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日本語による情報は、英語による原文の非公式な翻訳であり、英語原文との間で内容の齟齬がある場合には、英語原文が優先します。
概要
この脆弱性は、mDNS パケットの不適切な検証に起因します。攻撃者は、不正なIPバージョン4(IPv4)またはIPバージョン6(IPv6)パケットをUDPポート5353に送信することで、この脆弱性を不正利用する可能性があります。不正利用により、攻撃者はサービス拒否(DoS)状態を引き起こす可能性があります。
シスコはこの脆弱性に対処するソフトウェアアップデートをリリースしています。このアドバイザリは、次のリンクより確認できます。
https://sec.cloudapps.cisco.com/security/center/content/CiscoSecurityAdvisory/cisco-sa-20150325-mdnswo
注: 2015年3月25日のCisco IOSおよびXEソフトウェアセキュリティアドバイザリバンドル公開には7件のCisco Security Advisoryが含まれています。これらのアドバイザリは Cisco IOS ソフトウェアおよび Cisco IOS XE ソフトウェアの脆弱性を扱っています。個々の公開リンクは、次のリンクにある『Cisco Event Response: Semiannual Cisco IOS & XE Software Security Advisory Bundled Publication』に掲載されています。
http://www.cisco.com/web/about/security/intelligence/Cisco_ERP_mar15.html
該当製品
脆弱性のある製品
Cisco IOSデバイスまたはCisco IOS XEデバイスがmDNSパケットを処理するかどうかを判断するには、デバイスにログインして、show ip socket、show udp、またはshow control-plane host open-portsのいずれかのコマンドラインインターフェイス(CLI)コマンドを発行します。出力にUDPポート5353でリッスンしているIPアドレスが示されている場合、そのデバイスには脆弱性が存在します。
次の例は、この脆弱性の影響を受けるCisco IOSデバイスを示しています。ソケットがUDPポート5353で開いているため、デバイスに脆弱性が存在します。
Router#show ip socket Proto Remote Port Local Port In Out Stat TTY OutputIF 17 --listen-- 192.168.0.1 67 0 0 1 0 17 --listen-- 192.168.0.1 68 0 0 1 0 17 --listen-- 224.0.0.251 5353 0 0 1 0 Router# Router#sho udp Proto Remote Port Local Port In Out Stat TTY OutputIF 17 224.0.0.251 5353 --any-- 5353 0 0 1000021 0 17(v6) FF02::FB 5353 --any-- 5353 0 0 1020021 0 Router# Router#sho control-plane host open-ports Active internet connections (servers and established) Prot Local Address Foreign Address Service State tcp *:22 *:0 SSH-Server LISTEN tcp *:23 *:0 Telnet LISTEN udp *:5353 224.0.0.251:0 IOS host service LISTEN Router#
注:Cisco Bug ID CSCum51028の修正前のCisco IOSソフトウェアおよびCisco IOS XEソフトウェアの動作では、デフォルトでmDNS機能が有効になっています。この動作は、Cisco Bug ID CSCum51028に対応して変更され、現在ではデフォルトで無効になっています。管理者がmDNS機能を有効にする場合は、デバイスで手動で設定する必要があります。
Cisco Bug ID CSCum51028の修正が取り込まれたCisco IOSソフトウェアおよびCisco IOS XEソフトウェアリリースでは、service-routing mdns-sd CLIグローバルコンフィギュレーションコマンドを設定して、mDNSゲートウェイ機能を明示的に有効にする必要があります。これらのリリースでは、コマンドservice-routing mdns-sdが設定に含まれている場合、デバイスに脆弱性が存在する可能性があります。
シスコ製品で稼働している Cisco IOS ソフトウェア リリースを確認するには、デバイスにログインして show version コマンドを使って、システム バナーを表示します。システム バナーに「Cisco Internetwork Operating System Software」や「Cisco IOS Software」などのテキストが表示された場合は、デバイスが Cisco IOS ソフトウェアを実行しています。カッコ内にイメージ名が表示され、その後ろに Cisco IOS ソフトウェアのリリース番号とリリース名が続きます。他のシスコ デバイスでは、show version コマンドが存在しなかったり、別の出力が表示されたりします。
次の例は、Cisco IOS ソフトウェア リリースが 15.2(4)M5、インストールされたイメージ名が C3900-UNIVERSALK9-M であるシスコ製品を示しています。
Router> show version
Cisco IOS Software, C3900 Software (C3900-UNIVERSALK9-M), Version 15.2(4)M5, RELEASE SOFTWARE (fc2)
Technical Support: http://www.cisco.com/techsupport
Copyright (c) 1986-2013 by Cisco Systems, Inc.
