High
High
日本語による情報は、英語による原文の非公式な翻訳であり、英語原文との間で内容の齟齬がある場合には、英語原文が優先します。
概要
Cisco IOS XR ソフトウェアの Intermediate System-to-Intermediate System(IS-IS)プロトコルにおけるセグメントルーティング機能の脆弱性により、認証されていない隣接する攻撃者が、影響を受けるデバイスでサービス妨害(DoS)状態を発生させる可能性があります。
この脆弱性は、入力 IS-IS パケットの不十分な入力検証に起因します。攻撃者は、隣接関係を形成した後に、特定の IS-IS パケットを影響を受けるデバイスに送信することにより、この脆弱性をエクスプロイトする可能性があります。エクスプロイトに成功すると、攻撃者がフレキシブルアルゴリズムに参加している影響を受けるすべてのデバイス上の IS-IS プロセスのクラッシュとリロードを引き起こし、DoS 状態を発生させる可能性があります。
注:IS-IS プロトコルはルーティングプロトコルです。この脆弱性をエクスプロイトするには、攻撃者は影響を受けるデバイスとレイヤ 2 隣接関係にあり、隣接関係を形成済みである必要があります。この脆弱性は、IS-IS over IPv4 および IPv6 コントロールプレーンのセグメントルーティング、およびレベル 1、レベル 2、またはマルチレベルルーティングの IS-IS タイプとして設定されているデバイスに影響を与えます。
シスコはこの脆弱性に対処するソフトウェアアップデートをリリースしています。この脆弱性に対処する回避策はありません。
このアドバイザリは、次のリンクより確認できます。
https://sec.cloudapps.cisco.com/security/center/content/CiscoSecurityAdvisory/cisco-sa-isis-xehpbVNe
このアドバイザリは、Cisco IOS XR ソフトウェア セキュリティ アドバイザリ バンドル公開の 2024 年 9 月のリリースの一部です。アドバイザリとリンクの一覧については、Cisco Event Response: September 2024 Semiannual Cisco IOS XR Software Security Advisory Bundled Publication を参照してください。
該当製品
脆弱性のある製品
この脆弱性は、Cisco IOS XR ソフトウェアの脆弱なリリースを実行しており、セグメントルーティング IS-IS フレキシブルアルゴリズムが有効で、さらに以下のいずれかの機能が有効になっているシスコプラットフォームに影響を与えます。
- セグメント ルーティング マイクロループ回避
- フレキシブルアルゴリズムのトポロジに依存しないループフリー代替(TI-LFA)
脆弱性が存在する Cisco ソフトウェアリリースについては、このアドバイザリの「修正済みソフトウェア」セクションを参照してください。
デバイスの設定に脆弱性があるかどうかの確認
デバイスの設定に脆弱性があるかどうかを確認するには、次の手順を実行します。デバイスで IS-IS セグメント ルーティング フレキシブル アルゴリズムが有効になっているが、マイクロループ回避または TI-LFA が有効になっていない場合、デバイスはこの脆弱性の影響を受けません。
1. IS-IS セグメント ルーティング フレキシブル アルゴリズムのステータスを確認します
デバイスで IS-IS セグメント ルーティング フレキシブル アルゴリズムが有効になっているかどうかを確認するには、show running-config router isis | include flex-algo EXEC コマンドを CLI で使用します。デバイスに IS-IS ルーティング フレキシブル アルゴリズムが設定されている場合、このコマンドは出力を返します。次の例は、IS-IS セグメント ルーティング フレキシブル アルゴリズムが設定されているデバイスでの出力の一部を示しています。
RP/0/RSP0/CPU0:XR#show running-config router isis | include flex-algo
Wed Sept 11 16:00:00.000 UTC
flex-algo 200
RP/0/RSP0/CPU0:XR#
デバイスが出力を返す場合、デバイスはこの脆弱性の影響を受ける可能性があります。ステップ 2 に進みます。
デバイスが出力を返さない場合、デバイスはこの脆弱性の影響を受けません。ステップ 2 またはステップ 3 を実行する必要はありません。
2. IS-IS セグメント ルーティング マイクロループ回避のステータスを確認します
デバイスで IS-IS セグメント ルーティング マイクロループ回避が有効になっているかどうかを確認するには、show running-config router isis | include microloop EXEC コマンドを CLI で使用します。デバイスに IS-IS ルーティング マイクロループ回避が設定されている場合、このコマンドは出力を返します。次の例は、IS-IS セグメント ルーティング マイクロループ回避が設定されたデバイスでの出力の一部を示しています。
