このドキュメントでは、フレームリレー インターフェイスでのパケット マーキングを設定するためのコマンドについて説明しています。
このドキュメントに特有の要件はありません。
このドキュメントの内容は、特定のソフトウェアやハードウェアのバージョンに限定されるものではありません。
このドキュメントの情報は、特定のラボ環境にあるデバイスに基づいて作成されました。このドキュメントで使用するすべてのデバイスは、初期(デフォルト)設定の状態から起動しています。対象のネットワークが実稼働中である場合には、どのようなコマンドについても、その潜在的な影響について確実に理解しておく必要があります。
ドキュメント表記の詳細は、『シスコ テクニカル ティップスの表記法』を参照してください。
クラスベースのパケット マーキングでは、set コマンドや、モジュラ Quality of Service(QoS)Command Line Interface(CLI; コマンドライン インターフェイス)のコマンドを使用してパケット ヘッダーのフィールド値を変更します。
現在のCisco IOS®ソフトウェアリリースでは、次のアクションを実行できます。
IP Type of Service(ToS; タイプ オブ サービス)バイトに、IP precedence ビットまたは IP Differentiated Services Code Point(DSCP; DiffServ コード ポイント)を設定する。
レイヤ 2 Class of Service(CoS; サービス クラス)値を設定する。
ローカル QoS グループ値にパケットを関連付ける。
パケットの ATM ヘッダーの Cell Loss Priority(CLP; セル損失率優先度)ビットを 0 から 1 に変更する。
入力ポリシーと出力ポリシーの両方がサポートされています。クラスベースのマーキングを設定する際には、次の制限事項に注意してください。
出力ポリシーでは、Frame Relay Traffic Shaping(FRTS; フレームリレー トラフィック シェーピング)が必要。
Cisco エクスプレス フォワーディングでスイッチングされたパケットだけがサポートされる。
次に、DSCP 値の設定例を示します。
設定例:クラスベースのマーキング |
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class-map user1 match access-group 101 ! class-map user2 match access-group 102 ! policy-map dscp class user1 set ip dscp AF11 class user2 set ip dscp AF12 ! map-class frame set-dscp service-policy input dscp ! int s0/0/0:0 no ip address encapsulation frame-relay frame-relay traffic-shaping ! int s0/0/0:0.125 frame-relay interface-dlci 125 class set-dscp |
モジュラ QoS CLI では、フレームリレー フレーム内の Discard Eligible(DE; 廃棄適性)ビットの値を変更するコマンドとして、2 つのコマンドがサポートされています。set fr-de(クラスベースのシェーピング)と set-frde-transmit(クラスベースのポリシング)です。
注:set-frde-transmitコマンドは、Any Transport over MPLS(AToM)で転送されるフレームリレートラフィックには適用されません。
フレームリレーでは、DE ビットを使用した 2 レベルのパケット プライオリティ設定方式がサポートされています。元々、フレームの相対的な重要度を表現するための DE ビット設定は、フレームリレー スイッチなどのネットワーク デバイスだけで行われていました。最近の Cisco IOS ソフトウェア リリースでは、ルータでも DE ビットを設定できます。
次の図は、フレームリレー フレームの形式を示しています。DE ビットは、フレームリレーの輻輳通知メカニズムを制御する 3 つのビットのうちの 1 つです。
クラスベースのマーキングを監視するには、次のコマンドを発行します。
show policy-map interface interface-name:指定したインターフェイス上のすべてのサービス ポリシー用に設定された全クラスに関する設定情報と統計情報を表示します。
show frame-relay pvc [dlci-number]:すべての Permanent Virtual Circuit(PVC; 相手先固定接続)コンポーネントの統計情報を表示します。これには次の統計情報が含まれています。
FRTS およびサービス ポリシーの情報
フラグメンテーション
入出力されたパケットの数
Backward Explicit Congestion Notification(BECN; 逆方向明示的輻輳通知)ビット、Forward Explicit Congestion Notification(FECN; 順方向明示的輻輳通知)ビット、および DE ビットが設定されたフレームの数
設定例:DE ビットによる照合 |
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class-map match-fr-de match fr-de !--- Define a class-map named “match-fr-de” to match packets with the FR DE bit set. ! policy-map set-de class match-fr-de set ip precedence 1 !--- All packets that match the class have IP precedence set to 1. ! map-class frame-relay pvc150 service-policy input set-DE !--- Apply the policy map to the map class. ! interface Serial0.1 point-to-point frame-relay class pvc150 frame-relay interface-dlci 150 !--- Associate a map class to the Frame Relay data-link connection identifier (DLCI). |
