Power over Ethernet(PoE)とは、LAN スイッチング インフラストラクチャが、イーサネットの銅線ケーブルを介して、エンドポイントつまり受電側デバイスに電源を供給する機能のことです。
この機能は、新たに導入される IP テレフォニーの配備をサポートするために、Cisco により 2000 年に初めて提供が行われたものです。デスクトップ PBX 電話機などの IP テレフォニーには、動作用の電源が必要です。PoE では、電源供給がスケーラブルであり管理可能なので、IP テレフォニーの配備が簡単になります。
PoE の最も直截な利用分野は、IP テレフォニーとワイヤレス アクセス ポイント(AP)ですが、PoE の 802.3af 標準の出現により、ビデオ カメラ、POS デバイス、セキュリティ アクセス制御デバイス(カード スキャナ)、ビルディング オートメーション、産業オートメーションなど、新世代のネットワーク接続デバイスにも適用範囲が広がりました。
PoE では、既存のイーサネット ケーブルで電源供給とデータ接続を実現できるので、ネットワーク接続型アプライアンスに新しい世界を開くものとして期待されています。
このドキュメントでは、Cisco IP Phone の電源要件に関する FAQ に回答しています。
A. Power over Ethernet(PoE)は、イーサネットと同じ銅線ケーブルで48 VDCの電力を供給する機能です。PoE を実装するには 2 つの主要な要素が必要です。その内容は次のとおりです。
Power Sourcing Equipment(PSE; 給電装置):イーサネットを介して電源供給する LAN スイッチまたは電源装置
Powered Device(PD; 受電側デバイス):イーサネット ケーブルからの電力を受けて動作に使用するエンド デバイス
A.同じです。Cisco Systems®が最初に受電イーサネットポートを導入したとき、このテクノロジーはインラインパワーと呼ばれていました。世界共通の用語を使用できるように、現在 Cisco では、標準仕様か先行標準仕様かにかかわらず、すべての場合に「Power over Ethernet」または「PoE」という用語を使用しています。
A.次の点が異なります。
接続されたデバイスで使用できる電力量
デバイスの検出に使用する方式
受電側デバイスが取り外されたときに、ワイヤの電源供給を中止する方法
A.これらのCisco IP Phoneは、Cisco CatalystスイッチまたはCatalystインライン電源パッチパネルに統合されたカードから、シスコの先行標準PoEを受け付けることができます。
7985G
7960G
7940G
7910G
7910G + SW
7912G
7905G
7902G
7962G
7975G
802.3af
これらの電話機は、国や地域特有の電源コード((CP-PWR-CORD-xx=)に加えて、Power Cube(CP-PWR-CUBE-2=)からローカル電源の供給を受けることができます。
A.次のCisco IP Phoneは、IEEE 802.3af PoEをサポートしています。
7961G-GE
7971G-GE
7931G
7941G-GE
7945G
7965G
7975G
注:次のCisco IP Phoneは、シスコ先行標準PoEとIEEE 802.3af PoEの両方をサポートしています。
7970G
7961G
7906G
7941G
7911G
7962G
A.電源の割り当ては、ネゴシエーションによって自動的に行われるため、先行標準のPoEをスイッチに強制的に提供させる方法はありません。
PoE 機能を搭載した Cisco スイッチは、回線上に電力が供給されていないことを検知すると、Cisco IP Phone や Cisco Aironet access ポイントなどの先行標準受電側デバイス、および IEEE 802.3af 準拠の受電側デバイスに自動的に電力を供給します。つまり、IEEE 802.3af 準拠の受電側デバイスであれば、Cisco Discovery Protocol(CDP; Cisco 検出プロトコル)を装備していない Cisco 以外のデバイスでも、スイッチは電力を供給します。
結論として、Cisco 先行標準 PoE デバイスおよび 802.3af 準拠デバイスはそれぞれの標準に従って動作し、スイッチが先行標準 PoE を 802.3af デバイスに供給したり、802.3af 電源を Cisco 先行標準デバイスに供給したりすることはできません。
A. Catalyst 3750スイッチは、シスコ先行標準PoE方式とIEEE 802.3af PoE規格の両方をサポートしています。回線上に電力が供給されていないことをスイッチが検知すると、Cisco IP Phone や Cisco Aironet access ポイントなどの先行標準受電側デバイス、および IEEE 802.3af 準拠の受電側デバイスに自動的に電力を供給します。
