概要
このドキュメントでは、Cisco Unified Computing System(UCS)のダイレクト アタッチド ストレージ(DAS)の設定例について説明します。この設定では、UCS Manager(UCSM)で使用できるグラフィカル ユーザ インターフェイス(GUI)を使用します。
UCS バージョン 2.1 のリリースにより、アップストリームのストレージ エリア ネットワーク(SAN)スイッチなしで、ファブリック インターコネクト(FI)にストレージ アレイを直接接続できるようになりました。
前提条件
要件
次の項目に関する知識があることが推奨されます。
- UCS と UCS Manager の知識
- ストレージ エリア ネットワーキング
- ファイバ チャネルのゾーン分割の概念
使用するコンポーネント
このドキュメントの情報は、次のソフトウェアとハードウェアのバージョンに基づいています。
このドキュメントの情報は、特定のラボ環境にあるデバイスに基づいて作成されました。このドキュメントで使用するすべてのデバイスは、初期(デフォルト)設定の状態から起動しています。対象のネットワークが実稼働中である場合には、どのようなコマンドについても、その潜在的な影響について確実に理解しておく必要があります。
表記法
ドキュメント表記の詳細は、『シスコ テクニカル ティップスの表記法』を参照してください。
背景説明
バージョン 2.1 より前の DAS を備えた UCS
2.1 より前のバージョンの UCS では、UCS で DAS を使用することができました。ただし、FI にゾーン データベースをプッシュできるよう、FI に接続されている SAN スイッチが必要でした。つまり、UCS プラットフォームではゾーン データベースを構築できませんでした。トポロジは次のようになっていました。
バージョン 2.1 での DAS を備えた UCS
バージョン 2.1 のリリースにより、UCS で、それ自体のゾーン データベースを構築できるようになりました。ゾーン分割設定をプッシュする SAN スイッチがなくても、UCS で DAS を使用できます。現在のトポロジは次のとおりです。
設定
ダイレクト アタッチド ストレージの設定
UCS の DAS を設定する一般的なプロセスは次のとおりです。
- FI を FC スイッチ モードに設定します。
- 必要な仮想 SAN(VSAN)を作成します。
- UCS でポート ロールを設定します。
- ストレージ ポートのワールドワイド ポート名(WWPN)がファブリックにログインされるかどうかを確認します。
ここでは、ストレージ アレイのポートとファブリック インターコネクトが物理ケーブルですでに接続されていると想定しています。
これらの各手順については、次のセクションで詳しく説明します。
FI の FC スイッチ モードへの設定
FI がまだ FC スイッチ モードになっていない場合のために、この手順で、そのモードに変更する方法を示します。この場合でも、イーサネットのエンド ホスト モードを実行できます。
注:このアクティビティでは、FI をリブートする必要があります。
- UCSM で [Equipment] タブに移動し、このタブをクリックします。
- [Fabric Interconnects] を展開します。
- [Fabric Interconnect A] をクリックします。
- 右側のペインで [Set FC Switching Mode] を選択します。
- ファブリック B について手順 1 ~ 4 を繰り返します。
必要な VSAN の作成
この手順では、必要な VSAN を両方の FI で作成し、VSAN でゾーン分割を有効にする方法を示します。この手順を開始する前に、どの VSAN ID を両方のファブリックに使用するかを特定します。
注:ストレージ VSAN は、ストレージ クラウドでのみ作成する必要があります。FC アップリンク(存在する場合)では許可されません。
- UCSM で [SAN] タブに移動し、このタブをクリックします。
- [Storage Cloud] を展開します。
- [Fabric A] を展開します。
- [VSANs] を右クリックし、[Create Storage VSAN] を選択します。
- VSAN の名前を入力します。
- FC ゾーン分割の [Enabled] を選択します。
- [Fabric A] を選択します。
- ファブリック A の VSAN ID と Fiber Channel over Ethernet(FCoE)VLAN ID を入力します。FCoE VLAN ID が、ネットワークで現在使用されていない VLAN ID であることを確認してください。
- ファブリック B について手順 1 ~ 8 を繰り返します。
UCS でのポート ロールの設定
この手順では、ストレージ アレイに接続されている FI ポートを選択する方法と、それらを FC ストレージ ポートとして設定する方法を示します。
- UCSM で [Equipment] タブに移動し、このタブをクリックします。