Router# show policy-map interface s0.1 Serial0.1 Service-policy input: set-prec Class-map: match-fr-de (match-all) 358 packets, 103820 bytes 30 second offered rate 18000 bps, drop rate 0 BPS Match: fr-de QoS Set ip precedence 1 Packets marked 359 Class-map: class-default (match-any) 643 packets, 186470 bytes 30 second offered rate 32000 BPS, drop rate 0 BPS Match: any (1201)
Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.2(2)T では、police コマンドの一部として set-frde-transmit オプションを使用することにより、DE ビットの設定がサポートされるようになりました(詳細は、『トラフィック ポリシング』を参照してください)。 これは、クラスベースのポリシングなど、レート制限メカニズムで DE ビットを設定する場合にも便利です。このような QoS ポリシーの目的は、不適合のパケットに DE ビットを設定してフレームリレーで転送することで、輻輳発生時にダウンストリームのスイッチで不適合のトラフィックをすべて廃棄できるようにすることです。
注:クラスベースのポリシングでパケットマーキングがサポートされているが、パケットをマーキングしてポリサーのトークンバケットメカニズムを通過させたくない場合にのみ、この機能を使用することをお勧めします。
次の設定例では、police コマンドを使用して、トラフィック総量を 800 Kbps に制限しています。適合するトラフィックはすべて IP precedence 7 で転送され、不適合のトラフィックには DE ビットが設定されます。
設定例:DE ビットの設定 |
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policy-map set-DE class class-default police 800000 1000 1000 conform-action set-prec-transmit 7 exceed-action set-frde-transmit violate-action set-frde-transmit ! map-class frame-relay pvc100 frame-relay traffic-rate 1000000 frame-relay mincir 1000000 service-policy input set-DE ! interface S0/0 no ip address encapsulation frame-relay frame-relay traffic-shaping ! interface Serial0/0.1 point-to-point ip address 10.1.1.1 255.255.255.252 no ip directed-broadcast frame-relay class pvc100 frame-relay interface-dlci 100 |
router# show policy-map set-DE Policy Map set-DE Class class-default police 800000 1000 1000 conform-action set-prec-transmit 7 exceed-action set-frde-transmit violate-action set-frde-transmit router# show frame-relay PVC 100 PVC Statistics for interface Serial0 (Frame Relay DTE) DLCI = 100, DLCI USAGE = LOCAL, PVC STATUS = STATIC, INTERFACE = Serial0/0.1 input pkts 0 output pkts 13000 in bytes 0 out bytes 3770000 dropped pkts 0 in FECN pkts 0 in BECN pkts 0 out FECN pkts 0 out BECN pkts 0 in DE pkts 0 out DE pkts 4447 out bcast pkts 0 out bcast bytes 0 PVC create time 00:51:50, last time PVC status changed 00:51:50 service policy set-DE Service-policy output: set-DE (1069) Class-map: class-default (match-any) (1071/2) 11519 packets, 3340510 bytes 30 second offered rate 1140000 BPS, drop rate 0bps Match: ip precedence 1 (1075) police: 800000 BPS, 1000 limit, 1000 extended limit conformed 4448 packets, 1289920 bytes; action: set-prec-transmit 7 exceeded 11 packets, 3190 bytes; action: set-frde-transmit violated 8475 packets, 2457750 bytes; action: set-frde-transmit conformed 394000 BPS, exceed 1000 BPS violate 749000 BPS Output queue size 20/max total 600/drops 1451
設定をテストする際には、次の点に注意してください。
