このドキュメントでは、マルチアクセス ネットワークで接続されている 2 台の Open Shortest Path First(OSPF)ルータについて説明します。
このドキュメントに特有の要件はありません。
このドキュメントの内容は、特定のソフトウェアやハードウェアのバージョンに限定されるものではありません。
ドキュメント表記の詳細は、『シスコ テクニカル ティップスの表記法』を参照してください。
このセクションでは、このドキュメントで説明する機能を設定するために必要な情報を提供しています。
注:この文書で使用されているコマンドの詳細を調べるには、「Command Lookup ツール」を使用してください(登録ユーザのみ)。
このドキュメントでは、次の図で示されるネットワーク設定を使用しています。
このドキュメントでは、次に示す設定を使用しています。
Router1.1.1.1 |
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Current configuration: hostname r1.1.1.1 interface Loopback0 ip address 1.1.1.1 255.0.0.0 interface Ethernet2/0/0 ip address 4.0.0.1 255.0.0.0 interface Ethernet2/0/2 ip address 5.0.0.1 255.0.0.0 router ospf 1 network 4.0.0.0 0.255.255.255 area 0 network 5.0.0.0 0.255.255.255 area 0 end |
Router2.2.2.2 |
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Current configuration: hostname r2.2.2.2 interface Loopback0 ip address 2.2.2.2 255.0.0.0 interface Ethernet0/0/4 ip address 6.0.0.2 255.0.0.0 interface Ethernet0/0/2 ip address 5.0.0.2 255.0.0.0 router ospf 2 network 6.0.0.0 0.255.255.255 area 0 network 5.0.0.0 0.255.255.255 area 0 end |
ここでは、設定が正しく機能していることを確認するために使用する情報を示します。
一部の show コマンドはアウトプット インタープリタ ツールによってサポートされています(登録ユーザ専用)。このツールを使用することによって、show コマンド出力の分析結果を表示できます。
show ip ospf database:リンク ステート アドバタイズメント(LSA)のリストを表示し、それらをリンクステート データベース にタイプします。このリストでは、LSA ヘッダーの情報だけが表示されます。
show ip ospf database [router] [link-state-id] :データベースにあるすべてのルータの LSA のリストを表示します。LSA は各ルータで作成され、これらの基本となる LSA には、全ルータのリンクまたはインターフェイスと、そのリンクの状態や発信コストが一覧されています。これらは、生成されたエリア内でだけフラッディングされます。
このネットワーク環境の情報が OSPF データベースにどのように格納されているかを確認するには、show ip ospf database コマンドの出力を調べます。.
r2.2.2.2#show ip ospf database OSPF Router with ID (2.2.2.2) (Process ID 2) Router Link States (Area 0) Link ID ADV Router Age Seq# Checksum Link count 1.1.1.1 1.1.1.1 107 0x80000018 0x7966 2 2.2.2.2 2.2.2.2 106 0x80000015 0x6770 2 Net Link States (Area 0) Link ID ADV Router Age Seq# Checksum 5.0.0.2 2.2.2.2 102 0x80000004 0x7E9D r2.2.2.2#show ip ospf database router 1.1.1.1 OSPF Router with ID (2.2.2.2) (Process ID 2) Router Link States (Area 0) LS age: 147 Options: (No TOS-capability, DC) LS Type: Router Links Link State ID: 1.1.1.1 !--- For router links, the Link State Id is always the !--- same as the Advertising Router. Advertising Router: 1.1.1.1 !--- This is the router ID of the router that created !--- this LSA. LS Seq Number: 80000018 Checksum: 0x7966 Length: 48 Number of Links: 2 Link connected to: a Transit Network !--- This router (1.1.1.1) has a link connected to !--- a transit network that has a designated router (DR) !--- and backup designated router (BDR) listed here. (Link ID) Designated Router address: 5.0.0.2 !--- The DR's interface IP address is 5.0.0.2. (Link Data) Router Interface address: 5.0.0.1 !--- This router's (1.1.1.1) interface address !--- connected to the DR is 5.0.0.1. Number of TOS metrics: 0 TOS 0 Metrics: 10 !--- The OSPF cost of the link is 10. Link connected to: a Stub Network !--- This represents the subnet of the Ethernet segment !--- 4.0.0.0/8. (Link ID) Network/subnet number: 4.0.0.0 (Link Data) Network Mask: 255.0.0.0 Number of TOS metrics: 0 TOS 0 Metrics: 10 !--- The cost of the link is 10. r2.2.2.2#show ip ospf database router 2.2.2.2 OSPF Router with ID (2.2.2.2) (Process ID 2) Router Link States (Area 0) LS age: 162 Options: (No TOS-capability, DC) LS Type: Router Links Link State ID: 2.2.2.2 Advertising Router: 2.2.2.2 LS Seq Number: 80000015 Checksum: 0x6770 Length: 48 Number of Links: 2 Link connected to: a Transit Network (Link ID) Designated Router address: 5.0.0.2 !