このドキュメントでは、Cisco Unity Express ボイスメール システムについて説明しています。具体的には、Cisco Unity Express のメールボックス サイズの制限、メッセージの有効期限、送信メッセージの制限、ボイスメールへの転送時に残されるメッセージ、メールボックスがいっぱいになったときの動作、グリーティングの制限について説明しています。
次の項目に関する知識があることが推奨されます。
Command-Line Interface(CLI; コマンドライン インターフェイス)または GUI による Cisco Unity Express の管理と設定(ただし、GUI では一部の情報しか入手できません)
このドキュメントの情報は、次のソフトウェアのバージョンに基づいています。
Cisco Unity Express バージョン 1.0 以降が必要です。
Cisco Unity Express 7.0
このドキュメントの設定例と画面出力はすべて、Cisco Unity Express バージョン 1.1.2 のものです。
このドキュメントの情報は、特定のラボ環境にあるデバイスに基づいて作成されました。このドキュメントで使用するすべてのデバイスは、初期(デフォルト)設定の状態から起動しています。対象のネットワークが実稼働中である場合には、どのようなコマンドについても、その潜在的な影響について確実に理解しておく必要があります。
ドキュメント表記の詳細は、『シスコ テクニカル ティップスの表記法』を参照してください。
Cisco Unity Express には、メールボックスや送受信に関連して、少しわかりにくい制限事項がいくつか存在します。
使用できるストレージ容量はシステムにインストールされているライセンスによって決まります。
デフォルトのメールボックス サイズは次の式に基づいて決定されます。
Default mailbox size = num-minutes-storage / num-total-mailboxes
たとえば、個人用メールボックスが 100 個あり、共用メールボックスが 20 個あり、ストレージ容量が 6,000 分(100 時間)であるとすると、次のようになります。
Default mailbox size = 6000 / (100 + 20) = 50 minutes
個人用メールボックスと共用メールボックスの合計サイズは、システム全体のメールボックス容量(最大メッセージ容量)以下でなければなりません。
メールボックスの作成時にメールボックス サイズ(秒単位)を明示的に設定しなかった場合は、システムのデフォルト値(上記のデフォルト メールボックス サイズ)が適用されます。 このサイズは、管理者が後で変更できます。
既存のメールボックスのサイズを現在の使用済み容量よりも低くしたり、現在残っているシステム全体のメールボックス容量よりも大きくしたりすることはできません。
各ユーザの使用済みメールボックス容量(秒単位)には、次のものが含まれます。
パーソナル(標準)グリーティングのサイズ
オプション グリーティングのサイズ
メールボックス内のボイス メッセージのサイズ
Cisco Unity Express のライセンス情報は、次の例のように CLI で確認できます。ここには、購入したライセンス取得済み機能の基本情報が表示されます。
aim-2651-44a> show software licenses Core: - application mode: CCME - total usable system ports: 4 Voicemail/Auto Attendant: - max system mailbox capacity time: 480 - max general delivery mailboxes: 15 - max personal mailboxes: 50 Languages: - max installed languages: 1 - max enabled languages: 1
上記と同様の情報を GUI で表示するには、ブラウザの Cisco Unity Express Voice Mail / Audio Attendant 画面で、Help > About の順に選択します。
この例では、システムに 4 つのポートがあります。これは、すべてのアプリケーションまたはボイスメールに対して最大 4 件のコールを同時にサポートできることを意味します。CLI の max system mailbox capacity time と GUI の Maximum message space(分単位)には、480 分(8 時間)と表示されています。 この例では Cisco Unity Express Advanced Integration Module(AIM)を使用しています。 Cisco Unity Express Network Module(NM; ネットワーク モジュール)には 6,000 分(100 時間)の容量があります。 これらのストレージ容量は今後のリリースで変更される可能性があります。
上記の出力例では、最大 50 個の個人用メールボックスと 15 個の共用メールボックスをサポートできます。つまり、メールボックスの平均サイズは約 7 分(480 / 65)になります。
aim-2651-44a> show voicemail limits Default Mailbox Size (seconds): 420 Default Caller Message Size (seconds): 60 Maximum Recording Size (seconds): 900 Default Message Age (days): 30 System Capacity (minutes): 480 Default Prompt Language: en_US Operator Telephone: 1003
