スーパーバイザ III および IV を搭載した Catalyst 4000 / 4500 シリーズ スイッチでの可変 Maximum Transmit Units(MTU; 最大転送単位)のサポートについて説明します。
イーサネット フレームの MTU は、1500 バイトです。この値には、イーサネット ヘッダーおよび 巡回冗長検査(CRC)トレーラが含まれていません。このヘッダーおよびトレーラのバイト長は 18 バイトとなるので、イーサネット フレーム サイズの合計は 1518 バイトとなります。このドキュメントでは、MTU サイズまたはパケット サイズと呼ぶ場合、イーサネット ペイロードのみを意味します。イーサネット フレームサイズは、ヘッダーとトレーラを含むイーサネット フレーム全体を意味します。また、フレームサイズが最高 1600 バイトまでのイーサネット フレームはベビー ジャイアント フレームと呼ばれ、最高 9216 バイトまでのイーサネット フレームはジャンボ フレームと呼ばれます。
Catalyst 4000 スイッチでのベビー ジャイアントおよびジャンボ フレームのサポート
Catalyst 4000 スイッチ ソフトウェア | ベビー ジャイアント | ジャンボ フレーム | 最大フレーム サイズ |
---|---|---|---|
CatOS (1) | Not Supported | Not Supported | 1522 |
IOS (2) | サポートあり(12.1(12c)EW) | サポートあり(12.1(13)EW) | 9216 |
(1)CatOS を実行する Catalyst 4000 には、スーパバイザ I および II を搭載した Catalyst 4000 スイッチの他に、Catalyst 2948G、Catalyst 2980G および Catalyst 4912G があります。詳細は、この文書の「スーパバイザ I および II でのベビー ジャイアントおよびジャンボ フレームのサポート」のセクションを参照してください。
(2)IOS を実行する Catalyst 4000 には、スーパバイザ III または IV を搭載した Catalyst 4000 および Catalyst 4500 スイッチがあります。サポートする機能と注意事項については、後述のセクションを参照してください。
ドキュメント表記の詳細は、『シスコ テクニカル ティップスの表記法』を参照してください。
このドキュメントに関しては個別の前提条件はありません。
このドキュメントの情報は、次のソフトウェアとハードウェアのバージョンに基づくものです。
スーパバイザ IV エンジン搭載の Catalyst 4500
Cisco IOS ®12.1(13)EW
スーパバイザ I および II を搭載した Catalyst 4000/4500 スイッチには、WS-C2948G、WS-C2980G および WS-C4912G 固定構成スイッチがありますが、これらは Application-Specific Integrated Circuit(ASIC; 特定用途集積回路)の制約上、ベビー ジャイアントおよびジャンボ フレームをサポートしていません。
これに対する可能な代替策は、スイッチ ポートをトランクとして設定して、スイッチ ポートに対してさらに 4 バイトのデータを強制的に受け入れるようにすることです。
あるポートで 802.1q トランキングがイネーブルになっている場合(Inter-Switch Link(ISL; スイッチ間リンク)カプセル化はスーパバイザ I および II を搭載したスイッチではサポートされていません)、スイッチは余分に4 バイトのデータが付加されていると自動的にみなして、Layer 2(L2; レイヤ 2)パケットのフレーム サイズを大きくします。したがって、フレームに対して正確に 1 つのタグのみを付加することを要求される実装(802.1q または MPLS; Multiprotocol Label Switching のいずれか 1 つ)では、スイッチ ポートをトランク ポートとして設定して、スイッチ ポートに対して 4 バイトのデータを余分に受け入れるように強制します。
たとえば、あるポートが 1 つの MPLS ラベルを転送する必要がある場合は、ネイティブ VLAN を変更して目的のポートがこのトラフィックを転送できるように、このポートを 802.1q トランクとして設定します。
ベビー ジャイアントとは、Catalyst 4000/4500 のプラットフォームで最高 1600 バイトまでのイーサネット フレームのことで、このパケット サイズ(MTU サイズ)は最高 1552 バイト(ヘッダーまたはトレーラを含まない)です。 次の表では、ベビー ジャイアント機能を使用できるサンプル プロトコルとそれに必要な設定をリストします。
プロトコル/アプリケーション | ヘッダーのバイト数 | 合計フレーム サイズ | コマンド |
---|---|---|---|
802.1q トランキング | 4 | 1500 + 4 + 18 = 1522 | MTU コマンドは不要 |
QinQ パススルー(802.1q 内の 802.1q のことで、ISP がユーザのトラフィックを分離するのに有効) | 4 + 4 | 1500 + 8 + 18 = 1526 | system mtu 1504 |
MPLS VPN パススルー(4 バイトのラベル 2 個) | 4 + 4 | 1500 + 8 + 18 = 1526 | system mtu 1508 |
UTI/L2TPV3 パススルー(あるイーサネット パケットを、トンネリングヘッダーを持つ別のイーサネット パケットにカプセル化する。IP/IPX などのペイロードを IP バックボーン上で転送するのに有効)。 | 18+ 20+12 | 1500 + 50 + 18 = 1568 | system mtu 1550 |
ジャンボ フレームとは、フレーム サイズが最大 9000 バイトまでのイーサネット パケットのことです。スーパバイザ III および IV では、最大 9198 バイトまでの大きさのパケットを処理できます。この値には、802.1q タグまたは ISL VLAN タグは含まれてますが、イーサネット ヘッダーおよび CRC トレーラは含まれていません。.イーサネット ヘッダーとトレーラを含んだ最大イーサネット フレーム サイズは、9198 + 18 = 9216 バイトです。
