Cisco IOS® ソフトウェアが稼働する Cisco Catalyst 6500/6000 では、次のリセット理由が表示され、リロードされたように見える場合があります。
System returned to ROM by power-on (SP by abort)
コンフィギュレーション レジスタ設定のミスマッチにより、このタイプのリロードが発生する可能性があります。 具体的には、Multilayer Switch Feature Card(MSFC; マルチレイヤ スイッチ カード)Route Processor(RP; ルータ プロセッサ)のコンフィギュレーション レジスタを「ブレークの無視」を行う値に設定する一方で、スーパーバイザ エンジン Switch Processor(SP; スイッチ プロセッサ)のコンフィギュレーション レジスタを「ブレークの無視」を行わない値に設定することができます。 たとえば、スーパーバイザ エンジン SP を 0x2、MSFC RP を 0x2102 に設定した場合です。
このドキュメントの読者は次のトピックについて理解している必要があります。
Catalyst OS(CatOS)と Cisco IOS システム ソフトウェアの違い
ドキュメント「Catalyst 6500/6000 スイッチでの CatOS から Cisco IOS へのシステム ソフトウェアの変更」の「CatOS と Cisco IOS システム ソフトウェアの違い」の項を参照してください。
CatOS と Cisco IOS ソフトウェア コンフィギュレーション レジスタ
次のドキュメントを参照してください。
ドキュメント「スイッチの初期設定」の「ソフトウェア コンフィギュレーション レジスタの設定」の項
この文書は、Cisco IOS ソフトウェアが稼動する Catalyst 6500/6000 スイッチに限定した内容です。
このドキュメントの情報は、特定のラボ環境にあるデバイスに基づいて作成されたものです。 このドキュメントで使用するすべてのデバイスは、クリアな(デフォルト)設定で作業を開始しています。 ネットワークが稼働中の場合は、コマンドが及ぼす潜在的な影響を十分に理解しておく必要があります。
ドキュメント表記の詳細は、『シスコ テクニカル ティップスの表記法』を参照してください。
Cisco IOS ソフトウェア モードで稼働している Catalyst 6500/6000 には、SP および RP に対して異なるコンフィギュレーション レジスタを保持できます。 Cisco IOS ソフトウェア モード時には、実行設定と起動設定は SP と RP 間で同期されます。 ただし、コンフィギュレーション レジスタは実行コンフィギュレーションまたはスタートアップ コンフィギュレーションの一部ではありません。 コンフィギュレーション レジスタが NVRAM に書き込まれるのは、その設定時です。
コンフィギュレーション レジスタを「ブレークを無効にする」以外(0x2 など)に設定した場合、コンソールがブレーク信号を受信すると、Cisco IOS デバイスは ROM モニタ(ROMmon)診断モードに入ります。 ターミナル エミュレータ ソフトウェア、または他の手段で該当のブレーク キー シーケンスを押すと、ブレーク信号が生成されます。 たとえば、HyperTerminal ではブレーク キー シーケンスは Ctrl+Break です。 特別なハードウェア(PC)構成では、ターミナル エミュレータでキーを押さなくてもコンソールにブレーク シーケンスが送られます。 通常これが発生するのは、ハードウェアの故障や相互運用性の問題が原因です。 ベンダー独自のシリアル ポートのピン配置や Radio Frequency(RF; 無線周波数)のノイズが原因になっている場合もあります。
CatOS モードでは、通常スーパーバイザ エンジンの SP にコンフィギュレーション レジスタ 0x2 が設定されています。 この設定になっているのは、CatOS では「ブレークを無効にする」が オプションではないためです。 CatOS でブレーク信号を検出するとき、コンフィギュレーション レジスタは 0x2 であり、CatOS は ROMmon 状態にはなりません。
CatOS が稼動する Catalyst 6500 の出力を次に示します。
6500_CATOS (enable) show bootBOOT variable = bootflash:,1;CONFIG_FILE variable = slot0:switch.cfgConfiguration register is 0x2ignore-config: disabledauto-config: non-recurring, overwrite, sync disabledconsole baud: 9600boot: image specified by the boot system commands
Cisco IOS ルータには MSFC が組み込まれていて、コンフィギュレーション レジスタは通常適切な値 0x102 または 0x2102 になっています。 0x2102 は「ブレークを無効にする」設定です。
MSFC# show bootvarBOOT variable = bootflash:c6msfc2-psv-mz.121-13.E14,1CONFIG_FILE variable = BOOTLDR variable = Configuration register is 0x2102
スーパバイザ エンジン SP のコンフィギュレーション レジスタを 0x2 に設定し、MSFC RP のコンフィギュレーション レジスタを 0x2102 に設定した、Catalyst 6500 システムの Cisco IOS ソフトウェアへの変換について考察します。 変換時に、コンフィギュレーション レジスタは、変換が完了してコンフィギュレーション レジスタが再設定されるまで同じままです。 この状態で、コンソールがブレーク信号を受信すると、システムが ROMmon 状態になったときにクラッシュしたように見えます。 システムには、このドキュメントの「概要」に記載した症状が現れます。
次は、Cisco IOS ソフトウェア モードの Catalyst 6500/6000 で、コンフィギュレーション レジスタのミスマッチが存在している例です。
