このドキュメントでは、Cisco Catalyst 6500 シリーズ スイッチの Policy Feature Card(PFC)、Distributed Forwarding Card(DFC)、および、Centralized Forwarding Card(CFC)に関する FAQ を取り上げています。
ドキュメント表記の詳細は、『シスコ テクニカル ティップスの表記法』を参照してください。
A. PFC3は、Sup720用のASICベースのフォワーディングエンジンドーターカードです。DFC3 はさまざまなファブリック対応のラインカード(CEF256、CEF720)用の ASIC ベースの転送エンジン ドーターカードです。 PFC3/DFC3世代は、EARL7と呼ばれるフォワーディングアーキテクチャに基づいて構築されています。この世代には、同じ基本テクノロジーに基づく「A」、「B」、「BXL」の3つのバージョンがあります。「A」は標準機能、「B」は中間オプション、「BXL」はハイエンド オプションになります。
これらのバージョンはすべて同じ世代なので、同じような動作の同じシャーシ内で共存できますが、それぞれの機能には違いがあります。転送エンジンが混在したシステムは、シャーシ内の最小の機能を持つ転送エンジンの機能でのみ動作します。それぞれの転送エンジンを各固有モードで独立して動作させることはできません。BXL バージョンを BXL モードで動作させ、B バージョンを B モードで動作させるなどは、同一シャーシ内では許可されません。同一シャーシ内で各 PFC3/DFC3 に異なる機能を持たせると、転送テーブルを同期させることができないのが、この理由です。たとえば、FIB テーブルのエントリが 500 K まで増大すると、500 K の FIB テーブルを PFC3BXL/DFC3BXL モジュールにダウンロードする場合に、システムでは安定した動作を提供できなくなります。ただし、PFC3A/DFC3A モジュールと PFC3B/DFC3B モジュールでは、この限りではありません。これと同じ状況は、512 を超える ACL ラベルを必要とする ACL 設定にも当てはまります。PFC3/DFC3 の各バージョンが混在する状況でテーブルの同期が維持され、さらに機能が各インターフェイスに安定して適用されるようにするには、最小の共通値のモードで動作する必要があるのはこのためです。
PFC カード DFC カード この組み合せで適用されるモード 注 PFC3A DFC3A PFC3A モード 制約はありません。 DFC3B PFC3A により DFC3B の機能が制約されます。 DFC3BXL PFC3A により DFC3BXL の機能が制約されます。 DFC3C PFC3A により DFC3C の機能が制約されます。 DFC3CXL PFC3A により DFC3CXL の機能が制約されます。 PFC3B DFC3A PFC3A モード DFC3A により PFC3B の機能が制約されます。 DFC3B PFC3B モード 制約はありません。 DFC3BXL PFC3B により DFC3BXL の機能が制約されます。 DFC3C PFC3B により DFC3C の機能が制約されます。 DFC3CXL PFC3B により DFC3CXL の機能が制約されます。 PFC3BXL DFC3A PFC3A モード DFC3A により PFC3BXL の機能が制約されます。 DFC3B PFC3B モード DFC3B により PFC3BXL の機能が制約されます。 DFC3C PFC3B モード 相手側により互いの機能が制約されます。PFC3BXL は PFC3B として機能し、DFC3C は DFC3B として機能します(PFC3B モード)。 DFC3BXL PFC3BXL モード 制約はありません。 DFC3CXL PFC3BXL により DFC3CXL の機能が制約されます。 DFC と PFC を混在させると、活性挿抜(online insertion and removal; OIR)(つまり、ホットスワップ)にも影響します。 DFC3B を装備するラインカードが SUP720-3BXL でスイッチに挿入されると、そのラインカードの電源がオンになりません。
DFC3A が装備されたスイッチング モジュールを PFC3BXL や PFC3B と使用するには、ブートアップ時に DFC3A が装備されたスイッチング モジュールがインストールされている必要があります。DFC3B が装備されたスイッチング モジュールを PFC3BXL と使用するには、ブートアップ時に DFC3B が装備されたスイッチング モジュールがインストールされている必要があります。