- [Fabric Interconnects] を展開します。
- [Fabric Interconnect A] を展開します。
- ストレージ アレイに接続しているポートを右クリックして、[Configure as FC Storage Port] を選択します。
- 右側のペインで、このポートに適切な VSAN を選択します。
- ファブリック B について手順 1 ~ 6 を繰り返します。
ポートが正しく設定され、ストレージ アレイで稼働している場合は、UCS の FC ストレージ ポートがオンラインになります。
ストレージ ポート WWPN がファブリックにログインしていることの確認
この手順では、ストレージ ポート WWPN がファブリックにログインしていることを確認します。
- セキュア シェル(SSH)経由でログインするか、UCS 仮想 IP(VIP)への Telnet 接続を確立します。
- connect nxos { a | b } command, where a | bはFI AまたはFI Bを表します。この例では、FI は A です。
- show flogi database vsan vsan ID コマンドを入力します。ここで、vsan ID は、VSAN の IDです。この例では、ID は 600 です。
次の図は、これらの 2 つのコマンドからの出力例です。ストレージポートWWPNがVSAN 600にログインしました。両方のファブリックでストレージポートがログインしていることを確認してください。
FC ゾーン分割の設定
サーバを設定する一般的なプロセスは次のとおりです。
- ストレージ接続ポリシーを作成します。
- サービス プロファイルを作成します。
- サービス プロファイルをサーバに関連付けます。
これらの各手順については、次のセクションで詳しく説明します。
ストレージ接続ポリシーの作成
この手順では、ストレージ接続ポリシーおよびストレージ ターゲット WWPN を作成する方法を示します。
注:シスコでは、ゾーン分割が分かりやすいように、ファブリックごとに 1 つのポリシーを作成することを推奨します。
- UCSM で [SAN] タブに移動し、このタブをクリックします。
- [Policies] を展開し、[Root] を展開します。ストレージ接続ポリシーを右クリックし、[Create Storage Connection Policy] を選択します。
[Create Storage Connection Policy] ウィンドウが開き、ここで、ストレージ ターゲット WWPN とファブリックの詳細を定義できます。
- ストレージ接続ポリシーの名前を入力します。
- ゾーン分割のタイプを、次の 3 つのオプションから選択します。
- [なし(None)]: FI にゾーンは作成されていないが、特定の VSAN のアップストリーム FC スイッチから使用されるゾーンがある場合は、このオプションを選択します。
- Single Initiator Single Target:1 つのファブリックに接続されている 1 つのストレージ ポートしかない場合は、このオプションを使用します。この例では、各ファブリックに 1 つのターゲットが接続されています。
- Single Initiator Multiple Targets:1 つのファブリックに複数のストレージ ポートが接続されている場合は、このオプションを使用します。
- [FC Target Endpoints] セクションの横にあるプラス(+)記号をクリックします。[Create FC Target Endpoint] ウィンドウが開きます。
- FC ターゲットの WWPN を入力します。
- ファブリックのパスをクリックします。
- ドロップダウン リストで VSAN ID を選択します。
- [OK] をクリックして変更を保存します。
サービス プロファイルの作成
この手順では、追加のゾーン分割設定で標準サービス プロファイルを作成する方法を示します。
- UCSM で [Servers] タブに移動し、このタブをクリックします。
- [Servers] を展開し、[Service Profiles] を右クリックして、[Create Service Profile(expert)] を選択します。
- サービス プロファイルの名前を入力し、すでに作成した一意の ID(UUID)のプールを選択します。[next] をクリックします。
- [Networking] セクションで、必要な数の仮想ネットワーク インターフェイス コントローラ(vNIC)を作成します。 [next] をクリックします。
- [Storage] セクションで、必要な数の仮想ホスト バス アダプタ(vHBA)を作成し、ストレージ接続に適切な VSAN に配置していることを確認します。この例では、VSAN 600を使用しています。[Next]をクリックします。