上記と同様の情報を GUI で表示するには、Defaults > Mailbox の順に選択します。
この例の場合、デフォルトのメールボックス サイズは 420 秒(7 分)です。 そのため、Cisco Unity Express AIM のように、システム全体のメールボックス容量が小さいシステムを使用する場合は、この点が重要な懸案事項になります。新しいメールボックスが作成されると、システム全体のメールボックス容量の一部がそのメールボックスに割り当てられます。
これらの制限はライセンスに基づいて計算されるデフォルト値に過ぎません。デフォルトは変更できます。個々のメールボックスを作成する場合は、まったく異なる制限を使用できます。最大メールボックス容量(この例では 480 分)を使い切った場合は、個人用メールボックスまたは共用メールボックスの最大数に到達していなくても、新しいメールボックスを作成できなくなります。CLI では、コンソールに次のメッセージが表示されます。
Error setting attribute: Not enough Mailbox space left in system
注:メールボックスのサイズは、メールボックスの作成時に定義されます。ソフトウェア ライセンスの変更または手動変更によってデフォルトのメールボックス制限が変更されても、既存のメールボックスには影響しません。さらに多くのユーザをサポートするためにライセンスをアップグレードしても、システム全体の容量が変わらない場合は、増えた分のメールボックスを設定するために既存のメールボックスのサイズを小さくする必要があります。メールボックスのサイズを変更する方法の詳細は、『すべてのボイスメールボックスのシステム全体のボイスメールパラメータの設定』を参照してください。
すべてのユーザのメールボックスを確認するには、次のコマンドを発行します(この情報は CLI だけで表示できます)。
aim-2651-44a> show voicemail mailboxes OWNER MSGS NEW SAVED MSGTIME MBXSIZE USED "johndoe" 0 0 0 12 420 3 % "janedoe" 0 0 0 6 420 1 % "redbud" 1 1 0 40 420 10 %
新規または開封済みメッセージがないのに、MSGTIME フィールドに 0 より大きい数値が表示されているユーザがいます。これは、パーソナル グリーティングが録音されていることを示しています。
システムに用意されているものを除くすべてのグリーティング(標準またはオプション)は、有効になっているかどうかに関係なく、各ユーザのメールボックス サイズのクォータにカウントされます。録音名(録音した名前)はこのクォータにカウントされません。
次の例は、ボイスメールの全体的な使用状況を示しています。
aim-2651-44a> show voicemail usage personal mailboxes: 3 general delivery mailboxes: 0 orphaned mailboxes: 0 capacity of voicemail (minutes): 480 allocated capacity (minutes): 21.0 message time used (seconds): 20 message count: 1 average message length (seconds): 20.0 greeting time used (seconds): 36 greeting count: 4 average greeting length (seconds): 9.0 total time used (seconds): 56 total time used (minutes): 0.9333333373069763 percentage used time (%): 1
この情報を GUI で表示するには、Reports > Voice Mail の順に選択します。
ボイスメール メッセージは無期限に保管されるものではありません。システム デフォルトのメッセージ有効期限は 30 日です。
管理者は、CLI または GUI を使用して次の操作を実行できます。
各メールボックスに対して個別に有効期限を設定する。
システム デフォルトを変更する(この操作はすべての新規メールボックスに影響します)。
有効期限を完全に無効にすることはできません。ただし、この値は非常に大きい値に設定できるため、有効期限は本質的に無効になります。
有効期限はメールボックスの作成時に設定されます。システム デフォルトを変更しても、既存のメールボックスには影響しません。
有効期限はメッセージを受信した時刻から開始されます。「新規」や「開封済み」などの状態は有効期限の計算に影響しません。
メッセージに有効期限切れのタグが付けられた後に初めてログインすると、ユーザは有効期限の通知を受け取ります。ユーザには次の選択肢があります。
メッセージを聞く。
メッセージを削除する。
メッセージを保存して、メッセージの有効期限をリセットする。
システムの有効期限を確認するには、次の手順を実行します。
show voicemail limits コマンドを発行し、Default Message Age の値を確認します。
GUI で Defaults > Mailbox の順に選択します。
