Cisco Catalyst 6500/6000 シリー ズスイッチには、システム内の電源のアベイラビリティに基づいて、各種のシステム コンポーネントへの電源供給の可否を決める、インテリジェントな電源管理システムが備わっています。このドキュメントでは、現在出荷されている電源モジュールで供給可能な総電力量、および各ラインカードの消費電力量について説明しています。これらのガイドラインに従うことで、モジュールの電源オフや他の予期せぬ事態の原因となる場合がある電力バジェットの過剰消費が回避されます。このドキュメントを参照すると、Catalyst 6500/6000 シリーズ スイッチの電源管理システムの理解に役立ちます。
このドキュメントに特有の要件はありません。
このドキュメントの情報は、Catalyst 6500/6000 シリーズ スイッチに基づくものです。
このドキュメントの情報は、特定のラボ環境にあるデバイスに基づいて作成されました。このドキュメントで使用するすべてのデバイスは、初期(デフォルト)設定の状態から起動しています。対象のネットワークが実稼働中である場合には、どのようなコマンドについても、その潜在的な影響について確実に理解しておく必要があります。
ドキュメント表記の詳細は、『シスコ テクニカル ティップスの表記法』を参照してください。
Catalyst 6500/6000 シリーズ モジュールのタイプによって、電力要件が異なります。スイッチの構成によっては、1 つの電源モジュールが供給する電力では足りない可能性がありますが、これは電源モジュールのワット量によります。電源管理機能を使用すると、2 つの電源モジュールから全搭載モジュールに電源を供給することが可能ですが、この構成では冗長性がサポートされていません。
冗長構成が有効な場合、ワット量が異なる 2 つの電源モジュールが搭載されているシステムに電源を投入すると、両方の電源モジュールがオンラインとなりますが、syslog メッセージが表示されます。このメッセージは、ワット量が低い方の電源モジュールが無効になることを示しています。アクティブ側の電源モジュールに障害が発生すると、無効になっていた、ワット量が低い方の電源モジュールがオンラインになります。必要に応じて、ワット量の低い電源モジュールで対応できるように、特定のモジュールの電源をオフにします。電源モジュール構成変更による影響の詳細は、このセクションの「電源設定変更の影響」の表を参照してください。
注:Catalyst 6500/6000シリーズスイッチでは、同じシャーシにAC入力とDC入力の電源を混在させることができます。
電源設定変更の影響設定の変更 | 影響 |
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冗長構成から非冗長構成へ |
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非冗長構成から冗長構成へ |
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冗長構成が有効で、同じワット量の電源モジュールを挿入する場合 |
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冗長電源が無効で、同じワット量の電源モジュールを挿入する場合 |
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冗長構成が有効で、より高いワット量の電源モジュールを挿入する場合 |
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冗長構成が有効で、より低いワット量の電源モジュールを挿入する場合 |
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冗長構成が無効で、より高いか、より低いワット量の電源モジュールを挿入する場合 |
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冗長構成が有効で、電源モジュールを 1 つ取り外す場合 |
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冗長構成が無効で、電源モジュールを 1 つ取り外す場合 |
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冗長構成が有効で、ワット量が異なる電源モジュールがそれぞれインストールされており、システムがブートされた場合 |
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冗長構成が無効で、ワット量が同じかあるいは異なる電源モジュールがインストールされており、システムがブートされた場合 |
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2 つの電源モジュールが備わったシステムでは、一方の電源モジュールに障害が発生し、もう一方の電源モジュールからすべての搭載モジュールに電源を完全に供給することができない場合、システムの電源管理によって次の順番でデバイスがシャットダウンされます。
Power over Ethernet(PoE)デバイス
最も大きな番号のスロットにあるモジュール上の最も大きな番号のポートから降順で PoE デバイスの電源がオフになります。
Modules
さらに電源節約が必要な場合、最も大きな番号のスロットから降順でモジュールの電源がオフになります。スーパーバイザ エンジンやスイッチ ファブリック モジュールが装着されたスロットはバイパスされ、電源はオフになりません。
このシャットダウンの順番は固定されており、変更できません。
各シャーシでサポートされる電源モジュールの設定の詳細は、『製品概要』(『Catalyst 6500 シリーズ インストール ガイド』)を参照してください。
冗長電源および非冗長電源の設定の詳細は、『スイッチの管理』の「電源の冗長性の有効化と無効化」セクションを参照してください。
電源モジュールの定格 | AC 入力モデルの製品番号 | DC 入力モデルの製品番号 |
---|---|---|
950 W | PWR-950-AC | PWR-950-DC |
1000 W | WS-CAC-1000W | - |
1300 W | WS-CAC-1300W | WS-CDC-1300W |
1400 W | PWR-1400-AC | - |
2500 W | WS-CAC-2500W | WS-CDC-2500W |
