この文書では、Cisco 12000 シリーズ インターネット ルータのメモリの詳細の概要を説明します。
このドキュメントに特有の要件はありません。
このドキュメントの情報は、次のハードウェアに基づいています。
Cisco 12000 シリーズ インターネット ルータ
このドキュメントの情報は、特定のラボ環境にあるデバイスに基づいて作成されました。このドキュメントで使用するすべてのデバイスは、初期(デフォルト)設定の状態から起動しています。対象のネットワークが実稼働中である場合には、どのようなコマンドについても、その潜在的な影響について確実に理解しておく必要があります。
ドキュメント表記の詳細は、『シスコ テクニカル ティップスの表記法』を参照してください。
GRP には次のタイプのメモリが取り付けられています。
ダイナミック RAM も、メイン メモリまたはプロセッサ メモリとして使用されます。GRP とライン カード(LC)の両方に DRAM が取り付けられており、これによってオンボード プロセッサで Cisco IOS® ソフトウェアが動作でき、ネットワークのルーティング テーブルが保存できます。GRP では、ルート メモリの容量について、工場出荷時のデフォルトである 128 MB から最大の 512 MB まで設定を変更することができます。
GRP のプロセッサは、オンボードの DRAM を使用して、次の項目を含むさまざまな重要なタスクを実行しています。
Cisco IOS ソフトウェア イメージの実行
ネットワークのルーティング テーブルの保存と管理
取り付けられているラインカードに Cisco IOS ソフトウェア イメージをロード
更新されたルーティング テーブルを書式化し、取り付けられているライン カードに配布
取り付けられているカードの温度や電圧のアラーム状態を監視し、必要な場合にシャットダウンする
コンソール ポートをサポートし、取り付けられている端末を使用してルータを設定できるようにする
ネットワークのルーティング プロトコルに参加し(そのネットワーク環境にある他のルータと一緒に)、ルータ内部のルーティング テーブルを更新する
GRP に 2 つあるルート メモリ用 DIMM ソケットは、U39(ルート メモリ バンク 1)および U42(ルート メモリ バンク 2)とそれぞれにラベルで示されており、128 MB から 256 MB まで任意の増分でルート メモリを構成できます。次の表では、設定可能なルート メモリの構成、Cisco 12000 シリーズの GRP 用の製品番号を一覧しています。ルート メモリのデフォルトの構成は 128 MB です。現在 GRP で U39 ソケットに 64MB DIMM が 1 枚取り付けられている場合、2 枚目の 64MB DIMM を U42 ソケットに取り付けるか、既存の 64MB DIMM を取りはずして 128MB DIMM 1 枚をその場所に取り付ける方法でアップデートできます。
要求されるルート メモリの合計1 | シスコ製品番号 | DIMM モジュール | DRAM DIMM ソケット |
---|---|---|---|
64 MB | MEM-GRP/LC-64=2 | 64MB DIMM 1 枚 | U39 または U42 |
128 MB | MEM-GRP/LC-128= | 128MB DIMM 1 枚 | U39 |
256 MB | MEM-GRP/LC-256=3 | 128MB DIMM 2 枚 | U39 および U42 |
256 MB | MEM-GRP-256=4 | 256MB DIMM 1 枚 | U39 |
512 MB | MEM-GRP-512=5 | 256MB DIMM 2 枚 | U39 および U42 |
1異なるメモリ サイズを混在させないでください。2 つの DIMM をインストールする場合、どちらの DIMM も同じサイズでなければなりません。
2以前のデフォルトの 64MB のメモリが GRP に装着されている場合、このオプションによって 2 枚目の 64MB DIMM が追加されるため、合計で 128 MB になります。
3この製品の販売はすでに終了しています。シスコ製品番号 MEM-GRP-256= に交換してください。
4MEM-GRP-256= と互換性があるのは製品番号 GRP-B= だけです。さらに、Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.0(19)S、12.0(19)ST、またはそれ以降が必要です。ROMMON リリース 11.2(181) 以降も必要です。
5GRP に 512 MB のルート メモリを装着する場合は、互換性があるのは製品番号 GRP-B= だけです。さらに、Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.0(19)S、12.0(19)ST、またはそれ以降が必要です。ROMMON リリース 11.2(181) 以降も必要です。
show diag コマンドでは、すべての GRP カードについて、「FRU:Linecard/Module:GRP-B=」と表示されます。これは、カードのタイプが GRP= または GRP-B= かによりません。Electrically Erasable Programmable ROM(EEPROM)は,これらのカードで正常に書き込みができないことがあるため、カードの識別を可能にする回避策が作成されました。この問題は、CSCdx62997 - GRP FRU の変更を行った Cisco IOS ソフトウェア バージョン 12.0(22)S 以降で解決されています。12.0(22)S より後の Cisco IOS ソフトウェア リリースを実行している場合、show diag コマンドの出力を利用できます。