Compiled Fri 13-Sep-13 16:44 by prod_rel_team!--- output truncated
Cisco IOSソフトウェアのリリース命名規則の追加情報は、『White Paper: Cisco IOS and NX-OS Software Reference Guide』で確認できます。
脆弱性を含んでいないことが確認された製品
他のシスコ製品において、このアドバイザリの影響を受けるものは現在確認されていません。
詳細
Cisco IOSソフトウェアおよびCisco IOS XEソフトウェアのマルチキャストDNS(mDNS)ゲートウェイ機能の脆弱性により、認証されていないリモートの攻撃者が脆弱性のあるデバイスをリロードする可能性があります。
この脆弱性は、mDNS パケットの不適切な検証に起因します。攻撃者は、不正なIPバージョン4(IPv4)またはIPバージョン6(IPv6)パケットをUDPポート5353に送信することで、この脆弱性を不正利用する可能性があります。不正利用により、攻撃者はサービス拒否(DoS)状態を引き起こす可能性があります。
この脆弱性は、IPv4 パケットまたは IPv6 パケットのいずれかを使用して不正利用される可能性があります。この脆弱性は、デバイスに設定された任意のインターフェイスのIPv4またはIPv6ユニキャストアドレス、IPv4マルチキャストアドレス224.0.0.251、またはIPv6マルチキャストアドレスFF02::FBを使用してUDPポート5353に宛てられた不正なパケットによってトリガーされる可能性があります。
この脆弱性は、該当デバイス宛てのトラフィックによってのみトリガーされ、該当デバイスを通過するトラフィックを使用して不正利用されることはありません。
脆弱性のある設定基準を満たすデバイスでは、不正なUDP mDNSパケットによってこの脆弱性が引き起こされる可能性があります。インフラストラクチャの知識を持つ攻撃者は、この脆弱性を不正利用する条件を設定してmDNSパケットを作成する可能性があります。この脆弱性の不正利用に成功すると、該当デバイスのリロードが発生する可能性があります。
この脆弱性は、Cisco Bug ID CSCup70579(登録ユーザ専用)として文書化され、Common Vulnerabilities and Exposures(CVE)IDとしてCVE-2015-0650が割り当てられています。
回避策
Cisco Bug ID CSCum51028に対する修正がないCisco IOSソフトウェアおよびCisco IOS XEソフトウェアリリースでは、現在、ポートを手動で閉じたり、サービスを無効にしたりする方法はありません。
これらのリリースで可能な回避策は、UDPポート5353宛てのトラフィックをブロックするために作成してインターフェイスに適用できる拡張アクセスコントロールリスト(ACL)を設定することです。
この脆弱性のmDNS機能はトランスポートとしてUDPを使用するため、送信元のIPアドレスをスプーフィングする可能性があり、信頼できるIPアドレスからこれらのポートへの通信を許可するACLを無効にする可能性があります。ACLに加えて、管理者はuRPFを有効にする必要があります。これは、転送されるパケットの送信元アドレスの到達可能性を検証するCisco IOSソフトウェアのセキュリティ機能です。これら2つのテクノロジーを組み合わせると、ACL単独よりも強力な回避策が提供されます。
次のACLの例は、UDPポート5353を宛先とするトラフィックからデバイスを保護するために導入されるインターフェイスアクセスリストの一部として含める必要があります。
!--- !--- Deny IPv4 mDNS traffic to a device !--- access-list 150 deny udp any any eq 5353 !--- Permit/deny all other Layer 3 and Layer 4 IPv4 traffic in !--- accordance with existing security policies and !--- configurations. Permit all other traffic to transit the !--- device. access-list 150 permit ip any any !--- !--- Deny IPv6 mDNS traffic to a device !---
ipv6 access-list v6_list deny udp any any eq 5353 !--- Permit/deny all other Layer 3 and Layer 4 IPv6 traffic in !--- accordance with existing security policies and !--- configurations. Permit all other traffic to transit the !--- device. permit ipv6 any any !--- Apply access list to all interfaces (only one example !--- shown) interface fastEthernet 2/0 ip access-group 150 in ipv6 traffic-filter v6_list in
コントロール プレーン ポリシング
