このドキュメントでは、Nexus 7000 上の仮想 PortChannel(vPC)自動回復機能を設定する方法について説明します。
このドキュメントに特有の要件はありません。
このドキュメントの内容は、特定のソフトウェアやハードウェアのバージョンに限定されるものではありません。
このドキュメントの情報は、特定のラボ環境にあるデバイスに基づいて作成されました。このドキュメントで使用するすべてのデバイスは、初期(デフォルト)設定の状態から起動しています。対象のネットワークが実稼働中である場合には、どのようなコマンドについても、その潜在的な影響について確実に理解しておく必要があります。
vPC 自動回復機能が必要な理由
この vPC 拡張機能を必要とする主な理由は次の 2 つです。
リリース 5.2(1)以降では、これら 2 つの拡張機能は vPC 自動回復機能によってマージされています。
vPC 自動回復機能の設定は簡単です。両方の vPC ピアの vPC ドメインで自動回復機能を設定する必要があります。
次に設定例を示します。
スイッチ S1
S1 (config)# vpc domain
S1(config-vpc-domain)# auto-recovery
S1# show vpc
Legend:
(*) - local vPC is down, forwarding via vPC peer-link
vPC domain id : 1
Peer status : peer adjacency formed ok
vPC keep-alive status : peer is alive
Configuration consistency status : success
Per-vlan consistency status : success
Type-2 consistency status : success
vPC role : primary
Number of vPCs configured : 5
Peer Gateway : Enabled
Peer gateway excluded VLANs : -
Dual-active excluded VLANs : -
Graceful Consistency Check : Enabled
Auto-recovery status : Enabled (timeout = 240 seconds)
vPC Peer-link status
---------------------------------------------------------------------
id Port Status Active vlans
-- ---- ------ --------------------------------------------------
1 Po1 up 1-112,114-120,800,810
vPC status
-----------------------------------------------------------------------
id Port Status Consistency Reason Active vlans
-- ---- ------ ----------- ------ ------------
10 Po40 up success success 1-112,114-1
20,800,810
スイッチ S2
S2 (config)# vpc domain 1
S2(config-vpc-domain)# auto-recovery
S2# show vpc
Legend:
(*) - local vPC is down, forwarding via vPC peer-link
vPC domain id : 1
Peer status : peer adjacency formed ok
vPC keep-alive status : peer is alive
Configuration consistency status : success
Per-vlan consistency status : success
Type-2 consistency status : success
vPC role : secondary
Number of vPCs configured : 5
Peer Gateway : Enabled
Peer gateway excluded VLANs : -
Dual-active excluded VLANs : -
Graceful Consistency Check : Enabled
Auto-recovery status : Enabled (timeout = 240 seconds)
vPC Peer-link status
---------------------------------------------------------------------
id Port Status Active vlans
-- ---- ------ --------------------------------------------------
1 Po1 up 1-112,114-120,800,810
vPC status ----------------------------------------------------------------------
id Port Status Consistency Reason Active vlans
-- ---- ------ ----------- ------ ------------
40 Po40 up success success 1-112,114-1
20,800,810
自動回復機能が実際に機能するしくみ
この項では、「背景説明」の項で示した各動作について個々に説明します。ここでは、vPC 自動回復機能が設定され、スイッチ S1 と S2 の両方のスタートアップ コンフィギュレーションに保存されていると想定しています。
以下に、いくつかの例を示します。
S1 の電源がオフになります。想定どおり、S2 が運用上のプライマリになります。ピアリンクとピアキープアライブ、およびすべてのvPCリンクがS1から切断されます。S1の電源はオンになりません。S1 は完全に分離されているので、(物理リンクが切断されていても)自動回復機能により自身の vPC の電源をオンにして、プライマリ ロールを引き受けます。ここで、S1 と S2 間のピアリンクまたはピアキープアライブが接続された場合、S1 はプライマリ ロールを継続し、S2 はセカンダリになります。この構成において S2 は、vPC のピアリンクとピアキープアライブの両方の電源がオンになって整合性検査が完了するまで、自身の vPC を一時停止します。このシナリオでは、S2 の vPC がセカンダリになり、かつ S1 の物理リンクがオフになるため、トラフィックはブラック ホール化します。
vPC 自動回復機能を有効にすべきかどうか
vPC 環境で自動回復機能を有効にすることは適切な処置です。
vPC 自動回復機能によってデュアル アクティブ状況が生じる可能性はわずかです。たとえば、最初にピアリンクが失われ、続いてピアキープアライブが失われた場合に、デュアル アクティブ状況が生じます。
そのような状況において、各 vPC メンバー ポートは、デュアル アクティブ障害の発生前にアドバタイズしたのと同じリンク集約制御プロトコル ID を引き続きアドバタイズします。
vPC トポロジは本質的に、デュアル アクティブ状況が発生した場合にループを防止します。最悪のシナリオでは、フレームの重複が生じます。そのような状況でも、ループ防止メカニズムとして、各スイッチは vPC デュアル アクティブ障害の発生前と同じ BPDU ブリッジ ID を使用して、ブリッジ プロトコル データ ユニット(BPDU)を転送します。
直観的ではありませんが、両方の Cisco Nexus 7000 シリーズ ピアのアドレス解決プロトコル(ARP)テーブルが必要な全ホストに対応するように設定されていれば、現行のトラフィック フローでドロップすることなく、アクセス レイヤから集約レイヤにトラフィックを転送し続けることが可能です。また、これは推奨されることでもあります。
新しい MAC アドレスを ARP テーブルに学習させる必要がある場合は、問題が生じる可能性があります。問題が生じる原因は、サーバからの ARP 応答が一方の Cisco Nexus 7000 シリーズ デバイスにのみハッシュされ、もう一方にはハッシュされないことがあり、そのような場合、トラフィックが正常に流れなくなるからです。
しかしながら、障害が発生する前の状況として、適切な PortChannel と Equal Cost Multipath(ECMP)設定により両方の Cisco Nexus 7000 シリーズ デバイスにトラフィックが均等に分配されていたと仮定してください。その場合、サーバ間およびクライアントとサーバ間のトラフィックは続行され、「(ピア リンクの欠如により)Cisco Nexus 7000 シリーズに直接接続しているシングル接続ホストは通信できなくなる」という警告が表示されます。 また、1 台の Cisco Nexus 7000 シリーズで学習された新しい MAC アドレスを、ピアで学習させることはできません。それを行うと、ピアの Cisco Nexus 7000 シリーズ デバイスに到達するリターン トラフィックであふれてしまうからです。
詳細については、『Cisco NX-OS ソフトウェア仮想ポートチャネル:基本概念』の 19 ページを参照してください。
現在、この設定に使用できる確認手順はありません。
現在、この設定に関する特定のトラブルシューティング情報はありません。
改定 | 発行日 | コメント |
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1.0 |
20-Jun-2013 |
初版 |