このドキュメントでは、ソフトウェア リリース 9.1.5 およびリリース 9.2.(1) 以降の Cisco 適応型セキュリティ アプライアンス(ASA)5500-X シリーズ ファイアウォールで使用できる新しい簡易ネットワーク管理プロトコル(SNMP)機能について説明します。
このドキュメントに特有の要件はありません。
このドキュメントの情報は、Cisco ASA® ソフトウェア リリース 9.1.5 およびリリース 9.2.(1) 以降が稼働する Cisco ASA 5500-X シリーズ ファイアウォールに基づくものです。
このドキュメントの情報は、特定のラボ環境にあるデバイスに基づいて作成されました。このドキュメントで使用するすべてのデバイスは、初期(デフォルト)設定の状態から起動しています。対象のネットワークが実稼働中である場合には、どのようなコマンドについても、その潜在的な影響について確実に理解しておく必要があります。
ASA バージョン 9.1.5 および 9.2.1 では、次の SNMP 拡張機能が導入されました。
この機能により、現在の 32 個を超える SNMP ホストを ASA でサポートできるようになります。
現在、ASA には合計 32 個の SNMP ホストのハード制限があります。これには、トラップ用とポーリング用に設定できるホストが含まれています。以下の項では、この機能がシングルおよびマルチコンテキスト モードに与える影響について説明します。
SNMP ホストの大規模なプールからネットワーク デバイスを監視する必要がある場合があります。理想的には、ネットワーク デバイスを監視できる IP アドレスの IP 範囲またはサブネット、あるいはその両方を指定する機能が必要です。現在の ASA にはこのような柔軟性がなく、SNMP ホストの最大数は 32 個に制限されています。
この機能のサポートには、次の 2 つの側面があります。
ASA の現在の設計では、CLI で個々のホストを設定できるようになっています。この機能では、さらに次の設計要件が考慮されました。
この機能に関連するソフトウェアの制限事項および注意事項を次に示します。
以下が一例です。
object network network1
range 64.103.236.40 64.103.236.50
object network network2
range 64.103.236.35 64.103.236.55
snmp-server host-group inside network1 poll version 3 user-list SNMP-List
snmp-server host-group inside network2 poll version 3 user-list SNMP-List
ホスト エントリを表示するには、show snmp-server host コマンドを入力します。
asa(config)# show snmp-server host
host ip = 64.103.236.35, interface = inside poll version 3 cisco1
host ip = 64.103.236.36, interface = inside poll version 3 cisco1
host ip = 64.103.236.37, interface = inside poll version 3 cisco1
host ip = 64.103.236.38, interface = inside poll version 3 cisco1
host ip = 64.103.236.39, interface = inside poll version 3 cisco1
host ip = 64.103.236.40, interface = inside poll version 3 cisco1
host ip = 64.103.236.41, interface = inside poll version 3 cisco1
host ip = 64.103.236.42, interface = inside poll version 3 cisco1
host ip = 64.103.236.43, interface = inside poll version 3 cisco1
host ip = 64.103.236.44, interface = inside poll version 3 cisco1
host ip = 64.103.236.45, interface = inside poll version 3 cisco1
host ip = 64.103.236.46, interface = inside poll version 3 cisco1
host ip = 64.103.236.47, interface = inside poll version 3 cisco1
host ip = 64.103.236.48, interface = inside poll version 3 cisco1
host ip = 64.103.236.49, interface = inside poll version 3 cisco1
host ip = 64.103.236.50, interface = inside poll version 3 cisco1
host ip = 64.103.236.51, interface = inside poll version 3 cisco1
host ip = 64.103.236.52, interface = inside poll version 3 cisco1
host ip = 64.103.236.53, interface = inside poll version 3 cisco1
host ip = 64.103.236.54, interface = inside poll version 3 cisco1
host ip = 64.103.236.55, interface = inside poll version 3 cisco1
この機能の使用に関する重要な注意点を次に示します。
この新機能を実装するには、この項に示す情報を使用して ASA を設定します。
SNMP バージョン 3 の場合、管理者はさまざまなユーザを指定したホスト グループに関連付けることができます。これは、管理者が一連のユーザに対し、ホスト グループから ASA にアクセスできるようにする必要がある場合に便利です。複数のユーザを含むユーザ リストを設定するには、次の CLI コマンドを使用します。
ASA(config)# [no] snmp-server user-listusername
ユーザ リストをホスト グループに関連付けるには、CLI に次のコマンドを入力します。
[no] snmp-server host-group[trap|poll]
[community [enc_type]] [version {1 | 2c | 3 [user name | user-list
]}] [udp-port ]
