このドキュメントでは、ケーブル ネットワークの問題の原因が、ケーブル ルータと無線周波数(RF)プラントのどちらにあるかを判断するためのトラブルシューティング手順について説明します。RF プラントに関する問題の大部分は、低いアップストリーム信号対雑音比(SNR)レベルで診断されるため、この値の検査に重点を置きます。このドキュメントでは、まず最初に、従わなければならない簡単なルールと、アップストリーム SNR レベルを計算する方法について説明します。次に、ダウンストリーム チャネルとアップストリーム チャネルを確認するために発行する、主な設定パラメータとコマンドについて説明します。そして最後に、RF 問題を詳しく診断するための show cable flap-list コマンドについて説明します。
RF プラントのトラブルシューティングにスペクトル アナライザを使用する方法についての説明は、この文書の範囲外です。SNR レベルや他の分析により、RF プラントの問題が指摘され、さらにスペクトル アナライザを使用してこのエリアをトラブルシューティングする場合は、「Cisco uBR7200 シリーズ ルータとケーブル ヘッドエンドの接続」を参照してください。
uBR7100、uBR7200、uBR10000 の各モデル、および異なるケーブル Cisco IOS® のソフトウェア バージョンを使用する NPE カードのトラブルシューティングでは、RF に関する問題であるかどうかにかかわらず、同じ方法に従ってください。唯一の違いは、いくつかのコマンド構文の違いと処理能力、および uBR7100 には内蔵アップコンバータがあることだけです。
この文書を読むには、次の知識が必要です。
データオーバーケーブル サービス インターフェイス仕様(DOCSIS)プロトコル
RF テクノロジ
Cisco IOS ソフトウェア コマンドライン インターフェイス(CLI)
このドキュメントの情報は、次のソフトウェアとハードウェアのバージョンに基づくものです。
Cisco uBR7246 VXR(NPE300)プロセッサ(リビジョン C)
Cisco IOS ソフトウェア(UBR7200-K1P-M)、バージョン 12.1(9)EC
CVA122 Cisco IOS ソフトウェア 12.2(2)XA
ドキュメント表記の詳細は、「シスコ テクニカル ティップスの表記法」を参照してください。
RF プラントは MAC のレイヤ 2 (L2)に相当すると考えることができます。通常、RF プラントの問題がある場合は L2 接続が確立されません。show cable modemコマンドの出力に、オンライン状態がinit(rc)ステータスを超えて進んでいることが示されている場合は、L2接続が確立されており、通常はRFの問題を示していません。ただし、ケーブル モデムが init(rc) を通過し、init(i) も通過した場合でも、RF に関する問題がある場合があります。このとき、より狭いアップストリーム チャネルを使用すると、その問題が RF に関連していることを証明できる場合があります。cable upstream 0 channel-width xxx コマンドに関する資料を参照してください。
実稼動ネットワークを設置する前に、RF プラントの特性などが分かっているラボなどの管理された環境で、ケーブル ルータの設定を必ず確認してください。そうすれば、実稼動ネットワークを設置する際にはルータ設定の特性が判明しており、問題の原因を切り分けられます。このためには、適切な RF の設計が必須です。実稼働環境にケーブル ネットワークを設置する前に、「Cisco uBR7200 シリーズ ルータとケーブル ヘッドエンドの接続」および「RF 仕様」を参照してください。
ダウンストリーム方向はブロードキャスト ドメインです。問題が多数のケーブル モデム(またはすべてのケーブル モデム)に影響を与える場合、問題はダウンストリーム プラントである可能性が高いと言えます。
アップストリーム方向は各ケーブル モデムの個々の回線に基づきます。ほとんどのケーブル ネットワークの問題は、アップストリーム方向で生じます。個々のケーブル モデムまたは小規模なケーブル モデムのグループに影響を与える問題が、アップストリーム方向で生じる可能性があります。しかし、不安定な接続、ダウンストリームの入力、およびドロップの問題は、個々のケーブルモデムへのダウンストリーム信号に影響を与えます。さらに、個々のダウンストリーム レーザー、光リンク、ノード、またはノードを越えての同軸ケーブルプラントに関する問題が、少数のモデムに影響を与えることもあります。
アップストリームのケーブル モデムに関する問題の多くは、SNR レベルが低いことが原因です。これは、Broadcom チップセット内の一部の仮定に基づいて算出される値です。このチップは、バースト復調器用の Broadcom 製 3037 A3 チップです。市場の各DOCSISケーブルモデム終端システム(CMTS)はこの半導体素子を使用しており、このアルゴリズムや設定はハードウェアを変更しない限りは変えることができません。
Broadcom 3137 アップストリーム レシーバ チップは、CMTS によってレポートされる SNR 推定値を提供しますが、これは、スペクトル アナライザで測定する搬送波対雑音比(CNR)と同じではありません。加法性白色ガウス雑音(AWGN)が唯一の障害であるラボ環境などの環境では、CMTS でレポートされる SNR とスペクトル アナライザで測定される CNR の間に、ある程度の数値的な相関があります。Broadcom によれば、CNR が 15 から 25 dB の範囲である場合、レポートされる SNR は一般的に、測定された CNR の 2 dB 以内です。CNRが非常に低いか非常に高い場合(つまり、15 ~ 25 dBの範囲を超える場合)、CMTSで報告されるSNRと測定されるCNRの間の数値差が増加します。
これらの事実を踏まえると、Broadcom の SNR 値は、実際には変調誤差比(MER)により似ていることを理解することが重要です。 したがって、レポートされる SNR 値は、アップストリーム CNR、アップストリーム側歪み、チャネル内の振幅傾斜またはリプル(周波数応答の問題)、グループ遅延、微小反射、ケーブル モデムのアップストリーム トランスミッタの位相ノイズなどが含まれるため、CNR より小さくなります。これらの障害の多くは、スペクトル アナライザで CNR を測定した場合は明らかでないため、ケーブル ネットワークの CNR が正常であっても SNR の値が悪い場合があります。
