Cisco スイッチ クラスタリング技術は、すべての Catalyst 3500 XL、2900 XL、2955/2950、2970、3550、3560、3750、4500、および Catalyst 1900/2820 スタンダードおよびエンタープライズ エディション スイッチで使用できるソフトウェア機能のセットです。スイッチ クラスタリング技術によって、単一の IP アドレスで最大 16 台のスイッチを同時に管理することができます。冗長構成用に、IP アドレスを 2 つ目のスイッチに割り当て、クラスタ全体を 1 つの仮想 IP アドレスを使用して管理できます。一次コマンド スイッチに障害が発生した場合、バックアップ コマンド スイッチまたは二次コマンド スイッチがクラスタの管理をシームレスに引き継ぎます。ユーザは、引き継ぎの間も仮想 IP アドレス経由でクラスタにアクセスできます。
次の図は、シスコのスイッチ クラスタの例です。
クラスタ内のスイッチは、次のいずれかの役割によって分類されます。
コマンド スイッチ
メンバ スイッチ
候補スイッチ
各クラスタには、コマンド スイッチと呼ばれるマスター スイッチが 1 つあります。その他のスイッチは、メンバ スイッチとして機能します。コマンド スイッチは、クラスタ全体を管理する最も重要なインターフェイスを提供し、一般的にはスイッチ クラスタ内の唯一のスイッチであり、1 つの IP アドレスが設定されています。各管理要求は、まずコマンド スイッチに送られた後に、適切なメンバー スイッチにリダイレクトされます。
通常、メンバ スイッチには IP アドレスが設定されていません。メンバ スイッチはコマンド スイッチからリダイレクトされた管理コマンドを受信します。
候補スイッチは、メンバ スイッチとしてスイッチ クラスタに追加できるスイッチです。
このドキュメントに特有の要件はありません。
このドキュメントの情報は、「スイッチ要件」および特定のスイッチの項に記載されているソフトウェアとハードウェアのバージョンに基づいています。
このドキュメントの情報は、特定のラボ環境にあるデバイスに基づいて作成されました。このドキュメントで使用するすべてのデバイスは、初期(デフォルト)設定の状態から起動しています。対象のネットワークが実稼働中である場合には、どのようなコマンドについても、その潜在的な影響について確実に理解しておく必要があります。
ドキュメント表記の詳細は、『シスコ テクニカル ティップスの表記法』を参照してください。
このドキュメントの各項では、次に示すプラットフォームにスイッチ クラスタリング技術を実装する場合のシステム要件について説明します。
クラスタリング機能を使用するには、Catalyst 2900 XL、3500 XL、2950/2955、2970、3550、3560、3750 または 4500 ソフトウェアのクラスタ対応バージョンをインストールします。
Catalyst 3500 シリーズ XL スイッチはすべて、コマンド スイッチとして使用できます。8 MB Catalyst 2900 シリーズ XL スイッチは、コマンド スイッチとして機能するようにアップグレードできます。4 MB Catalyst 2900 シリーズ XL スイッチはコマンド スイッチにアップグレードできません。Cisco IOS® ソフトウェア リリース 11.2(8.x)SA6 Original エディションのソフトウェアを実行している場合にのみ、クラスタ メンバーとして機能することができます。Cisco IOS ソフトウェア リリース 11.2 (8.x)SA6 以降のバージョンを実行している Catalyst 2900 XL または 3500 XL は、スイッチ クラスタ内のメンバーとして使用できます。
注:Catalyst 2900 XLスイッチに4 MBまたは8 MBのDRAMがあるかどうかを確認するには、ユーザレベルでshow versionコマンドを発行し、ソフトウェアアップグレードが必要かどうかを確認します。詳細については、『Catalyst 2900 XL/3500 XL のリリース ノート』を参照してください。
Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.0(5)WC(1) 以降を実行している Catalyst 2950 シリーズ スイッチは、コマンド スイッチまたはメンバー スイッチとして使用できます。
Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.1(4)EA1 以降を実行している Catalyst 3550 シリーズ スイッチは、コマンド スイッチまたはメンバー スイッチとして使用できます。
Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.2(20)EWA 以降を実行している Catalyst 4500 シリーズ スイッチは、コマンド スイッチまたは Network Assistant アプリケーションを使用するメンバー スイッチとして使用できます。
ファームウェア バージョン 9.00.00(-A および -EN のみ)を実行する Catalyst 1900 or 28xx スイッチは、メンバー スイッチとして使用できますが、コマンド スイッチとしては使用できません。
注:(-A)はStandard Editionを表し、(-EN)はソフトウェアのEnterprise Editionを表します。
クラスタを作成する前に、どのスイッチがクラスタに対応しているかと、スイッチがコマンド スイッチとして機能できるかどうかを確認する必要があります。スイッチがクラスタ メンバーまたはコマンド スイッチとして使用可能かどうかを確認するには、次の表を参照してください。
Catalyst 3500 XL スイッチについては、表 1 を参照してください。
8 MB Catalyst 2900 XL スイッチについては、表 2 を参照してください。
4 MB Catalyst 2900 XL スイッチについては、表 3 を参照してください。
Catalyst 2955/2950 スイッチについては、表 4 を参照してください。
Catalyst 2970 スイッチについては、表 5 を参照してください。
Catalyst 3550 スイッチについては、表 6 を参照してください。
Catalyst 3560 スイッチについては、表 7 を参照してください。
