シスコは、トランスペアレント ブリッジング、ソース ルート ブリッジング(SRB)、ソース ルート トランスペアレント ブリッジング、ソース ルート トランスレーショナル ブリッジング(SR/TLB)、FCIT カード上のトランスレーショナル ブリッジング、カプセル化ブリッジングを含むすべてのブリッジング標準をサポートしています。ここでは、トランスレーショナル ブリッジングとカプセル化ブリッジングについて取り上げます。
トランスレーショナル ブリッジング:異種のメディア アクセス制御(MAC)副層プロトコルを持つ LAN メディア間のブリッジング
カプセル化ブリッジング:シリアル回線や Fiber Distributed Data Interface (FDDI)回線などの異種のメディアを介して、あるルータから別のルータへイーサネットフレームを搬送するブリッジング
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このドキュメントの内容は、特定のソフトウェアやハードウェアのバージョンに限定されるものではありません。
このマニュアルの情報は、特定のラボ環境に置かれたデバイスに基づいて作成されました。このドキュメントで使用するすべてのデバイスは、初期(デフォルト)設定の状態から起動しています。実稼動中のネットワークで作業をしている場合、実際にコマンドを使用する前に、その潜在的な影響について理解しておく必要があります。
トランスレーショナル ブリッジングを使うと、一般に、イーサネットとトークンリング間、イーサネットと FDDI 間などの異種の LAN の間をブリッジすることができます。トランスレーショナル ブリッジングだけが、Local-Area Transport (LAT)、Maintenance Operation Protocol (MOP)、Network Basic Input/Output System (NetBIOS)などのルーティング不可能なプロトコルとの接続性を確立できます。
イーサネット/トークンリング間やイーサネット/FDDI 間をブリッジングするための変換では、ビット順序を反転させる必要があります。これは、イーサネット、トークンリング、FDDI では、MAC アドレスの内部表記が異なるためです。イーサネットは、リトル エンディアン(最下位ビットから順番に送信)で、トークンリングと FDDI はビッグ エンディアン(最上位ビットから順番に送信)です。 たとえば、各バイトは 1 ビット単位で交換する必要があるため、イーサネット上のアドレス 0000.0cxx.xxxx は、トークンリング上では 0000.30yy.yyyy として現れます。イーサネットとトークンリングはどちらも、フレームの宛先アドレスの中で最初に送信されたビットを使用して、そのフレームがユニキャストであるかマルチキャストであるかを判断します。アドレス変換をしなければ、一方のネットワーク上のユニキャスト フレーム(宛先を 1 つだけ持つ)が、もう一方のネットワーク上でマルチキャスト アドレス(複数のステーション宛て)として現れてしまうことがあります。
イーサネットとトークンリング間のブリッジングだけが、ルーティング不可能なプロトコルとの接続を確立できることを忘れないでください。MAC アドレスの中には、フレームのデータ部分で搬送されるものがあります。たとえば、Address Resolution Protocol (ARP)は、ハードウェア アドレスをリンク層フレームのデータ部分に入れます。ヘッダー内の送信元アドレスと宛先アドレスを変換するのは簡単ですが、データ部分に現れることのあるハードウェア アドレスを変換するのは比較的厄介です。イーサネットとトークンリングの間でソース ルート トランスペアレント ブリッジングまたはソース ルート トランスレーショナル ブリッジングを実行している場合、シスコ製品はデータ部分のハードウェア アドレスのインスタンスを検索しません。そのため、ルーティング不可能なプロトコルはイーサネットとトークンリング間のブリッジングを用いた場合にしか動作しません。
イーサネットと FDDI 間のトランスレーショナル ブリッジングでは、FDDI とイーサネットの壁を越えて動作するプロトコルがほとんどないため、ビット リバーサルの問題は多少深刻となります。この理由の 1 つが、MAC 層より上位の標準アドレスという概念です。FDDI の MAC 層より上位にあるアドレスはすべて、イーサネットの順序に従い標準的に順序付けされなければなりません。これは、IP が FDDI 上でどのように動作するかを示しており、シスコがイーサネットから FDDI へブリッジできる理由でもあります。残念ながら、他のプロトコルは必ずしもこのように動作するとは限りません。
イーサネットと FDDI 間でトランスレーショナル ブリッジングを実現できるプロトコルは、次のとおりです。
IP
OSI
DECnet
NetBIOS、MOP、LAT などのルーティング不可能なプロトコル
次は、イーサネットから FDDI への IP ARP 要求パケットと FDDI からイーサネットへの応答のアナライザ トレースです。ARP ヘッダー内では、FDDI は常にイーサネット MAC アドレス(標準順序)を使います。
ARP 要求パケット(イーサネットから FDDI)
Ethernet 0000 FF FF FF FF FF FF 00 00 0C 0C 01 4C 08 06 00 01 ^------------------^ |source mac address| 0010 08 00 06 04 00 01 00 00 0C 0C 01 4C 83 6C 46 02 ^------------------^ |source mac address| |in ARP header | 0020 00 00 00 00 00 00 83 6C 46 0B 00 00 00 00 00 00 0030 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 | | | \|/ FDDI 0000- 50 FF FF FF FF FF FF 00 00 30 30 80 32 AA AA 03 ^-----------------^ |bit swapped | |source mac | |address of | |0000.0c0c.014c | 0010- 00 00 00 08 06 00 01 08 00 06 04 00 01 00 00 0C ^-------- 0020- 0C 01 4C 83 6C 46 02 00 00 00 00 00 00 83 6C 46 --------^ |source mac |address in |ARP header |(ethernet format) 0030- 0B 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 0040- 00 00 00 F5 8E C1 88
ARP 応答パケット(FDDI からイーサネット)
FDDI 0000- 50 00 00 30 30 80 32 00 00 30 C0 E9 D7 AA AA 03 ^-----------------^------------------^ |source mac address|destination mac address |(bit-swapped |(bit-swapped |0000.0c03.97eb) |0000.0c0c.014c) 0010- 00 00 00 08 06 00 01 08 00 06 04 00 02 00 00 0C ^-------- 0020- 03 97 EB 83 6C 46 0B 00 00 0C 0C 01 4C 83 6C 46 --------^ ^-----------------^ |source mac |destination mac | |address in |address in ARP | |ARP header |header (ethernet | |(ethernet format) |format) | 0030- 02 23 B8 7D C2 | | | \|/ Ethernet 0000 00 00 0C 0C 01 4C 00 00 0C 03 97 EB 08 06 00 01 0010 08 00 06 04 00 02 00 00 0C 03 97 EB 83 6C 46 0B 0020 00 00 0C 0C 01 4C 83 6C 46 02 23 B8 00 00 00 00 0030 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00
カプセル化ブリッジングでは、FDDI バックボーンを経由して一方のイーサネットから他方のイーサネットへフレームを搬送できるようにするため、イーサネット フレームを FDDI フレームで包み込みます。パケットが宛先ブリッジに到着したら、それを宛先イーサネット上のホストへ転送する前にカプセル化を解除する必要があります。シスコは、トランスレーショナル ブリッジングと同様に、FDDI インタフェース上でのカプセル化ブリッジングをサポートしています。
カプセル化ブリッジングの標準はありません。ベンダーごとに実装は独自です。カプセル化ブリッジングは、DEC 環境で LAT 接続問題を解消するために適したソリューションです。