Cisco IOS® リリース 12.4(11)T 以降、Cisco IOS 侵入防御システム(IPS)では、Cisco IPS ソフトウェア バージョン 5.x シグニチャ形式がサポートされます。5.x シグニチャ形式は、Cisco アプライアンス ベースのその他の IPS 製品でも使用されている、バージョン ベースのシグニチャ定義 XML 形式です。Cisco IPS バージョン 4.x のシグニチャおよびシグニチャ定義ファイル(SDF)は、現在のリリース以降の Cisco IOS T トレイン ソフトウェア リリースではサポートされなくなります。
バージョン 4.x シグニチャ形式の SDF で Cisco IOS IPS を実行しているお客様は、事前定義済みの Cisco シグニチャ カテゴリである Basic および Advanced シグニチャ セット、または Cisco IOS IPS 移行ユーティリティを使用して、以前のバージョン 4.x SDF ファイルを Cisco IPS バージョン 5.x 形式のシグニチャ セットに移行できるように、Cisco IOS IPS を再設定できます。
このドキュメントでは、Cisco IPS 4.x 形式の SDF から移行する方法、および移行したシグニチャ セットを Cisco IOS リリース 12.4(11)T 以降で有効にする方法について説明します。Cisco IOS リリース 12.4(11)T 以降の Cisco IOS IPS の設定方法の詳細は、『IPS 5.x シグニチャ形式のサポートおよびユーザビリテイ拡張』を参照してください。
注:Cisco IOSリリース12.4(11)T以降のイメージにアップグレードする前に、Cisco IOS IPSの移行を実行することを推奨します。
このドキュメントに特有の要件はありません。
このドキュメントの情報は、Cisco IOS リリース 12.4(11)T 以降に基づくものです。
このドキュメントの情報は、特定のラボ環境にあるデバイスに基づいて作成されました。このドキュメントで使用するすべてのデバイスは、初期(デフォルト)設定の状態から起動しています。対象のネットワークが実稼働中である場合には、どのようなコマンドについても、その潜在的な影響について確実に理解しておく必要があります。
ドキュメント表記の詳細は、『シスコ テクニカル ティップスの表記法』を参照してください。
移行スクリプトには、Cisco IOS リリース 12.4(11)T より前のリリースが稼働しているルータで使用される Cisco IOS IPS 設定情報を含む Cisco IPS 4.x 形式の SDF ファイルと、(オプションで)CLI 設定ファイルが必要です。
移行スクリプトはルータの設定ファイル内で、「ip ips signature <sigid> [<sigsubid>] disabled」を含むコマンドを検索します。設定ファイルにこの CLI コマンドが含まれていない場合、移行スクリプトで CLI 設定ファイルを読み取る必要はありません。シグニチャの変換は、SDF のみに基づいて行われることになります。
Cisco IOS IPS を Cisco IOS リリース 12.4(11)T 以降にアップグレードする前に移行スクリプトを実行する場合は、「Cisco IOS IPS 移行スクリプトの実行」に記載された処理に従ってください。
Cisco IOS IPS を Cisco IOS リリース 12.4(11)T 以降にアップグレードした後で移行スクリプトを実行する場合は、次の手順を実行します。
前述のように、CLI コマンド ip ips signature <sigid> [<sigsubid>] disabled を変換する必要がないか確認します。
コマンド copy running-config flash:ipscfg.cfg を使用して、ルータの CLI 設定をファイルに保存します。
このコマンドは、既存のルータ設定を、ipscfg.cfg というファイルのフラッシュにバックアップします。移行プロセスはこのファイルを使用して、シグニチャ形式を 4.x から 5.x に完全に変換します。
「Cisco IOS IPS 移行スクリプトの実行」に進みます。
移行スクリプトは、次の URL の Cisco.com から入手できます:http://www.cisco.com/cgi-bin/tablebuild.pl/ios-v5sigup移行スクリプトをルータのフラッシュ、またはルータからアクセス可能な場所(Trivial File Transfer Protocol(TFTP; トリビアル ファイル転送プロトコル)サーバなど)に保存します。
移行スクリプトは SDF を、Cisco IPS バージョン 4.x 形式からバージョン 5.x 形式に変換します。移行スクリプトは、次のシグニチャ パラメータのみをサポートしています。
severity
action
enabled
また、移行スクリプトは IOS IPS 設定ファイルを読み取って、Cisco IOS リリース 12.4(11)T より前のリリースで CLI の ip ips signature <sigid> <sigsubid> disabled コマンドで設定された無効化されたシグニチャを移行することもできます。
注:カスタム(シスコ以外の)シグネチャは、このスクリプトでは変換されません。
次の例は、IPS 4.x 形式のファイル sdmips.sdf を、Cisco IOS IPS 5.x シグニチャ形式をサポートする Cisco IOS リリース 12.4(11)T の Cisco IOS IPS に移行する方法を示しています。
C2821#tclsh flash:ios-ips-migrate.tbc This migration script will migrate Signature Definition Files from 4.x format to 5.x format. The migration script will migrate only the following signature parameters - severity, action, enabled - for Cisco (non-custom) signatures. Do you want to continue? [y/n] y Please choose an IOS config file from which to migrate IOS IPS configuration. Config File: [startup-config] The following SDF locations were found configured in startup-config: flash://sdmips.sdf Please provide SDF to migrate from the above list or of your own choice: flash:// sdmips.sdf Migrating following SDF file (this will a take few minutes): flash://sdmips.sdf Time Elapsed: 0:02:23 Migration completed successfully. The migrated file is C2821-sigdef-delta.xml C2821#