コントロールプレーンポリシング(CoPP)を使用して、デバイスへの信頼できないUDPトラフィックをブロックできます。CoPP機能は、Cisco IOSソフトウェアリリース12.0S、12.2SX、12.2S、12.3T、12.4、および12.4Tでサポートされています。CoPPをデバイスに設定して、管理プレーンとコントロールプレーンを保護し、既存のセキュリティポリシーと設定に従ってインフラストラクチャデバイスに送信される承認されたトラフィックのみを明示的に許可することで、インフラストラクチャへの直接攻撃のリスクと効果を最小限に抑えることができます。
次のCoPPの例は、UDPポート5353を宛先とするトラフィックからデバイスを保護するために導入されるCoPPの一部として含める必要があります。
!--- !--- Match IPv4 mDNS traffic with permit statement !--- access-list 150 permit udp any any eq 5353 !--- Permit (police or drop)/Deny (allow) all other Layer 3 and !--- Layer 4 IPv4 traffic in accordance with existing security policies !--- and configurations for traffic that is authorized to be sent !--- to infrastructure devices !--- access-list 150 deny ip any any !--- Create a Class-Map for traffic to be policed by !--- the CoPP feature !--- class-map match-all drop-udp-class match access-group 150 !--- Create a policy map that will be applied to the !--- control plane of the device. policy-map drop-udp-traffic class drop-udp-class drop !--- Apply the policy map to the !--- control plane of the device control-plane service-policy input drop-udp-traffic
前記のCoPPの例では、アクセスコントロールリストエントリ(ACE)でpermitアクションが指定された悪用パケットと一致するものが存在するため、これらのパケットはポリシーマップのdrop機能によって廃棄されますが、denyアクション(非表示)が指定されたパケットは、ポリシーマップのdrop機能の影響を受けません。ポリシーマップの構文は、12.2Sと12.0SのCisco IOSソフトウェアトレインでは異なることに注意してください。
policy-map drop-udp-traffic class drop-udp-class police 32000 1500 1500 conform-action drop exceed-action drop
CoPP機能の設定と使用についての詳細は、『コントロールプレーンポリシングの実装のベストプラクティス』および『コントロールプレーンポリシング』を参照してください。
Cisco Bug ID CSCum51028の修正を含むCisco IOSソフトウェアおよびCisco IOS XEソフトウェアリリースでは、CLIグローバルコンフィギュレーションコマンドno service-routing mdns-sdを設定することでmDNSゲートウェイ機能を無効にできます。
ネットワーク内のシスコ デバイスに適用可能な他の対応策は、このアドバイザリの付属ドキュメントである『Cisco Applied Mitigation Bulletin』を参照してください。以下のリンクから入手できます。
https://sec.cloudapps.cisco.com/security/center/viewAMBAlert.x?alertId=37485
修正済みソフトウェア
いずれの場合も、アップグレードするデバイスに十分なメモリがあること、および現在のハードウェアとソフトウェアの構成が新規リリースで引き続き正しくサポートされていることを十分に確認してください。不明な点については、Cisco Technical Assistance Center(TAC)もしくは契約しているメンテナンスプロバイダーにお問い合わせください。
Cisco IOS ソフトウェア
シスコでは、お客様が Cisco IOS ソフトウェアの脆弱性にさらされているかどうかを判断するためのツールを提供しています。 Cisco IOS Software Checker により、次のタスクを実行できます。
- ドロップダウン メニューからリリースを選択するか、ローカル システムからファイルをアップロードすることによって、検索を開始する
- show version コマンドの出力をツールで解析する
- カスタマイズした検索(過去に公開されたすべてのシスコ セキュリティ アドバイザリを検索対象に入れたり、特定の資料のみ、または最新のバンドル資料のすべてのアドバイザリを含めるなど)を作成する
