このドキュメントでは、ICM コール ルータのさまざまなパラメータを表示および設定できる Cisco Intelligent Contact Management(ICM)rttest ユーティリティについて説明します。rttest ユーティリティを実行するには、次の 3 つの方法のいずれかを使用します。
いずれかの Cisco ICM コール ルータ ノードでコマンド プロンプトから直接実行する
いずれかの Cisco ICM コール ルータ ノードへの Telnet セッションから実行する
いずれかの Cisco ICM コール ルータ ノードへの、pcAnywhere によるコマンド プロンプトから実行する
次の項目に関する知識があることが推奨されます。
Cisco ICM
TCP/IP Telnet ユーティリティ
Symantec pcAnywhere
このドキュメントの情報は、次のソフトウェアとハードウェアのバージョンに基づいています。
すべての Cisco IOS バージョン
このドキュメントの情報は、特定のラボ環境にあるデバイスに基づいて作成されました。このドキュメントで使用するすべてのデバイスは、初期(デフォルト)設定の状態から起動しています。対象のネットワークが実稼働中である場合には、どのようなコマンドについても、その潜在的な影響について確実に理解しておく必要があります。
ドキュメント表記の詳細は、『シスコ テクニカル ティップスの表記法』を参照してください。
コマンド プロンプトで rttest と入力し、続けて /help または /? と入力します。構文の使用方法に関する説明が表示されます。以下に、いくつかの例を示します。
c:\icr\cicr1\ra\logfiles>rttest /? Version: Release 4.0, Build 04624 Usage: rttest [/f InputFile] [/system SystemName] [/cust Customer] [/node ICRNode] [/pipe OutputPipe] [/debug] [/stop] [/help] [/?]
rttest を起動するために必要なコマンド ライン オプションは次のとおりです。
/cust Customer | Customer は、ICM カスタマー インスタンスを表す 3 ~ 4 文字の略語です。「ICM サーバの命名規則」を参照してください。 |
/node ICRNode | ICRNode は、実行するルータ rttest に応じて routera または routerb のいずれかです。「ICM サーバの命名規則」を参照してください。 |
rttest が起動したら、rttestプロンプトで ? または help と入力します。使用可能な rttest コマンドの一覧が表示されます。
rttest コマンドを実行すると、ICM システム全体のリアルタイム ステータスをすばやく取得できます。
rttest プロンプトで status と入力します。
rttest プロンプトで Enter キーを押します。
status ディレクティブは、各 ICM セントラル サイト プロセス、ICM ペリフェラル ゲートウェイ(PG)サーバ、サードパーティ製の自動着信呼分配(ACD)および音声応答装置(VRU)周辺機器の現在の状態を返します。
c:\> rttest /cust csco /node routera rttest: rttest: status Router Version: Release 2.5 (service pack 2), Build 03134 Release Date: 12/23/98 13:30:08 Current Time: 03/17 16:00:42 Local Time: 03/17 11:00:42 (-5.0 hr) Router Up: 02/21 01:01:45 (24.6 day) Router Sync: 03/11 11:06:20 (6.2 day) (A->B)
プロセス | LastStateChange | LastHeartBeat |
---|---|---|
A agi | ||
A cic | ||
A csfs | OK M- 03/06 11:10:20 (11.2 day) | |
A dba | OK MH 03/06 11:10:20 (11.2 day) | 03/17 16:00:12 (30 sec) |
A dbw | ||
A lgr | OK MH 03/06 11:10:20 (11.2 day) | 03/17 16:00:17 (25 sec) |
A rcv | OK M- 03/06 11:10:20 (11.2 day) | |
A rtr | OK MH 03/06 11:10:20 (11.2 day) | 03/17 16:00:15 (27 sec) |
A rts | OK MH 03/06 11:10:20 (11.2 day) | 03/17 16:00:19 (23 sec) |
A tsyr | OK M- 03/06 11:10:20 (11.2 day) | |
B agi | ||
B cic | ||
B csfs | OK M- 03/11 11:08:34 (6.2 day) | |
B dba | OK MH 03/11 11:07:02 (6.2 day) | 03/17 16:00:38 (4 sec) |
B dbw | ||
B lgr | OK MH 03/11 11:08:36 (6.2 day) | 03/17 16:00:17 (25 sec) |
B rcv | OK M- 03/11 11:08:35 (6.2 day) | |
B rtr | OK MH 03/11 11:07:03 (6.2 day) | 03/17 16:00:15 (27 sec) |
B rts | OK MH 03/11 11:07:02 (6.2 day) | 03/17 16:00:29 (13 sec) |
B tsyr | OK M- 03/11 11:07:02 (6.2 day) |