一方、12.0(22)S より前の Cisco IOS ソフトウェア バージョンを実行している場合、GRP を確認する最も手軽な方法は、show diag 出力の 2 行目を見ることです。そこには、GRP の存在するスロット番号が示されています。
MAIN:タイプ 19、800-2427-01 は GRP です。
MAIN:タイプ 19、800-2427-03 は、新しい ROMMON バージョン 181 搭載の、DRAM が 512 MB まで可能なオプションを含む GRP-B です。
12.0(22)S より前のリリースで GRP-B として表示される通常の GRP に対する show diag コマンドの出力例を、以下に示します。この例では、800 という数値を使用する必要があります。
Router#show diag 0 SLOT 0 (RP/LC 0 ): Route Processor MAIN: type 19, 800-2427-01 rev J0 dev 16777215 HW config: 0xFF SW key: FF-FF-FF PCA: 73-2170-03 rev G0 ver 3 HW version 1.4 S/N CAB03515XTY MBUS: MBUS Agent (1) 73-2146-07 rev B0 dev 0 HW version 1.2 S/N CAB03505RM6 Test hist: 0xFF RMA#: FF-FF-FF RMA hist: 0xFF DIAG: Test count: 0xFFFFFFFF Test results: 0xFFFFFFFF FRU: Linecard/Module: GRP-B= !--- This is where the confusion lies; it is actually a GRP. it is actually a GRP. Route Memory: MEM-GRP/LC-256= MBUS Agent Software version 01.46 (RAM) (ROM version is 02.02) Using CAN Bus A ROM Monitor version 180 Primary clock is CSC 1 Board is analyzed Board State is IOS Running (ACTV RP ) Insertion time: 00:00:03 (16w6d ago) DRAM size: 268435456 bytes
使用している Gigabit Route Processor(GRP; ギガビット ルート プロセッサ)のタイプと現在の ROMMON のバージョンが分かれば、次の異なる可能性を考慮することができます。
GRP - 512 MB のオプションをサポートしていません。このカードは GRP-B に交換する必要があります。
ROMMON バージョン 180 搭載の GRP-B - まず Cisco IOS ソフトウェア リリースを 12.0(19)S 以降にアップグレードする必要があります。次に、upgrade rom slot X コマンドを使用して ROMMON バージョンを手動でアップグレードすることができます(X は GRP があるスロット番号)。
これらの作業が完了したら、『ルート プロセッサのルート メモリの交換とアップグレード』で説明されている手順に従って、メモリを物理的にアップグレードします。
ROMMON バージョン 181 以降搭載の GRP-B - Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.0(19)S 以降が実行されていることを確認する必要があります。その後、「ルート プロセッサのルート メモリの交換とアップグレード」で説明されている手順に従って、メモリを物理的にアップグレードします。
GRP には最低でも 128MB の DRAM が必要です。GRP が完全なボーダー ゲートウェイ プロトコル(BGP)インターネット テーブルを処理しなければならない場合、256 MB を推奨します。128MB でも十分な場合があります。必要な総メモリ数は、BGP ピアの数など、多くの要素に依存します。安全策をとるには、現在のトポロジで 256MB を推奨します。インターネット ルーティング テーブルの成長率を考えると、将来それで十分な場合もあれば、そうでない場合もあります。
SRAM は、二次的な CPU キャッシュ メモリとなります。標準的な GRP 構成は 512 KB です。主な機能は、ライン カードとの間でのルーティング テーブル更新情報のステージング エリアとして機能することです。SRAM はユーザによる構成やフィールドでのアップグレードができません。
GRP での DRAM メモリのサイズ調整の詳細については、『シスコ 12000 シリーズ インターネット ルータでのルート プロセッサとライン カードのメモリの推奨事項』を参照してください。
オンボードのフラッシュ メモリと PCMCIA カード ベースのフラッシュ メモリでは、いずれも、複数の Cisco IOS ソフトウェアおよびマイクロコード イメージをリモートにロードしたり保存したりすることが可能です。新しいイメージは、ネットワーク経由またはローカル サーバからダウンロードできます。その後、その新しいイメージをフラッシュ メモリに追加するか、既存のファイルを新しいイメージで置き換えることができます。保存されたイメージを使用して手作業または自動でルータをブートできます。フラッシュ メモリは、TFTP(Trivial File Transfer Protocol)サーバとしても機能し、他のサーバを保存されているイメージからリモートで起動したり、そのイメージを他のサーバのフラッシュ メモリに保存したりできます。
