このドキュメントでは、authenticationFailure トラップの原因となった IP アドレスの判別方法について説明しています。authenticationFailure トラップは、送信プロトコル エンティティが、正式な認証のないプロトコル メッセージのアドレス保持者であることを表しています。このトラップが発生するのは、Network Management System(NMS; ネットワーク管理システム)が誤ったコミュニティ ストリングでデバイスをポーリングした場合です。
このドキュメントの読者は次のトピックについての専門知識を有している必要があります。
MIB の定義
Simple Network Management Protocol(SNMP; 簡易ネットワーク管理プロトコル)トラップ
オブジェクト識別子(OID)
このドキュメントの情報は、次のソフトウェアとハードウェアのバージョンに基づいています。
すべてのCisco IOS®ソフトウェアリリース11.xおよび12.x
シスコのルータとスイッチのすべて
Cisco-System-MIB をサポートする Catalyst OS(CatOS)6.3.1
このドキュメントの情報は、特定のラボ環境にあるデバイスに基づいて作成されました。このドキュメントで使用するすべてのデバイスは、初期(デフォルト)設定の状態から起動しています。対象のネットワークが実稼働中である場合には、どのようなコマンドについても、その潜在的な影響について確実に理解しておく必要があります。
ドキュメント表記の詳細は、「シスコ テクニカル ティップスの表記法」を参照してください。
このトラップ自体は、一緒に取得される varbind authAddr がないと、あまり役には立ちません。varbind は、Old-Cisco-System MIB から派生する付加的な MIB オブジェクトです。authAddr には、最後に SNMP 認証が失敗した IP アドレスが示されています。次に、2 つの MIB の定義を示します。
この定義は『CISCOTRAP-MIB の定義』からの引用です。
.1.3.6.1.2.1.11.0.4 authenticationFailure OBJECT-TYPE -- FROM CISCOTRAP-MIB TRAP VARBINDS { authAddr } DESCRIPTION "An authenticationFailure trap signifies that the sending protocol entity is the addressee of a protocol message that is not properly authenticated. While implementations of the SNMP must be capable of generating this trap, they must also be capable of suppressing the emission of such traps via an implementation- specific mechanism." ::= { iso(1) org(3) dod(6) internet(1) mgmt(2) mib-2(1) snmp(11) snmp#(0) 4}
この定義は『OLD-CISCO-SYSTEM-MIB の定義』からの引用です。
.1.3.6.1.4.1.9.2.1.5 authAddr OBJECT-TYPE -- FROM OLD-CISCO-SYSTEM-MIB SYNTAX IpAddress MAX-ACCESS read-only STATUS Mandatory DESCRIPTION "This variable contains the last SNMP authorization failure IP address." ::= { ISO(1) org(3) DOD(6) Internet(1) private(4) enterprises(1) cisco(9) local(2) lsystem(1) 5 }
Cisco-General-Traps MIB を NMS システムにロードして、トラップを正しく設定する必要があります。Cisco-General-Traps MIB をコンパイルする前に、Cisco-General-Trap MIB の先頭にインポートするものがすべてリストされている必要があります。それらを次にリストします。
IMPORTS sysUpTime, ifIndex, ifDescr, ifType, egpNeighAddr, tcpConnState FROM RFC1213-MIB cisco FROM CISCO-SMI whyReload, authAddr FROM OLD-CISCO-SYSTEM-MIB locIfReason FROM OLD-CISCO-INTERFACES-MIB tslineSesType, tsLineUser FROM OLD-CISCO-TS-MIB loctcpConnElapsed, loctcpConnInBytes, loctcpConnOutBytes FROM OLD-CISCO-TCP-MIB TRAP-TYPE FROM RFC-1215;
MIB の正しい定義がすべてコンパイルされると、トラップは次のようになります。
Oct 18 16:54:04 nms-server2 snmptrapd[415]: 10.29.4.1: Authentication Failure Trap (0) Uptime: 148 days, 19:19:06.60, enterprises.cisco.local.lsystem.authAddr.0 = IpAddress: 172.18.123.63 Oct 18 16:54:05 nms-server2 snmptrapd[415]: 10.29.4.1: Authentication Failure Trap (0) Uptime: 148 days, 19:19:07.61, enterprises.cisco.local.lsystem.authAddr.0 = IpAddress: 172.18.123.63
172.18.123.63 から 10.29.4.1 をポーリングする際に、誤ったコミュニティ ストリングが使用されていることが分かります。このシステムが 10.29.4.1 デバイスにポーリングするシステムである場合、システムによって誤ったコミュニティが使用される理由を判断するために 172.18.123.63 を調査する必要があります。次に、コミュニティを正しいコミュニティ ストリングに変更します。システムが既知の NMS ではない場合、SNMP を経由して何者かがデバイスに不法侵入を試みていることが問題である可能性があります。