クラスベースのマーキングでは Cisco エクスプレス フォワーディングが必要です。Cisco エクスプレス フォワーディングが有効になっていない場合は、グローバル コンフィギュレーション モードで ip cef コマンドを発行して有効にしてください。
元々、クラスベースのマーキングは Cisco エクスプレス フォワーディングでスイッチングされたパケットだけに適用されるものでした。そのため、同じルータで ping を使用してトラフィックを生成した場合、それらのパケットはプロセス スイッチングによって処理されるため、一致するパケットのカウンタは増加しませんでした。
ルータで生成されたパケットに対するクラスベースのマーキングは、Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.2(6.8)T からサポートされるようになりました。
Cisco 7200シリーズ、Cisco 2600/3600シリーズ、およびその他の非ルート/スイッチプロセッサ(RSP)プラットフォームでは、サービスポリシーをマップクラス内で適用する必要があります。フレームリレーPVCに直接適用することはできません。出力ポリシーでは FRTS が必要です。FRTS を有効にするには、frame-relay traffic-shaping コマンドを使用します。このコマンドでは PVC キューが設定されます。そのため、通常、サービス ポリシーは DLCI 設定モードまたは PVC 内で設定する必要があります。
現在の Cisco IOS ソフトウェア リリースでは、インターフェイス、サブインターフェイス、および VC へのポリシー マップの適用(service-policy コマンドを使用)が、フレームリレー インターフェイスでサポートされています。次の表に、サポートされるポリシーの組み合わせを示します。
入力ポリシー | 出力ポリシー |
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1 つの論理インターフェイス上でサポート複数の PVC など、ピアである複数の論理インターフェイス上でサポート 注:メインインターフェイスとサブインターフェイスはピアインターフェイスではなく、サービスポリシーを同時にサポートすることはできません。 |
1 つまたは 2 つの論理インターフェイス上で同時にサポート有効な組み合わせ
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元々は、set コマンドを使用して直接メイン インターフェイスにサービス ポリシーを設定しても、サブインターフェイスのトラフィックはマーキングされませんでした。次の例は、この問題の症状を示しています。
Interface Serial5/1:1 no ip address encapsulation frame-relay no keepalive service-policy output set !--- Avoid the placement of a service policy on a main interface. no fair-queue frame-relay class data-map frame-relay traffic-shaping ! interface Serial5/1:1.1 point-to-point ip address 23.0.0.2 255.0.0.0 frame-relay interface-dlci 300 giulia# show policy-map interface Serial5/1:1 Service-policy output: set Class-map: prec-0 (match-all) 100 packets, 10400 bytes !--- Packets are classified correctly. 5 minute offered rate 0 BPS, drop rate 0 BPS Match: ip precedence 0 QoS Set ip precedence 1 Packets marked 0 !--- No packets are marked. Class-map: class-default (match-any) 0 packets, 0 bytes 5 minute offered rate 0 BPS, drop rate 0 BPS Match: any
回避策は、サービス ポリシーをサブインターフェイスに適用することです。
新しい Cisco モジュラ QoS CLI 構文をサポートしていない Cisco IOS ソフトウェア リリースでは、Cisco のレガシー DE マーキング構文を使用して DE ビットを設定できます。レガシー構文では、DE リストを使用して、廃棄の対象となるパケットの特性を指定します。また、影響を受ける DLCI を識別する DE グループも指定できます。
Router(config)# frame-relay de-list list-number {protocol protocol | interface typenumber} characteristic !--- Issue this command on one line.
DE リストはプロトコルやインターフェイスに基づいて作成できます。また、パケットのフラグメンテーション、特定の Transmission Control Protocol(TPC; 伝送制御プロトコル)ポート、User Datagram Protocol(UDP; ユーザ データグラム プロトコル)ポート、アクセス リスト番号、パケット サイズなど、さまざまな特性に基づいて DE リストを作成することも可能です。詳細は、『Cisco IOS ワイドエリア ネットワーキング コマンド リファレンス』で frame-relay de-list コマンドの説明を参照してください。
DE リストと影響を受ける DLCI を指定する DE グループを定義するには、インターフェイス コンフィギュレーション モードで、frame-relay de-group group-number dlci コマンドを発行します。
改定 | 発行日 | コメント |
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1.0 |
18-Aug-2005 |
初版 |