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日本語による情報は、英語による原文の非公式な翻訳であり、英語原文との間で内容の齟齬がある場合には、英語原文が優先します。
概要
Cisco ASA 5506-X、ASA 5508-X、およびASA 5516-Xファイアウォール用のCisco Adaptive Security Appliance(ASA)ソフトウェアおよびCisco Firepower Threat Defense(FTD)ソフトウェアのDeterministic Random Bit Generator(DRBG)の脆弱性により、認証されていないリモートの攻撃者が暗号化コリジョンを引き起こし、攻撃者が該当デバイスの秘密キーを発見できる可能性があります。
この脆弱性は、暗号キーを生成する際に、該当するハードウェアプラットフォームのDRBGでエントロピーが不十分であることに起因します。攻撃者は、該当デバイスで大量の暗号キーを生成してターゲット デバイスとの不一致を探すことにより、この脆弱性をエクスプロイトする危険性があります。エクスプロイトが成功すると、攻撃者が該当のターゲット デバイスになりすましたり、該当のターゲット デバイスとの間で送信される該当のキーで保護されているトラフィックを復号したりできる危険性があります。
シスコはこの脆弱性に対処するソフトウェアアップデートをリリースしています。一部の該当する設定では、この脆弱性に対処する回避策があります。
このアドバイザリは、次のリンクより確認できます。
https://sec.cloudapps.cisco.com/security/center/content/CiscoSecurityAdvisory/cisco-sa-asa5500x-entropy-6v9bHVYP
該当製品
脆弱性のある製品
公開時に、リリース9.12.11より前のCisco ASAソフトウェアリリースまたはリリース6.4.01より前のCisco FTDソフトウェアリリースを実行していて、ECDSAまたはRSAキーを使用する機能が有効になっている次のシスコ製品が、この脆弱性の影響を受けました。
- ASA 5506-Xセキュリティアプライアンス
- ASA 5506H-Xセキュリティアプライアンス
- ASA 5506W-Xセキュリティアプライアンス
- ASA 5508-Xセキュリティアプライアンス
- ASA 5516-Xセキュリティアプライアンス
1.堅牢なCisco Secure Development Lifecycle(SDL)プロセスに従った結果として導入されたDRBGのエントロピー源の強化により、Cisco ASAソフトウェアリリース9.12.1以降およびCisco FTDソフトウェアリリース6.4.0以降ではこの問題が発生しなくなります。
注:Cisco ASAソフトウェアまたはCisco FTDソフトウェアの修正済みリリースを実行しているデバイスも、該当リリースの実行中に生成されたECDSAまたはRSAキーペアで設定されている場合、この脆弱性の影響を受ける可能性があります。 問題がある場合は、デバイスに設定されているすべてのECDSAおよびRSAキーペアを再生成することを推奨します。
脆弱性が存在する Cisco ソフトウェアリリースについては、このアドバイザリの「修正済みソフトウェア」セクションを参照してください。
ASA ソフトウェア
次の表では、左の列に、脆弱性が存在する可能性がある最も一般的なCisco ASA機能を示します。また右の列には、show running-config CLI コマンドで判断可能な、この機能の基本設定を示します。
Cisco ASA 機能 | 脆弱性の可能性がある設定 |
---|---|
Adaptive Security Device Manager(ASDM)1 | http server enable <port> http <remote_ip_address> <remote_subnet_mask> <interface_name> |
AnyConnect SSL VPN | webvpn enable <interface_name> |
Cisco Security Manager1 | http server enable <port> http <remote_ip_address> <remote_subnet_mask> <interface_name> |
クライアントレス SSL VPN(WebVPN) | webvpn enable <interface_name> |
IKEv1 VPN(リモート アクセスおよび LAN-to-LAN) 証明書ベースの認証を使用 |
crypto ikev1 enable <interface_name> crypto ikev1 policy <priority> authentication rsa-sig tunnel-group <tunnel_group_name> ipsec-attributes trust-point <trustpoint_name> |
IKEv2 VPN(リモート アクセスおよび LAN-to-LAN) 証明書ベースの認証を使用 |