RP/0/RSP0/CPU0:XR#show running-config router isis | include microloop
Wed Sept 11 16:00:00.000 UTC
microloop avoidance segment-routing
RP/0/RSP0/CPU0:XR#
デバイスが出力を返し、IS-IS セグメントルーティングのフレキシブルアルゴリズムが有効になっている場合、デバイスはこの脆弱性の影響を受けます。
デバイスが出力を返さない場合、IS-IS セグメント ルーティング マイクロループ回避は有効になっていません。ステップ 3 に進みます。
3. フレキシブルアルゴリズムの TI-LFA のステータスを確認します
デバイスでフレキシブルアルゴリズムの TI-LFA が有効になっているかどうかを確認するには、show running-config router isis | include ti-lfa EXEC コマンドを CLI で使用します。デバイスに IS-IS TI-LFA が設定されている場合、このコマンドは出力を返します。次の例は、フレキシブルアルゴリズムの IS-IS TI-LFA が設定されたデバイスでの出力の一部を示しています。
RP/0/RSP0/CPU0:XR#show running-config router isis | include ti-lfa
Wed Sept 11 16:00:00.000 UTC
fast-reroute per-prefix ti-lfa
RP/0/RSP0/CPU0:XR#
デバイスが出力を返し、IS-IS セグメントルーティングのフレキシブルアルゴリズムが有効になっている場合、デバイスはこの脆弱性の影響を受けます。
デバイスが出力を返さない場合、フレキシブルアルゴリズムの IS-IS TI-LFA は有効になっていないため、この脆弱性の影響を受けません。
脆弱性を含んでいないことが確認された製品
このアドバイザリの脆弱性のある製品セクションに記載されている製品のみが、この脆弱性の影響を受けることが分かっています。
シスコは、この脆弱性が以下のシスコ製品には影響を与えないことを確認しました。
- IOS ソフトウェア
- IOS XE ソフトウェア
- NX-OS ソフトウェア
回避策
この脆弱性に対処する回避策はありません。ただし、緩和策があります。
ベストプラクティスとして、IS-IS エリア認証を設定して、攻撃者がこの脆弱性をトリガーするために認証に合格する必要があるようにします。IS-IS 認証の詳細については、「IS-IS 認証の設定」を参照してください。
この緩和策は導入されており、テスト環境では実証済みですが、お客様は、ご使用の環境および使用条件において適用性と有効性を判断する必要があります。また、導入されている回避策または緩和策が、お客様固有の導入シナリオおよび制限に基づいて、ネットワークの機能やパフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性があることに注意してください。回避策や緩和策は、ご使用の環境への適用性と環境への影響を評価した後で導入してください。
修正済みソフトウェア
シスコはこのアドバイザリに記載された脆弱性に対処する無償のソフトウェアアップデートをリリースしています。通常のソフトウェアアップデートが含まれるサービス契約をお持ちのお客様は、通常のアップデートチャネルからセキュリティ修正を取得する必要があります。
お客様がインストールしたりサポートを受けたりできるのは、ライセンスをご購入いただいたソフトウェア バージョンとフィーチャ セットに対してのみとなります。そのようなソフトウェアアップグレードをインストール、ダウンロード、アクセスまたはその他の方法で使用した場合、お客様は以下のリンクに記載されたシスコのソフトウェアライセンスの条項に従うことに同意したことになります。
https://www.cisco.com/c/en/us/products/end-user-license-agreement.html
また、お客様がソフトウェアをダウンロードできるのは、ソフトウェアの有効なライセンスをシスコから直接、あるいはシスコ認定リセラーやパートナーから取得している場合に限ります。通常、これは以前購入したソフトウェアのメンテナンス アップグレードです。無償のセキュリティ ソフトウェア アップデートによって、お客様に新しいソフトウェア ライセンス、追加ソフトウェア フィーチャ セット、またはメジャー リビジョン アップグレードに対する権限が付与されることはありません。
Cisco.com の シスコサポート & ダウンロードページには、ライセンスとダウンロードに関する情報が記載されています。このページには、[マイデバイス(My Devices)] ツールを使用するお客様のカスタマーデバイスサポート範囲も表示できます。