しかし、インパルス ノイズ(または SNR では示されない同様の障害)が本当の原因である場合には、Broadcom のチップの SNR の予測値は見かけ上通常の運用を示すこともあることに注意してください。show controller cable-modem x/xコマンドとshow cable modem verboseコマンドは、アップストリームSNR値を計算するuBR72xxラインカード上のBroadcom 3137チップに問い合わせます。SNR は実際には検出後のベースバンドの測定値であるため、CNR はより適切な用語であると言えます。
uBR7200 や uBR10000 がある場合、使用する外部アップコンバータの設定が正しく行われている必要があります。General Instruments, Inc.(GI)のアップコンバータは、National Television Systems Committee(NTSC)の表に従って、中心周波数よりも 1.75 MHz 低く設定されていることに注意してください。この理由については、『ケーブルの無線周波数(RF)に関する FAQ』を参照してください。
メディア カード(MC)が異なると、ダウンストリーム ポートの出力パワーも異なります。したがって、一部のカードではパディング(外部減衰)を追加する必要があります。使用しているラインカードに応じて、追加するパディング量が仕様に従っていることを確認してください。MC11 カードと MC16B カードの出力パワーは 32 dBmV で、パディングの必要はありません。しかし、他の MCxx カードの出力パワーはすべて 42 dBmV であるため、10 dB のパディングが必要です。
SNR の予測プロセスでは、修正不能な forward error correction(FEC; 転送エラー修正)エラーのないパケットだけを使用し、受信したシンボル 10,000 個の平均値を導き出します。パケットが損傷を受けた場合はカウントしないため、アップストリーム SNR の予測値は不自然に高くなる場合があります。アップストリーム SNR の予測には、実際のバースト雑音(CATV アップストリーム ネットワークで一般的に見られる、インパルスや断続的なノイズ)は考慮されません。 Broadcom チップのアップストリーム SNR の予測値と、スペクトル アナライザで測定される値を比較すると、大きな違いが現れることがよくあります。Broadcom チップのアップストリーム SNR の予測プロセスは、25 dB から 32 dB の範囲で最も信頼性が高くなります。アップストリーム SNR の予測値が 35 dB 以上になった場合は、結果が信頼できないと判断し、スペクトラム アナライザを使用して、実際のアップストリーム CNR 測定値をとります。
10,000 シンボルを収集する最適な時間は、3.2 MHz または 1.6 MHz のチャネル幅の場合、使用率 100 % のアップストリームで 10 ~ 20 ミリ秒です。このトラフィック量が渡されているのと同時に、アップストリーム SNR が低いことはあまりありません。アップストリームの SNR が低いほど、通過するトラフィックがより劣化します。この劣化により、Broadcom チップで 10,000 シンボルを収集するのにかかる時間が長くなり、結果として得られるアップストリームの SNR 予測値は不正確になります。アップストリームの SNR 予測値が 25 dB よりも低くなった場合、その値には信頼性がないということを考慮してください。アップストリームの SNR レベルがこのように低くなると、システムにエラーが多発し、トラフィックは著しく低下します。多くのフラップ リスト エントリと、サービス ID(SID)の接続数低下が予期されます。show cable hop コマンドの出力は、多数の FEC の修正可能および修正不能なエラーを示します。
上記の制限を説明した後で、アップストリームのSNRレベルが25 ~ 32 dBである場合(show controller cable-modem x/xコマンドで示すように)、SNRが25 ~ 32 dBの範囲を超えて変動しているかどうかを調確認します。
SNR の予測値は、確実に CNR 未満である必要があります。これは、Broadcom の SNR の予測値にはアップストリーム CNR の効果に加え、微小反射、グループ遅延、振幅リプル(チャネル内の周波数応答)、データ コリジョンなどのケーブル ネットワークの障害も含まれるためです。これらの障害すべてを考慮すると、こうした累積的な効果のため、Broadcom の SNR の予測値は、スペクトル アナライザで測定した CNR より低い値になります。
次の表示コマンドは CMTS で使用され、RF 問題の診断に役立ちます。
次の表示 コマンドはケーブル モデムで使用され、RF 問題の診断に役立ちます。
詳細については、「表示コマンドの応答について」を参照してください。
show controllers cable slot/port downstreamコマンドとshow controllers cable slot/port upstreamコマンドを発行すると、疑わしいRF問題を診断する際に、CMTS上のケーブルカードのL2ステータスを表示できます。周波数設定とアップストリーム SNR を確認するには、次のコマンドを実行します。SNR 値が急速に変化しているかどうかを見るには、show controllers cable slot/port upstream コマンドを数回発行する必要があります。アップストリームの SNR 値が正常な場合でも、急速に変動している場合は RF 問題を示唆しています。
RF プラント内のノイズを確認するには、show interface cable slot/port upstream n コマンドを発行します。修正不能なエラー、ノイズ、および微小反射のカウンタ数値が高く、急速に増加している場合は、一般的には RF プラント内にノイズが存在することを示唆しています。ケーブルモデムへのL2接続を確認するためにping docsisコマンドを発行することもできます。
以下の検査には、上記で説明したコマンドを発行します。
設定パラメータ
使用されているダウンストリームおよびアップストリームの周波数
dB の単位でのノイズの測定。この値が許容範囲内で正しいことを確認してください。次のノイズの制限の表を参照してください。
注:*nは、表の下に追加情報があることを示します。
アップストリームの仕様 | DOCSIS 仕様*1 | 最小設定*2 |
システム/チャネル | ||
周波数の範囲 | 5 ~ 42MHz(北米)、5 ~ 65MHz(ヨーロッパ) | 5 ~ 42MHz(北米)、5 ~ 65MHz(ヨーロッパ) |
最も遠いケーブル モデムから最も近いケーブル モデムまたは CMTS までの伝送遅延 | < 0.800 マイクロ秒 | < 0.800 マイクロ秒 |
CNR | 25 dB | 25 dB |
搬送波対受信電力比 | > 25 dB | > 25 dB |