注:Catalyst 4000とCatalyst 6000の間で、サポート可能な最大パケットサイズが一致しません。Catalyst 6000 でサポート可能な最大パケット サイズは、9216 バイトです。つまり、Catalyst 6000 でサポート可能なイーサネット フレームの最大合計サイズは、9216 + 18 = 9234 バイトです。
ジャンボ フレームは、大きなフレーム サイズを使用することによってスループット向上の利点がある、Network File System(NFS; ネットワーク ファイル システム)などのアプリケーション
ベビー ジャイアントは、スーパバイザ III および IV 対応の Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.1(12c)EW 以降でサポートされています。
ベビー ジャイアント機能は、次の 2 つを除く Catalyst 4000/4500 用のモジュールすべてでサポートされています。
WS-X4418-GB モジュール(ポート 3 ~18 のみ)
WS-X4412-2GB-TX(ポート1 ~ 12のみ)
ベビー ジャイアント フレームを上記のポートに転送すると、フレームが廃棄されます。
ベビー ジャイアントをイネーブルにするには、次に示すように system mtu global config コマンドを発行します。
4507(config)#system mtu ? <1500-1552> MTU size in bytes 4507(config)#system mtu 1552 Global Ethernet MTU is set to 1552 bytes. Note: this is the Ethernet payload size, not the total Ethernet frame size, which includes the Ethernet header/trailer
注意: ベビー ジャイアントの設定は、ベビー ジャイアント機能をサポートしているすべてのインターフェイスに適用されます。ベビー ジャイアント機能を個別のインターフェイスごとにイネーブルにできません。
注: 特定のインターフェイスでジャンボ フレームのサポートをイネーブルにすると、そのインターフェイスに対するベビー ジャイアントのグローバル設定が上書きされます。
show system mtu コマンドを使用すると、次に示すように、グローバルに設定された MTU が表示されます。
Switch#show system mtu Global Ethernet MTU is 1552 bytes.
show interfaces <interface-id> mtu コマンドを使用すると、設定済みの MTU が表示されます。には、次に示すとおりに、既存の設定済みベビー ジャイアントまたはジャンボ フレームが反映されます。
Switch#sh interfaces fastEthernet 4/1 mtu Port Name MTU Fa4/1 1552
show interface <interface-id> コマンドを使用すると、次に示すように、グローバルに設定済みのベビー ジャイアント値が表示されます。
Switch#sh int fas 4/1 FastEthernet4/1 is up, line protocol is down (notconnect) Hardware is Fast Ethernet Port, address is 0009.e845.633f (bia 0009.e845.633f) MTU 1552 bytes, BW 100000 Kbit, DLY 100 usec, reliability 255/255, txload 1/255, rxload 1/255 Encapsulation ARPA, loopback not set Keepalive set (10 sec) Auto-duplex, Auto-speed input flow-control is off, output flow-control is off ARP type: ARPA, ARP Timeout 04:00:00 Last input never, output never, output hang never Last clearing of "show interface" counters never Input queue: 0/75/0/0 (size/max/drops/flushes); Total output drops: 0 Queueing strategy: fifo Output queue: 0/40 (size/max) 5 minute input rate 0 bits/sec, 0 packets/sec 5 minute output rate 0 bits/sec, 0 packets/sec L3 in Switched: ucast: 0 pkt, 0 bytes - mcast: 0 pkt, 0 bytes L3 out Switched: ucast: 0 pkt, 0 bytes - mcast: 0 pkt, 0 bytes 0 packets input, 0 bytes, 0 no buffer Received 0 broadcasts (0 IP multicast) 0 runts, 0 giants, 0 throttles 0 input errors, 0 CRC, 0 frame, 0 overrun, 0 ignored 0 input packets with dribble condition detected 0 packets output, 0 bytes, 0 underruns 0 output errors, 0 collisions, 0 interface resets 0 babbles, 0 late collision, 0 deferred 0 lost carrier, 0 no carrier 0 output buffer failures, 0 output buffers swapped out
