この文書では、Trivial File Transfer Protocol(TFTP; トリビアル ファイル転送プロトコル)サーバまたは Remote Copy Protocol(RCP; リモート コピー プロトコル)サーバのアプリケーションを使用して Cisco IOS(R) ソフトウェアをインストールする方法、およびアクセス サーバ上のソフトウェア イメージをアップグレードする手順について説明します。この文書で示す例は、AS5350 および AS5400 アクセス サーバに基づいています。
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TFTPサーバまたはRCPサーバアプリケーションは、TCP/IP対応ワークステーションまたはPCにインストールする必要があります。アプリケーションをインストールしたら、次の手順に従って最小限の設定を行う必要があります。
ステップ 1:TFTP サーバのインストール
TFTP クライアントではなく、TFTP サーバとして動作するように、TFTP アプリケーションを設定します。
発信ファイル ディレクトリを指定します。このディレクトリは、Cisco IOS ソフトウェアのイメージを保存するディレクトリです(次のステップ 2 を参照してください)。 ほとんどの TFTP アプリケーションには、これらの設定作業を支援するセットアップ ルーチンが組み込まれています。
注:多数のTFTPまたはRCPアプリケーションは、独立したソフトウェアベンダーから入手するか、World Wide Web上のパブリックソースからシェアウェアとして入手できます。
ステップ 2:Cisco IOS ソフトウェア イメージのダウンロード
Cisco IOSソフトウェアイメージをDownload Software AreaからワークステーションまたはPCにダウンロードします。
新しくダウンロードしたイメージがハードウェアをサポートし、必要なソフトウェア機能を備えていること、およびイメージを実行するための十分なメモリがルータに搭載されていることを確認してください。Cisco IOS ソフトウェア イメージがない場合、または手元のイメージがすべての要件を満たしているかどうかが分からない場合は、「Cisco IOS ソフトウェア リリースの選択方法」を参照してください。
このドキュメントの情報は、次のソフトウェアとハードウェアのバージョンに基づいています。
AS5350およびAS5400アクセスサーバ
この文書の情報は、Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.1(3)T(5400)および 12.1.5-XM(5350) 以降に基づいています。
この文書では、AS5400 を c5400-is-mz.121-5.T9 から c5400-is-mz.121-5.T10 にアップグレードします。
このドキュメントの情報は、特定のラボ環境にあるデバイスに基づいて作成されました。このドキュメントで使用するすべてのデバイスは、初期(デフォルト)設定の状態から起動しています。対象のネットワークが実稼働中である場合には、どのようなコマンドについても、その潜在的な影響について確実に理解しておく必要があります。
ドキュメント表記の詳細は、『シスコ テクニカル ティップスの表記法』を参照してください。
これは、直接コンソール接続または仮想 Telnet 接続によって実行できます。直接コンソール接続の方が Telnet 接続よりも適しています。Telnet 接続はソフトウェアをインストールする際のリブートによって、接続が失われるからです。コンソール接続では、ロール型ケーブル(通常は黒のフラット ケーブル)を使用してルータのコンソール ポートと PC の COM ポートを接続します。PC 上で HyperTerminal を開き、次の設定を使用します。
Speed 9600 bits per second
8 データ ビット
0 parity bits
1 ストップ ビット
フロー制御なし
注意:ハイパーターミナルに文字化けがない場合は、ハイパーターミナルのプロパティが正しく設定されていないことを意味します。HyperTerminal のプロパティを上記のように設定してください。HyperTerminal のプロパティの設定方法については、「コンソール接続用の適切なターミナル エミュレータの適用」を参照してください。
ルータが現在 Rommon モードの場合は、後述の「ルータが Rommon モードの場合の措置」のセクションを参照してください。
TFTP サーバの IP アドレスと、TFTP ソフトウェアのアップグレード用のアクセス サーバの IP アドレスを確認し、これらのアドレスが有効であることを確認します。TFTP サーバに対してアクセス サーバから ping を実行して、これらの間でネットワーク接続が確立されていることを確認します。
TFTP サーバとして動作するコンピュータとルータの間に IP 接続が確立されて ping を実行できたら、TFTP サーバからフラッシュにコピーするコマンドを実行して、イメージをフラッシュにコピーできます。
注:コピーする前に、PCでTFTPサーバソフトウェアを起動していること、およびTFTPサーバのルートディレクトリに記載されているファイル名があることを確認してください。アクセス サーバのソフトウェアをアップグレードする前に、その設定のコピーを保存しておくことを推奨します。アップグレード自体は、不揮発性 RAM(NVRAM)に保存されているコンフィギュレーションには影響しません。