crypto ikev2 enable <interface_name> tunnel-group <tunnel_group_name> ipsec-attributes ikev2 remote-authentication certificate ikev2 local-authentication certificate <trustpoint_name> |
ローカル認証局(CA) | crypto ca server no shutdown |
Mobile Device Manager(MDM)プロキシ | mdm-proxy enable <interface_name> |
モバイル ユーザ セキュリティ(MUS) | webvpn mus password <password> mus server enable port <port #> mus <address> <mask> <interface_name> |
Proxy Bypass | webvpn proxy-bypass |
REST API1 | rest-api image disk0:/<image name> rest-api agent |
SSHアクセス2、3 | ssh <remote_ip_address> <remote_subnet_mask> <interface_name> |
2. SSH サービスは、ssh コマンドで設定された範囲の IP アドレスからのみアクセスできます。
3. SSHアクセスに対するこの脆弱性に対処する回避策はありません。
FTD ソフトウェア
次の表では、左の列に、脆弱性が存在する可能性がある最も一般的なCisco FTD機能を示します。また右の列には、show running-config CLI コマンドで判断可能な、この機能の基本設定を示します。
Cisco FTD 機能 | 脆弱性の可能性がある設定 |
---|---|
AnyConnect SSL VPN1、2 | webvpn enable <interface_name> |
クライアントレス SSL VPN(WebVPN)2 | webvpn enable <interface_name> |
HTTP サービスが有効3、4 | http server enable <port #> http <remote_ip_address> <remote_subnet_mask> <interface_name> |
IKEv1 VPN(リモート アクセスおよび LAN-to-LAN) 証明書ベースの認証を使用 1、2 |
crypto ikev1 enable <interface_name> crypto ikev1 policy <priority> authentication rsa-sig tunnel-group <tunnel_group_name> ipsec-attributes trust-point <trustpoint_name> |
IKEv2 VPN(リモート アクセスおよび LAN-to-LAN) 証明書ベースの認証を使用 1、2 |
crypto ikev2 enable <interface_name> tunnel-group <tunnel_group_name> ipsec-attributes ikev2 remote-authentication certificate ikev2 local-authentication certificate <trustpoint_name> |
SSHサービス5、6 | ssh <remote_ip_address> <remote_subnet_mask> <interface_name> |
2.クライアントレスSSL VPN機能は公式にはサポートされていませんが、FlexConfigを使用して有効にできます。
3. HTTP機能を有効にするには、Cisco Firepower Management Console(FMC)で[Firepower Threat Defense Platform Settings] > [HTTP] を選択します。
4. HTTPサービスには、設定されたhttpコマンドの範囲内のIPアドレスからのみアクセスできます。
5. SSHには、設定されたsshコマンドの範囲内のIPアドレスからのみアクセスできます。
6. SSHアクセスに関しては、この脆弱性に対処する回避策はありません。
脆弱性を含んでいないことが確認された製品
このアドバイザリの脆弱性のある製品セクションに記載されている製品のみが、この脆弱性の影響を受けることが分かっています。
シスコは、この脆弱性が次のプラットフォームで実行される Cisco ASA ソフトウェアまたは FTD ソフトウェアに影響を与えないことを確認しました。
- 3000 シリーズ産業用セキュリティ アプライアンス(ISA)
- ASA 5525-X、5545-X、5555-X、および5585-Xセキュリティアプライアンス
- Cisco Catalyst 6500 シリーズ スイッチおよび Cisco 7600 シリーズ ルータ用の ASA サービス モジュール