搬送波対干渉比 | > 25 dB(QPSK)*3、4 > 25 dB(16 QAM)*4、5 | > 21 dB(QPSK)*3、4 > 24 dB(16 QAM)*4、5 |
搬送波ハム変調 | < -23 dBc*6 (7%) | < -23 dBc(7%) |
バースト雑音 | ほとんどの場合、1 kHz の平均レートで 10 マイクロ秒以下 | ほとんどの場合、1 kHz の平均レートで 10 マイクロ秒以下 |
振幅リプル | 0.5 dB/MHz | 0.5 dB/MHz |
グループ遅延リプル | 200 ns/MHz | 200 ns/MHz |
微小反射(シングル エコー) | -10 dBc @ < 0.5 マイクロ秒 -20 dBc @ < 1.0 マイクロ秒 30 dBc @ 1.0 マイクロ秒 | -10 dBc @ < 0.5 マイクロ秒 -20 dBc @ < 1.0 マイクロ秒 30 dBc @ 1.0 マイクロ秒 |
季節間/日次の信号レベル変動 | 最小値と最大値の差が 8 dB 以下。 | 最小値と最大値の差が 8 dB 以下。 |
デジタル信号レベル | ||
ケーブル モデムから(アップストリーム) | +58 dBmV(QPSK) +8 ~ +55 dBmV (16 QAM) | +58 dBmV(QPSK) +8 ~ +55 dBmV (16 QAM) |
モデム カードへの入力振幅(アップストリーム) | -16 ~ +26 dBmV(シンボル レートによる) | -16 ~ +26 dBmV(シンボル レートによる) |
隣接ビデオ信号相対信号 | -6 ~ -10 dBc | -6 ~ -10 dBc |
ダウンストリームの仕様 | DOCSIS 仕様*1 | 最小設定*2 |
システム/チャネル | ||
RF チャネル スペーシング(帯域幅) | 6 MHz | 6 MHz |
伝送遅延 | 0.800 マイクロ秒 | 0.800 マイクロ秒 |
CNR | 35 dB | 35 dB |
全電力の搬送波対干渉波比(離散的かつ広帯域の入力信号) | 35 dB以上 | 35 dB以上 |
複合トリプル ビート ディストーション | < -50 dBc *6 | < -50 dBc |
二次搬送波 | < -50 dBc | < -50 dBc |
混変調レベル | < -40 dBc | < -40 dBc |
振幅リプル | 6 MHz で 0.5 dB | 6 MHz で 0.5 dB |
グループ遅延 | 6 MHz で 75 ns | 6 MHz で 75 ns |
主要なエコー方向への微小反射 | -10 dBc @ < 0.5 マイクロ秒 -15 dBc @ < 1.0 マイクロ秒 -20 dBc @ < 1.5 マイクロ秒 -30 dBc @ >1.5 マイクロ秒 | -10 dBc @ < 0.5 マイクロ秒 -15 dBc @ < 1.0 マイクロ秒 -20 dBc @ < 1.5 マイクロ秒 -30 dBc @ >1.5 マイクロ秒 |
搬送波ハム変調 | < -26 dBc(5%) | < -26 dBc(5%) |
バースト雑音 | 10 kHz の平均レートで 25 マイクロ秒未満 | 10 kHz の平均レートで 25 マイクロ秒未満 |
季節間/日次の信号レベル変動 | 8 dB | 8 dB |
信号レベルのスロープ(50 〜 750 MHz) | 16 dB | 16 dB |
ケーブル モデム入力での最大アナログ ビデオ キャリア レベル(上記の信号レベル変動を含む) | +17 dBmV | +17 dBmV |
ケーブル モデム入力での最低アナログ ビデオ キャリア レベル(上記の信号レベル変動を含む) | -5 dBmV | -5 dBmV |
デジタル信号レベル | ||
ケーブル モデムへの入力(レベルの範囲、1 チャネル) | -15 ~ +15 dBmV | -15 ~ +15 dBmV |
隣接ビデオ信号相対信号 | -6 ~ -10 dBc | -6 ~ -10 dBc |
*1 — DOCSIS の仕様は、 DOCSIS 準拠の双方向 Data-Over-Cable システムの基準となる設定です。
*2 — 最小設定は、システムの経年変化や温度の点で、DOCSIS 設定とはわずかに異なります。これらの設定を使用すると、DOCSIS 準拠の双方向 Data-Over-Cable システムの信頼性が向上します。
*3— QPSK = 位相偏移変調:2 つのデジタル ビットをコードするのに 4 つの位相状態を使用して、デジタル信号を無線周波数キャリア信号に変調する方式。
*4 — これらの設定は、デジタル キャリアに関連して測定されます。会社のポリシー、ケーブル ネットワークの初期設定などに基づいて、アナログ ビデオ信号との関係で 6 ~ 10 dB を追加します。
*5 — QAM = 直交振幅変調:振幅と位相コードにより、デジタル信号を無線周波数キャリア信号に変調する方法。
*6— dBc = キャリアに関連したデシベルを表します。
注:ヨーロッパ標準の完全な仕様については、「RF仕様」を参照してください。
ダウンストリーム インターフェイスを検査するときには、まず設定が正しいことを確認します。CMTS のダウンストリーム ケーブル インターフェイスを設定する際には、ほとんどの場合、デフォルトの値で十分です。システムのデフォルト設定を変更しない限り、個々のパラメータを指定する必要はありません。ダウンストリーム側の設定パラメータと、CMTS およびケーブル モデムの表示コマンドの出力で示される対応する値を照合するには、次の出力を使用してください。
interface Cable6/1 ip address 192.168.161.1 255.255.255.0 secondary ip address 10.1.61.1 255.255.255.0 no keepalive cable insertion-interval 100 cable downstream annex B cable downstream modulation 64qam cable downstream interleave-depth 32 cable downstream frequency 405000000 cable upstream 0 frequency 20000000 cable upstream 0 power-level 0 cable upstream 0 channel-width 3200000 no cable upstream 0 shutdown cable upstream 1 shutdown cable upstream 2 shutdown cable upstream 3 shutdown VXR# show controller cable 6/1 downstream Cable6/1 Downstream is up Frequency 405.0000 MHz, Channel Width 6 MHz, 64-QAM, Symbol Rate 5.056941 Msps FEC ITU-T J.83 Annex B, R/S Interleave I=32, J=4 Downstream channel ID: 3 VXR#
