このドキュメントでは、インターネットルーティングテーブルの増大が原因で発生する一般的な問題を特定して解決する方法について説明します。Tridentベースのラインカードがプレフィクス制限に達し、メッセージ%ROUTING-FIB-4-RSRC_LOWが発生し、ラインカードでトラフィックが失われます。
インターネット ルーティング テーブルのプレフィクス数が 500,000 に近づくと、Trident ベース(イーサネット)ライン カードを搭載した、デフォルトのスケール プロファイルを使用する Cisco ASR 9000 シリーズ アグリゲーション サービス ルータで問題が発生する場合があります。ASR 9000 の Trident ベースのライン カードは、デフォルトで最大 512,000 個のレイヤ 3(L3)プレフィクスをサポートします。ルータがインターネット テーブルを完全に伝送する場合や、Interior Gateway Protocol(IGP)および L3 VPN をルーティングする場合は、この制限に簡単に到達してしまいます。
Typhoon ベース(拡張イーサネット)のライン カードは、デフォルトでより大きなプレフィクス数をサポートしています。そのため容量がより大きく、通常は調整は必要ありません。Typhoon ベースのライン カードは、デフォルトで 400 万個の IPv4 プレフィクスと 200 万個の IPv6 プレフィクスをサポートしています。
Trident ベースのライン カードと Typhoon ベースのライン カードの違いについては『ASR 9000 シリーズのライン カードのタイプ』を参照してください。
Trident ベースのライン カードのプレフィクス制限に到達すると、ルータは次のようなメッセージを記録します。
LC/0/2/CPU0:Dec 6 01:24:14.110 : fib_mgr[169]: %ROUTING-FIB-4-RSRC_LOW :
CEF running low on DATA_TYPE_TABLE_SET resource memory. CEF will now begin
resource constrained forwarding. Only route deletes will be handled in this
state, which may result in mismatch between RIB/CEF. Traffic loss on certain
prefixes can be expected. CEF will automatically resume normal operation, once
the resource utilization returns to normal level.
Trident ベースのライン カードが「%ROUTING-FIB-4-RSRC_LOW」というメッセージを表示すると、一部のプレフィクスの停止が起こります。この問題が発生した場合の簡単なソリューションはないため、この問題が発生することを常に想定し、予防策を講じることを推奨します。
問題を分析するには、次のコマンドの出力をキャプチャしてください。
show cef platform resource location コマンドは、各ハードウェア リソースのエントリの数と、対応するエントリの最大数を提供します。
RP/0/RSP0/CPU0:router#sh cef platform resource location 0/1/CPU0
Node: 0/1/CPU0
----------------------------------------------------------------
<snip>
-------------------------------------------------------------
IPV4_LEAF_P usage is same on all NPs
NP: 0 struct 23: IPV4_LEAF_P (maps to ucode stru = 54)
Used Entries: 471589 Max Entries: 524288
-------------------------------------------------------------
この例のライン カードは 471,000 個のプレフィクスを伝送しますが、これは Trident ベースのライン カードでサポートされるデフォルトのプレフィクス制限数の 512,000 に近い値です。インターネットでプレフィクスのコンバージェンスが発生したり、プレフィクスが突然増加したりと不安定な場合は、しきい値を超え、ライン カードがアウトオブリソース モードになる可能性があります。
Cisco IOS ソフトウェア リリース 4.3.2 以降では、show cef platform resource location コマンドは長い時間(最大 15 分)を要するので、コマンドが機能していないと誤認する可能性があります。リリース 4.3.2, 5.1.1 以降では、代わりに show cef platform resource summary location コマンドを使用します。
RP/0/RSP0/CPU0:router2#show cef platform resource summary loc 0/2/cpu0
OBJECT USED MAX AVAILABLE
RPF_STRICT 0 262144 262144
IPv4_LEAF_P 114 4194304 4194190
IPv6_LEAF_P 57 2097152 2097095
LEAF 716 4194304 4193588
TX_ADJ 652 524288 523636
NR_LDI 715 2097152 2096437
TE_NH_ADJ 0 65536 65536
RX_ADJ 27 131072 131045
R_LDI 662 131072 130410
L2VPN_LDI 0 32768 32768
EXT_LSPA 630 524288 523658
IPv6_LL_LEAF_P 0 262144 262144
スケール プロファイルは、使用方法に応じてルータを効率よく活用するために、ユーザが変更できる設定です。
詳細については、『Cisco ASR 9000 シリーズ ルータのプロファイルの設定』を参照してください。
L2 VPN 転送エントリ(mac-address-table、bridge-domains など)の数は、スケール プロファイルが変更されると減少します。転送リソースは、これらの機能間で共有する必要があるため、このソリューションは、ルータが L3 サービスと L2 サービスの両方を提供するときは慎重に行う必要があります。
Cisco Support Forum の『ASR9000/XR のルートのスケールについて』では、役に立つ情報を提供しています。
管理コンフィギュレーション モードからスケール プロファイルを設定するには、hw-module profile scale コマンドを使用します。スケール プロファイルがグローバル コンフィギュレーションでも設定されている場合、管理コンフィギュレーションの設定をコピーし、グローバル コンフィギュレーションは削除する必要があります。
この例では、スケール プロファイルを L3 スケール プロファイルに変更しています。
RP/0/RSP1/CPU0:router#admin
RP/0/RSP1/CPU0:router(admin)#config
RP/0/RSP1/CPU0:router(admin-config)#hw-module profile scale ?
default Default scale profile
l3 L3 scale profile
l3xl L3 XL scale profile
RP/0/RSP1/CPU0:router(admin-config)#hw-module profile scale l3
In order to activate this new memory resource profile, you must manually reboot
the line cards.
RP/0/RSP1/CPU0:router(admin-config)#commit
RP/0/RSP1/CPU0:router(admin-config)#end
RP/0/RSP1/CPU0:router(admin)#exit
RP/0/RSP1/CPU0:router#
新しいプロファイルを有効にするには、ライン カードを手動でリロードする必要があります。このときライン カードを経由するトラフィックが数分間中断されます。
RP/0/RSP1/CPU0:router#hw-module location 0/0/CPU0 reload
WARNING: This will take the requested node out of service.
Do you wish to continue?[confirm(y/n)]y
RP/0/RSP1/CPU0:router#
非常にまれなケースですが、必要な L2 および L3 転送エントリの数を提供するスケール プロファイルがない場合があります。この場合のソリューションは、Trident ベースのライン カードから、デフォルトで 400 万個の IPv4 転送エントリをサポートする Typhoon ベースのライン カードにアップグレードするしかありません。
今後のリリースでは、デフォルトのスケール プロファイルが変更される予定です。シスコのバグ ID CSCul97045「レイヤ 3 スケール プロファイルを Trident のライン カードのデフォルトに」は、機能のリクエストです。これは、デフォルトのスケール プロファイルを現在の L3 プロファイルに一致するように変更し、現在のデフォルトに一致する新しい L2 スケール プロファイルを導入するよう要求しています。
改定 | 発行日 | コメント |
---|---|---|
1.0 |
06-Jan-2014 |
初版 |