Catalyst 3750 スイッチについては、表 8 を参照してください。
Catalyst 4500 スイッチについては、表 9 を参照してください。
Catalyst 1900/2820 スイッチについては、表 10 を参照してください。
スイッチのモデル | 説明 | クラスタリング サポートのための Cisco IOS ソフトウェア リリースの最低要件 | クラスタリング サポートのための現在の Cisco IOS ソフトウェア リリース | メンバ スイッチとしての機能 | コマンド スイッチとしての機能 |
---|---|---|---|---|---|
WS-3508G-XL | 8 ギガビット イーサネット ポート | 11.2(8)SA6(-A)または(-EN) | 12.0(5)WC(1) 以降 | Yes | Yes |
WS-3512 XL | 12 個の自動検知 10/100 ポートおよび 2 ギガビット イーサネット ポート | 11.2(8)SA6(-A)または(-EN) | 12.0(5)WC(1) 以降 | Yes | Yes |
WS-C3524-XL | 24 個の自動検知 10/100 ポートおよび 2 ギガビット イーサネット ポート | 11.2(8)SA6(-A)または(-EN) | 12.0(5)WC(1) 以降 | Yes | Yes |
WS-3548-XL | 48 個の自動検知 10/100 ポートおよび 2 ギガビット イーサネット ポート | 12.0(5)XP(-A)または(-EN) | 12.0(5)WC(1) 以降 | Yes | Yes |
WS-3524-PWR-XL | 24 個の自動検知 10/100 インライン電源イーサネット ポートおよび 2 ギガビット イーサネット ポート | 12.0(5)XU | 12.0(5)WC(1) 以降 | Yes | Yes |
注:(-A)はStandard Editionを表し、(-EN)はソフトウェアのEnterprise Editionを表します。Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.0(5)XU では、スタンダード エディションとエンタープライズ エディションの機能が 1 つのリリースに統合されています。
スイッチのモデル | 説明 | クラスタリング サポートのための Cisco IOS ソフトウェア リリースの最低要件 | クラスタリング サポートのための現在の Cisco IOS ソフトウェア リリース | メンバ スイッチとしての機能 | コマンド スイッチとしての機能 |
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WS-C2912-XL | 12 個の自動検知 10/100 ポート | 11.2(8)SA6(-A)または(-EN) | 12.0(5)WC(1) 以降 | Yes | Yes |
WS-C2924M-XL | 24 個の自動検知 10/100 ポートおよび 2 個の拡張スロット | 11.2(8)SA6(-A)または(-EN) | 12.0(5)WC(1) 以降 | Yes | Yes |
WS-C2924-XL | 24 個の自動検知 10/100 ポート | 11.2(8)SA6(-A)または(-EN) | 12.0(5)WC(1) 以降 | Yes | Yes |
WS-C2924C-XL | 22 個の自動検知 10/100 ポートおよび 2 個の 100BaseFX ポート | 11.2(8)SA6(-A)または(-EN) | 12.0(5)WC(1) 以降 | Yes | Yes |
WS-C2912MF-XL | 12 個の 100BaseFX ポートおよび 2 個の拡張スロット | 11.2(8)SA6(-EN だけ) | 12.0(5)WC(1) 以降 | Yes | Yes |
WS-C2924M-XL-DC | 24 個の自動検知 10/100 ポートおよび 2 個の拡張スロット | 12.0(5)XU | 12.0(5)WC(1) 以降 | Yes | Yes |
注:(-A)はStandard Editionを表し、(-EN)はソフトウェアのEnterprise Editionを表します。Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.0(5)XU では、スタンダード エディションとエンタープライズ エディションの機能が 1 つのリリースに統合されています。
スイッチのモデル | 説明 | クラスタリング サポートのための Cisco IOS ソフトウェア リリースの最低要件 | クラスタリング サポートのための現在の Cisco IOS ソフトウェア リリース | メンバ スイッチとしての機能 | コマンド スイッチとしての機能 |
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WS-C2908-XL | 8 個の自動検知 10/100 ポート | 11.2(8)SA6(Original Edition) | これ以上のアップグレードは不可。 | Yes | No |
WS-C2916M-XL | 16 個の自動検知 10/100 ポートおよび 2 個の拡張スロット | 11.2(8)SA6(Original Edition) | これ以上のアップグレードは不可。 | Yes | No |
WS-C2924-XL | 24 個の自動検知 10/100 ポート | 11.2(8)SA6(Original Edition) | これ以上のアップグレードは不可。 | Yes | No |
WS-C2924C-XL | 22 個の自動検知 10/100 ポートおよび 2 個の 100BaseFX ポート | 11.2(8)SA6(Original Edition) | これ以上のアップグレードは不可。 | Yes | No |
スイッチのモデル | 説明 | クラスタリング サポートのための Cisco IOS ソフトウェア リリースの最低要件 | クラスタリング サポートのための現在の Cisco IOS ソフトウェア リリース | メンバ スイッチとしての機能 | コマンド スイッチとしての機能 |
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WS-C2950-12 | 12 個の自動検知 10/100 ポート | 12.0(5)WC(1) | 12.1(22)EA2 以降 | Yes | Yes |
