このドキュメントでは、Cisco IOS® ソフトウェアのデバッグと、ファクス アナライザのトレースという 2 つのトレースについて説明します。 Cisco IOS のデバッグは、Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.2(5.8)T 以上の Cisco 3660 で有効です。このコマンドのデバッグ形式は、後の Cisco IOS ソフトウェア リリース、おそらく 12.2(7a) と 12.2(5.8)T で改善されました。
ドキュメント表記の詳細は、『シスコ テクニカル ティップスの表記法』を参照してください。
このドキュメントに関しては個別の前提条件はありません。
この文書の情報は主に Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.2(5) に基づいていますが、ほとんどの情報は他の Cisco IOS ソフトウェア リリースにも役立ちます。
このマニュアルの情報は、特定のラボ環境に置かれたデバイスに基づいて作成されました。このドキュメントで使用するすべてのデバイスは、初期(デフォルト)設定の状態から起動しています。実稼動中のネットワークで作業をしている場合、実際にコマンドを使用する前に、その潜在的な影響について理解しておく必要があります。
debug fax relay t30 all - 発信側ルータ |
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3660A Oct 25 14:33:02.001: 6/0:1:8 3698358 fr-entered (10ms) Oct 25 14:33:03.193: 6/0:1:8 3699550 fr-msg-tx NSF Oct 25 14:33:03.433: 6/0:1:8 3699790 fr-msg-tx CSI Oct 25 14:33:04.125: 6/0:1:8 3700480 fr-msg-tx DIS Oct 25 14:33:05.905: 6/0:1:8 3702260 fr-msg-det TSI Oct 25 14:33:06.701: 6/0:1:8 3703060 fr-msg-det DCS Oct 25 14:33:11.201: 6/0:1:8 3707560 fr-msg-tx CFR Oct 25 14:35:47.261: 6/0:1:8 3863620 fr-msg-det EOP Oct 25 14:35:49.601: 6/0:1:8 3865960 fr-msg-tx MCF Oct 25 14:35:51.157: 6/0:1:8 3867510 fr-msg-det DCN Oct 25 14:35:53.304: 6/0:1:8 3869660 fr-end-dcn |
debug fax relay t30 all - 終端ルータ |
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Oct 25 10:33:01.801: 6/0:1 (8) 3183322 fr-entered (10ms) Oct 25 10:33:02.885: 6/0:1 (8) 3184410 fr-msg-det NSF Oct 25 10:33:03.125: 6/0:1 (8) 3184650 fr-msg-det CSI Oct 25 10:33:03.817: 6/0:1 (8) 3185340 fr-msg-det DIS Oct 25 10:33:06.205: 6/0:1 (8) 3187730 fr-msg-tx TSI Oct 25 10:33:07.009: 6/0:1 (8) 3188530 fr-msg-tx DCS Oct 25 10:33:10.897: 6/0:1 (8) 3192420 fr-msg-det CFR Oct 25 10:35:47.565: 6/0:1 (8) 3349090 fr-msg-tx EOP Oct 25 10:35:49.293: 6/0:1 (8) 3350820 fr-msg-det MCF Oct 25 10:35:51.469: 6/0:1 (8) 3352990 fr-msg-tx DCN Oct 25 10:35:53.457: 6/0:1 (8) 3354980 fr-end cause unknown 0x1 |
次の情報を把握しておく必要があります。
ファックス送信エラーが発生したフェーズ
接続を終了したのはルータまたはファックス マシンのどちらか。ファックス マシンの場合、どのマシンか。
接続が終了する前に行われたファックスプロトコルイベント。
ECM モードの送信が成功した場合(ただし、エラー率の高い場合)のファックス アナライザのトレースの例は、次のようになります。
ファックス アナライザのトレース |
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===================================================================== # Phase dBm Elapse Duration Optimum Size Type --------------------------------------------------------------------- 0 >> Dialed digits 0.0 -7.909 4.220 0.000 32 DTMF 1 >> quiet -- -3.689 3.689 0.000 0 2 << Answer Tone -19.0 0.000 2.938 2.650 0 Tone 3 << quiet-mod chg *** -- 2.938 0.153 0.060 0 4 << NSF, CSI, DIS * -17.8 3.091 4.079 3.040 126 FSK 5 << quiet -- 7.170 0.558 0.060 0 6 >> TSI, DCS * -13.8 7.728 2.104 1.813 74 FSK 7 >> quiet-mod chg -- 9.832 0.088 0.060 0 8 >> V.29 9600 TRAIN * -11.3 9.920 1.843 1.655 1853 9600 9 >> quiet -- 11.763 1.555 0.060 0 10 << FTT * -17.7 13.318 1.437 1.013 50 FSK 11 << quiet * -- 14.755 0.589 0.060 0 12 >> TSI, DCS * -13.8 15.344 2.107 1.813 74 FSK 13 >> quiet-mod chg -- 17.451 0.091 0.060 0 14 >> V.29 7200 TRAIN * -11.4 17.542 1.843 1.655 1389 7200 15 >> quiet -- 19.385 2.078 0.060 0 16 << CFR * -18.1 21.463 1.438 1.013 50 FSK 17 << quiet * -- 22.901 0.626 0.060 0 18 >> V.29 7200 DATA * -11.5 23.527 16.390 0.000 14004 7200 19 >> quiet-mod chg -- 39.917 0.069 0.060 256 20 >> PPS-EOP *** -13.8 39.986 1.353 1.120 43 FSK 21 >> quiet * -- 41.339 1.853 0.060 0 22 << PPR * -17.9 43.192 2.454 1.866 87 FSK 23 << quiet -- 45.646 0.636 0.060 0 24 >> V.29 7200 DATA * -11.2 46.282 1.148 0.000 783 7200 25 >> quiet-mod chg -- 47.430 0.062 0.060 256 26 >> PPS-EOP -13.8 47.492 1.354 1.120 44 FSK 27 >> quiet * -- 48.846 1.849 0.060 0 28 << RNR * -17.8 50.695 1.437 1.013 50 FSK 29 << quiet -- 52.132 0.583 0.060 0 30 >> RR -13.8 52.715 1.235 15.210 43 FSK 31 >> quiet * -- 53.950 1.995 0.060 0 32 << MCF * -17.8 55.945 1.456 1.013 50 FSK 33 << quiet * -- 57.401 0.596 0.060 0 34 >> DCN -13.8 57.997 1.791 1.013 43 FSK 35 >> Call end * 0.0 59.788 0.000 0.000 0 |
DIS および DCS(CSI、DIS および TSI、DCS)のメッセージ交換
DIS は最初のメッセージで、応答側の機能を述べたものです。これに添付される CSI フレームには、電話番号が含まれます。
DCS は送信パラメータを定義し、イメージ転送のシーケンスを開始します。これに添付される TSI フレームには、電話番号が含まれます。
ファックス マシンはトレーニング モードになり、伝送速度が一致するように 2 回以上試みることができます。たとえば、ファックス マシンは最初に速度 9600 bps になるようにトレーニングし失敗した場合、今度は速度 7200 bps になるようトレーニングします。
上記のファックス トレース出力では、伝送は次のように開始します。
DIS および DCS(CSI、DIS および TSI、DCS)のメッセージ交換
DIS は最初のメッセージで、応答側の機能を述べたものです。これに添付される CSI フレームには、電話番号が含まれます。
DCS は送信パラメータを定義し、イメージ転送のシーケンスを開始します。これに添付される TSI フレームには、電話番号が含まれます。
ファックス マシンはトレーニング モードになり、伝送速度が一致するように 2 回以上試みることができます。たとえば、ファックス マシンは最初に速度 9600 bps になるようにトレーニングし失敗した場合、今度は速度 7200 bps になるようトレーニングします。
トレーニングが成功した場合は、続いて CFR メッセージが表示されます。
伝送は CFR メッセージの後に開始します。
エラーが多数ある場合、正常なファックス アナライザはこれらを検出します。
また、ECM モードがイネーブルにされている場合、多数の再伝送と partial page request(PPR)メッセージが発生します。終端の FAX マシンは、エラー率が高すぎると判断した場合はこの接続を終了します。
MCF は、イメージ終了メッセージのシーケンスに対する、受信側の通常の応答です。これは、5 % 以下の行でエラーが発生しただけで、イメージが受信されたことを示します。通常はこの後に「DCN(接続解除)」メッセージが続きます。
MCF メッセージがない場合は、伝送が正常に完了していないことになります。これは、次のいずれかが原因でエラー率が高くなっていることを示唆します。
デジタル回線エラー(クロッキング、配線)
VoIP パケット ロス(キューイング、優先順位付け、断片化、圧縮)
ハードウェア障害
Cisco IOS と DSPW の非互換性(まれに起こります)
DISまたはDCSメッセージが何度も再送信される場合は、VoX接続を正しく通過しなかったり、一方向にのみ通過したりすることが考えられます。ソフトウェアまたは設定の問題です。
トレーニングが複数回繰り返され、毎回速度が遅くなって伝送が失敗する場合は、ファックス コーデックがロードされておらず、音声ゲートウェイがファックス伝送を通常の音声会話として処理している可能性があります。これも、設定またはソフトウェアの問題です。
改定 | 発行日 | コメント |
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1.0 |
02-Feb-2006 |
初版 |