コントローラ | LastStateChange | LastHeartBeat |
---|---|---|
ATT_NIC_1,128 | CFO 03/06 11:10:22 (11.2 day) | 03/17 16:00:39 (3 sec) |
ATT_NIC_2,129 | CFO 03/11 11:07:05 (6.2 day) | 03/17 16:00:34 (8 sec) |
CA_PG9,9 | CFO 03/17 04:42:31 (11.3 hr) | 03/17 16:00:31 (11 sec) |
FL_PG7,7 | CFO 03/11 10:30:16 (6.2 day) | 03/17 16:00:32 (10 sec) |
GA_PG6,6 | CFO 03/12 10:50:43 (5.2 day) | 03/17 16:00:29 (13 sec) |
IA_PG5,5 | CFO 03/11 11:29:27 (6.1 day) | 03/17 16:00:32 (10 sec) |
NY_PG3,3 | CFO 03/11 16:31:36 (5.9 day) | 03/17 16:00:38 (4 sec) |
TX_PG4,4 | CFO 03/11 16:33:37 (5.9 day) | 03/17 16:00:38 (4 sec) |
VA_PG1,1 | CFO 03/13 22:18:32 (3.7 day) | 03/17 16:00:33 (9 sec) |
VB_PG2,2 | CFO 03/16 23:31:31 (16.4 hr) | 03/17 16:00:32 (10 sec) |
周辺装置 | LastStateChange | LastHeardFrom |
---|---|---|
CA_PG9 | COS 03/17 04:42:38 (11.3 hr) | 03/17 16:00:40 (2 sec) |
FL_PG7 | COS 03/11 10:30:18 (6.2 day) | 03/17 16:00:40 (2 sec) |
GA_PG6 | COS 03/16 06:21:18 (33.6 hr) | 03/17 16:00:41 (1 sec) |
IA_PG5 | COS 03/11 11:29:30 (6.1 day) | 03/17 16:00:40 (2 sec) |
NY_PG3 | COS 03/11 16:31:42 (5.9 day) | 03/17 16:00:41 (1 sec) |
TX_PG4 | COS 03/11 16:37:53 (5.9 day) | 03/17 16:00:34 (8 sec) |
VA_PG1 | COS 03/13 22:18:40 (3.7 day) | 03/17 16:00:41 (1 sec) |
VB_PG2 | COS 03/16 23:31:33 (16.4 hr) | 03/17 16:00:41 (1 sec) |
ステータス出力の3つの主要セクションは、Process、Controller、および Peripheral です。
ステータス出力の最初の列にある「Process」というラベルの付いた最初のセクションには、各 ICM セントラル サイト プロセスのステータスが表示されます。1 つの ICM セントラル サイトは、1 つの ICM コール ルータと 1 つの ICM データベース ロガーで構成されます。ほとんどの場合、冗長性を確保するために、sideA と sideB の 2 つの ICM セントラル サイトが設置されています。
まず、ルータのバージョンやビルド日などの一般情報が表示されます。次に、以下に示す追加の統計情報が表示されます。
Current Time | これは協定世界時(UTC)です。 ほとんどの通信機器は、UTC 時間を共通の時間基準として使用します。 |
Local Time | Cisco ICM コール ルータのタイム ゾーン設定によって決まる ICM 現地時間です。 |
Router Up | Cisco ICM コール ルータ機能がどのくらい稼働を続けているかを示します。 |
Router Sync | どちらの側の Cisco ICM コール ルータが最後に反対側のルータに状態を転送したかを示します。 |
次はプロセス ステータスです。これはProcess、LastStateChange、LastHeartbeat の 3 つの列に分かれています。Process は ICM セントラル サイトのプロセスです。
LastStateChange には複数のフィールドがあります。
OK | プロセスが正常に実行されていることを示します。 |
M | プロセスの同期状態を維持するためにシスコ独自のメッセージ デリバリ サービス(MDS)が使用されていることを示します。 |
H | プロセスが MDS プロトコルを使用して内部ハートビート メッセージを送受信していることを示します。 |
日付 | 現在の日付。 |
時間 | 現在の現地時間。 |
Up-Time | かっこ内に表示され、プロセスの現在の状態がどのくらい続いているかを示します。 |
LastHeartBeat | プロセスが MDS ハートビートを送受信する場合、この値はプロセスが最後に送受信したハートビートのタイムスタンプになります。 |
ステータス出力の最初の列にある「Controller」というラベルの付いた 2 番目のセクションには、Cisco ICM PG サーバのステータスが表示されます。
Controller は、ICM Config Manager で定義されている、コントローラ(ICM PG)の名前です。
LastStateChange には複数のフィールドがあります。
C | ICM PG サーバが ICM コール ルータから設定を正常にダウンロードしたことを示します。 |
F | ICM PG が完全に設定されていて、設定が有効であることを示します。 |
O | ICM PG がオンラインになっていて、ICM コール ルータと通信していることを示します。 |