物理的な CMTS ケーブル接続が緩んだり、外れたりしていないことを確認し、さらにケーブル モデム カードがシャーシのスロットに取り付けネジでしっかりと装着されていることを確認します。また、チェックの対象となるダウンストリーム インターフェイスに対して、正確なスロットとポートの番号が入力されていることもチェックします。
CMTSのダウンストリーム中心周波数の入力は、uBR7200およびuBR10000に対してのみ表面的です。uBR7100には内蔵アップコンバータがあります。設定方法については、「内蔵アップコンバータの設定」を参照してください。
チェック対象となるダウンストリーム インターフェイスに対して shut コマンド または no shut コマンドを入力すると、ケーブル モデムがダウンストリーム信号のみを検出し、アップストリーム信号を検出しないという問題が解決する場合があります。
重要:数百台のケーブル モデムがある実稼働環境のダウンストリーム インターフェイスで shut または no shut コマンドを実行すると、オンラインに戻るのに長い時間がかかる可能性があります。ただし、新しいケーブルを設置する場合などの非実稼働環境ではこれらのコマンドを実行しても安全です。
ダウンストリームの SNR は、ケーブル モデムに送られる信号を担っているアップコンバータへの入力を行っている CMTS ではなく、SNR を受信しているケーブル モデムでチェックする必要があります。ケーブル モデムでの測定では、次のような問題が生じる場合があります。
ケーブルの設置ではたいていの場合、シスコのケーブル モデムは使用しない。使用する場合でも、ケーブル モデムのコンソール ポートがデフォルトでロックされている。
受信された SNR 値を測定するために、ケーブル モデムへの Telnet 接続を行う必要がある。Telnet への IP 接続がない場合、Cisco ケーブル モデムがインストールされているカスタマー サイトに手動で移動する必要がある。その場合は、コンソール ポートを使用して接続できます。コンソール ポートにアクセスを許可する設定が、ケーブル モデムに行われていることを確認してください。
ケーブル モデムで show controllers cable-modem 0 | include snrコマンドを使用して、ケーブルモデムで受信されたダウンストリームのSNR値を確認します。受信された SNR のレベルが許容範囲である 64 QAM で 30 dB よりも大きく、256 QAM で 35 dB よりも大きいことを確認します。
Router# show controller cable-modem 0 | include snr snr_estimate 336(TenthdB), ber_estimate 0, lock_threshold 23000 Router#
注:これは、ケーブルモデムでのダウンストリーム受信SNRが33.6 dBであることを示しています。許容レベルは、64 QAM で 30 dB よりも大きく、256 QAM で 35 dB よりも大きい値です。
Annex B は、北米向けの DOCSIS MPEG フレーミング形式の標準です。Annex A はヨーロッパ標準で、EuroDOCSIS Annex A の運用をサポートする Cisco MC16E ケーブル モデム カードとシスコ CMTS イメージを使用している場合にのみサポートされます。Annex A または Annex B のフレーミング形式は、シスコのケーブル モデム カードの設定時に自動的に設定されます。ネットワークのケーブル モデム カードのダウンストリーム ポートと、ネットワークで接続された顧客宅内機器(CPE)は、同じ MPEG フレーミング形式に設定され、必要に応じて適切な DOCSIS または EuroDOCSIS 操作がサポートされている必要があります。
加入者のケーブル モデムで、256 QAM のダウンストリーム変調方式の設定には、64 QAM の設定よりも 6 dB 高い CNR(搬送波対雑音比)が必要です。ネットワークの能力が 256 QAM に対して余裕がないか、信頼性が高くない場合は、代わりに 64 QAM の形式を使用してください。
ケーブル モデムがオフラインの場合、最初に調べることの 1 つは RF プラントです。詳細については、『トラブルシューティング:uBR ケーブル モデムがオンラインにならない』の「オフライン状態」および「範囲設定プロセス」のトラブルシューティングの各項を参照してください。
アップストリーム側では、SNR レベルが低いことで、多くの RF 問題の兆候が発生します。アップストリーム側のインパルス ノイズは、ビット エラー レート(BER)の性能を劣化させる主要な原因であることに注意してください。Broadcom の SNR 予測値は、通常はインパルス ノイズの存在を示しません。
このセクションの後半では、アップストリームの SNR レベルのチェック方法について説明します。
最初に、アップストリーム インターフェイスを検査し、設定が正しいことを確認します。CMTS のアップストリーム ケーブル インターフェイスを設定する際には、ほとんどの場合、デフォルトの値で十分です。システムのデフォルト設定を変更しない限り、個々のパラメータを指定する必要はありません。アップストリーム側の設定パラメータと、CMTS での表示コマンドの出力の対応する値を照合するには、次の図を使用してください。