- 適応型セキュリティ バーチャル アプライアンス(ASAv)
- Firepower 2100 シリーズ
- Firepower 4100 シリーズ
- Firepower 9300 シリーズ
- Firepower Threat Defense Virtual(FTDv/NGFWv)
- Cisco Secure Firewall 3100 シリーズ
回避策
SSL/TLS機能のみで使用される暗号キーに対して、この脆弱性に対処する回避策があります。SSHで使用する暗号キーはデバイスにインポートできないため、SSHの回避策はありません。
脆弱な暗号キーの使用を回避するには、Cisco ASAまたはCisco FTDデバイス以外の信頼できるデバイスでキーペアと対応する証明書を生成し、グローバルコンフィギュレーションモードでcrypto ca import <trust-point-name> pkcs12 <passphrase>コマンドを使用して、キーと証明書を含むBase 64エンコードPKCS #12ファイルをCisco ASAまたはCisco FTDデバイスにインポートします。
Cisco Adaptive Security Device Manager(ASDM)を使用してこのタスクを実行する手順を含む詳細については、「ASA 8.x:ASDMを使用したSSL証明書の更新とインストール」を参照してください。
この回避策は導入されており、テスト環境では実証済みですが、お客様は、ご使用の環境および使用条件において適用性と有効性を判断する必要があります。また、導入されている回避策または緩和策が、お客様固有の導入シナリオおよび制限に基づいて、ネットワークの機能やパフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性があることに注意してください。回避策や緩和策は、ご使用の環境への適用性と環境への影響を評価した後で導入してください。
修正済みソフトウェア
ソフトウェアのアップグレードを検討する際には、シスコ セキュリティ アドバイザリ ページで入手できるシスコ製品のアドバイザリを定期的に参照して、侵害を受ける可能性とアップグレード ソリューション一式を確認してください。
いずれの場合も、アップグレードするデバイスに十分なメモリがあること、および現在のハードウェアとソフトウェアの構成が新規リリースで引き続き正しくサポートされていることを十分に確認してください。不明な点については、Cisco Technical Assistance Center(TAC)もしくは契約しているメンテナンスプロバイダーにお問い合わせください。
Cisco ASA、FMC、および FTD ソフトウェア
お客様が Cisco ASA、FMC、および FTD ソフトウェアの脆弱性に対するリスクを判断できるように、シスコは Cisco Software Checker を提供しています。このツールを使うことで、特定のソフトウェアリリースに関連するすべてのシスコ セキュリティ アドバイザリを検索でき、それぞれのアドバイザリで言及された脆弱性を修正した最初のリリース(「First Fixed」)を特定できます。また、該当する場合には、Software Checker により判別されたすべてのアドバイザリに記載のすべての脆弱性が修正された最初のリリース(「Combined First Fixed」)を特定できます。
このツールを使用するには、「Cisco Software Checker」ページの手順に従います。または、次のフォームを使用して、特定のソフトウェアリリースに影響を及ぼす脆弱性を検索します。このフォームを使用するには、次の手順に従います。
- ツールで検索するアドバイザリを選択します。すべてのアドバイザリ、セキュリティ影響評価(SIR)が「重大」または「高」のアドバイザリのみ、またはこのアドバイザリのみを選択します。
- 該当するソフトウェアを選択します。
- 該当するプラットフォームを選択します。
- リリース番号を入力します。たとえば、Cisco ASA ソフトウェアの場合は 9.16.2.11、Cisco FTD ソフトウェアの場合は 6.6.7 と入力します。
- [チェック(Check)] をクリックします。
注:修正済みリリースにアップグレードした後、管理者は、脆弱性のあるリリースの実行中に該当デバイスで生成されたすべてのECDSAおよびRSAキーペアを再生成する必要があります。
不正利用事例と公式発表
Cisco Product Security Incident Response Team(PSIRT)は、本アドバイザリに記載されている脆弱性の不正利用事例やその公表を確認していません。
出典
シスコは、この脆弱性を報告していただいたANSSI/CERT-FR(フランスの国および政府のCSIRT)に感謝いたします。
URL
改訂履歴
バージョン | 説明 | セクション | ステータス | 日付 |
---|---|---|---|---|
1.0 | 初回公開リリース | - | Final | 2023年3月22日 |
利用規約
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