2700 W | PWR-2700-AC/4 | PWR-2700-DC/4 |
3000 W | WS-CAC-3000W | - |
4000 W | WS-CAC-4000W-US1 WS-CAC-4000W-INT | PWR-4000-DC |
6000 W | WS-CAC-6000W | - |
8000 W | WS-CAC-8700W-E | - |
回線のタイプおよび電源コードの要件の詳細は、『インストールの準備』を参照してください。
電源モジュールの LED の詳細は、『製品の概要』(Catalyst 6500 シリーズ インストレーション ガイド)の「表 1-11 電源モジュールの前面パネル LED」セクションを参照してください。
シャーシでは、ファンおよび(一部の)バス終端で電力が消費されますが、この分の電力はすでに電力バジェットの要素に含まれています。1300 Wの電源装置は27.46 Aを供給できることに注意してください。これは、基準となる42ボルト(V)の電源の値です。
以下が一例です。
27.46A * 42V = 1153W + 146W (for the chassis) = 1300W
この例は、すべての電源装置に適用されます。電源モジュールについて公表されている数値で示されているのは、スーパーバイザ エンジンとラインカードで消費される電力量だけです。
Catalyst 6500/6000 の電源モジュールには出力定格が 1800 W のものはありませんが、この 1800 W の数値には、1300 W AC 電源モジュールが該当します。このユニットのバージョンによっては、1800 W という数値が前面パネルのシルクスクリーンに表示されます。この数値は、ユニットの入力電源定格(またはシステムの最大消費電力)を示しています。
注:ユニットのシルクスクリーンのマーキングは多くの人を混乱させています。Cisco では電源モジュールにこの種のマーキングを行わなくなったことに注意してください。
電源管理用ソフトウェアが 1300 W の電源モジュールに設定する 27.46 A の最大限界値で電源モジュールを稼働させても、信頼性についてはまったく問題はありません。この 27.46 A という最大値は、動作温度 40 ℃での電源の理論的な最大容量の 75 ~ 80 % に相当します。通常は、電源モジュールの定格出力をこのように低減して、電力マージンを充分確保しています。この結果、電源の長期的な信頼性が向上します。また、各カードの消費電力値はすべて、ワーストケースでのトラフィック構成(約 100 %)で算出されています。 たとえば、ギガビット モジュールの消費電力には、取り付けられた Gigabit Interface Converter(GBIC; ギガビット インターフェイス コンバータ)の消費電力がすべて含まれています。標準的な運用での実際の使用電力は、これよりも少なくなります。
5.2(1)ソフトウェアはスーパーバイザエンジンEEPROM(SEEPROM)値を上書きし、デフォルトの3.00 Aを使用します。5.2(2)ソフトウェアはSEEPROM値を上書きし、デフォルトの1.70 Aを使用します。
予備のスーパーバイザ エンジン カードは、常に挿入と同時に電源がオンになるので、スロットにカードが取り付けられていない場合も、スーパーバイザ エンジンに対応するために冗長スーパーバイザ エンジンのスロットに十分な電力を確保しておく必要があります。次に、冗長スーパバイザ エンジンがある場合とない場合の 4 つのケースを示します。
No card in slot 2:スーパーバイザ エンジンの挿入に備えて、1.7 A が割り当てられます。
注:プライマリのスーパーバイザエンジンにマルチレイヤスイッチフィーチャカード(MSFC)/ポリシーフィーチャカード(PFC)がある場合、3.30 Aが予約されます。
スロット 2 にスーパーバイザ エンジンがある場合:確保された 1.7 A が割り当てられます。
注:スーパーバイザエンジンにMSFC/PFCがある場合、3.30 Aが予約されています。
スロット 2 に 1.7 A 未満のラインカードがある場合:1.7 A のスーパーバイザ エンジンの数値が割り当てられます。
注:現在使用できるカードが1.7 A未満です。
注:スーパーバイザエンジンにMSFC/PFCがある場合、3.30 Aが予約されています。
スロット 2 に 1.7 A を超えるラインカードがある場合:SEEPROM から得られた実際のカードの値が割り当てられます。
注:スーパーバイザエンジンにMSFC/PFCがある場合、3.30 Aが予約されています。
初期の WS-X6408-GBIC ユニットの中には、誤って 1.5 A にプログラミングされたものがありました。
モジュールの電源要件についての詳細は、『スイッチの管理』の「表 14-2 モジュール電源の要件」セクションを参照してください。
Command Line Interface(CLI; コマンドライン インターフェイス)から正常に動作しているモジュールの電源をオフにするために、次のコマンドのいずれかを発行することができます。
Catalyst OS(CatOS):set module power down module_number
Cisco IOS®ソフトウェア:no power enable module slot
そのモジュールは、show module コマンド出力の Status フィールドに power-down とマークされます。以前に電源オフしたモジュールについて、電源をオンにするための電力がシステム内に十分にあるか否かを確認するには、次のコマンドのいずれかを発行します。
Cisco IOS ソフトウェア:power enable module slot
電力が十分になければ、モジュールの状態は power-down から power-deny に変わります。
show environment(CatOS):このコマンドでは、電源モジュール、クロック モジュール、ファン モジュールなどのスイッチ コンポーネントの診断結果が出力されます。
Cat6kCatOS show environment Environmental Status (. = Pass, F = Fail, U = Unknown, N = Not Present) PS1: . PS2: N PS1 Fan: . PS2 Fan: N Chassis-Ser-EEPROM: . Fan: . Clock(A/B): A Clock A: . Clock B: . VTT1: . VTT2: . VTT3: .