WS-C2950-24 | 24 個の自動検知 10/100 ポート | 12.0(5)WC(1) | 12.1(22)EA2 以降 | Yes | Yes |
WS-C2950C-24 | 24 個の自動検知 10/100 ポートおよび 2 個の 100BaseFX ポート | 12.0(5)WC(1) | 12.1(22)EA2 以降 | Yes | Yes |
WS-C2950T-24 | 24 個の自動検知 10/100 ポートおよび 2 個の自動検知 10/100/1000 ポート | 12.0(5)WC(1) | 12.1(22)EA2 以降 | Yes | Yes |
Catalyst 2955 スイッチ(すべてのモデル) | (状況に応じて異なる) | 12.0(5)WC(1) | 12.1(22)EA2 以降 | Yes | Yes |
スイッチのモデル | 説明 | クラスタリング サポートのための Cisco IOS ソフトウェア リリースの最低要件 | クラスタリング サポートのための現在の Cisco IOS ソフトウェア リリース | メンバ スイッチとしての機能 | コマンド スイッチとしての機能 |
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Catalyst 2970 スイッチ(すべてのモデル) | (状況に応じて異なる) | 12.1(4)EA1 | 12.2(25)SEA 以降 | Yes | Yes |
スイッチのモデル | 説明 | クラスタリング サポートのための Cisco IOS ソフトウェア リリースの最低要件 | クラスタリング サポートのための現在の Cisco IOS ソフトウェア リリース | メンバ スイッチとしての機能 | コマンド スイッチとしての機能 |
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WS-C3550-12T | 10 個の自動検知 10/100/1000 ポートおよび 2 個の GBIC* ベースのギガビット モジュール スロット | 12.1(4)EA1 | 12.2(25)SE 以降 | Yes | Yes |
注:* GBICはギガビットインターフェイスコンバータを意味します。
スイッチのモデル | 説明 | クラスタリング サポートのための Cisco IOS ソフトウェア リリースの最低要件 | クラスタリング サポートのための現在の Cisco IOS ソフトウェア リリース | メンバ スイッチとしての機能 | コマンド スイッチとしての機能 |
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Catalyst 3560 スイッチ(すべてのモデル) | (状況に応じて異なる) | 12.1(19)EA1 以降 | 12.2(25)SEA 以降 | Yes | Yes |
スイッチのモデル | 説明 | クラスタリング サポートのための Cisco IOS ソフトウェア リリースの最低要件 | クラスタリング サポートのための現在の Cisco IOS ソフトウェア リリース | メンバ スイッチとしての機能 | コマンド スイッチとしての機能 |
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Catalyst 3750 スイッチ(すべてのモデル) | (状況に応じて異なる) | 12.1(11)AX 以降 | 12.2(25)SEA 以降 | Yes | Yes |
スイッチのモデル | 説明 | クラスタリング サポートのための Cisco IOS ソフトウェア リリースの最低要件 | クラスタリング サポートのための現在の Cisco IOS ソフトウェア リリース | メンバ スイッチとしての機能 | コマンド スイッチとしての機能 |
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Catalyst 4500 スイッチ(すべてのモデル) | (状況に応じて異なる) | 12.2(20)EWA 以降 | 12.2(31)SG 以降 | Yes | Yes |
注:スイッチクラスタにCatalyst 4500シリーズスイッチが含まれている場合は、クラスタコマンドスイッチもCatalyst 4500シリーズスイッチである必要があります。
スイッチのモデル | 説明 | クラスタリング サポートのためのファームウェア バージョンの最低要件 | メンバ スイッチとしての機能 | コマンド スイッチとしての機能 |
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Catalyst 1900 スイッチ(すべてのモデル)* | (状況に応じて異なる) | 9.00 (-A) または (-EN) | Yes | No |
Catalyst 2820 スイッチ(すべてのモデル)* | (状況に応じて異なる) | 9.00 (-A) または (-EN) | Yes | No |
注意: *3500 XL/8 MB 2900 XLは、Cisco IOSソフトウェアリリース12.0(5)XP以降を実行している必要があります。*コマンド スイッチ(2950)では、Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.0(5)WC(1) 以降を実行する必要があります。*コマンド スイッチ(3550)では、Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.1(4)EA1 以降を実行する必要があります。
注意:クラスタにCatalystスイッチが混在している場合は、コマンドスイッチとしてCatalyst 3550スイッチだけを使用することを強く推奨します。
Catalyst 1900 および 2820 スイッチを使用する場合、これらのスイッチはファームウェア バージョン 9.00(Standard エディションまたは Enterprise エディション)を実行している必要があります。これらのスイッチはコマンド スイッチとして機能しません。詳細については、『Catalyst 1900 および Catalyst 2820 シリーズ スイッチ バージョン 9.00 リリース ノート』を参照してください。