interface Cable6/1 ip address 192.168.161.1 255.255.255.0 secondary ip address 10.1.61.1 255.255.255.0 no keepalive cable insertion-interval 100 cable downstream annex B cable downstream modulation 64qam cable downstream interleave-depth 32 cable downstream frequency 405000000 cable upstream 0 frequency 20000000 cable upstream 0 power-level 0 cable upstream 0 channel-width 3200000 no cable upstream 0 shutdown cable upstream 1 shutdown cable upstream 2 shutdown cable upstream 3 shutdown VXR# show controller cable 6/1 upstream 0 Cable6/1 Upstream 0 is up Frequency 19.984 MHz, Channel Width 3.200 MHz, QPSK Symbol Rate 2.560 Msps Spectrum Group is overridden SNR 35.1180 dB Nominal Input Power Level 0 dBmV, Tx Timing Offset 2738 Ranging Backoff automatic (Start 0, End 3) Ranging Insertion Interval 100 ms TX Backoff Start 0, TX Backoff End 4 Modulation Profile Group 1 Concatenation is enabled part_id=0x3137, rev_id=0x03, rev2_id=0xFF nb_agc_thr=0x0000, NB_agc_nom=0x0000 Range Load Reg Size=0x58 Request Load Reg Size=0x0E Minislot Size in number of Timebase Ticks is = 8 Minislot Size in Symbols = 128 Bandwidth Requests = 0x335 Piggyback Requests = 0xA Invalid BW Requests= 0x0 Minislots Requested= 0xA52 Minislots Granted = 0xA52 Minislot Size in Bytes = 32 Map Advance (Dynamic) : 2447 usecs UCD Count = 46476 DES Ctrl Reg#0 = C000C043, Reg#1 = 0 VXR#
物理的な CMTS ケーブル接続が緩んだり、外れたりしていないことを確認し、さらにケーブル モデム カードがシャーシのスロットに取り付けネジでしっかりと装着されていることを確認します。また、チェックの対象となるアップストリーム インターフェイスに対して、正確なスロットとポートの番号が入力されていることも確認します。
Cisco ケーブル モデムのアップストリーム チャネルがデフォルトでシャット ダウンされるため、アクティブにするためには no shut コマンドを実行しなければならないことに注意してください。
注意:show controllers cable コマンドの出力に表示されるアップストリーム周波数は、アップストリーム周波数の設定時に入力した周波数と一致しない場合があります。シスコの CMTS では、よりよい性能を提供するために、入力した周波数に近いアップストリーム周波数を選択する場合があります。MC16C でアップストリーム周波数の最小ステップ サイズは、32 kHz です。シスコの CMTS では、使用可能な最も近い周波数を選択します。詳細については、cable upstream 0 frequency コマンドの説明を参照してください。
注:一部のケーブルシステムでは、許容帯域エッジ付近で周波数を確実に伝送できません。アップストリーム チャネルが広くなるほど(MHz 単位)、この転送がより困難になることがあります。問題が発生した場合は、20 ~ 38 MHz の中心周波数を入力してください。Cisco CMTS は、この範囲内からアップストリーム周波数を使用するようにケーブル モデムに示します。正しいアップストリーム周波数の設定は、RF ネットワークの設計において、最も重要な作業です。アップストリームは 5 ~ 42 MHz の範囲で実行されます。20MHz 未満では、一般的に大量の干渉が発生します。実稼働中のネットワークでアップストリームを設定することは、RF の最大の課題です。
注:シンボルレートが高いほど、RFノイズや干渉の影響を受けやすくなります。光ファイバ/同軸ハイブリッド(HFC)ネットワークの能力以上のシンボル レートや変調方式を使用していると、パケット損失が発生したり、ケーブル モデムの接続性が低下することがあります。下の図では、より複雑な変調方式で同じ BER を維持するには、より高い CNR が必要なことが分かります。
ウォーターフォール曲線。同じ BER を維持するには、変調方式が複雑になるほど、高い CNR が必要になります。
CMTS でのアップストリーム側の入力パワーレベルは、通常は 0 dBmV です。この電力レベルを上げることで、RF プラントでのノイズに対処することができます。アップストリーム側の入力パワー レベルが上げられると、HFC ネットワークのケーブル モデムでもアップストリーム側の送信パワー レベルが上がります。これにより CNR が高くなり、RF プラントでのノイズより高くなります。これに関しては、cable upstream port power-level dbmv コマンドの説明を参照してください。入力パワーレベルの調整は、30 秒の間隔で 5 dB 以内に収めてください。パワーレベルを 30 秒以内に 5 dB 以上上げると、ネットワークでのケーブル モデムのサービスが中断されます。パワーレベルを 30 秒以内に 5 dB 以上下げると、ネットワークでのケーブル モデムが強制的にオフラインにされます。
測定の際の微小な差異や、設定およびポート間のカリブレーションの差異を調整するには、ソフトウェアによる 1 ~ 3 dB の調整も使用できます。このような調整により、ケーブル モデムの性能が著しく向上します。特に、境界に近い状態にあった場合には顕著です。大きな調整は、ヘッドエンドやディストリビューション ハブで、スペクトル アナライザを使って行う必要があります。
このドキュメントで前述したように、多くの RF 問題はアップストリームの SNR レベルの低さにより示されます。アップストリームの SNR レベルが低い場合は、アップストリームで狭いチャネル幅(cable upstream 0 channel-width xxx)を使用してみてください。たとえば、3.2 Mhz ではなく、200 khz を使用します。アップストリームの SNR レベルが上がると、ノイズの問題が発生します。
次に示すように、特定のケーブル インターフェイスでアップストリームの SNR レベルを確認するには、show controllers cable slot/port upstream channel コマンドを実行します。