オンボード フラッシュ メモリ(ブートフラッシュと呼ばれます)は U17 ソケットにあり、GRP 上で Cisco IOS ソフトウェアのブート イメージと他のユーザ定義のファイルを保持しています。これは 8MB の SIMM で、ユーザによる設定やフィールドでのアップグレードは行えません。また、ブート イメージをメインの Cisco IOS ソフトウェア イメージと同期させておくことが常に推奨されます。
このフラッシュ メモリ カードには、Cisco IOS ソフトウェア イメージが保存されています。フラッシュ メモリ カードは、製品番号 MEM-GRP-FL20= として入手可能であり、スペアとして、またはシスコ 12000 シリーズ システムの一部として出荷される、20 MB PCMCIA フラッシュ メモリ カードです。このカードは GRP の 2 つの PCMCIA スロットのどちらかに装着します。これにより、Cisco IOS ソフトウェアが GRP メイン メモリにロードされます。タイプ 1 とタイプ 2 の両方の PCMCIA カードを使用できます。
PCMCIA フラッシュ カードと各種プラットフォームとの互換性については、PCMCIA ファイルシステムの互換性一覧を参照してください。
NVRAM に記録される情報は不揮発性です。これは、システムが再ロードされた後もその情報がメモリ上に残ることを意味します。システム コンフィギュレーション ファイル、ソフトウェア構成レジスタの設定、そして環境監視ログなどが 512KB の NVRAM に記録されます。これは最低 5 年間は内容を保持できる内蔵リチウム電池でバックアップされています。NVRAM は、設定可能またはフィールド アップグレード可能なユーザではありません。
GRP 上の EPROM には ROM モニタが含まれます。これにより、フラッシュ メモリ SIMM にブート ヘルパー イメージがない場合は、フラッシュ メモリ カードからデフォルトの Cisco IOS ソフトウェア イメージをブートできます。有効なイメージが見つからない場合、ブート プロセスは ROMMON モードになります。これは、主要 Cisco IOS ソフトウェアのサブセットであり、基本的なコマンドが許可されます。512KB のフラッシュ EPROM は、ユーザによる設定もフィールドでのアップグレードも行えません。
ライン カードには、ユーザによる設定が可能な次の 2 つのタイプのラインカード メモリがあります。
ルート メモリまたはプロセッサ メモリ(DRAM 内に存在)
パケット メモリ(SDRAM 内に存在)
ライン カード メモリの構成とメモリ ソケットの位置は、ライン カードのエンジンのタイプに応じて異なります。一般に、すべてのラインカードはプロセッサまたはルート メモリのメモリ設定オプションの共通セットを共有しますが、ライン カード構築の対象となるエンジンのタイプに基づいてパケット メモリ用に別のデフォルトおよび最大構成がサポートされます。
1 つのライン カードでどのレイヤ 3 エンジン タイプが使用されているかを調べるには、以下の表を参照してください。Cisco IOS ソフトウェア 12.0(9)S 以降を実行している場合、次のコマンドを実行できます。
Router#show diag | i (SLOT | Engine) ... SLOT 1 (RP/LC 1 ): 1 port ATM Over SONET OC12c/STM-4c Multi Mode L3 Engine: 0 - OC12 (622 Mbps) SLOT 3 (RP/LC 3 ): 3 Port Gigabit Ethernet L3 Engine: 2 - Backbone OC48 (2.5 Gbps) ...
ラインカードでは、メイン メモリを工場出荷時デフォルトの 128MB(エンジン 0、1、2)から最大構成の 256MB までの範囲で設定することが可能です。256MB はエンジン 3 および 4 のラインカードではデフォルトです。
注:1つのラインカードにCisco Express Forwarding(CEF)テーブルをロードするのに十分なDRAMがない場合、Cisco Express Forwardingは自動的に無効になります。これは 12000 シリーズ インターネット ルータで使用可能な唯一のスイッチング方式であるため、ライン カード自体は無効になります。
ラインカードのパケット メモリは、ラインカード プロセッサによるスイッチングの決定を待つデータ パケットを一時的に保存します。ライン カード プロセッサによりスイッチングの決定がされると、パケットは、適切なライン カードへ転送のため、ルータのスイッチ ファブリックに伝搬されます。ライン カードが動作するためには、受信パケット メモリ デュアル インライン メモリ モジュール(DIMM)ソケットと、送信パケット メモリ DIMM ソケットの両方のデータを設定する必要があります。受信バッファと送信バッファは互いに異なるメモリ サイズで動作できますが、バッファに装着される SDRAM DIMM(受信、送信のいずれか)は、タイプとサイズが同じである必要があります。
エンジンのタイプ | デフォルト パケット メモリ | アップグレード可能 | アップグレード用製品 |
---|---|---|---|
エンジン 0 | MEM-LC-PKT-128= | No | |
