Critical
Critical
日本語による情報は、英語による原文の非公式な翻訳であり、英語原文との間で内容の齟齬がある場合には、英語原文が優先します。
概要
Cisco IOS ソフトウェアと Cisco IOS XE ソフトウェアの Smart Install 機能における脆弱性により、認証されていないリモート攻撃者が影響を受けるデバイスのリロードを引き起こし、その結果サービス妨害(DoS)状態が発生する、または該当デバイスで任意のコードが実行される可能性があります。
この脆弱性は、パケット データの不適切な検証に起因します。攻撃者は、該当デバイスの TCP ポート 4786 番宛に巧妙に細工された Smart Install メッセージを送信することにより、この脆弱性を不正利用する可能性があります。攻撃が成功すると、攻撃者が影響を受けるデバイスのバッファ オーバーフローを引き起こし、その結果、次のような影響の及ぶ可能性があります。
- デバイスのリロードを引き起こされる
- 攻撃者がデバイスで任意のコードを実行する
- 影響を受けるデバイスでウォッチドッグのクラッシュを引き起こす無限ループが発生する
シスコはこの脆弱性に対処するソフトウェアアップデートをリリースしています。この脆弱性に対処する回避策はありません。
Smart Installクライアント機能は、Cisco Bug ID CSCvd36820に対処するアップデートが実施されていないソフトウェアリリースが稼働するスイッチでは、デフォルトで有効になっています。
このアドバイザリは、次のリンクより確認できます。
https://sec.cloudapps.cisco.com/security/center/content/CiscoSecurityAdvisory/cisco-sa-20180328-smi2
このアドバイザリは、2018年3月28日に公開された22件の脆弱性に関する20件のシスコセキュリティアドバイザリを含むCisco IOSソフトウェアおよびIOS XEソフトウェアリリースのセキュリティアドバイザリバンドルの一部です。アドバイザリとリンクの一覧については、『Cisco Event Response: March 2018 Semiannual Cisco IOS and IOS XE Software Security Advisory Bundled Publication』を参照してください。
該当製品
脆弱性のある製品
この脆弱性は、Smart Install クライアント機能が有効化され、脆弱性が存在する Cisco IOS ソフトウェア リリースまたは IOS XE ソフトウェア リリースを実行するシスコ デバイスに影響を与えます。
Smart Install クライアントのスイッチのみが、本アドバイザリで説明されている脆弱性の影響を受けます。Smart Install ディレクタとして設定されているシスコ デバイスはこの脆弱性の影響を受けません。
Smart Install をサポートするデバイスの一覧については、『Cisco Smart Install コンフィギュレーション ガイド』の「Smart Install でサポートされるデバイス」の項を参照してください。
脆弱性が存在する Cisco IOS ソフトウェアおよび IOS XE ソフトウェアのリリースについては、このアドバイザリの「修正済みソフトウェア」の項を参照してください。
特定のリリースに関する注意事項
Smart Installクライアント機能は、Cisco Bug ID CSCvd36820に対処するアップデートが実施されていないソフトウェアリリースが稼働するスイッチでは、デフォルトで有効になっています。
Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.2(52)SE よりも前のリリースを実行するスイッチは Smart Install 対応ではありませんが、archive download-sw 特権 EXEC コマンドをサポートしている場合、Smart Install クライアントにすることができます。
Smart Install クライアント機能が有効かどうかの判断
デバイスで Smart Install クライアント機能が有効化されているかどうかを確認するには、Smart Install クライアントで show vstack config 特権 EXEC コマンドを使用します。show vstack configコマンドのRole: Client(クライアント)およびOper Mode: EnabledまたはRole: Client(SmartInstall有効)の出力で、デバイスで機能が有効になっていることを確認します。
次の例は、Smart Install クライアントとして設定された Cisco Catalyst スイッチでの show vstack config コマンドの出力結果を示します。
switch1# show vstack config
Role: Client (SmartInstall enabled)
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switch2# show vstack config
Capability: Client
Oper Mode: Enabled
Role: Client
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Cisco IOS ソフトウェア リリースの判別
デバイス上で実行されている Cisco IOS ソフトウェア リリースは、管理者がデバイスにログインして、CLI で show version コマンドを使用し、表示されるシステム バナーを参照することにより確認できます。デバイスが Cisco IOS ソフトウェアを実行している場合、システム バナーに「Cisco Internetwork Operating System Software」や「Cisco IOS Software」などのテキストが表示されます。バナーにはインストールされたイメージ名もカッコ内に表示され、その後ろに、Cisco IOS ソフトウェアのリリース番号とリリース名が表示されます。一部のシスコ デバイスでは、show version コマンドをサポートしていなかったり、別の出力が表示されたりします。
次に、Cisco IOS ソフトウェア リリース 15.5(2)T1 が実行されていて、インストールされているイメージ名が C2951-UNIVERSALK9-M であるデバイスでのコマンド出力例を示します。
Router> show version
Cisco IOS Software, C2951 Software (C2951-UNIVERSALK9-M), Version 15.5(2)T1, RELEASE SOFTWARE (fc1)
Technical Support: http://www.cisco.com/techsupport
Copyright (c) 1986-2015 by Cisco Systems, Inc.
