 8510-MSR、および Catalyst 8540-MSR のクロッキング要件」を参照してください。
PRS のクロック特性を可能な限り維持しながら、クロック ツリーをループフリーにするために、ネットワーク全体にどのようにクロック ソースを分配する計画ですか。
CPE またはサービス プロバイダーによって提供された回線に定義されている T1/E1 特性(回線コードおよびフレーム同期)を確認します。
CES PAM と T1/E1 信号を生成する最近接装置(この場合は、CPE または CSU/DUS)との間の距離を確認します。 距離が 110 フィートよりも長い場合は、CES PAM で lbo 設定を変更する必要があります。
次の設定例を使用します。
「回線エミュレーションサービスの設定」も参照してください。
次に説明する show コマンドを使用することによって、構成を検証できます。関係するすべての装置からの show コマンドの出力結果は、サービス リクエストをオープンする場合に、Cisco Technical Assistance Center(TAC)の技術者の参考になります。
コマンド | 説明 |
---|---|
show version | ご使用の Cisco IOS のバージョンが表示されます。IOS のバージョンが必要になるのは、サポートされる機能を確認したり、CCO でバグを探す場合です。 |
show run | 稼動中の構成が表示されます。 |
show int cbr x/y/z | インターフェイスの状態が表示されます。 |
show ces int cbr x/y/z | 回線の状態とすべてのT1/E1エラーカウンタを表示します(すべてのカウンタの定義はRFC 1406 ()に記載されています。 また、ポートおよびサービス構成も表示されます。スイッチ上の回線コードとフレーム同期が CPE 装置上のものと同一であることを確認します。 |
show ces circuit int cbr x/y/z n | n は チャネル ID です(0 = 非構造化、1~24 = 構造化)。 アンダーフローおよびオーバーフローに関する情報が表示されます。 注:回路がアップすると必ずアンダーフロー/オーバーフローが発生するため、絶対数ではなく相対的増加を確認してください。アンダーフローおよびオーバーフローはクロッキングのずれを示しています。 |
show ces address | ソフト PVC をこの CBR ポートで終端させる場合は、使用するアドレスと VPI/VCI ペアが表示されます。この情報を表示するには、まず CES 回線を設定する必要があります。複数のチャネルに構造化サービスを設定している場合は、複数のアドレスと VPI/VCI ペアが表示されます。 |
show ces stat | すべての回線の状態が表示されます。 |
show network-clock | ネットワークのクロック ソースの優先順位構成が表示され、現在稼動中のクロック ソースが優先されるように構成されているどうかが示されます。 |
show log | 過去の任意のスイッチオーバー イベントまたはインターフェイス イベントが表示されます。ログを活用するには、スイッチにタイムスタンプを設定し、ロギングを有効にしておく必要があります。次のコマンドを使用して、グローバル コンフィギュレーション モードで設定できます。
|
次に、CES に関する一般的な問題をトラブルシューティングのヒントとともにいくつか表示します。
適切なケーブルを使用していることを確認します。すべてのCESポートのピン配置については、「PA-A2 ATM CESケーブル、コネクタ、ピン配置」を参照してください。 PA-A2。
CPE 上のフレーム同期と回線コードが、スイッチ上のものと同一であることを確認します。スイッチの設定状態を確認するには、show ces interface x/y/z コマンドを使用します。フレーム同期と回線コードを変更するには、ces dsx1 framing コマンドと ces dsx1 linecode コマンドを使用します。
CPE 上のポート、およびスイッチ上のケーブルやポートなどの、すべてのハードウェアが動作していることを確認します。ハードウェアの問題をトラブルシューティングするには、一度に 1 つのコンポーネントを交換するか、問題を特定するためにループバックを使用します。CBR インターフェイスには ces dsx1 loopback コマンド、ATM インターフェイスには loopback コマンドをそれぞれ実行することによって、ユーザ設定が可能なループバックを使用できます。CBR T1 インターフェイスに外部ループバック プラグを作成するか、またはATM インターフェイス上の受信ケーブル宛ての送信ケーブルを外部でループさせるかのいずれかの方法が必要になる場合があります。CES の問題をトラブルシューティングするときは、一般的にループバック テストが有効です。
アラーム インジケータをチェックします。
レッド アラームは、ローカル装置での障害を示します。
イエロー アラームはリモートエンドでの障害を意味します。
ブルー アラームは 1 つのパターンすべてが検出されたことを示します(AIS)。ブルー アラームのポートに接続された CPE 機器は、この状態を Loss of Signal(LOS; 信号消失)と認識します。ブルー アラームは、多くの場合、ATM ネットワークの問題発生や接続のダウンを示しています。
8510-MSRでは、LEDは異なるアラームを示します。
CPE(または、CSU/DSU などの最近接信号再生装置)と、CES PAM 上の CBR ポートとの間の距離を測定します。デフォルトのライン構築は、0 ~ 110 フィートです。測定した距離がデフォルト値よりも長い場合には、ces dsx1 lbo コマンドを使用してデフォルト値を増やします。サポートされる最大距離は約 700 フィートです。
回線にクロッキングのずれが発生しているかどうかを確認するには、 show ces circuit interface cbr x/y/z n コマンドを使用して、アンダーフローおよびオーバーフローをチェックします。ここで、n は回線 ID を表します(非構造化 CES では常に 0)。
AAL1 セルは ATM インターフェイスで受信されると、CES PAM 上にある SAR バッファに格納されます。次に、フレーマがバッファから AAL1 データを取り出し、T1 フレームからすべてのヘッダーを取り除いてから、CBR インターフェイスに送信します。このバッファのサイズは実装に依存します。大幅な遅延を回避しながら、特定のエンドツーエンドの最大 CDV に対応できるサイズが選択されます。(T1 フレームから ATM セルへの変換など)セグメンテーションを実行する装置と、(ATM セルから T1 フレームへの変換など)再構成を実行する装置との間にわずかでもクロッキングの差がある場合には、SAR バッファは、アンダーフローかオーバーフローのいずれかになります。
オーバーフロー:セグメンテーション側が構成側よりも高速なため、フレームは破棄されます。
アンダーフロー:セグメンテーション側が再構成側よりも低速なため、フレームが繰り返されます。
Cyclic Redundancy Check(CRC; 巡回冗長検査)または他のエラーについて、すべての ATM リンクをチェックします。show controller atm コマンドおよび show interface コマンドを使用します。
すべての ATM および CES の装置のクロッキングをチェックします。適応クロッキングを試行して、問題が消滅するかどうかを確認します。
サービス プロバイダーが提供する元のクロック ソースに問題がある場合、ATM ネットワークによりクロックが劣化した場合、またはネットワーク全体のクロック分配の設定に誤りがある場合には、基準クロックの品質が低下します。
適応クロッキングを試行します。その結果、(SRTS および同期のクロッキングではまだ問題が発生していたとしても)問題が解決した場合は、疑いが正しかったということになります。
PA-A2 上の ATM インターフェイスは、デフォルトで、ネットワーク派生クロッキングも ATM アップリンク ポート上で使用します。デフォルトのクロック ソースは ATM 内部クロック で、これはネットワーク派生クロッキングと同じです。ネットワーク派生とは、 show network-clock コマンドの出力結果に示されているように、最高の優先順位のアクティブなクロック ソースを使用するという意味です。
no atm clock internal コマンドを使用して、回線に送信クロックを設定します。この構成は、ループ タイム送信クロック ソースと同じで、同じインターフェイスで受信したクロック ソースから送信クロック ソースが取得されています。