VXR# show controllers cable 6/1 upstream 0 Cable6/1 Upstream 0 is up Frequency 19.984 MHz, Channel Width 3.200 MHz, QPSK Symbol Rate 2.560 Msps Spectrum Group is overridden SNR 35.1180 dB !-- Note: Check the upstream SNR level for an interface here. Nominal Input Power Level 0 dBmV, TX Timing Offset 2738 Ranging Backoff automatic (Start 0, End 3) Ranging Insertion Interval 100 ms TX Backoff Start 0, TX Backoff End 4 Modulation Profile Group 1 Concatenation is enabled part_id=0x3137, rev_id=0x03, rev2_id=0xFF NB_agc_thr=0x0000, NB_agc_nom=0x0000 Range Load Reg Size=0x58 Request Load Reg Size=0x0E Minislot Size in number of Timebase Ticks is = 8 Minislot Size in Symbols = 128 Bandwidth Requests = 0x335 Piggyback Requests = 0xA Invalid BW Requests= 0x0 Minislots Requested= 0xA52 Minislots Granted = 0xA52 Minislot Size in Bytes = 32 Map Advance (Dynamic) : 2447 usecs UCD Count = 46476 DES Ctrl Reg#0 = C000C043, Reg#1 = 0 VXR#
個々のケーブル モデムの SNR の予測値を調べるには、show cable modem detail コマンドを実行します。(SID、MAC アドレス、Max CPE などの詳細については、下の表を参照してください。)
VXR# show cable modem detail Interface SID MAC address Max CPE Concatenation Rx SNR Cable6/1/U0 1 0001.64ff.e47d 1 yes 33.611 Cable6/1/U0 2 0001.9659.47bf 1 yes 31.21 Cable6/1/U0 3 0004.27ca.0e9b 1 yes 31.14 Cable6/1/U0 4 0020.4086.2704 1 yes 32.88 Cable6/1/U0 5 0002.fdfa.0a63 1 yes 33.61
SID | サービス ID |
MAC Address | ケーブル モデムのケーブル インターフェイスの MAC アドレス |
最大 CPE | ケーブル モデムに対して同時にアクティブになるホストの最大数 |
連結 | 連結とは複数のアップストリーム パケットを 1 つのパケットに結合することで、パケットのオーバーヘッドと全体の遅延を減らし、伝送効率を向上させます。連結を使用すると、DOCSIS に準拠したケーブル モデムでは、複数のパケットに対して帯域幅を 1 つだけ要求します。個々のパケットに別々の帯域幅を割り当てることはしません。連結は、1 台のケーブルモデムが複数の音声コールを持ち、それぞれが同じデータ レートで実行され、音声アクティビティ検出(VAD)パケット抑制を使用していない場合に限り、有効です。 注:連結は、Voice over IP(VoIP)が正しく設定されていない場合に問題になることがあります。 |
Rx SNR | CMTS で受信したアップストリームの SNR レベル。CMTS でケーブル モデムからの SNMP 読み込みが設定されていない場合、CMTS からはゼロが返されます。SNR は、ベースバンド信号とスペクトルの一部の雑音との振幅の差です。実際の使用では、信頼性の高い運用のためには 6dB 以上のマージンが必要です。 |
RF プラント内のノイズを確認するには、show interface cable slot/port upstream n コマンドを次のように実行します。修正不能なエラー、ノイズ、および微小反射のカウンタ数値が高く、急速に増加している場合は、一般的には RF プラントにノイズが存在することを示唆しています(この出力の詳細については、次の表を参照してください)。
VXR# show interface cable 6/1 upstream 0 Cable6/1: Upstream 0 is up Received 22 broadcasts, 0 multicasts, 247822 unicasts 0 discards, 1 errors, 0 unknown protocol 247844 packets input, 1 uncorrectable 0 noise, 0 microreflections Total Modems On This Upstream Channel : 1 (1 active) Default MAC scheduler Queue[Rng Polls] 0/64, fifo queueing, 0 drops Queue[Cont Mslots] 0/52, FIFO queueing, 0 drops Queue[CIR Grants] 0/64, fair queueing, 0 drops Queue[BE Grants] 0/64, fair queueing, 0 drops Queue[Grant Shpr] 0/64, calendar queueing, 0 drops Reserved slot table currently has 0 CBR entries Req IEs 360815362, Req/Data IEs 0 Init Mtn IEs 3060187, Stn Mtn IEs 244636 Long Grant IEs 7, Short Grant IEs 1609 Avg upstream channel utilization : 0% Avg percent contention slots : 95% Avg percent initial ranging slots : 2% Avg percent minislots lost on late MAPs : 0% Total channel bw reserved 0 bps CIR admission control not enforced Admission requests rejected 0 Current minislot count : 40084 Flag: 0 Scheduled minislot count : 54974 Flag: 0 VXR#
