概要
このドキュメントでは、Finesse Supervisor Desktop に表示される情報が多すぎる場合に Cisco Unified Contact Center Express(UCCX)で発生する問題について説明し、さらにその問題の回避策についても説明します。
前提条件
要件
Finesse Desktop 搭載 UCCX バージョン 10.0 以降に関する知識があることが推奨されます。
使用するコンポーネント
このドキュメントの情報は、Finesse Desktop 搭載 UCCX バージョン 10.0 以降を基準にして記述しています。
本書の情報は、特定のラボ環境にあるデバイスに基づいて作成されたものです。 このドキュメントで使用するすべてのデバイスは、初期(デフォルト)設定の状態から起動しています。 稼働中のネットワークで作業を行う場合、コマンドの影響について十分に理解したうえで作業してください。
問題
Finesse Supervisor Desktop では、Finesse の [キューデータ(Queue Data)] タブの [音声CSQ要約レポート(Voice CSQ Summary Report)] に、UCCX で設定されている各コンタクト サービス キュー(CSQ)の統計情報が表示されます。 このレポートは、Cisco Unified Intelligence Center(CUIC)からライブ情報を取得する、組み込み型のライブ データ ガジェットです。 スーパーバイザは、エージェントの割り当て先チームを問わず、Finesse の [チームデータ(Team Data)] タブからログインしたエージェントをすべて参照することもできます。
これまでの観察によると、ログインされたすべてのキューおよびエージェントを参照できるのは、一部のスーパーバイザに限られています。 この問題は、表示される情報が多すぎることが原因で発生し、コンタクト センター環境全体に影響を及ぼします。
原因
この問題が発生する原因は、スーパーバイザをレポート ユーザとして設定することも可能であるという点にあります。 スーパーバイザを履歴レポート ユーザに設定すると、スーパーバイザは AllUsers. ReportingUsers グループにも割り当てられ、これによって、アクセス可能なコレクション リストが変更(範囲が拡張)されます。
Finesse Supervisor Desktop の [キューデータ(Queue Data)] タブには、CUIC ライブ データに基づいて、音声 CSQ 要約レポート、音声 CSQ エージェント詳細レポート、およびエージェント統計情報レポートからデータが取得されます。 スーパーバイザの範囲に対応する CSQ エントリが表示されます。スーパーバイザはレポート ユーザでもあるため、ここではそれがすべての CSQ となります。
Finesse Supervisor Desktop の [チームデータ(Team Data)] タブには、CUIC ライブ データに基づいて、エージェント統計情報レポートからデータが取得されます。 スーパーバイザの範囲に対応するエージェントが表示されます。スーパーバイザはレポート ユーザでもあるため、ここではそれがすべてのエージェントとなります。
注: デフォルトでスーパーバイザに付与されるアクセス権限は、『Cisco Unified Contact Center Express Report User Guide 10.6(1)』に記載されているライブ データ レポートへのアクセスのみに限られています。
回避策
注: この問題は、Cisco bug ID CSCus17605 に関連する拡張要求として追跡されています。
この問題の回避策を実施することで、Finesse Supervisor Desktop に表示される統計情報の範囲が狭まります。これには、[Finesse管理(Finesse Administration)] ページを経由した XML レイアウトの変更も含まれます。 ガジェットごとに URL を変更する必要があります。 次に例を示します。
注: ここに示した XML コードをコピー & ペーストしないでください。 これは例として示したものです。Finesse の XML コードの変更は、個々の事例に応じて行います。
チーム「blue」のリソースであるスーパーバイザが、チーム「blue」とチーム「red」に割り当てられている CSQ の CSQ データを確認したいが、それ以外の、これら 2 つのチームに割り当てられていない CSQ の CSQ データは必要ないという場合は、次の例に示すように、[チームリソース(Team Resources)] タブの [Finesse管理(Finesse Administration)] ページで、チーム「blue」の Finesse レイアウト XML の queueData URL を編集します。
<id>queueData</id>
<label>finesse.container.tabs.supervisor.queueDataLabel</label>
<columns>
<column>
<gadgets>
<gadget>https://localhost:8444/cuic/gadget/LiveData/LiveData
Gadget.jsp?gadgetHeight=620&viewId_1=C8E2DB1610000140000000A60A4E5E6B&filterId_1