ただし、サード パーティ製デバイスでは、電力の検知に別のピンが使用されている可能性があるので、一部のサード パーティ製の先行標準準拠デバイスを Catalyst 3750 に接続すると問題が発生する場合があります。サード パーティ製の先行標準準拠デバイスを扱う場合は、電力検知用のピンの配置について製造元に問い合せてください。
A. Cisco StandardsベースのPower over Ethernetは、データを伝送するイーサネットケーブルと同じイーサネットケーブルを使用して、Cisco IP Phone、Cisco Wirelessアクセスポイント、およびサードパーティ製のIEEE 802.3af標準準拠の受電デバイス(PD)にを供給します。Cisco Catalyst 3750 と 3560 の Power over Ethernet では、Cisco 先行標準 Power over Ethernet の実装と IEEE 802.3af Power over Ethernet の実装の両方がサポートされています。これにより、下位互換性と上位互換性が保証され、投資が保護されます。
Catalyst 3750/3560 PoE スイッチは、Cisco 先行標準 Power over Ethernet と標準ベースの Power over Ethernet 方式の PD 検知をサポートしています。両方の検知方式は同時にアクティブになっており、どちらかを使用して有効な PD を検出できます。Catalyst 3750/3560 PoE スイッチは、受電型かどうかにかかわらず、すべてのポートを対象に、ポートの状態と接続されているデバイスの電力状態を定期的に調べます。
Cisco Catalyst 3750/3560 PoE スイッチは、Cisco 先行標準 PD の検知メカニズムと標準ベースに準拠した PD をサポートしています。Cisco 製のほとんどの PD は、先行標準か標準かにかかわらず、Cisco Discovery Protocol(CDP)をサポートしています。 先行標準または標準ベースの Cisco PD が接続されているポートに電力が供給されると、CDP を使用して実際の電力要件が見きわめられて、それに従ってシステムの電力バジェットが調整されます。
Cisco 先行標準 PD の場合、CDP がスイッチで有効になっていると、15.4 W が最初に割り当てられます。次に、CDP メッセージを PD から受信すると、さらに細かく調整されます。スイッチの CDP が無効になっているか、または CDP メッセージの Power requirements フィールドが PD でサポートされていない場合は、15.4 W という最初の割り当て値が接続の全期間にわたって使用されます。
標準ベースに準拠した PD の場合、Catalyst 3750/3560 Power over Ethernet コントローラでは、検知段階で PD が分類され、IEEE クラスに基づいて必要な電力バジェットが割り当てられます。PD が IEEE 802.3af と Cisco 先行標準の両方をサポートしている場合、PD は IEEE デバイスとして検知されます。Catalyst 3750/3560 PoE スイッチは、検知段階で PD を分類し、IEEE クラスに基づいて必要な電力バジェットを割り当てます。次に、CDP がスイッチでイネーブルになっている場合は、PD の実際の電力使用が CDP メッセージによって判断されます。CDP 経由で要求された電力が PoE コントローラが分類した電力よりも高い場合は、要求された電力が PoE コントローラの IEEE クラスに調整されます。
これらすべては自動的に処理されるので、IEEE 標準か先行標準のどちらで動作しているかを判断することはできません。
A. Cisco Discovery Protocol(CDP)が有効になっている場合は、電力要件を7Wに減らす必要はありません。電話機の電源を最初に投入した時点で電話がクラス 3 デバイスに分類され、CDP によって 3560 の要求電力レベルが 7 W に設定されます。これにより、スイッチで 48 ポートの電話機をサポートできるようになります。
注:C7941G-GEを使用している場合、48台の電話機すべてに電力を供給することはできません。C7941G-GE からは、通常 12.9 W が供給されます。使用可能な総電力量は 370 W なので、48 ポートに平等に分割すれば、ポート当たり最大で 7.71 W になります。この場合、各電話機に 12.9 W が必要だと、3560 スイッチでサポートできるのは 28 台だけになります。