システムでは、次のようなメッセージの表示も行われます。
OIR-6-DOWNGRADE_EARL: Module [dec] DFC installed is not identical to system PFC and will perform at current system operating mode.次に示すのも、エラー メッセージの例です。
%OIR-SP-6-DOWNGRADE_EARL: Module 4 DFC installed is not identical to system PFC and will perform at current system operating mode.詳細については、『CFC または DFC ドータ カードの取り外し』を参照してください。
A.リリース12.2(17d) SXB以降のリリースでは、show platform hardware pfc modeコマンドを入力してPFC3モードを表示します。
リリース12.2(17b) SXAおよびリリース12.2(17b)SXA2では、show platform earl-modeコマンドを入力してPFC3モードを表示します。
A. 1つのスーパーバイザエンジンで1つのタイプのPFC3(PFC3BXL、PFC3B、またはPFC3A)を使用し、もう1つのスーパーバイザエンジンで別のタイプのPFC3Aを使用して冗長性を確保することはできません。冗長構成にするには、同一のポリシー フィーチャ カードを使用する必要があります。
パフォーマンスが、DFC を実装する最大で最も明確な理由です。30 Mpps の中央集中型転送システムから、最大で 400 Mpps の分散型転送システムに移行することになります。この転送のパフォーマンスは、L2 ブリッジング、L3 ルーティング、ACL、QoS、さらに Netflow の機能すべてに及ぶもので、L3 だけのものではありません。
この DFC のパフォーマンス上の利点は、67xx シリーズのモジュールを使用する場合に最も顕著です。これらのモジュールでは、30 Mpps の中央集中型転送エンジンよりもはるかに多くのポートと帯域幅を生成に利用できるのが、その理由です。DFC が装備されていない 67xx シリーズのモジュールでは、他の中央集中型転送モジュールすべてと同じ中央集中型パフォーマンス特性の対象、つまり、システム全体で最大 30 Mpps となります。
6704 モジュールでは、4 X 10G ポートで 60 Mpps のトラフィックを受信する能力があります(4 X 14.88 Mpps で、これは 64B フレームでの 10GE の回線レートです)。 これは中央集中型転送エンジンで処理できるトラフィック量の 2 倍になりますが、ここで対象とされているのはシステムの 1 スロットだけです。システムでモジュールを増やすことも、このオーバー サブスクリプションに対して有効です。
6704 モジュールに DFC3 を追加すると、モジュールの転送パフォーマンスが 48 Mpps にまで増加します。これはそのスロットに関してだけなので、DFC3 の転送パフォーマンスは自身が搭載されているモジュールだけに有効であり、他と共有されるものではありません。全体としてのシステムのオーバー サブスクリプション レートは、DFC を追加すると大きく低下します。これよりも低いパフォーマンス レベルながら、同じ原則が 65xx モジュールに適用され、ここでもオプションで DFC がサポートされています。
システムに旧型のモジュールがあることによる影響を最小にします。旧型のモジュールがあるとシステムの中央集中型転送パフォーマンスに影響があり、最大中央集中型転送レートが 15 Mpps に制限されます。DFC 搭載でイネーブルになっているモジュールには固有の転送エンジンが備わっており、このパフォーマンス低下は該当しません。旧型モジュールが使用されている場合、DFC を組み込むと、どのようなパフォーマンスの問題も緩和されます。旧型モジュールがある場合、DFC 非搭載のモジュールで転送に利用可能なのは 15 Mpps しかないという問題が残ります。
システムで Netflow エントリ数を増加させます。システムでは DFC/PFC ベースで Netflow エントリが学習され、Netflow テーブル間の同期は取られません。PFC3BXL/DFC3BXL で 256 K の Netflow エントリがある場合、256 K を PFC3BXL/DFC3BXL の数で乗算した値にまでシステムを拡大できます。