=VoiceIAQStats.esdName=CL%20blue,%20red&viewId_2=9A7A14CE10000140000000ED0A
4E5E6B&filterId_2=VoiceCSQDetailsStats.agentId=CL%20blue,%20red&compositeFilterId
=VoiceCSQDetailsStats.AgentVoiceCSQNames.agentVoiceCSQName=CL%20blue,%20red
&viewId_3=C8EF510810000140000000EB0A4E5E6B&filterId_3=VoiceIAQStats.esdName
=CL%20blue,%20red&viewId_4=C8EE241910000140000000C30A4E5E6B&filterId_4
=VoiceIAQStats.esdName=CL%20blue,%20red</gadget>
同様に、チーム「blue」のリソースであるスーパーバイザが、チーム「blue」とチーム「red」のメンバーのチーム データを参照したいが、それ以外の、これら 2 つのチームに含まれないエージェントのチーム データは必要ないという場合は、次の例に示すように、チーム「blue」の teamData URL を編集します。
<id>teamData</id>
<label>finesse.container.tabs.supervisor.teamDataLabel</label>
<columns>
<column>
<gadgets>
<gadget>https://localhost:8444/cuic/gadget/LiveData/LiveDataGadget.jsp?
gadgetHeight=620&viewId_1=7291DCB410000140000000890A4E5B33&filterId_1=
ResourceIAQStats.resourceId=CL%20blue,%20red&viewId_2=728283C210000140000000530A4E5B33
&filterId_2=ResourceIAQStats.resourceId=CL%20blue,%20red</gadget>
この例についての重要な注記を次に示します。
- URL 内で CL のみを使用すると、スーパーバイザが権限を持っているすべてのコレクションの値がレポートに含まれます。
- URL 内で CL%20<Team_Name> が使用されている場合、<Team_Name> は、データを参照したいチームの実際の名前に置き換えます。 こうすることで、<Team_Name> のデータのみが表示されるようになります。 URL 内の <Team_Name> はプレースホルダであり、CUIC サーバに送信される前に、Finesse から CUIC ガジェット コードに渡される実際の値に置き換えます。 複数のチーム(たとえば「N」個のチーム)のデータを参照したい場合は、CL%20<Team_Name_1>,%20<Team_Name_2>,...,%20<Team_Name_N> のようにする必要があります。
- (blue が実際のチーム名であるという前提で)URL 内で CL%20blue を使用すると、blue のコレクションに所属する値のみが表示されます。
- (blue と red が実際のチーム名であるという前提で)URL 内で CL%20blue,%20red を使用すると、blue のコレクションと red のコレクションに所属する値のみが表示されます。
これらの変更は、その他のガジェットにも同様に実装する必要があります。 ライブ データのガジェット定義およびガジェット URL に関する詳細については、『Cisco Unified CCX Administration Guide, Release 10.6』を参照してください。
注: この変更はデスクトップ レイアウト上でチーム レベルで完了しなければならないので、この回避策は慎重に評価して使用する必要があります。 チーム レベルで編集を行うと、システムのデフォルト レイアウトを上書きすることができます。
注: チーム名にはスペースを使用できますが、XML レイアウトは、スペースの表現として「%20」を使用して設定する必要があります。
機能の導入
UCCX 11.6 では、新しい機能が導入されて、この問題が全面的に解決されました。 この機能は、Cisco bug ID CSCus17605 に関連する拡張要求を通じて追加されました。
UCCX 11.6 以降では、スーパーバイザは自身のチームの履歴レポートへのアクセス権限を持っているので、追加のレポート ユーザ ロールを設定する必要がありません。 このようにして、Finesse Live Data レポートにはスーパーバイザ自身のチームのみが表示されるようになり、スーパーバイザは、レポート ユーザ ロールを持つ必要なく、引き続き自チームの履歴レポートにアクセスすることができます。 任意のユーザにレポート ユーザ ロールを追加すると、すべてのレポートで全チームのエージェントおよび CSQ を参照できるアクセス権がそのユーザに付与され、Finesse ライブ データ レポートですべてのエージェントおよび CSQ を参照できるようになります。