- [Zoning] セクション(UCSM 2.1 の新機能)で、ゾーン分割を定義するために、vHBA とストレージ接続ポリシー マッピングを選択します。[Select vHBA Initiators] で [vHBA] をクリックします。[Select vHBA Initiator Groups] セクションでプラス(+)記号をクリックして、新しいウィンドウを開きます。
- イニシエータ グループの名前を入力し、以前に作成したストレージ接続ポリシーを選択して、[OK] をクリックします。
[Zoning] ウィンドウが表示されます。
- 左側のペインで、イニシエータ グループに追加する vHBA をクリックします。右側のペインで、作成した vHBA イニシエータ グループをクリックします。次に、ペインの間の [Add To] ボタンをクリックして、その vHBA をそのイニシエータ グループに追加します。vHBA がイニシエータ グループの一部になり、ストレージ接続ポリシーに記載されているストレージ ターゲットでゾーン分割されます。
注:1 つの vHBA イニシエータ グループに複数の vHBA を追加できます。また、管理を容易にするために、さまざまなファブリックのさまざまなイニシエータ グループを作成することもできます。
- [Zoning] セクションで [Next] をクリックし、サービス プロファイルの他のセクションを完了します。
サービス プロファイルとサーバの関連付け
この手順では、ゾーンとゾーン セットの作成を開始するサーバにサービス プロファイルを関連付ける方法を示します。
- 作成したばかりのサービス プロファイルを右クリックし、[Change Service Profile Association] をクリックします。
- ドロップダウン リストで [Select Existing Server] を選択します。
- 適切なサーバを選択し、[OK] をクリックします。サーバがリブートされます。
確認
ここでは、ゾーンの作成とゾーンセットのアクティベーションが正常に行われたことを確認します。
Cisco CLI アナライザ(登録ユーザ専用)は、特定の show コマンドをサポートします。show コマンド出力の分析を表示するには、Cisco CLI アナライザを使用します。
GUI からの確認
この手順では、ゾーンの設定とゾーン セットのアクティベーションを GUI から確認する方法について説明します。
- UCSM で [Servers] タブに移動し、このタブをクリックします。
- [Servers] と [Service Profiles] を展開します。
- 以前に作成したサービス プロファイルに移動して、それをクリックします。
- 右側のペインで [FC Zones] タブをクリックします。
次の図では、イニシエータ WWPN とターゲット WWPN が同じゾーンにあります。ゾーンの管理状態(Admin State)は [Applied]、稼働状態(Oper State)は [Active] です。これは、ゾーンが、現在アクティブなゾーン セットの一部であることを意味します。
注:ゾーン名は自動的に作成されます。自分で作成することはできません。この例では、命名規則は ClusterName_FabricID_ZoneID_ServiceProfileName_InitiatorName です。
CLI からの確認
この手順では、UCS の NXOS のシェルに接続し、コマンドライン インターフェイスからゾーン分割を確認します。
- セキュア シェル(SSH)経由で UCS VIP にログインします。
- connect nxos { a | b}コマンド(ここで、 | bはFI AまたはFI Bを表します。この例では、FI は A です。
- show zoneset active vsan vsan ID コマンドを入力します。ここで、vsan ID は、VSAN の IDです。この例では、ID は 600 です。
次の図は、これらの 2 つのコマンドからの出力例です。
適切な論理ユニット番号(LUN)マスキングがストレージ側から実行されている場合は、LUN がサーバ OS で表示されます。
トラブルシュート
ここでは、設定のトラブルシューティングに使用できる情報を示します。
サービス プロファイルを作成しているが、[FC Zones] タブにゾーンが表示されない場合は、次のトラブルシューティング チェックリストを使用してください。
- ゾーン分割が、目的の VSAN で有効になっていますか。
- サービス プロファイルが関連付けられていますか。ゾーンは、サービス プロファイルがサーバに関連付けられている場合にのみ作成されます。
- 正しいストレージ接続ポリシーが、vHBA イニシエータ グループの下で選択されていますか。
- 正しい VHBA が、正しい vHBA イニシエータ グループに追加されていますか。
- 正しい VSAN が vHBA 用に選択されていますか。
- 正しい VSAN とファブリックが、ストレージ接続ポリシーの下で選択されていますか。
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