このツールを使うことで、そのソフトウェア リリースに関連するすべてのシスコ セキュリティ アドバイザリを検索でき、それぞれのアドバイザリで言及された脆弱性を修正した最初のリリース("First Fixed")を特定できます。また該当する場合、すべてのアドバイザリの脆弱性が修正された最初のリリース("Combined First Fixed")を特定できます。Cisco IOS Software Checker を参照するか、次のフィールドに Cisco IOS ソフトウェア リリースを入力して、いずれかの公開された Cisco IOS ソフトウェア アドバイザリに該当するかどうかを判断できます。
(例:15.1(4)M2)
Cisco IOS ソフトウェア リリースへの Cisco IOS XE ソフトウェア リリースのマッピングについては、「Cisco IOS XE 2 Release Notes」、「Cisco IOS XE 3S Release Notes」、および「Cisco IOS XE 3SG Release Notes」を参照してください。
Cisco IOS XE ソフトウェア
Cisco IOS XEソフトウェアは、このアドバイザリに記載された脆弱性の影響を受けます。
Cisco IOS XE ソフトウェア リリース | このアドバイザリの最初の修正リリース | 2015 年 3 月 の Cisco IOS ソフトウェア セキュリティ アドバイザリ バンドル パブリケーションのすべてのアドバイザリに対する First Fixed Release(修正された最初のリリース) |
---|---|---|
2.5.x | 脆弱性なし |
脆弱性あり。3.12.3S以降に移行してください。 |
2.6.x | 脆弱性なし | 脆弱性あり。3.12.3S以降に移行してください。 |
3.1.xS | 脆弱性なし | 脆弱性あり。3.12.3S以降に移行してください。 |
3.1.xSG | 脆弱性なし | 脆弱性なし |
3.2.xS | 脆弱性なし | 脆弱性あり。3.12.3S以降に移行してください。 |
3.2.xSE | 脆弱性なし | 脆弱性あり。3.7.1E以降に移行してください。 |
3.2.xSG | 脆弱性なし | 脆弱性なし |
3.2.xXO | 脆弱性なし | 脆弱性なし |
3.2.xSQ | 脆弱性なし | 脆弱性なし |
3.3.xS | 脆弱性なし | 脆弱性あり。3.12.3S以降に移行してください。 |
3.3.xSE | 脆弱性なし | 脆弱性あり。3.7.1E以降に移行してください。 |
3.3.xSG | 脆弱性なし | 脆弱性あり。3.7.1E以降に移行してください。 |
3.3.xXO | 脆弱性なし | 脆弱性あり。3.7.1E以降に移行してください。 |
3.3.xSQ | 脆弱性なし | 脆弱性なし |
3.4.xS | 脆弱性なし | 脆弱性あり。3.12.3S以降に移行してください。 |
3.4.xSG | 脆弱性なし | 脆弱性あり。3.7.1E以降に移行してください。 |
3.4.xSQ | 脆弱性なし | 脆弱性なし |
3.5.xS | 脆弱性なし | 脆弱性あり。3.12.3S以降に移行してください。 |
3.5.xE | 脆弱性なし | 脆弱性あり。3.7.1E以降に移行してください。 |
3.6.xS | 脆弱性なし | 脆弱性あり。3.12.3S以降に移行してください。 |
3.6.xE | 3.6.1E | 3.6.2E |
3.7.xS | 脆弱性なし | 脆弱性あり。3.12.3S以降に移行してください。 |
3.7.xE | 脆弱性なし | 3.7.1E |
3.8.xS | 脆弱性なし |
脆弱性あり。3.12.3S以降に移行してください。 |
3.9.xS | 脆弱性あり。3.10.4S以降に移行してください。 | 脆弱性あり。3.12.3S以降に移行してください。 |
3.10.xS | 3.10.4S |
脆弱性あり。3.12.3S以降に移行してください。 |
3.11.xS | 3.11.3S |
脆弱性あり。3.12.3S以降に移行してください。 |
3.12.xS | 3.12.2S |
脆弱性あり。3.12.3S以降に移行してください。 |
3.13.xS | 3.13.1S |
3.13.2S |
3.14.xS |
脆弱性なし |
脆弱性なし |
3.15.xS |
脆弱性なし | 脆弱性なし |
推奨事項
不正利用事例と公式発表
この脆弱性はサポート ケースの解決中に発見されました。
URL
改訂履歴
バージョン | 説明 | セクション | ステータス | 日付 |
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1.4 | 過去に公開されたすべての Cisco IOSソフトウェア セキュリティ アドバイザリを照会できる Cisco IOS Checker ソフトウェアの Checker フォームを更新しました。 | 2016 年 1 月 14 日 | ||
1.3 | Cisco IOS XE 3.6.0Eを該当リリースとして追加。3.6.2Eは、バンドルの公開後に入手可能になったため、3.6Eのバンドル全体に対する最初の修正として追加されました。 | 2015年9月25日 | ||
1.2 | 「回避策」の項のアップデート | 2015 年 3 月 26 日 | ||
1.1 | 2015 年 3 月 の Cisco IOS ソフトウェア セキュリティ アドバイザリ バンドル パブリケーションのすべてのアドバイザリにおいて First Fixed Release(修正した最初のリリース)の箇所を更新しました。 | 2015 年 3 月 25 日 | ||
1.0 | 初回公開リリース | 2015 年 3 月 25 日 |
利用規約
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