show environment status(Cisco IOS ソフトウェア):このコマンドは、CatOS の show environment に類似するものです。
Cat6kIOS#show environment status backplane: operating clock count: 2 operating VTT count: 3 fan-tray: fantray fan operation sensor: OK VTT 1: VTT 1 OK: OK VTT 1 outlet temperature: 32C VTT 2: VTT 2 OK: OK VTT 2 outlet temperature: 34C VTT 3: VTT 3 OK: OK VTT 3 outlet temperature: 36C clock 1: clock 1 OK: OK, clock 1 clock-inuse: in-use clock 2: clock 2 OK: OK, clock 2 clock-inuse: not-in-use power-supply 1: power-supply 1 fan-fail: OK power-supply 1 power-output-fail: OK module 1: module 1 power-output-fail: OK module 1 outlet temperature: 30C module 1 device-2 temperature: 35C RP 1 outlet temperature: 36C RP 1 inlet temperature: 37C EARL 1 outlet temperature: 29C EARL 1 inlet temperature: 30C module 3: module 3 power-output-fail: OK module 3 outlet temperature: 31C module 3 inlet temperature: 27C module 5: module 5 power-output-fail: OK module 5 outlet temperature: 42C module 5 inlet temperature: 29C EARL 5 outlet temperature: 40C EARL 5 inlet temperature: 32C module 6: module 6 power-output-fail: OK module 6 outlet temperature: 44C module 6 inlet temperature: 36C
show environment power(CatOS):このコマンドでは、システムの電源状態および使用可能な電力に関する詳細情報が出力されます。
Cat6kCatOS show environment power PS1 Capacity: 1153.32 Watts (27.46 Amps @42V) PS2 Capacity: none PS Configuration : PS1 and PS2 in Redundant Configuration. Total Power Available: 1153.32 Watts (27.46 Amps @42V) Total Power Available for Line Card Usage: 1153.32 Watts (27.46 Amps @42V) Total Power Drawn From the System: 377.58 Watts ( 8.99 Amps @42V) Remaining Power in the System: 775.74 Watts (18.47 Amps @42V) Default Inline Power allocation per port: 7.00 Watts (0.16 Amps @42V) Slot power Requirement/Usage : Slot Card Type PowerRequested PowerAllocated CardStatus Watts A @42V Watts A @42V ---- ------------------- ------- ------ ------- ------ ---------- 1 WS-X6K-SUP1A-2GE 138.60 3.30 138.60 3.30 ok 2 0.00 0.00 138.60 3.30 none 6 WS-X6348-RJ-45 100.38 2.39 100.38 2.39 OK
注:このshow environment powerコマンドの出力例では、PFCとMSFCを搭載したSupervisor Engine 1が使用されています。
show power(Cisco IOS ソフトウェア):このコマンドは、CatOS の show environment power に類似するものです。
冗長構成が無効な場合
Cat6kIOS#show power system power redundancy mode = combined system power total = 55.500A system power used = 22.690A system power available = 32.810A FRU-type # current admin state oper power-supply 1 55.500A on on module 1 4.300A on on module 2 4.300A on on module 3 5.500A on on module 4 5.500A on on module 5 3.090A on on module 6 5.400A off off (admin request)
冗長構成が有効な場合
C6500-1> show power system power redundancy mode = redundant system power total = 1153.32 Watts (27.46 Amps @ 42V) system power used = 674.52 Watts (16.06 Amps @ 42V) system power available = 478.80 Watts (11.40 Amps @ 42V) Power-Capacity PS-Fan Output Oper PS Type Watts A @42V Status Status State ---- ------------------ ------- ------ ------ ------ ----- 1 WS-CAC-1300W 1153.32 27.46 OK OK on 2 WS-CAC-1300W 1153.32 27.46 OK OK on
冗長構成は有効であるが、いずれかの電源モジュールが機能しない場合
C6500-2# show power system power redundancy mode = redundant system power redundancy operationally = non-redundant system power total = 3795.12 Watts (90.36 Amps @ 42V) system power used = 1786.68 Watts (42.54 Amps @ 42V) system power available = 2008.44 Watts (47.82 Amps @ 42V) Power-Capacity PS-Fan Output Oper PS Type Watts A @42V Status Status State ---- ------------------ ------- ------ ------ ------ ----- 1 WS-CAC-4000W-US 3795.12 90.36 OK OK on 2 WS-CAC-4000W-US 3795.12 90.36 - - off