日付 | 現在の日付。 |
時間 | 現在の現地時間。 |
Up-Time | かっこ内に表示され、プロセスの現在の状態がどのくらい続いているかを示します。 |
列 1 にある「Peripheral」というラベルの付いた 3 番目のセクションには、ACD デバイスや VRU デバイスなどのサードパーティ製周辺機器のステータスが表示されます。
Peripheral は、Configure ICR で定義されている、周辺機器(ACD または VRU)の名前です。
LastStateChange には複数のフィールドがあります。
C | 周辺機器が正しく設定されていて、ICM PG と通信していることを示します。 |
O | 周辺機器がオンラインになっていて、ICM PG との通信が確立されていることなどを示します。 |
S | 周辺機器が稼働中で、エージェントとコール データが ICM PG に送信されていることなどを示します。 |
日付 | 現在の日付。 |
時間 | 現在の現地時間。 |
Up-Time | かっこ内に表示され、プロセスの現在の状態がどのくらい続いているかを示します。 |
LastHeardFrom | 周辺機器が最後に有効なデータを送信した日時とそれからの経過時間。 |
rttest 内で debug コマンドを入力し、その後に 1 つ以上のトレース オプションを指定して実行すると、特定のトレース レベルを有効にできます。その後、ルータ ログで各トレース エントリを確認できます。
たとえば、rttest 内から debug /route コマンドを実行すると、トレースがオンになり、次の項目が表示されます。
ダイヤル番号(DN)
自動番号識別(ANI)
発信者入力番号(CED)(存在する場合)
キャリア ネットワークに返される ICM ルーティング ラベル
rttest /debug のすべての機能を表示するには、次に示すように、rttest プロンプトで debug /?コマンドを実行します。
rttest: debug /? Usage: debug_control [/realtime] [/5minute] [/agent] [/config] [/route] [/halfhour] [/rcmeter] [/expr] [/select] [/dupadd] [/failpgerror] [/symbol] [/tranroute] [/datain] [/delivery] [/cic] [/admin] [/pervarsumm] [/pervardetail] [/expform] [/vru] [/callq] [/activepath] [/all] [/help] [/?]
どの ICM プロセスもデフォルト レベルのトレースをログ ファイルに書き込みます。ログ ファイルに書き込まれたトレースは、dumplog ユーティリティを使用して確認できます。詳細については、「Dumplog ユーティリティの使用方法」を参照してください。
注:
特定のトレース レベルを有効にすると、対応する詳細が logfile ディレクトリのルータ ログ ファイルに書き込まれます。
個々のログ ファイルのデフォルトのサイズは 99 k です。
集約ログ ファイルのデフォルトのサイズは 600 k です。
ルータ トレースの回転が速すぎると、個々のログ ファイルがすぐにラップします。通話量が多い場合には、1 分足らずでラップすることもあります。
この場合、時間間隔が極めて短いため、多くのデータをキャプチャできません。
この問題を回避するには、いくつかの Microsoft Windows NT レジストリ設定を変更してルータ ログ ファイルの容量を増やします。
注:ログファイルの容量を増やす前に、十分なディスク領域があることを確認してください。
Windows NT レジストリを入力するには、次の手順を実行します。
コマンド プロンプトから regedt32 コマンドを実行します。
利用可能なディスク容量をチェックした後、次の 2 つのレジストリ設定を変更してルータ ログ ファイルのサイズを増やすことができます。
注:デフォルトでは、値は16進数で表示されます。10 進数の値を表示するには、[Decimal] オプション ボタンをクリックします。
\\.\software\geotel\icr\csco\routera\ems\currentversion\library\ processes\rtr\EMSAllLogFilesMax \\.\software\geotel\icr\csco\routera\ems\currentversion\library\processes\ rtr\EMSLogFileMax
注:これらの値は、スペースの制限により複数行で表示されます。
最初のパラメータの EMSAllLogFilesMax では、ルータがすべてのログ ファイルに割り当てる最大ディスク容量を指定します。
2 番目のパラメータの EMSLogFileMax では、ルータが各ログ ファイルに割り当てる最大サイズを指定します。たとえば、EMSAllLogFilesMax を 20 mg に設定し、EMSLogFileMax を 2 mg に設定した場合は、最終的に 2 mg 以下のファイルが最大 10 個作成されます。
ルータのログを確認したら、トラブルシューティングのために追加したトレースをすべて無効にすることをお勧めします。
これを行うには、次のように、rttest コマンドで /noall ディレクティブを使用します。
c:\icr\cd\ra\logfiles>rttest /cust cd /node routera RTTEST Release 4.0 service pack 3, Build 04959 rttest: debug /noall
作業が完了したら、必ず rttest セッションを終了してください。多数の rttest セッションがバックグラウンドで実行されたままになっていると、システム リソースが枯渇し、コール ルーティングが悪影響を受けます。
rttest: quit