ソフトウェアのアップグレードを検討する際には、シスコ セキュリティ アドバイザリ ページで入手できるシスコ製品のアドバイザリを定期的に参照して、侵害を受ける可能性とアップグレード ソリューション一式を確認してください。
いずれの場合も、アップグレードするデバイスに十分なメモリがあること、および現在のハードウェアとソフトウェアの構成が新規リリースで引き続き正しくサポートされていることを十分に確認してください。不明な点については、Cisco Technical Assistance Center(TAC)もしくは契約しているメンテナンスプロバイダーにお問い合わせください。
サービス契約をご利用でないお客様
シスコから直接購入したがシスコのサービス契約をご利用いただいていない場合、また、サードパーティベンダーから購入したが修正済みソフトウェアを購入先から入手できない場合は、Cisco TAC(https://www.cisco.com/c/ja_jp/support/web/tsd-cisco-worldwide-contacts.html)に連絡してアップグレードを入手してください。
無償アップグレードの対象製品であることを証明していただくために、製品のシリアル番号と、本アドバイザリの URL をご用意ください。
修正済みリリース
次の表では、左の列にシスコ ソフトウェア リリースまたはトレインを記載しています。右側の列は、リリース(トレイン)がこのアドバイザリに記載されている脆弱性の影響を受けるかどうか、およびこの脆弱性に対する修正を含む最初のリリースを示しています。
Cisco IOS XR ソフトウェア リリース | First Fixed Release(修正された最初のリリース) |
---|---|
6.7.4 以前 | 影響なし。 |
6.8 | 修正済みリリースに移行。 |
6.9 | 修正済みリリースに移行。 |
7.0 ~ 7.3 | 影響なし。 |
7.4 ~ 7.10 | 修正済みリリースに移行。 |
7.11 | 7.11.2 |
24.1 以降 | 影響なし。 |
シスコはこの脆弱性に対処する次の SMU もリリースしています。一覧に記載されていないプラットフォームやリリース向けの SMU を必要とするお客様は、サポート部門にご連絡ください。
Cisco IOS XR ソフトウェア リリース | Platform | SMU 名 |
---|---|---|
7.5.2 | 8000 シリーズ ASR9K-X64 NCS540 NCS540L NCS5500 NCS560 |
8000-7.5.2.CSCwi39542 asr9k-x64-7.5.2.CSCwi39542 ncs540-7.5.2.CSCwi39542 ncs540l-7.5.2.CSCwi39542 ncs5500-7.5.2.CSCwi39542 ncs560-7.5.2.CSCwi39542 |
7.7.2 | 8000 シリーズ ASR9K-X64 |
8000-7.7.2.CSCwi39542 asr9k-x64-7.7.2.CSCwi39542 |
7.9.2 |
8000 シリーズ ASR9K-X64 NCS5500 |
8000-7.9.2.CSCwi39542 asr9k-x64-7.9.2.CSCwi39542 ncs5500-7.9.2.CSCwi39542 |
7.9.21 | ASR9K-X64 | asr9k-x64-7.9.21.CSCwi39542 |
7.10.2 | 8000 シリーズ ASR9K-X64 |
8000-7.10.2.CSCwi39542 asr9k-x64-7.10.2.CSCwi39542 |
Product Security Incident Response Team(PSIRT; プロダクト セキュリティ インシデント レスポンス チーム)は、このアドバイザリに記載されている該当するリリース情報と修正されたリリース情報のみを検証します。
不正利用事例と公式発表
Cisco PSIRT では、本アドバイザリに記載されている脆弱性の不正利用事例やその公表は確認しておりません。
出典
この脆弱性は、シスコ内部でセキュリティテストを実施中、シスコの Prathap Raju Hongere Devaraju によって発見されました。
URL
改訂履歴
バージョン | 説明 | セクション | ステータス | 日付 |
---|---|---|---|---|
1.0 | 初回公開リリース | — | Final | 2024 年 9 月 11 日 |
利用規約
本アドバイザリは無保証のものとしてご提供しており、いかなる種類の保証も示唆するものではありません。 本アドバイザリの情報およびリンクの使用に関する責任の一切はそれらの使用者にあるものとします。 また、シスコは本ドキュメントの内容を予告なしに変更したり、更新したりする権利を有します。
本アドバイザリの記述内容に関して情報配信の URL を省略し、単独の転載や意訳を施した場合、当社が管理した情報とは見なされません。そうした情報は、事実誤認を引き起こしたり、重要な情報が欠落していたりする可能性があります。 このドキュメントの情報は、シスコ製品のエンドユーザを対象としています。