Compiled Mon 22-Jun-15 09:32 by prod_rel_team
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Cisco IOS ソフトウェア リリースの命名と番号付けの規則に関する詳細は、『Cisco IOS and NX-OS Software Reference Guide』を参照してください。
Cisco IOS XE ソフトウェア リリースの判別
デバイス上で実行されている Cisco IOS XE ソフトウェア リリースは、管理者がデバイスにログインして、CLI で show version コマンドを実行し、表示されるシステム バナーを参照することにより確認できます。デバイスが Cisco IOS XE ソフトウェアを実行している場合、システム バナーに「Cisco IOS Software」、「Cisco IOS XE Software」などのテキストが表示されます。
次に、Cisco IOS XR ソフトウェア リリース 16.2.1 が実行されていて、インストールされているイメージ名が CAT3K_CAA-UNIVERSALK9-M であるデバイスでのコマンドの出力例を示します。
ios-xe-device# show version
Cisco IOS Software, Catalyst L3 Switch Software (CAT3K_CAA-UNIVERSALK9-M), Version Denali 16.2.1, RELEASE SOFTWARE (fc1)
Technical Support: http://www.cisco.com/techsupport
Copyright (c) 1986-2016 by Cisco Systems, Inc.
Compiled Sun 27-Mar-16 21:47 by mcpre
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Cisco IOS XE ソフトウェア リリースの命名と番号付けの規則に関する詳細は、『Cisco IOS and NX-OS Software Reference Guide』を参照してください。
脆弱性を含んでいないことが確認された製品
他のシスコ製品において、このアドバイザリの影響を受けるものは現在確認されていません。
シスコは、この脆弱性が Cisco IOS XR ソフトウェアまたは Cisco NX-OS ソフトウェアには影響を与えないことを確認しました。
詳細
Cisco Smart Install とは、新しい(通常はアクセス レイヤ)スイッチのゼロタッチ導入を実現するための「プラグアンドプレイ」構成およびイメージ管理機能です。この機能により、お客様は、スイッチを追加設定することなく出荷し、ネットワークに設置して電源を投入するだけで使い始めることができます。Smart Install 機能は、仕様上認証を備えていません。
Smart Install ネットワークは、1 台の Smart Install ディレクタ スイッチまたはルータ(統合ブランチ ディレクタ(IBD)とも呼ばれる)、1 台以上の Smart Install クライアント スイッチ(統合ブランチ クライアント(IBC)とも呼ばれる)で構成されます。クライアント・スイッチをダイレクタに直接接続する必要はありません。クライアント・スイッチは最大7ホップ離れた場所に配置できます。
ディレクタは、クライアント スイッチのイメージおよびコンフィギュレーションの単一管理ポイントとなります。クライアント スイッチが最初にネットワークに設置されると、ディレクタがその新しいスイッチを自動的に検出し、ダウンロードする適正な Cisco IOS ソフトウェア イメージとコンフィギュレーション ファイルを特定します。また、ディレクタはクライアントに IP アドレスとホスト名を割り当てることができます。
回避策
Cisco Smart Install を使用する必要がある場合、本脆弱性の回避策はありません。必要ない場合は、no vstack コマンドで Cisco Smart Install 機能を無効にすることができます。Cisco Bug ID CSCvd36820に関連するソフトウェアリリースでCisco Smart Installを使用しない場合、この機能は自動的に無効になります。
Cisco Smart Install プロトコルの誤用に関するセキュリティ アドバイザリの情報と『Cisco Smart Install コンフィギュレーション ガイド』を参照することをお勧めします。
修正済みソフトウェア
シスコはこのアドバイザリに記載された脆弱性に対処する無償のソフトウェアアップデートをリリースしています。お客様がインストールしたりサポートを受けたりできるのは、ライセンスをご購入いただいたソフトウェア バージョンとフィーチャ セットに対してのみとなります。そのようなソフトウェアアップグレードをインストール、ダウンロード、アクセスまたはその他の方法で使用した場合、お客様は以下のリンクに記載されたシスコのソフトウェアライセンスの条項に従うことに同意したことになります。
https://www.cisco.com/c/en/us/products/end-user-license-agreement.html
また、お客様がソフトウェアをダウンロードできるのは、ソフトウェアの有効なライセンスをシスコから直接、あるいはシスコ認定リセラーやパートナーから取得している場合に限ります。通常、これは以前購入したソフトウェアのメンテナンス アップグレードです。無償のセキュリティ ソフトウェア アップデートによって、お客様に新しいソフトウェア ライセンス、追加ソフトウェア フィーチャ セット、またはメジャー リビジョン アップグレードに対する権限が付与されることはありません。