6500_IOS# show bootvarBOOT variable = slot0:c6sup12-ps-mz.121-13.E14,1CONFIG_FILE variable = BOOTLDR variable = Configuration register is 0x21026500_IOS# remote command switch show bootvar6500_IOS-sp#BOOT variable = slot0:c6sup12-ps-mz.121-13.E14,1CONFIG_FILE variable = BOOTLDR variable = Configuration register is 0x2
Catalyst 6500/6000 の SP のコンフィギュレーション レジスタがブレークを許可するように設定されている場合(たとえば、0x2)、コンソールのブレーク信号を受信すると ROMmon 診断モードに入ります。 システムはクラッシュしたように見えます。
この例のスイッチの出力は、スイッチ プロセッサのコンソール ブレーク信号により、スイッチが ROMmon 診断モードに入ったことを示しています。
注: RP のコンフィギュレーション レジスタは 0x2102 です。
6500_IOS# show versionCisco Internetwork Operating System Software IOS (tm) c6sup2_rp Software (c6sup2_rp-PS-M), Version 12.1(13)E14, EARLY DEPLOYMENT RELEASE SOFTWARE (fc1)Technical Support: http://www.cisco.com/techsupportCopyright (c) 1986-2004 by Cisco Systems, Inc.Compiled Tue 30-Mar-04 01:56 by pwadeImage text-base: 0x40008C00, data-base: 0x417A6000ROM: System Bootstrap, Version 12.1(4r)E, RELEASE SOFTWARE (fc1)BOOTLDR: c6sup2_rp Software (c6sup2_rp-PS-M), Version 12.1(13)E14, EARLY DEPLOYMENT RELEASE SOFTWARE (fc1)6500_IOS uptime is 31 minutesTime since 6500_IOS switched to active is 31 minutesSystem returned to ROM by power-on (SP by abort at PC 0x601061A8)System image file is "slot0:c6sup12-ps-mz.121-13.E14"cisco Catalyst 6000 (R7000) processor with 227328K/34816K bytes of memory.Processor board ID SAD053701CFR7000 CPU at 300Mhz, Implementation 39, Rev 2.1, 256KB L2, 1024KB L3 CacheLast reset from power-onX.25 software, Version 3.0.0.Bridging software.1 Virtual Ethernet/IEEE 802.3 interface(s)192 FastEthernet/IEEE 802.3 interface(s)18 Gigabit Ethernet/IEEE 802.3 interface(s)381K bytes of non-volatile configuration memory.16384K bytes of Flash internal SIMM (Sector size 512K).Configuration register is 0x2102
解決には、コンフィギュレーション レジスタを再設定し、システムをリロードします。
次の手順を実行します。
グローバル コンフィギュレーション モードで config-register 0x2102 コマンドを発行して、RP と SP のコンフィギュレーション レジスタを両方とも 0x2102 に設定します。
6500_IOS# config tEnter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.6500_IOS(config)# config-register 0x21026500_IOS(config)# end
次回のリロード時にコンフィギュレーション レジスタの値を検証するには、show bootvar コマンドを発行します。
6500_IOS# show bootvarBOOT variable = slot0:c6sup12-ps-mz.121-13.E14,1CONFIG_FILE variable = BOOTLDR variable = Configuration register is 0x2102
SP のコンフィギュレーション レジスタも変更されていることを検証するには、remote command switch show bootvar コマンドを発行します。
6500_IOS# remote command switch show bootvar6500_IOS-sp#BOOT variable = slot0:c6sup12-ps-mz.121-13.E14,1CONFIG_FILE variable = BOOTLDR variable = Configuration register is 0x2 (will be 0x2102 at next reload)
スイッチをリロードして、SP の新しいコンフィギュレーション レジスタ値を有効にします。
6500_IOS# reload
注: この時点で、copy running-config startup-config コマンドを発行して設定を保存できます。 ただし、実行設定または起動設定にはコンフィギュレーション レジスタの設定は含まれていないので、この手順は必須ではありません。