A. Cisco IP Phone 7970GなどのCisco IEEE+CDP受電デバイスは、低電力モード(6.3W)で起動し、Cisco Discovery Protocol(CDP)メッセージをインラインパワー(ILP)タイプ長値(TLV)とともに送信しますデバイスに必要な実際の電力を確認します。デフォルトの 15.4 W よりも小さい電力の場合は、要求に対して、使用可能な電力を示した肯定応答を PSE が返し、PSE の電力バジェットが変更されます。受電側デバイスからの要求がラインカードやスイッチの電力バジェットを超えている場合は、ポートの電源が落とされるか、ポートが低電力モード(7 W)のままになります。
このような管理スキームが実装されているのは、インストール済みの Cisco Catalyst 先行標準 Power over Ethernet 対応のラインカードやスイッチとの下位互換性を実現し投資を保護するためです。Cisco IP Phone は電力効率がよく、必要な最大電力は 6.3 W に抑えられており、先行標準 Power over Ethernet 実装の範囲内に収められています。ただし、ワイヤレス アクセス ポイントやカラー LCD 画面付きの IP Phone などの高電力が必要な受電側デバイスには、先行標準の実装では供給できない追加電力が必要になります。Cisco の受電側デバイスは低電力モードで起動するので、高電力が必要な Cisco の受電側デバイスは、機能は縮小するものの 2 基の先行標準ラインカードで動作できます。さらに、Cisco の受電側デバイスは、正確な電力要件の明示的な信号を PSE に送信するので、受電側デバイスで実際に必要な電力だけを割り当てることができ、正確な電力使用量に基づいたバジェットを PSE で適用できます。
このようなインテリジェントな管理により、受電側デバイスが使用しない電力を PSE の電力バジェットに戻せるので、電力リソースをより適正に割り当てることができます。たとえば、IEEE 802.3af クラス 3 の受電側デバイスに 9 W が必要な場合、デバイスに必要な電力が 9 W だけであっても PSE は 15.4 W 全部を割り当てる必要があります。これでは、受電側デバイスで 6.4 W が無駄になります。9 W のデバイスが複数あれば、他の低電力デバイスへの電力供給が拒否されるような影響を電力バジェットに与えるほどの無駄になります。Cisco Discovery Protocol では、実際の必要電力の信号が明示的に送信されるので、無駄になっていた電力が PSE の電力バジェットに戻されます。
受電側デバイスがまだ存在して電力が必要かどうかを PSE は定期的に調べます。また、送信と受信のペアの間でショートが発生している場所などの状態を検知するためのチェックも実装されています。これらの状態を検出するために、Cisco では 2 つのメカニズムを実装しています。1 つ目のメカニズムでは、先行標準検知プロトコルが拡張されて、検知信号が定期的に送信されるようになっています。受信された検知信号が送信された信号と同じ振幅であれば、ショートが発生しているので、PSE は電力供給を中止します。ロー パス フィルタで減衰された検知信号が PSE で受信されると、PSE では受電側デバイスへの電力供給が維持されます。Cisco がサポートする 2 つ目のメカニズムは IEEE 802.3af-2003 です。このメカニズムでは、電力消費が監視されて、特定の時間内に特定の値を超えると、ポートへの電力供給が中止されます。
CP-7902G(6.3 W)
CP-7905G(6.3 W)
CP-7910-SW(6.3 W)
CP-7910G(6.3 W)
CP-7912G(6.3 W)
CP-7940G(6.3 W)
CP-7960G(6.3 W)
CP-7906G(5 W)(クラス 2)
CP-7911G(5 W)(クラス 2)
CP-7941G(6.3 W)(クラス 2)
CP-7941G-GE(12.9 W)(クラス 3)
CP-7961G(6.3 W)(クラス 2)
CP-7961G-GE(12.9 W)(クラス 3)
CP-7970G(10.25 W)(クラス 3)
CP-7971-G-GE(15.4 W)(クラス 3)
CP-7985G(12.55 W)(クラス 0、最高輝度にはなりません)
IEEE 802.3af デバイス:クラス 0(15.4 W)
IEEE 802.3af デバイス:クラス 1(4 W)
IEEE 802.3af デバイス:クラス 2(7 W)
IEEE 802.3af デバイス:クラス 3(15.4 W)
改定 | 発行日 | コメント |
---|---|---|
2.0 |
27-Jun-2008 |
テスト |
1.0 |
01-Dec-2013 |
初版 |