最初に、移行スクリプトは、その関数に関する簡単なテキストを表示します。次に、現在(移行前)の Cisco IOS IPS の設定を読み取る場所を選択するオプションが提供されます。デフォルトでは、スタートアップ コンフィギュレーションから読み取られます。以前に設定を TFTP サーバやルータのフラッシュに保存した場合は、プロンプトでその場所を指定します。
以下に、いくつかの例を示します。
TFTP サーバ 192.168.1.5 から CLI 設定をロードするようにスクリプトに通知する場合は、tftp:// 192.168.1.5/<router CLI configuration> を使用します。
フラッシュ上に保存されたファイルから読み取る場合は、flash://<saved-configuration> を使用します。
シグニチャの移行が完了したら、まだ行っていない場合は、ルータのイメージを Cisco IOS リリース 12.4(11)T にアップグレードします。ルータをリロードしたら、次の手順を実行します。
Cisco IOS IPS を有効にします。
次の出力は、Cisco 2821 ルータで Cisco IOS IPS を有効にする方法を示しています。Cisco IOS IPS の設定方法の詳細は、『IPS 5.x シグニチャ形式のサポートおよびユーザビリテイ拡張』を参照してください。
C2821#mkdir ips Create directory filename [ips]? Created dir flash:ips C2821#conf t Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z. C2821(config)#ip ips name MYIPS C2821(config)#ip ips config location ips C2821(config)#ip ips signature-category C2821(config-ips-category)#category all C2821(config-ips-category-action)#retired true C2821(config-ips-category-action)#exit C2821(config-ips-category)#exit Do you want to accept these changes? [confirm]y C2821(config)#
次のキーをルータにコピー アンド ペーストして、暗号シグニチャの公開キーを設定します。
crypto key pubkey-chain rsa named-key realm-cisco.pub signature key-string 30820122 300D0609 2A864886 F70D0101 01050003 82010F00 3082010A 02820101 00C19E93 A8AF124A D6CC7A24 5097A975 206BE3A2 06FBA13F 6F12CB5B 4E441F16 17E630D5 C02AC252 912BE27F 37FDD9C8 11FC7AF7 DCDD81D9 43CDABC3 6007D128 B199ABCB D34ED0F9 085FADC1 359C189E F30AF10A C0EFB624 7E0764BF 3E53053E 5B2146A9 D7A5EDE3 0298AF03 DED7A5B8 9479039D 20F30663 9AC64B93 C0112A35 FE3F0C87 89BCB7BB 994AE74C FA9E481D F65875D6 85EAF974 6D9CC8E3 F0B08B85 50437722 FFBE85B9 5E4189FF CC189CB9 69C46F9C A84DFBA5 7A0AF99E AD768C36 006CF498 079F88F8 A3B3FB1F 9FB7B3CB 5539E1D1 9693CCBB 551F78D2 892356AE 2F56D826 8918EF3C 80CA4F4D 87BFCA3B BFF668E9 689782A5 CF31CB6E B4B094D3 F3020301 0001 quit exit exit
次の例に示すように、インターフェイス上の Cisco IOS IPS を有効にします:
C2821(config)# C2821(config)#interface gigabitEthernet 0/0 C2821(config-if)#ip ips MYIPS in C2821(config-if)#ip ips MYIPS out C2821(config-if)#exit
copy コマンドを使用して、最新のシグニチャ パッケージをロードします。
C2821#copy tftp://192.168.1.5/IOS-S253-CLI.pkg idconf
このコマンドは、シグニチャ パッケージ IOS-S253-CLI.pkg から Cisco IOS IPS にシグニチャをロードします。
注: すべてのシグニチャをリタイアする ios-ips signature category all は、手順 1 で設定しました。シグニチャ パッケージが正しくロードされても、シグニチャは選択されずコンパイルされません。
次のコマンドを使用して、移行した XML ファイルを Cisco IOS IPS にロードします。
<router-hostname>-sigdef-delta.xml
以下に、いくつかの例を示します。
copy flash:C2821-sigdef-delta.xml idconf
ルータがバージョン 5.x 形式のシグニチャ ファイルを解析すれば、移行は完了です。
show ip ips signature count コマンドを使用してシグニチャの要約ステータスをチェックし、show ip ips signature details コマンドを使用して、すべてのシグニチャの詳細情報を表示します。
改定 | 発行日 | コメント |
---|---|---|
1.0 |
17-May-2008 |
初版 |