ポートベースの QoS 集約ポリサー数を増加させます。1 つの PFC/DFC でサポートできる集約ポリサーは 1023 です。対象のポートを管理する PFC/DFC に、ポートベースの集約ポリサー用のポリシーをダウンロードするだけです。「x」個の PFC/DFC でサポートできるのは、1023 にポリシー数の「x」を乗算した数になります。
UBRL/Microflow ポリサー エントリ数を増加させます。Microflow ポリサー エントリは Netflow テーブルに保存されるので、この最大容量が直接に Netflow テーブルの集約容量に関係します。
DFC モジュールを追加すると、データ バスからモジュールが確実に接続解除されます。DFC 対応モジュールは、シャーシにモジュールが挿入されたり、取り外されたりする際に発生するバス ストール メカニズムに該当するものではありません。活性挿抜(OIR)イベントの間、挿入/取り外しのプロセスによりバックプレーンでのデータ破損が引き起こされていないことを確認するのに必要な時間、データ バスが一時的に停止されます。この保護メカニズムにより、非常に短時間(秒未満ですが、モジュールを完全に挿入する時間に依存)のパケット損失が発生します。DFC がオンボードで搭載されたモジュールでは、このストール メカニズムは直接には影響せず、OIR でのパケット損失はありません。
A. WS-F6700-CFCは、67xxラインカードの中央集中型フォワーディングを提供するドーターカードです。CFC は 67xx ラインカード動作の基本要件で無償オプションとなっています。このドーターカードには、バス インターフェイスとしてのみ機能する ASIC が 2 つ組み込まれています。これらの ASIC により、省略されたコンパクト ヘッダーが形成され、中央の PFC3* に転送デシジョンのために送信されます。
名前が示すように、CFC が使用されるのは中央集中型転送だけです。Catalyst 6500 の中央集中型転送レートは最大で 30 Mpps です。CFC ではローカル転送機能は提供されません。これは Catalyst 6500 での他のどのタイプのモジュールとも異なっています。これは通常、中央集中型転送機能は基本ボードに特有の機能で、ドーターカードでは標準外の追加機能が提供されるためです。
67xx ラインカードに DFC3** が追加される際には、CFC を取り外す必要があります。DFC3 ドーターカードでは分散型転送(dCEF)が提供されます。 CFC と DFC3 では同じラインカードのコネクタが使用されるので、1 つのモジュール上では相互に排他的です。
* PFC3 には PFC3A、PFC3B、あるいは PFC3BXL. が可能です。
** DFC3 ドーターカードのオプションには WS-F6700-DFC3A、WS-F6700-DFC3B、WS-F6700-DFC3BXL、WS-F6700-DFC3C、あるいは WS-F6700-DFC3CXL. があります。
A. VSSモードは、現在PFC3CまたはPFC3CXLでのみサポートされており、システム内のDFC3A、DFC3B、またはDFC3BXLではサポートされていません。PFC3C/CXL とともに、上記の DFC が挿入されたラインカードを使用している場合、システムがリロードされるまでは、ラインカードはオフラインのままです。このリロードにより、システム全体での PFC モードのネゴシエーションが可能になりますが、その結果、システムは lower common denominator モードで稼働することになります。DFC-3B あるいは、それよりも低位のモードがイネーブルになっている場合、VSS 機能はすべてディセーブルになります。
A. DFC3C/DFC3CXLを使用するVSSに制限はありません。通常のスイッチの要件のように、DFC3C/CXL を備えたラインカードでも、CFC だけでも使用できます。
8 ポート 10G カード(WS-X6708-10G-3C/XL)が機能するには、DFC がインストールされている必要があります。
A. DFC3CXLのWS-X6704-10GEでは、送信キュー1p7q8tおよび受信キュー8q8tが入力キューおよび出力キューとしてサポートされています。
WS-X6704-10GE には、DFC-3CXL および DFC-3BXL と同じキューが備わっています。差異があるのは、6704/CFC と 6704/DFC の間にだけです。この情報は、show interfaces interface interface-number capabilities module number コマンドで表示できます。
A.現在、NAT64機能は、アグリゲーションサービスルータ(ASR)および適応型セキュリティアプライアンス(ASA)でのみサポートされています。