このドキュメントでは、プライマリ Cisco CallManager サーバへの WAN Transmission Control Protocol(TCP)接続が失われ、使用可能なバックアップ Cisco CallManager サーバがない場合に、メディア ゲートウェイ コントロール プロトコル(MGCP)ゲートウェイを H323 セッション アプリケーションにフォールバックできるようにする方法について説明します。
このドキュメントに関しては個別の前提条件はありません。
このドキュメントの情報は、次のソフトウェアとハードウェアのバージョンに基づくものです。
Cisco IOS(R) ソフトウェア リリース 12.3(4)T1
Cisco 3700 シリーズ ルータ
Cisco CallManager 3.3 以降
注:Cisco IOSバージョン12.2(11)Tは、MGCPフォールバックとSurvivable Remote Site Telephony(SRST)を同じボックスで実行するために最低限必要なCisco IOSバージョンです。
このマニュアルの情報は、特定のラボ環境に置かれたデバイスに基づいて作成されました。このドキュメントで使用するすべてのデバイスは、初期(デフォルト)設定の状態から起動しています。実稼動中のネットワークで作業をしている場合、実際にコマンドを使用する前に、その潜在的な影響について理解しておく必要があります。
ドキュメント表記の詳細は、『シスコ テクニカル ティップスの表記法』を参照してください。
アクティブの MGCP アナログ コールおよび T1 個別線信号方式(CAS)コールはすべて、フォールバック移行中も維持されます。フォールバック移行は通話者に気付かれることはなく、アクティブ MGCP コールがクリアされるのは、通話者が電話を切ったときだけです。アクティブ MGCP PRI バックホール コールは、フォールバック中に解放されます。
過渡的な MGCP コール(まだ接続状態になっていないコール)は、フォールバック移行の開始時にクリアされるため、後で掛け直しが必要になります。
この設定は、ゲートウェイを通過する IP テレフォニー トラフィックに基本的な接続サービスを提供します。ローカル MGCP ゲートウェイがフォールバック モードに移るとき、デフォルトの H.323 セッション アプリケーションに新規コールの処理責任が発生します。フォールバック期間中サポートされるのは、2 者間の基本的なボイス コールだけです。
ISDN T1 コールおよび E1 PRI コールを除き、フォールバック時にアクティブであった MGCP コールはすべて維持され、過渡的なコールは解放されます。ユーザがアクティブ MGCP コールを終了する(切る)と、MGCP アプリケーションはオンフック イベントを処理し、すべてのコール リソースをクリアします。
注:この文書で使用されているコマンドの詳細を調べるには、「Command Lookup ツール」を使用してください(登録ユーザのみ)。
このドキュメントでは次の図に示すネットワーク構成を使用しています。
このドキュメントでは、次に示す設定を使用しています。次の 3 つの設定により、ユーザは次のことが可能になります。
Cisco IOS ゲートウェイでフォールバックを有効化できます。
フォールバック時に H.323 で発信コールを処理するように、MGCP 制御の POTS ダイヤル ピアを「destination-patterns」で設定できます。
(IP Phone への)着信コールを、IP Phone 用のバックアップになるローカル ルータ(フォールバック Cisco CallManager サーバ)にルーティングするよう、Voice over IP(VoIP)ダイヤル ピアを設定できます。
IOS ゲートウェイ |
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Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.3(13)T 以前の場合: interface FastEthernet0/0 ip address 192.168.1.12 255.255.255.0 ccm-manager fallback-mgcp call application alternate DEFAULT !----H.323 is the default signalling protocol. !--- An FXS-connected phone gets a dial-tone from the router !--- instead of being instructed to do so via MGCP by !--- Cisco CallManager.Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.3(14)T 以降の場合: R(config)#application R(config-app)#global R(config-app-global)#service alternate Default |
POTS ダイヤル ピア |
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dial-peer voice X pots application mgcpapp destination-pattern 0T !----Note that the destination-pattern command is needed for H.323 when the MGCP fallback happens. port 2/0:15 forward-digits all dial-peer voice X pots application mgcpapp destination-pattern 2000 !----Note that the destination-pattern command is needed for H.323 when the MGCP fallback happens. !-- port 1/0/0 注:Cisco IOSソフトウェアリリース12.3(7)T以降では、PRIバックホールをサポートするPOTSダイヤルピアにapplication mgcpappコマンドを適用することはできません。 |
次に示す SRST 設定は、Cisco IP Phone をサポートするために必要です。
SRST 設定 |