RCP アプリケーションの場合には、TFTP の部分をすべて RCP に置き換えます。たとえば、copy tftp flash コマンドの代わりに copy rcp flash コマンドを使用します。
必要に応じて、デバイスから別のデバイスへイメージをコピーできます。
TFTP サーバの IP アドレスを指定します。
プロンプトが表示されたら、次の例のように TFTP サーバの IP アドレスを入力します。
Address or name of remote host []? 172.16.125.3
新しい Cisco IOS ソフトウェア イメージのファイル名を指定します。
プロンプトが表示されたら、次の例のように、インストールする Cisco IOS ソフトウェア イメージのファイル名を入力します。
Source filename []? c5400-is-mz.121-5.T10
コピー先のファイル名を指定します。
この名前は、新しいソフトウェア イメージがルータ上にロードされたときに付けられる名前です。イメージには任意の名前を付けられますが、通常は同じイメージ ファイル名を入力します。
注:デフォルトでは、ルータはソース名を使用します。コピー先のファイル名をコピー元のファイル名と同じにする場合は、Enter キーを押します。
Destination filename [c5400-is-mz.121-5.T10]?
注:次のエラーメッセージが表示された場合:
%Error copying tftp://172.16.125.3/c5400-is-mz.121-5.T10 (Not enough space on device)
このエラーは、イメージのコピーに必要な空きがフラッシュで不足していることを示します。フラッシュからファイルを消去して、新しいイメージのための空きを用意する必要があります。この手順については、「フラッシュからのファイルの消去」のセクションを参照してください。
次に、上記の手順の出力例を示します。
AS5400# copy tftp: flash: Address or name of remote host []? 172.16.125.3 Source filename []? c5400-is-mz.121-5.T10 Destination filename [c5400-is-mz.121-5.T10]? Loading c5400-is-mz.121-5.T8 from 172.16.125.3 (via FastEthernet0/1): ! %Error copying tftp://172.16.125.3/c5400-is-mz.121-5.T10 (Not enough space on device)
フラッシュからのファイルの消去
ダウンロードを開始する前に、show flash コマンドを使用して、フラッシュに十分なメモリがあることを確認します。メモリが不足している場合は、ファイルを消去してから、フラッシュの squeeze を実行する必要があります。
注意:フラッシュに有効なイメージがない場合は、ルータのリロードや電源のオフ/オンを行わないでください。この操作を行うと、ルータが Rommon またはブートモードで起動してしまいます。
AS5400# show flash: -#- ED --type-- --crc--- -seek-- nlen -length- -----date/time------ name 1 .. image 12605EA3 18AE220 20 8210748 Jan 03 2000 14:25:28 c5400-is-mz.121-5.T8 2 .. image 26995739 8555EC 20 8213868 Jan 04 2000 23:13:42 c5400-is-mz.121-5.T9 3 .. image 9BF1CEC9 107A370 17 8539396 Jan 13 2000 05:13:04 c5400-is-mz.122-6 4 .. unknown E818E6CC 10D9808 15 390167 Jan 02 2000 21:00:45 128.0.0.144.spe 6623664 bytes available (25357904 bytes used) !--- Verify the bytes available
上の例では、ルータのファイルがフラッシュに 4 つ存在します。バイト以上を必要とする別のイメージをロードするには、メモリが不足しています。いずれかのファイルを消去して、他のイメージ用に空きを作成する必要があります。次の例では、ファイル c5400-is-mz.121-5.T8 のイメージをフラッシュから消去します。
AS5400#delete flash:c5400-is-mz.121-5.T8 Delete filename [c5400-is-mz.121-5.T8]? y Delete flash:c5400-is-mz.121-5.T8? [confirm] y
delete コマンドを発行してから、show flash コマンドを発行します。