show interfaces <interface-id> counters all コマンドを使用すると、次に示すように、ジャンボ フレームの統計情報が表示されます。
sup3# sh interfaces gigabitEthernet 1/1 counters all Port InBytes InUcastPkts InMcastPkts InBcastPkts Gi1/1 0 0 0 0 Port OutBytes OutUcastPkts OutMcastPkts OutBcastPkts Gi1/1 0 0 0 0 Port InPkts 64 OutPkts 64 InPkts 65-127 OutPkts 65-127 Gi1/1 0 0 0 0 Port InPkts 128-255 OutPkts 128-255 InPkts 256-511 OutPkts 256-511 Gi1/1 0 0 0 0 Port InPkts 512-1023 OutPkts 512-1023 Gi1/1 0 0 Port InPkts 1024-1518 OutPkts 1024-1518 InPkts 1519-1548 OutPkts 1519-1548 Gi1/1 0 0 0 0 Port InPkts 1549-9216 OutPkts 1549-9216 Gi1/1 0 0
ベビー ジャイアントはサポートされていますが、オーバーサイズのジャイアント パケットとしてカウントされます。次のラインカードでは、show interface コマンドの出力のエラー カウンタが増加します。
WS-X4504-FX-MT
WS-X4232-RJ-XX
WS-X4148-FX-MT
WS-X4148-RJ21
WS-X4148-RJ21
WS-X4232-GB-RJ(ポート 3 ~ 34)
WS-X4124-FXMT
WS-X4148-RJ
WS-X4148-RJ
WS-X4148-RJV
ジャンボ フレームスーパバイザ III および IV 対応の Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.1(13)EW 以降でサポートされます。
ジャンボ フレームは非ブロッキングギガビット ポートでのみサポートされています。次のリストは、ギガビットモジュールおよびジャンボ フレームをサポートする特定のポートを示します。
スーパバイザ III (WS-X4013) および スーパバイザ両方のアップリンク ポート
WS-X4306-GB
WS-X4232-GB-RJ(ポート 1、2 のみ)
WS-X4418-GB(ポート 1、2 のみ)
WS-X4412-2GB-TX(ポート 13、14 のみ)
ジャンボ フレームのサポートを設定するには、次に示すように mtu <mtu-size> インターフェイス設定コマンドを発行します。
sup3#conf t Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z. sup3(config)#interface gigabitEthernet 1/1 sup3(config-if)#mtu ? <1500-9198> MTU size in bytes sup3(config-if)#mtu 9198 sup3(config-if)#end
ジャンボ フレームのサポートは、次のタイプのインターフェイスでイネーブルにすることができます。
ポート チャネル インターフェイス
スイッチ仮想インターフェイス(SVI)
物理インターフェイス(L2/ Layer 3(L3; レイヤ 3)
show interfaces <interface-id> mtu コマンドを使用すると、次に示すように、設定済みのインターフェイス レベルのジャンボ フレーム設定が表示されます。
sup3#sh interfaces gigabitEthernet 1/1 mtu Port Name MTU Gi1/1 9198
show interface <interface-id> コマンドを使用すると、特定のインターフェイスに対して設定済みの MTU が表示されます。
注意:今後、グローバル MTU 設定は廃止され、ジャンボ フレーム インターフェイス設定が採用されます。次に示す出力では、このシステムの MTU は、1552 に設定されていますが、インターフェイス ギガビットイーサネット 1/1 は、ジャンボ フレームをサポートするために 9198 バイトに設定されています。
sup3#show interfaces gigabitEthernet 1/1 GigabitEthernet1/1 is up, line protocol is down (notconnect) Hardware is Gigabit Ethernet Port, address is 0004.9a80.a400 (bia 0004.9a80.a400) MTU 9198 bytes, BW 1000000 Kbit, DLY 10 usec, reliability 255/255, txload 1/255, rxload 1/255 Encapsulation ARPA, loopback not set Keepalive set (10 sec) Auto-duplex, Auto-speed input flow-control is off, output flow-control is off ARP type: ARPA, ARP Timeout 04:00:00 Last input never, output never, output hang never Last clearing of "show interface" counters never Input queue: 0/2000/0/0 (size/max/drops/flushes); Total output drops: 0 Queueing