Received broadcasts | このアップストリーム インターフェイスを介して受信したブロードキャスト パケット |
Multicasts | このアップストリーム インターフェイスを介して受信したマルチキャスト パケット |
Unicasts | このインターフェイスを介して受信したユニキャスト パケット |
Discards | このインターフェイスで廃棄されたパケット |
Errors | パケットのアップストリーム伝送を妨げたエラーの総数 |
[不明(Unknown)] | Cisco uBR7246 に未知のプロトコルを使用して生成された、受信パケット。 |
Packets input | アップストリーム インターフェイスを介してエラーなしで受信されたパケット。 |
Corrected | アップストリーム インターフェイスを介して受信されたエラー パケットで、修正されたもの。 |
Uncorrectable | アップストリーム インターフェイスを介して受信されたエラー パケットで、修正できなかったもの。 |
Noise | 回線ノイズによって破損したアップストリーム パケット。 |
マイクロリフレクション | 微小反射によって破損したアップストリーム パケット。 |
Total Modems On This Upstream Channel | 現在このアップストリーム チャネルを共有しているケーブル モデムの数。このフィールドは、このうちのアクティブなモデムの数も示しています。 |
Rng Polls | レンジング ポールの数を示す MAC スケジューラ キュー。 |
Cont Mslots | MAPS 内の強制コンテンション要求スロットの数を示す MAC スケジューラ キュー。 |
CIR Grants | 保留中の認定情報レート(CIR)のグラントの数を示す MAC スケジューラ キュー。 |
BE Grants | 保留中のベストエフォート型のグラントの数を示す MAC スケジューラ キュー。 |
Grant Shpr | トラフィック シェーピング用にバッファされたグラントの数を示す MAC スケジューラ キュー。 |
Reserved slot table | コマンドが実行されたときに、MAC スケジューラは予約スロット テーブルの 2 つの CBR スロットを許可しました。 |
Req IEs | MAPS で送信された要求の情報要素(IE)の実行中カウンタ。 |
Req/Data lEs | MAPS で送信された要求またはデータ IE のカウンタ。 |
Init Mtn IEs | 初期メンテナンス IE のカウンタ。 |
Stn Mtn IES | ステーション メンテナンス(レンジング ポール)の IE の数。 |
Long Grant lEs | ロング グラント IE の数。 |
ShortGrmg lEs | ショート グラント IE の数。 |
Avg upstream channel utilization | アップストリーム チャネルの帯域幅の平均使用率。 |
Avg percent contention slots | コンテンション メカニズムを使用して、モデムが帯域幅を要求するために使用できるスロットの平均的な使用可能率。同時に、ネットワーク上での使用されていない容量の合計も示します。 |
Avg percent initial ranging slots | 初期のレンジング状態でのスロットの平均的な割合 |
Avg percent minislots lost on late Maps | MAP 割り込みが遅すぎるために失われたスロットの平均的な割合 |
Total channel bw reserved | このアップストリーム チャネルを共有する帯域予約が必要なすべてのモデムによって予約された帯域幅の合計。これらのモデムに対するサービス クラス(Cos)によって、保証されたアップストリーム レートとしてゼロ以外の値がいくつか指定されます。これらのモデムのいずれかがアップストリームに対して許可された場合、このフィールドの値は保証されたアップストリーム レート値だけ増分されます。 |
注:ノイズと微小反射のカウンタを確認してください。これらの値は非常に低くなければなりません、また通常のケーブル プラントでは、増加はゆっくりである必要があります。これらの値が高く、急速に増加しているのは、RF プラントの問題の典型的な兆候です。
注:修正不能エラーをチェックしてください。これらは、RF プラントでのノイズによる問題の典型的な兆候です。受信されたアップストリームの SNR レベルをチェックしてください。
特定のインターフェイスまたはアップストリーム ポートについて、修正可能および修正不能な FEC エラーの数を調べるには、show cable hop コマンドを実行します。修正不能な FEC エラーの結果として、パケットがドロップされることを考慮してください。修正可能な FEC エラーは、修正不能な FEC エラーの直前に起こるもので、修正不能なエラーがこれから現れることの警告だと考えられます。show cable hop コマンドの出力で得られる情報は、アップストリーム ポートの周波数ホップの状態を示しています。(この出力の詳細については、次の表を参照してください)。
VXR# show cable hop cable 6/1 upstream 0 Upstream Port Poll Missed Min Missed Hop Hop Corr Uncorr Port Status Rate Poll Poll Poll Thres Period FEC FEC (ms) Count Sample Pcnt Pcnt (sec) Errors Errors Cable6/1/U0 20.000 MHz 1000 * * * set to fixed frequency * * * 10 1 VXR#
Upstream Port | この情報の行のアップストリーム ポート。 |
ポートの状態 | ポートのステータスのリスト。周波数が割り当てられていない場合は有効な状態がダウンで、ポートがシャットダウン状態の時は管理上ダウンしていることになります。ポートがアップ状態の時は、このカラムにはこのチャネルの中心周波数が表示されます。 |
Poll Rate | ステーション メンテナンス ポールが生成されたレート(ミリ秒)。 |
Missed Poll Count | 損失したポールの数。 |
Min Poll Sample | サンプルでのポールの数。 |
Missed PollPcnt | ポール数に対する損失ポールの割合。パーセント値で表示。 |