このコマンドの出力例は、「メールボックス サイズの制限」セクションに掲載されています。
ユーザが自分のメールボックスにログインして、他のユーザに送信するメッセージを録音する場合、メッセージのサイズは次のいずれか小さい方の値に制限されます。
Voice Mail > Mailboxes の順に選択して表示される各メールボックスの Maximum Caller Message Size フィールドの値、または show voicemail detail mailbox userid コマンドの出力で表示される Message Size (seconds) の値
システム ストレージの空き容量
メッセージの送信後、受信者のメールボックスに十分な容量があれば、メッセージは配信されます。複数の受信者が指定されている場合は、少なくとも 1 人の受信者のメールボックスに十分な容量があれば、メッセージは配信されます(物理的に格納されるのは、1 つのコピーのみです)。
注:録音されたメッセージの長さは、少なくとも2秒である必要があります。
次に、これらの制限がコマンド出力および GUI でどのように表示されるかを示します。
aim-2651-44a> show voicemail detail mailbox redbud Owner: /sw/local/users/redbud Type: Personal Description: Busy state: idle Enabled: true Mailbox Size (seconds): 420 Message Size (seconds): 60 Play Tutorial: false Space Used (seconds): 40 Total Message Count: 1 New Message Count: 1 Saved Message Count: 0 Expiration (days): 30 Greeting: alternate Zero Out Number: Created/Last Accessed: Sep 20 2004 09:25:14 CET
上記の情報の一部を GUI で確認するには、Voice Mail > Mailboxes の順に選択し、特定のメールボックスを選択します。
空き容量が 5 秒未満である場合、発信者はメッセージを残せません。受信者のメールボックスがいっぱいであることを伝える録音メッセージが再生された後、発信者は自動受付に転送されます。
メールボックスに空き容量がある場合、新しい発信者メッセージのサイズは次のいずれか小さい方の値に制限されます。
メールボックスの空き容量
メールボックスの最大受信メッセージの制限
発信者のメッセージがこの制限を超えている場合は、次のようになります。
発信者のメッセージが制限を超えていることを伝えるアナウンスが再生される。
メッセージを再録音するか、録音内容をそのまま送信するかを選択するよう求められる。
メールボックスに十分な容量があり、発信者が電話を切った場合は、メッセージが配信される。
発信者が録音を終了して(# キーを押して)メッセージを送信すると、発信者に対して配信確認が再生される。
ユーザがメールボックスにログインすると、使用済み容量のパーセンテージが次のように計算されます。
使用量が 90 % 以上の場合は、「Your inbox is almost full.Please delete some messages.」というメッセージが再生されます。
使用量が 100 % に達している場合は、「Your inbox is full.You can not receive new messages.Please delete some messages now.」というメッセージが再生されます。 この時点では空き容量がまったく残っていないため、ユーザはグリーティングも録音できません。
使用量が 90 % 未満である場合は、何のアナウンスも再生されません。
メールボックスがいっぱいになり、メッセージの削除が必要になると、ユーザは警告を受けます。警告を行うパーセンテージを変更したり、削除したりすることはできません。これを変更する唯一の方法は、メールボックスのサイズを増やすことにより、使用済みパーセンテージの値を低くすることです。
注:CLIから、特定の拡張子に関連付けられているユーザ名を確認するには、show usersコマンドを発行します。出力された userid を引数として、show user detail username userid コマンドを発行します。または、show run コマンドを発行します。出力結果の最初に、username <userid> phonenumber 5551212 という形式の出力が表示されます。
1 件のグリーティングのサイズは、次のいずれか小さい方の値に制限されます。
メールボックスの残容量
システムの残容量
最大録音サイズ(システム全体で管理者が設定可能)
この計算結果が 10 秒未満である場合、グリーティングは録音できません。ユーザがグリーティングの変更または録音を試みると、メールボックスがいっぱいであることが通知されます。
CLI の Maximum Recording Size パラメータはグリーティング 1 件あたりの最大長です。デフォルト値は 900 秒ですが、最大で 3,600 秒に設定できます(メールボックスの容量とシステム全体の容量が残っている場合)。 このデフォルト値を CLI で変更するには、次のコマンドを発行します。
aim-2651-44a(config)> voicemail recording time ? SECONDS size [10-3600]