strategy: fifo Output queue: 0/40 (size/max) 5 minute input rate 0 bits/sec, 0 packets/sec 5 minute output rate 0 bits/sec, 0 packets/sec 0 packets input, 0 bytes, 0 no buffer Received 0 broadcasts (0 multicast) 0 runts, 0 giants, 0 throttles 0 input errors, 0 CRC, 0 frame, 0 overrun, 0 ignored 0 input packets with dribble condition detected 0 packets output, 0 bytes, 0 underruns 0 output errors, 0 collisions, 0 interface resets 0 babbles, 0 late collision, 0 deferred 0 lost carrier, 0 no carrier 0 output buffer failures, 0 output buffers swapped out
show interfaces <interface-id> counters all コマンドを使用すると、次に示すように、ジャンボ フレームの統計情報が表示されます。
sup3# sh interfaces gigabitEthernet 1/1 counters all Port InBytes InUcastPkts InMcastPkts InBcastPkts Gi1/1 0 0 0 0 Port OutBytes OutUcastPkts OutMcastPkts OutBcastPkts Gi1/1 0 0 0 0 Port InPkts 64 OutPkts 64 InPkts 65-127 OutPkts 65-127 Gi1/1 0 0 0 0 Port InPkts 128-255 OutPkts 128-255 InPkts 256-511 OutPkts 256-511 Gi1/1 0 0 0 0 Port InPkts 512-1023 OutPkts 512-1023 Gi1/1 0 0 Port InPkts 1024-1518 OutPkts 1024-1518 InPkts 1519-1548 OutPkts 1519-1548 Gi1/1 0 0 0 0 Port InPkts 1549-9216 OutPkts 1549-9216 Gi1/1 0 0
show system mtu コマンドを使用すると、ベビー ジャイアントが設定されている場合はその値が表示されます。インターフェイスごとのジャンボ フレームのサポートは、次のように表示されます。
sup3# sh system mtu Global Ethernet MTU is 1552 bytes.
SVI 上でジャンボ フレームのサポートを設定する前に、1 つの VLAN 内すべてのインターフェイスがジャンボ フレームに設定されていることを確認してください。パケットの MTU は、SVI の入力側ではチェックされませんが、出力側でチェックされます。パケットの MTU が 出力側 SVI の MTU より大きい場合、そのパケットはソフトウェアにより断片化されます(DF ビットが未設定の場合)。その結果システムのパフォーマンスは低下します。ソフトウェアによる断片化は、L3 スイッチングのみに対して発生します。パケットが L3 ポートまたは SVI に転送されたとき、この L3 ポートまたは SVI の MTU がそのパケット の MTU より小さい場合は、ソフトウェアによる断片化が発生します。
次に示す出力では、show vlan mtu コマンドを発行することによって、VLAN 1 で MTU のミスマッチが発生していることがわかります。VLAN 1 のポート Gig 4/1 は、1500 バイトまでしかサポートしていません。したがって、このポートでは、この VLAN に対するジャンボ フレームを十分にサポートできません。ジャンボ フレームのをサポートしていないポートにパケットが転送された場合、そのパケットは、L2 スイッチングで廃棄されることがあります。このパケットをその VLAN 内の Gig 1/1 または非ブロッキング ポートに転送すると、パケットの転送は継続します。.
SVI の MTU を、その VLAN 内のどのスイッチ ポートの MTU よりも常に小さくなるように設定することをお勧めします。ただし、この設定はソフトウェアでは実行されません。
sup3# sh vlan mtu VLAN SVI_MTU MinMTU(port) MaxMTU(port) MTU_Mismatch ---- ------------- ------------- ------------ ------------ 1 9198(TooBig) 1500 (Gi4/1 ) 9198 (Gi1/1 ) Yes 2 1552 1552 1552 No 17 1552 1552 1552 No
ジャンボ フレームは、ポート チャネル プロトコル用に設定されたインターフェイスでイネーブルにすることができますが、次のようなガイドラインおよび制限事項があります。
同一ポートチャネル内にあるすべてのポートの MTU が同じであること。
1 つのポート チャネル インターフェイスの MTU が変更されると、すべてのメンバ ポートの MTU が変更される。
1 つのメンバ ポートがブロッキング ポートであったために、このメンバ ポートの MTU が変更されなかった場合、このポート チャネルは停止する。
ポートを既存のポート チャネル追加するとき、そのポート MTU が既存のポート チャネルの MTU と異なる場合は追加できない。
メンバ ポートの MTU を単体で変更した場合、そのメンバ ポートは停止する。
改定 | 発行日 | コメント |
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1.0 |
24-Mar-2005 |
初版 |