AS5400# show flash: -#- ED --type-- --crc--- -seek-- nlen -length- -----date/time------ name 1 .D image 12605EA3 18AE220 20 8210748 Jan 03 2000 14:25:28 c5400-is-mz.121-5.T8 2 .. image 26995739 8555EC 20 8213868 Jan 04 2000 23:13:42 c5400-is-mz.121-5.T9 3 .. image 9BF1CEC9 107A370 17 8539396 Jan 13 2000 05:13:04 c5400-is-mz.122-6 4 .. unknown E818E6CC 10D9808 15 390167 Jan 02 2000 21:00:45 128.0.0.144.spe
ED フィールドに削除を表す .D が表示されますが、ファイルが永久に削除されたわけではありません。ファイルをフラッシュから永久に削除するには、squeeze コマンドを発行します。
AS5400#squeeze flash: All deleted files will be removed. Continue? [confirm] y Squeeze operation may take a while. Continue? [confirm] y Squeeze of flash complete
注:スクイズフラッシュプロセスの完了には数分かかることがあります。その間、ルータ コンソールは使用できません。
TFTP サーバから新しいイメージをアップグレードします。
show flash コマンドを使用して、アップグレードを行う前にフラッシュ内のファイルを確認します。
AS5400#show flash: -#- ED --type-- --crc--- -seek-- nlen -length- -----date/time------ name 1 .. image 26995739 8555EC 20 8213868 Jan 04 2000 23:13:42 c5400-is-mz.121-5.T9 2 .. image 9BF1CEC9 107A370 17 8539396 Jan 13 2000 05:13:04 c5400-is-mz.122-6 3 .. unknown E818E6CC 110CEB8 15 390167 Jan 02 2000 21:00:45 128.0.0.144.spe
ステップ3で指定したイメージのアップグレードを続行します。次に例を示します。
AS5400#copy tftp: flash: Address or name of remote host []? 172.16.125.3 Source filename []? c5400-is-mz.121-5.T10 Destination filename [c5400-is-mz.121-5.T10]? Loading c5400-is-mz.121-5.T10 from 172.16.125.3 (via FastEthernet0/1):!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! [OK - 8213960/16427008 bytes] 8213960 bytes copied in 91.996 secs (90263 bytes/sec)
show flash コマンドを使用して、イメージがフラッシュにコピーされたかどうかを確認します。下の出力では、新しいイメージ c5400-is-mz.121-5.T10 がフラッシュにコピーされました。
AS5400#show flash -#- ED --type-- --crc--- -seek-- nlen -length- -----date/time------ name 1 .. image 26995739 8555EC 20 8213868 Jan 04 2000 23:13:42 c5400-is-mz.121-5.T9 2 .. image 9BF1CEC9 107A370 17 8539396 Jan 13 2000 05:13:04 c5400-is-mz.122-6 3 .. unknown E818E6CC 110CEB8 15 390167 Jan 02 2000 21:00:45 128.0.0.144.spe 4 .. image A505CB29 10D9864 21 8213960 Jan 01 2000 00:12:22 c5400-is-mz.121-5.T10
TFTP サーバを使用してイメージをコピーしたら、始動時にどちらのイメージをロードするかをルータに指示しなければならない場合があります。ブート文を指定しないと、最初のイメージがルータのフラッシュにロードされます。この例ではブート文を指定していないので、c5400-is-mz.121-5.T9 がルータにロードされます。
ブート文を設定するには、次の手順を実行します。
現在のブート文の確認
すでにブート文がある場合は、show running-config コマンドを発行するとそれが表示されます。
AS5400#show running-config version 12.1 no service single-slot-reload-enable service timestamps debug datetime msec localtime service timestamps log datetime msec localtime no service password-encryption ! hostname AS5400 ! boot system flash c5400-is-mz.121-5.T9 ! ip subnet-zero ... ... ...