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call-manager-fallback !--- Enables SRST support and enters Cisco CallManager fallback mode. max-conferences 8 ip source-address 192.168.1.12 port 2000 !--- 192.168.1.12 is the IP address of the Cisco IOS gateway through which it !--- communicates with the Cisco IP Phones. !--- Here, the Cisco IOS gateway is also configured as a Cisco CallManager fallback server. max-ephones 10 max-dn 10 |
次に示す VoIP ダイヤル ピア設定は、Cisco IOS ゲートウェイに接続されているローカル ルータが他にあり、フォールバック Cisco CallManager サーバとして機能している場合に必要です。稼働中の SRST により、ゲートウェイ自体がフォールバック Cisco Callmanager サーバとして機能する場合は、次の VoIP ダイヤル ピア設定は不要です。MGCP フォールバックおよび SRST を同じ装置上で実行する場合、最低でも Cisco IOS ソフトウェア バージョン 12.2(11)T が必要になります。
VoIP ダイヤル ピア |
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dial-peer voice 5000 voip destination-pattern 5... !--- These are IP phone directory numbers. session target ipv4: x.x.x.x !--- x.x.x.x. represents the IP address !--- of the fallback Cisco CallManager server. |
Cisco CallManager V3.3、4.x 以降がある場合
SRST リファレンスを作成します。
Cisco CallManager から、[System] および [SRST] をクリックします。
[Find and List SRST References] ページで、[Add a New SRST Reference] をクリックします。
[SRST Reference Configuration] ページで、[SRST Reference Name] フィールドに名前を入力し、[IP Address] フィールドに Cisco SRST ルータの IP アドレスを入力します。
[Insert] をクリックします。
SRST リファレンスまたはデフォルト ゲートウェイを 1 つ以上のデバイス プールに適用します。
Cisco CallManager から、[System] および [Device Pool] をクリックします。
[Device Pool Configuration] ページで、希望のデバイス プール アイコンをクリックします。
[Device Pool Configuration] ページで、[SRST Reference] フィールドのメニューから [SRST reference] または [Use Default Gateway] を選択します。
ここでは、設定が正しく機能していることを確認するために使用する情報を示します。
一部の show コマンドはアウトプット インタープリタ ツールによってサポートされています(登録ユーザ専用)。このツールを使用することによって、show コマンド出力の分析結果を表示できます。
次のコマンドは、MGCP フォールバック設定の検証に使用できます。
show call-manager-fallback dial-peer:CiscoCallManager のフォールバック時のダイヤル ピアの出力を表示します。
show ccm-manager fallback-mgcp:Cisco CallManager サーバのリストと、それらの現在のステータスおよび可用性を表示します。
注:次に示すshow ccm-manager fallback-mgcpコマンドの出力は、MGCPフォールバックが発生する前に取得したものです。
mgcp-gateway# show ccm-manager fallback-mgcp Current active Call Manager: 192.168.1.2 MGCP Fallback mode: Enabled/OFF Last MGCP Fallback start time: None Last MGCP Fallback end time: None
Cisco CallManager への接続が失われると、MGCP フォールバックが発生し、出力は次のようになります。
mgcp-gateway# show ccm-manager fallback-mgcp Current active Call Manager: None MGCP Fallback mode: Enabled/ON Last MGCP Fallback start time: 05:58:48 UTC Oct 6 2004 Last MGCP Fallback end time: 05:56:30 UTC Oct 6 2004
次のコンソール メッセージは、MGCP フォールバック動作の検証に役立ちます。
Sep 23 16:35:34.707: %CALL_CONTROL-6-APP_NOT_FOUND: Application mgcpapp in dial-peer 1 not found. Handing callid 98 to the alternate app default
一部の show コマンドはアウトプット インタープリタ ツールによってサポートされています(登録ユーザ専用)。このツールを使用することによって、show コマンド出力の分析結果を表示できます。
注:debugコマンドを発行する前に、『debugコマンドの重要な情報』を参照してください。
改定 | 発行日 | コメント |
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1.0 |
14-Sep-2005 |
初版 |