ダイヤルトーンを中断できない問題は、VoIP ネットワークでよく発生します。このシナリオでは、発信側がデュアル トーン多重周波数(DTMF)トーンまたはディジットを終端デバイスに渡すことができません。このため、発信者は内線番号をダイヤルできず、また DTMF トーンを必要とするデバイス(音声メールや音声自動応答装置(IVR)アプリケーションなど)と通信できません。 この問題は次のいずれかが原因で発生します。
DTMF トーンが渡されない。
DTMF トーンが認識されない。
DTMF トーンが渡されるが、歪みが原因で認識されない。
その他の信号方式およびケーブル接続の問題。
このドキュメントでは、最も一般的な問題とその解決策を説明します。
このドキュメントに特有の要件はありません。
このドキュメントの内容は、特定のソフトウェアやハードウェアのバージョンに限定されるものではありません。
このドキュメントの情報は、特定のラボ環境にあるデバイスに基づいて作成されました。このドキュメントで使用するすべてのデバイスは、初期(デフォルト)設定の状態から起動しています。対象のネットワークが実稼働中である場合には、どのようなコマンドについても、その潜在的な影響について確実に理解しておく必要があります。
ドキュメント表記の詳細は、「シスコ テクニカル ティップスの表記法」を参照してください。
ルータはローカル PBX を起動させようとするが、ユーザがダイヤルしている間はダイヤル トーンが継続する。
次の出力例に示すように、ルータと PBX の両方でダイヤル タイプが dtmf として設定されていることを確認します。Foreign Exchange Station(FXS)ポートはディジットを渡さないので、この設定は FXS ポートでは使用できません。ただし、Foreign Exchange Office(FXO)ポート、受信および送信(Ear and Mouth(E & M))ポートではこの設定を変更できます。
Router(config-voiceport)# dial-type ? dtmf touch-tone dialer mf mf-tone dialer pulse pulse dialer
E & M の場合は show call active voice brief コマンドを実行し、PBX から応答監視を受信していることを確認します。応答監視を受信している場合、コールのステータスは active です。テレフォニー レッグがまだ connecting 状態の場合は、ルータが音声パスを完全に閉じません。この場合は PBX ベンダーに連絡し、応答監視の提供を依頼してください。
この問題の回避策として、ルータのシグナリングを immediate に変更し(次の出力例を参照)、音声ポートで auto cut-through コマンドを実行する方法があります。これにより、ルータはコールを active 状態にして音声をカットスルーできます。
Router(config-voiceport)# signal ? delay-dial delay before dialing immediate start immediately wink-start start upon wink Router(config-voiceport)# ? Voice-port configuration commands: auto-cut-through E & M auto cut-through without answer signal
注:信号はルータとPBXの間で一致している必要があります。一致しないと、単方向のコールが機能しない可能性があります。
アナログ E&M の場合は、『アナログ E & M インターフェイスのタイプおよび配線の説明とトラブルシューティング』の説明に従ってすべてのケーブル配線が正しく行われていることを確認します。ケーブル配線が正しく行われていると、送受信音声パスが正しくマップされます。正しく行われていないと、音声パスを適切に確立できず、2 つの接続デバイス間でディジットが正しく受け渡されません。適切な内線に達しても、端末装置が渡されるトーンを認識しません。
発信元ゲートウェイ(OGW)から終端ゲートウェイ(TGW)への VoIP コールの場合、テレフォニー デバイスへのコールの終了が認識されないことがあります。圧縮 VoIP 音声パスを介して DTMF トーンを渡す場合、デュアル トーンの一部で多少歪みが発生します。これは、デジタル信号プロセッサ(DSP)コーデックはマシン トーンではなく音声通話を解釈するように設計されているためです。通常、古い圧縮コーデック(G.723 や G.711 など)ではこのような歪みは発生しませんが、新しい圧縮コーデックではインバンド トーンで歪が発生することがあります。Cisco IOS® ソフトウェア リリース 12.0(5)T では、3 とおりの方法で VoIP ゲートウェイ間で DTMF トーンがアウトオブバンドで受け渡されます。3 つの方法すべてで、H.245 機能交換(H.323v2 の一部)を使用して、リモート VoIP ゲートウェイに対して DTMF トーンを受信したこととリモート VoIP ゲートウェイにより再生成すべきであることを信号で通知します。
両側で VoIP ダイヤルピアで dtmf-relay コマンドを実行します。次の 3 種類の DTMF リレーを設定できます。
Router(config)# dial-peer voice xxx voip
Router(config-dial-peer)# dtmf-relay ?
cisco-rtp Cisco Proprietary RTP
h245-alphanumeric DTMF Relay via H245 Alphanumeric IE
h245-signal DTMF Relay via H245 Signal IE
dtmf-relay コマンドで異なる設定を試してみてください。cisco-rtp 設定はシスコ独自の機能であり、Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.0(5)T よりも古いリリースで使用可能です。その他の 2 つの設定は H.323v2 標準に準拠しています。
メディア ゲートウェイ コントロール プロトコル(MGCP)ネットワークについては、『MGCP ベース ファクス(T.38)の DTMF リレー』を参照してください。
Session Initiation Protocol(SIP)ネットワークについては、『名前付き電話イベントを使用した SIP コールのデュアル トーン多重周波数リレー』を参照してください。
音声ポートの設定が原因で、送信されたインバンド トーンで歪みが発生することがあります。
ネットワークを介して送信されるトーンの信号強度が低すぎるかまたは高すぎる可能性があります。信号強度を変更するには、信号の input gain と output attenuation を調整します。この設定は音声ポートの下にあります。
Router(config-voiceport)# input gain ? <-6 - 14> gain in db Router(config-voiceport)# output attenuation ? <-6 - 14> attenuation in db
入力時に信号を増減できます。正確な値はベンダー(通信会社)によって異なります。 通常は+7ですが、最適なステージに達するまで、常に1ずつ増減を試すことができます。これらのパラメータの設定値が低すぎるかまたは高すぎると、問題が発生することがあります。値を調整します。両方の設定でデフォルト値は 0 です。
これまでに説明した問題の他に、単方向音声が原因でこの問題が発生することがあります。単方向音声の場合は、送信されたディジットが所定の宛先に到達しません。両方向で音声パスを確立する一般的な方法は、両方のルータで voice rtp send-recv コマンドを実行する方法です。単方向音声のトラブルシューティングの詳細については、「単方向音声に関する問題のトラブルシューティング」を参照してください。
どの解決策でも問題を解決できない場合は、シスコ テクニカルサポートにご連絡ください。