この設定のブート文(boot system flash c5400-is-mz.121-5.T9)を削除し、ロードするイメージを指定する必要があります。
以前のブート文の削除
コマンドを削除するには、設定ターミナル モードに入ります。設定モードでブート文の先頭に no と入力すると、どのコマンドでも無効にできます。次の例に、既存のブート文の削除を示します。
AS5400#configure terminal Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z. AS5400(config)#no boot system flash c5400-is-mz.121-5.T9 AS5400(config)#^Z AS5400#
"boot system flash c5400-is-mz.121-5.T9" という文が設定から削除されます。show running-config コマンドを発行して、このコマンドが削除されていることを確認します。
新しいブート文の設定
次に、新しいイメージをブートするようにルータを設定します。次のコマンドを発行して、ブート システムのパラメータを設定します。
boot system flash [flash-fs:][partition-number:][filename] AS5400#configure terminal Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z. AS5400(config)#boot system flash c5400-is-mz.121-5.T10 AS5400(config)#^Z AS5400#copy running-config startup-config 3d01h: %SYS-5-CONFIG_I: Configured from console by vty0 Building configuration... AS5400#
show version コマンドを発行して、config-register 0x2102 を使用していることを必ず確認してください。設定が異なる場合は、コンフィギュレーション モードで次のコマンドを発行して変更できます。
AS5400#configure terminal Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z. AS5400(config)#config-register 0x2102 AS5400(config)#^Z AS5400#copy running-config startup-config
show version コマンドを使用すると、変更が適用されたかどうかを確認できます。
AS5400# show version ... ... cisco AS5400 (R4K) processor (revision A.22) with 65536K/16384K bytes of memory. Processor board ID 06467528 R4700 CPU at 150Mhz, Implementation 33, Rev 1.0, 512KB L2 Cache X.25 software, Version 3.0.0. Backplane revision 2 Manufacture Cookie Info: EEPROM Type 0x0001, EEPROM Version 0x01, Board ID 0x30, Board Hardware Version 1.0, Item Number 73-2414-3, Board Revision A0, Serial Number 06467528, PLD/ISP Version 255.255, Manufacture Date 7-Nov-1997. 1 Ethernet/IEEE 802.3 interface(s) 1 FastEthernet/IEEE 802.3 interface(s) 4 Serial network interface(s) 128K bytes of non-volatile configuration memory. 8192K bytes of processor board System flash (Read/Write) 8192K bytes of processor board Boot flash (Read/Write) Configuration register is 0x2101 (will be 0x2102 at next reload)
リブート後にルータで使用するコンフィギュレーションレジスタ値(0x2102)が、設定した値と一致していることを確認します。
ルータで新しい Cisco IOS ソフトウェア イメージが稼働するようにするには、ルータをリロードする必要があります。copy running-config starting-config または write memory コマンドを発行して、設定内容を必ず保存してください。
AS5400#reload Proceed with reload? [confirm]y *Jan 30 15:05:22.467: %SYS-5-RELOAD: Reload requested
ルータが起動されたら、show version コマンドを発行して、新しいバージョンのコードが実行されていることを確認します。
ルータがブート時に Rommon モードに切り替わった場合、ルータが有効なイメージを正常にロードできなかったことを示します。この状態は、次のルータ プロンプトで示されます。rommon1>
注:Rommonモードはディザスタリカバリ用であり、一般的なCisco IOSソフトウェアコマンドはサポートしていません。詳細は、「AS5300、AS5350、および AS5400 用の ROMmon 回復手順」を参照してください。
ルータが Rommon モードに入る前に、ブート処理時に次のいずれかのメッセージ ログが表示されることもあります。
"device does not contain a valid magic number"
"boot:cannot open "flash:""
"boot:cannot determine first file name on device "flash:""
上のエラー メッセージは、フラッシュが空であるか、ファイルシステムが破損していることを示します。Cisco IOS®ソフトウェアをアップグレードするには、『ROMmonを使用したXmodemコンソールダウンロード手順』を参照してください。
Rommom 復旧の詳細は、「ブート障害の回復手順」を参照してください。
改定 | 発行日 | コメント |
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1.0 |
31-Jan-2006 |
初版 |