ソフトウェアのアップグレードを検討する際には、[シスコのセキュリティアドバイザリおよびアラート(Cisco Security Advisories and Alerts)] ページで入手できるシスコ製品のアドバイザリを定期的に参照して、侵害を受ける可能性と完全なアップグレード ソリューションを確認してください。
いずれの場合も、アップグレードするデバイスに十分なメモリがあること、および現在のハードウェアとソフトウェアの構成が新規リリースで引き続き正しくサポートされていることを十分に確認してください。不明な点については、Cisco Technical Assistance Center(TAC)もしくは契約しているメンテナンスプロバイダーにお問い合わせください。
サービス契約をご利用でないお客様
シスコから直接購入したが Cisco Service Contract をご利用いただいていない場合、また、サードパーティベンダーから購入したが修正済みソフトウェアを POS から入手できない場合は、Cisco TAC に連絡してアップグレードを入手してください。
https://www.cisco.com/c/en/us/support/web/tsd-cisco-worldwide-contacts.html
無償アップグレードの対象製品であることを証明していただくために、製品のシリアル番号と、本アドバイザリの URL をご用意ください。
Cisco IOS および IOS XE ソフトウェア
お客様が Cisco IOS ソフトウェアおよび IOS XE ソフトウェアの脆弱性による侵害の可能性を判断するため、シスコは Cisco IOS Software Checker ツールを提供しています。このツールを使用すると、特定のソフトウェア リリースに該当するシスコ セキュリティ アドバイザリ、および各アドバイザリで説明されている脆弱性が修正された最初のリリース(「First Fixed」)を特定できます。また該当する場合、そのリリースに関するすべてのアドバイザリの脆弱性が修正された最初のリリース(「Combined First Fixed」)を特定できます。
このツールを使用して次のタスクを実行できます。
- ドロップダウン リストからリリース(複数可)を選択するか、分析対象となるローカル システムからファイルをアップロードして、検索を開始する
- show version コマンドの出力をツールで解析する
- カスタマイズした検索(過去に公開されたすべてのシスコ セキュリティ アドバイザリを検索対象に入れたり、特定のアドバイザリのみ、または最新のバンドル資料のすべてのアドバイザリを含めるなど)を作成する
リリースが、公開されたシスコ セキュリティ アドバイザリのいずれかに該当するかどうかを確認するには、Cisco.com の Cisco IOS Software Checker を使用するか、以下のフィールドに Cisco IOS ソフトウェアまたは Cisco IOS XE ソフトウェアリリース(たとえば、15.1(4)M2、3.13.8S など)を入力します。
Cisco IOS XE ソフトウェア リリースと Cisco IOS ソフトウェア リリースのマッピングについては、Cisco IOS XE ソフトウェアのリリースに応じて「Cisco IOS XE 2 Release Notes」、「Cisco IOS XE 3S Release Notes」、または「Cisco IOS XE 3SG Release Notes」を参照してください。
不正利用事例と公式発表
2021年11月、Cisco Product Security Incident Response Team(PSIRT)は、この脆弱性のさらなる不正利用の試みを認識しました。これらの脆弱性が修正済みのソフトウェアリリースにアップグレードすることを、引き続き強くお勧めします。
出典
この脆弱性を発見して報告いただいた Embedi 社の George Nosenko 氏に謝意を表します。
URL
改訂履歴
バージョン | 説明 | セクション | ステータス | 日付 |
---|---|---|---|---|
1.8 | エクスプロイトに関する情報を更新。 | 不正利用事例と公式発表 | Final | 2022年12月15日 |
1.7 | メタデータを更新。Cisco Catalyst 6500 および 6800 シリーズ スイッチは脆弱ではないことが確認されたため、脆弱性のあるリリースが少なくなることが判明。修正に伴って IOS ソフトウェア チェッカーを更新。 | — | Final | 2018年5月3日 |
1.6 | IOS Software Checker にて、脆弱であることが判明した製品を更新しました。 | — | Final | 2018年4月17日 |
1.5 | IOS Software Checker にて、脆弱でないことが判明した製品を更新しました。 | — | Final | 2018年4月16日 |
1.4 | デフォルトで Smart Install が有効であることを強調Smart Install をサポートするデバイスの一覧にリンクを追加 | 概要および該当製品 | Final | 2018年4月9日 |
1.3 | 「回避策」セクションに詳細を追加 | 回避策 | Final | 2018年4月6日 |
1.2 | Metadata update. | — | Final | 2018年4月2日 |
1.1 | 研究者の会社名を追加。 | 出典 | Final | 2018年3月29日 |
1.0 | 初回公開リリース | — | Final | 2018年3月28日 |
利用規約
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