この単一のコマンドで、追加する必要がある複数のホストを示すネットワーク オブジェクトを指定できます。このネットワーク オブジェクトを使用して、追加する必要がある IP アドレスのサブネット マスクまたは範囲を 1 つのコマンドで指定できます。ネットワーク オブジェクトの一部として示された IP アドレスのすべてが SNMP ホスト エントリとして追加されます。同様に、ユーザ リストに指定されたユーザごとに別個の SNMP ホスト エントリがあります。
管理者が SNMP サーバの新しい設定オプションをクリアおよび表示できるようにするには、次の各コマンドを使用します。
新しい SNMP グループ オプションを使用して、バージョン 2c のポーリング用の SNMP サーバ ホスト グループを作成するには、次の手順を実行します。
asa(config)# object network network1
asa(config-network-object)# range 64.103.236.40 64.103.236.50
asa(config)#snmp-server host-group inside network1 poll community ***** version 2c
asa(config)#snmp-server group SNMPRW-GROUP v3 noauth
asa(config)#snmp-server user cisco1 SNMPRW-GROUP v3
asa(config)#snmp-server user-list SNMP-List username cisco1
asa(config)#snmp-server host-group inside network1 poll version 3 user-list SNMP-List
次の図は、Cisco Adaptive Security Device Manager(ASDM)内で行われる変更を示しています。
この機能により、cpmCPUTotal5minRev SNMP OID を ASA でサポートできるようになります。
この機能は、cpmCPUTotal5minRev および cpmCPUTotal1minRev OID のサポートを ASA に追加し、現在サポートされている cpmCPUTotal5min および cpmCPUTotal1min OID を廃止します。これらの OID の目的は、CPU 使用率を監視することです。現在サポートされているOIDの範囲は1 ~ 100で、新しくサポートされたOIDの範囲は0 ~ 100です。そのため、より広い範囲をカバーする新しいOIDに対するサポートが追加されました。
廃止された OID(cpmCPUTotal5min および cpmCPUTotal1min)は ASA でサポートされなくなるため、ASA をアップグレードしてから廃止された OID をポーリングすると、ASA はこれらの OID の情報を返さないことに注意してください。ASA をアップグレードした後は、cpmCPUTotal5minRev および cpmCPUTotal1minRev で CPU 使用率を監視できるようになります。
この新機能によって導入される CLI の変更はありません。
この機能によって追加される新しい OID を次に示します。
ASA プラットフォームでは、SNMP 要求の最大パケット サイズが 512 バイトに制限されています。単一の SNMP 要求内で多数の MIB OID の一括クエリーを実行すると、ASA で SNMP 接続がタイムアウトし、エラー syslog が生成されます。RFC3417 では、SNMP 要求の最大パケット サイズを 1,472 バイトにするように推奨されています。これは、パケットの SNMP ペイロードのサイズです。パケットの合計サイズを計算するには、さらにイーサネット ヘッダーと IP ヘッダーのサイズを追加する必要があります。
ここでは、ASA のシステムに関する問題のトラブルシューティングに役立つ情報を提供します。
次の show コマンドは、ASA に関する問題のトラブルシューティングを行うときに役立ちます。
次の CLI コマンドは、SNMP サーバのアドレス テーブルにあるエントリを表示します。これには、ホストの設定とホスト グループの設定の両方が含まれています。
asa(config)#show run object network
object network network1
range 64.103.236.40 64.103.236.50
object network network2
range 64.103.236.35 64.103.236.55
object network network3
range 64.103.236.60 64.103.236.70
ciscoasa/admin(config)# show run snmp-server
snmp-server group cisco-group v3 noauth
snmp-server user user1 cisco-group v3
snmp-server user user2 cisco-group v3
snmp-server user user3 cisco-group v3
snmp-server user-list cisco username user1
snmp-server user-list cisco username user2
snmp-server user-list cisco username user3
snmp-server host-group management0/0 net2 poll version 3 user-list cisco
no snmp-server locationno snmp-server contact
ciscoasa/admin(config)# show snmp-server host
host ip = 64.103.236.35, interface = inside poll version 3 cisco1
host ip = 64.103.236.36, interface = inside poll version 3 cisco1
host ip = 64.103.236.37, interface = inside poll version 3 cisco1
host ip = 64.103.236.38, interface = inside poll version 3 cisco1
host ip = 64.103.236.39, interface = inside poll version 3 cisco1
host ip = 64.103.236.40, interface = inside poll version 3 cisco1
host ip = 64.103.236.41, interface = inside poll version 3 cisco1
host ip = 64.103.236.42, interface = inside poll version 3 cisco1
ここに示すように、これらのコマンドは host-group コマンドで設定されたすべてのホストを表示します。このコマンドを使用して、すべてのエントリが使用可能であることを確認できます。また、重複するホスト グループの相互確認を行うこともできます。