Hop Thres Pcnt | 損失したポールの割合がこのレベルを超えたときに周波数ホップをトリガするレベル。パーセント値で表現。 |
Hop Period | 周波数ホッピングが発生する最大レート(秒)。 |
Corr FEC Errors | このアップストリーム ポートでの修正可能な FEC エラーの数。FEC はノイズを測定します。 |
Uncorr FEC Errors | このアップストリーム ポートでの修正不能な FEC エラーの数。 |
特定のインターフェイスでの修正可能および修正不能な FEC エラーを確認するには、show cable hop コマンドを実行します。これらは低い値である必要があります。修正不能なエラーの数が多いか、あるいは急速に増加しているのは、RF プラント内でのノイズの問題の典型的な兆候です。これにあてはまる場合は、受信したアップストリームの SNR レベルをチェックしてください。
最後に、ping docsisコマンドを発行して、次に示すようにケーブルモデムへのL2接続を確認します。
VXR#ping docsis ? A.B.C.D Modem IP address H.H.H Modem MAC address
注:次に示すように、モデムのIPアドレスまたはMACアドレスにpingを実行するには、このコマンドを発行します。
VXR#ping docsis 10.1.61.3 Queueing 5 MAC-layer station maintenance intervals, timeout is 25 msec: !!!!! Success rate is 100 percent (5/5) VXR#
ケーブル ネットワークでの RF 問題を診断するための CMTS の最も強力なツールは、show cable flap-list コマンドです。CMTS では、ケーブル プラントの問題の所在を突き止めやすくするために、フラッピング ケーブル モデムのデータベースを管理しています。このドキュメントでは、この機能に関する最も重要で実用的な情報に重点を置きます。フラップ リストの機能の詳細については、「Cisco CMTS のフラップ リスト トラブルシューティング」を参照してください。
以下は、show cable flap-list コマンドの出力例です。特定のモデムに対する不安定なリターン パスが検出され、パワー調整が行われた場合には、P-Adj フィールドにアスタリスク マークが表示されることに注意してください。パワー調整を繰り返し、モデムが伝送パワーの最大レベルに達した場合は、感嘆符が表示されます。これらはいずれも RF プラントの問題を示しています。
VXR# show cable flap-list MAC Address Upstream Ins Hit Miss CRC P-Adj Flap Time 0001.64ff.e47d Cable6/1/U0 0 20000 1 0 *30504 30504 Oct 25 08:35:32 0001.9659.47bf Cable6/1/U0 0 30687 3 0 *34350 34350 Oct 25 08:35:34 0004.27ca.0e9b Cable6/1/U0 0 28659 0 0 !2519 2519 Oct 23 16:21:18 0020.4086.2704 Cable6/1/U0 0 28637 4 0 2468 2468 Oct 23 16:20:47 0002.fdfa.0a63 Cable6/1/U0 0 28648 5 0 2453 2453 Oct 23 16:21:20
* | パワー調整が行われたことを意味する。 |
! | ケーブル モデムのパワー レベルが最大に達したことを示す。シスコのケーブル モデムの場合、61 dBmV。 |
フラップ リストはイベント ディテクタです。イベントがカウントされる原因には 3 つの状況があります。次にこれら 3 つの状況を説明します。
再挿入
モデムに登録の問題があり、短時間の間に繰り返し再登録の試行がされた場合、フラップと挿入が表示されることがあります。P-Adj カラムの値が低い場合があります。ケーブル モデムによる 2 回の初期メンテナンス再登録の間の時間が 180 秒未満の場合、フラップと挿入が表示され、フラップ ディテクタがこれをフラップとしてカウントします。(必要であれば、デフォルト値の 180 秒を変更できます。) 再挿入は、ダウンストリームの潜在的な問題を識別するためにも役立ちます。それは、ケーブル モデムへの入力が不適切な場合には、リンクを何度も再確立しようとするからです。
VXR(config)# cable flap-list insertion-time ? <60-86400> Insertion time interval in seconds
ヒット数/ミス数
フラップ ディテクタは、ミスにヒットが続くと、フラップをカウントします。イベントの検出は、「Flap」カラムにのみカウントされます。これらのポールは、30 秒ごとに送出される hello パケットです。ミスの後にミスが続くと、16 秒ごとにポールが送られ、積極的な応答の取得が試みられます。16 秒の前にヒットがくると、フラップがカウントされますが、16 回のポーリングでヒットがないと、初めから初期メンテナンスを開始するためにモデムがオフラインになります。モデムがオンラインに戻った場合、ケーブル モデムがそれ自体を再度アクティブ状態にしたため、「挿入」がカウントされます。6 回連続してミスが起きると、フラップのカウントが増分されます。必要であれば、デフォルト値を変更できます。ミスの回数が多いということは、アップストリームに潜在的な問題がある場合の一般的な兆候です。
VXR(config)# cable flap miss-threshold ? <1-12> missing consecutive polling messages
電力調整
フラップ ディテクタは、パワー調整のアクティビティが発生すると、リストにフラップを表示します。イベントの検出が、P-Adj カラムと Flap カラムにカウントされます。ステーションのメンテナンス ポーリングによって、一定の間隔で、ケーブルモデムの送信の電力、周波数およびタイミングが調整されます。パワー調整が 2 dB を超えると、フラップと P-Adj のカウンタが増分されます。このイベントは、アップストリーム プラントに問題があることを示唆しています。必要であれば、しきい値のデフォルトの 2 dB は変更できます。パワー調整が連続して検出される場合、通常は増幅器に問題があることを示しています。さまざまな増幅器の前後にあるケーブル モデムを確認すると、問題の原因がわかります。
VXR(config)#cable flap power-adjust ? threshold Power adjust threshold