--- The DR's interface IP address is 5.0.0.2. (Link Data) Router Interface address: 5.0.0.2 !--- Since these values are equal, router !--- (2.2.2.2) is the DR. Number of TOS metrics: 0 TOS 0 Metrics: 10 Link connected to: a Stub Network (Link ID) Network/subnet number: 6.0.0.0 (Link Data) Network Mask: 255.0.0.0 Number of TOS metrics: 0 TOS 0 Metrics: 10 r2.2.2.2#show ip ospf database network 5.0.0.2 OSPF Router with ID (2.2.2.2) (Process ID 2) Net Link States (Area 0) Routing Bit Set on this LSA LS age: 182 Options: (No TOS-capability, DC) LS Type: Network Links Link State ID: 5.0.0.2 (address of Designated Router) !--- This is the IP address of the DR !--- (not the router ID). Advertising Router: 2.2.2.2 !--- This is the router ID of the router that !--- created this LSA. LS Seq Number: 80000004 Checksum: 0x7E9D Length: 32 Network Mask: /8 !--- Binary and the DR's interface address with the !--- mask to get to network 5.0.0.0/8. Attached Router: 2.2.2.2 !--- The DR's router ID, along with a list of routers !--- adjacent on the transit network. Attached Router: 1.1.1.1
この項では、ルータ 1.1.1.1 から見た最短パスツリーを計算します。
ルータ 1.1.1.1 は自身の LSA を調べ、DR のインターフェイス アドレスが 5.0.0.2 であるトランジット ネットワークへのリンクがあることを確認します。次に、リンクステートIDが5.0.0.2のネットワークLSAを検索し、ネットワークLSAに接続されているルータ(ルータ1.1.1.1と2.2.2.2)のリストを見つけます。これは、これらのルータがこのトランジット ネットワーク経由で到達可能であることを意味しています。ルータ 1.1.1.1 は、自身の ID がリスト内にあることを検証できます。これにより、これらの接続されたルータのいずれかを経由するルートを計算することができます。
ルータ1.1.1.1は、ルータ2.2.2.2のLSAを検索して、同じ中継ネットワーク5.0.0.2に接続されたリンクが含まれていることを確認します。ルータ1.1.1.1は、ルータ2.2.2.2のLSA内のスタブネットワークのルートをインストールできます。
ルータ 1.1.1.1 は、ルーティング テーブルに 6.0.0.0/8 へのルートを設定します。これは、6.0.0.0/8 が自身の LSA にスタブ ネットワークとしてリストされているためです。
r1.1.1.1#show ip route ospf O 6.0.0.0/8 [110/20] via 5.0.0.2, 00:03:35, Ethernet2/0/2 r2.2.2.2#show ip route ospf O 4.0.0.0/8 [110/20] via 5.0.0.1, 00:03:18, Ethernet0/0/2
OSPF リンクステート データベースは、ブロードキャスト ネットワークまたは非ブロードキャスト ネットワークの場合には同一に見えます。主な違いは近隣探索メカニズムです。ブロードキャスト ネットワークでは、近接ルータはマルチキャスト hello パケットによって検出されます。非ブロードキャスト ネットワークの場合、近接ルータはスタティックに設定され、近接ルータ間の隣接関係を確立するためにユニキャスト hello パケットが送出されます。
非ブロードキャスト マルチアクセス(NBMA)ネットワークでのネクストホップの問題を考察するために、次の例を見てみます。これらはトランジット ネットワーク上にある 3 台のルータです(ルータ non_DR_a、ルータ non_DR_b、およびルータ DR)。 これはフレームリレー、非同期転送モード(ATM)、または X.25 のような NBMA メディア上にあるハブ アンド スポーク トポロジです。
ルータ non_DR_a がルータ non_DR_b 経由のルートを計算する場合、ルータ non_DR_b をネクストホップとします。ただし、ルータ non_DR_a にはルータ non_DR_b への 仮想回線(VC)がないため、これらのルータが互いに ping を実行することはできません。OSPF は到達できないネクストホップを含むルーティング テーブルにルートを設定します。
この問題の解決策は、2つ目のframe-relay map文を追加して、ルータDRに向かうVCを通してすべてのネイバーに到達可能にすることです。以下に、いくつかの例を示します。
interface Serial0 frame-relay map ip 1.1.1.1 700 broadcast !--- This is a map for the DR. frame-relay map ip 1.1.1.2 700 broadcast !--- This is a map on the same VC data-link connection !--- identifier (DLCI) for a non-DR router.
この挙動を Intermediate System-to-Intermediate System(ISIS)プロトコルの挙動と比較した場合、ネクストホップが近接ルータでない限り、ルータはネクストホップを経由する ISIS ルートを設定しません。このことは、ルータがフル メッシュでない場合は、マルチポイント インターフェイスで ISIS は動作しないことを意味しています。
OSPFは、ネクストホップがネイバーではなく、レイヤ2経由で到達できない場合でもルートをインストールします。ただし、この問題は複数のmap文を設定することで解決できます。
現在、この設定に関する特定のトラブルシューティング情報はありません。
改定 | 発行日 | コメント |
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1.0 |
10-Aug-2005 |
初版 |