エンジン 1 | MEM-LC1-PKT-256= | No | |
エンジン 2 | MEM-LC1-PKT-256= | Yes | MEM-PKT-512-UPG= |
エンジン 3 | 512MB - FRU なし | No | |
エンジン 4 | MEM-LC4-PKT-512= | No |
エンジン 0 および 1 ライン カード(図 2 を参照)には、パケット バッファ メモリのために 4 つの SDRAM DIMM ソケットが含まれています。これらのソケットは次のように対になります。
受信(Rx)バッファ:RX DIMM0 および RX DIMM1 とラベル付けされた 2 つの SDRAM DIMM ソケット
送信(TX)バッファ:TX DIMM0 および TX DIMM1 とラベル付けされた 2 つの SDRAM DIMM ソケット
エンジン 2 ライン カード(図 3 を参照)には、バッファ メモリのために 4 つの SDRAM DIMM ソケットが含まれています。これらのソケットは次のように対になります。
送信(TX)バッファ:TX DIMM0 および TX DIMM1 というラベルの付いた 2 つの SDRAM DIMM ソケット
受信(Rx)バッファ:RX DIMM0 および RX DIMM1 とラベル付けされた 2 つの SDRAM DIMM ソケット
show diag コマンドの出力には、受信および送信のパケット メモリの量が表示されます。
Router#show diag SLOT 1 (RP/LC 1 ): 1 Port SONET based SRP OC-12c/STM-4 Single Mode .... FrFab SDRAM size: 134217728 bytes, SDRAM pagesize: 8192 bytes !-- Transmit packet memory ToFab SDRAM size: 134217728 bytes, SDRAM pagesize: 8192 bytes !-- Receive packet memory ....
パケット メモリの詳細については、『show controllers frfab の出力の読み方』を参照してください。 | tofab queueコマンド(Cisco 12000シリーズインターネットルータ上)
また、エンジン 2 ライン カードには、ポインタ ルックアップ(PLU)およびテーブル ルックアップ(TLU)メモリのための 1 つの SDRAM DIMM ソケット(図 3 を参照)、また TLU メモリのための 1 つの SDRAM DIMM ソケットが装備されています。PLU メモリと TLU メモリは、現在はユーザによる設定ができません。
エンジン 0 およびエンジン 1 のライン カードには、6 つの DIMM ソケットが装備されています。
図 2:エンジン 0 およびエンジン 1 のライン カードでのメモリの位置
ルート メモリ用の DIMM ソケット 2 つ
パケット バッファ DIMM ソケット 2 組(Rx と Tx の対)
エンジン 2 ライン カードには、8 つの DIMM ソケットが装備されています。
図 3:エンジン 2 のライン カードでのメモリの位置
ルート メモリ用の DIMM ソケット 2 つ
パケット バッファ DIMM ソケット 2 組(Rx と TX の対)
ポインタ ルックアップ(PLU)メモリ用 DIMM ソケット(ユーザによる設定不可)
テーブル ルックアップ(TLU)メモリ用 DIMM ソケット(ユーザによる設定不可)
次の表では、使用可能なルート メモリの構成と、Cisco 12000 シリーズのラインカードでのルート メモリのアップグレードに使用できる DRAM DIMM の製品番号を一覧しています。
Cisco 12000 シリーズのラインカードのルート メモリの構成 | |||
---|---|---|---|
要求されるルート メモリの合計 | シスコ製品番号 | DIMM モジュール | ルート メモリ用 DIMM ソケット |
64 MB | MEM-GRP/LC-64=1 | 64MB DIMM 1 枚 | DIMM0 または DIMM1 |
128 MB | MEM-DFT-GRP/LC-1282 | 128MB DIMM 1 枚 | DIMM0 または DIMM1 |
128 MB | MEM-GRP/LC-128=3 | 128MB DIMM 1 枚 | DIMM0 または DIMM1 |
256 MB | MEM-GRP/LC-256= | 128MB DIMM 2 枚 | DIMM0 または DIMM1 |
1このオプションは、以前 64 MB を装備していたラインカードに対し、2 番目の 64 MB DIMM を追加し、合計 128 MB とします。
2エンジン 0、1、または 2 のラインカード上のプロセッサ用の標準(デフォルト)の DRAM DIMM 設定は 128 MB で、エンジン 3 または 4 のラインカードの場合は 256 MB です。
3すでに 128MB の DIMM が装着されている LC の場合、このオプションを使用してスペアのモジュールを注文したり、2 枚目の 128MB DIMM として装着して合計で 256MB にすることもできます。
メモリ交換に関するガイドラインについては、『Cisco 12000 シリーズ ギガビット スイッチ ルータ メモリ交換手順』を参照してください。
メモリの推奨事項に関するガイドラインについては、『シスコ 12000 シリーズ インターネット ルータでのルート プロセッサとライン カードのメモリの推奨事項』を参照してください。