はじめに
このドキュメントでは、E1 PRIのトラブルシューティング方法について説明します。
前提条件
要件
このドキュメントに関する固有の要件はありません。
使用するコンポーネント
このドキュメントの情報は、次のソフトウェアとハードウェアのバージョンに基づくものです。
このドキュメントの情報は、特定のラボ環境にあるデバイスに基づいて作成されました。このドキュメントで使用するすべてのデバイスは、クリアな(デフォルト)設定で作業を開始しています。本稼働中のネットワークでは、各コマンドによって起こる可能性がある影響を十分確認してください。
表記法
ドキュメント表記の詳細は、を参照してください。
背景説明
一次群速度インターフェイス(PRI)のトラブルシューティングを行う場合は、E1 が両端で正しく動作していることを確認します。レイヤ 1 の問題が解決されたら、レイヤ 2 と 3 の問題を探します。回線の設定がリモート エンドの設定と一致することを確認するには、show controller e1 コマンドを使用します。フレーミング、ライン コーディング、およびクロック ソースが正しく設定されていることを確認します。詳細については、およびのドキュメントを参照してください。正しい設定については、契約しているサービス プロバイダーにお問い合わせください。
show isdn status コマンドの使用
show isdn status コマンドは、すべての ISDN インターフェイスのサマリーを表示します。また、レイヤ1、2、および3のステータスも表示します。次の手順を実行して、レイヤのステータスを確認します。
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レイヤ 1 が ACTIVE 状態であることを確認します。レイヤ1のステータスは、E1がダウンしていない限り、常にACTIVEである必要があります。
show isdn status コマンドの出力で、レイヤ 1 が DEACTIVATED と表された場合は、E1 回線の物理的な接続に問題があります。その回線が管理上の問題でダウンしている場合は、no shutdown コマンドを使用して、そのインターフェイスを再起動します。
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レイヤ 2 が MULTIPLE_FRAME_ESTABLISHED の状態にあることを確認します。これは、レイヤ 2 の望ましい状態であり、レイヤ 2 フレームが交換され、レイヤ 2 の初期化が完了したことを示しています。
レイヤ 2 が MULTIPLE_FRAME_ESTABLISHED 状態でない場合は、show controller e1 EXEC コマンドを使用して問題を診断します。詳細については、『E1 アラームのトラブルシューティング』ドキュメントを参照してください。
show isdn status コマンドは現在のステータスのサマリーを表示するため、レイヤ 2 の状態が MULTIPLE_FRAME_ESTABLISHED と表示されているにもかかわらず、レイヤ 2 がアップとダウンを繰り返している場合もあります。レイヤ 2 が安定した状態であることを確認するには、debug isdn q921 コマンドを使用します。
次に、show isdn statusの出力例を示します。
bru-nas-03#show isdn status
Global ISDN Switchtype = primary-net5
ISDN Serial0:15 interface
dsl 0, interface ISDN Switchtype = primary-net5
Layer 1 Status:
ACTIVE
Layer 2 Status:
TEI = 0, Ces = 1, SAPI = 0, State = MULTIPLE_FRAME_ESTABLISHED
Layer 3 Status:
5 Active Layer 3 Call(s)
Activated dsl 0 CCBs = 5
CCB:callid=7D5, sapi=0, ces=0, B-chan=9, calltype=DATA
CCB:callid=7D6, sapi=0, ces=0, B-chan=10, calltype=DATA
CCB:callid=7DA, sapi=0, ces=0, B-chan=11, calltype=DATA
CCB:callid=7DE, sapi=0, ces=0, B-chan=1, calltype=DATA
CCB:callid=7DF, sapi=0, ces=0, B-chan=2, calltype=DATA
The Free Channel Mask: 0xFFFF78FC
ISDN Serial1:15 interface
dsl 1, interface ISDN Switchtype = primary-net5
Layer 1 Status:
ACTIVE
Layer 2 Status:
TEI = 0, Ces = 1, SAPI = 0, State = TEI_ASSIGNED
Layer 3 Status:
0 Active Layer 3 Call(s)
Activated dsl 1 CCBs = 0
The Free Channel Mask: 0xFFFF7FFF
Total Allocated ISDN CCBs = 5
E1 0(D チャネルが Serial 0:15 のもの)では、レイヤ 1 が ACTIVE で、レイヤ 2 が MULTIPLE_FRAME_ESTABLISHED です。これは、シグナリング チャネルが正常に動作しており、電話会社のスイッチとの間でレイヤ 2 のフレーム交換が行われていることを示しています。E1 1 の D チャネル(Serial1:15)ではレイヤ 1 が ACTIVE ですが、レイヤ 2 は TEI_ASSIGNED になっています。これは、この PRI とスイッチ間でレイヤ 2 のフレームが交換されていないことを示しています。トラブルシューティングを行うには、show controller e1 x コマンドを使用します。詳細については、フローチャートを参照してください。
debug q921 コマンドの使用
debug isdn q921 コマンドは、D チャネル上のルータで行われているデータリンク層(レイヤ 2)のアクセス手順を表示します。
logging console または terminal monitor コマンドを使用して、デバッグ メッセージを表示できる設定になっていることを確認してください。
注:実稼働環境では、show loggingコマンドを使用してコンソールのロギングがオフになっていることを確認してください。ロギングが有効になっていると、コンソールポートがログメッセージで過負荷状態になったときに、アクセスサーバが断続的に停止することがあります。ロギングをディセーブルにするには、no logging console コマンドを入力します。
注:debug isdn q921がオンになっていて、デバッグ出力が表示されない場合は、コールを発信するか、コントローラをリセットしてdebug出力を取得します。
次の手順を実行して、Dチャネル上のルータでデータリンク層のアクセス手順が実行されていることを確認します。
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デバッグ出力のメッセージを見て、レイヤ 2 が安定していることを確認します。回線がアップとダウンを繰り返している場合は、次のような出力が表示されます。
Mar 20 10:06:07.882: %ISDN-6-LAYER2DOWN: Layer 2 for Interface Se0:15, TEI 0 changed to down
Mar 20 10:06:09.882: %LINK-3-UPDOWN: Interface Serial0:15, changed state to down
Mar 20 10:06:21.274: %DSX1-6-CLOCK_CHANGE: Controller 0 clock is now selected as clock source
Mar 20 10:06:21.702: %ISDN-6-LAYER2UP: Layer 2 for Interface Se0:15, TEI 0 changed to up
Mar 20 10:06:22.494: %CONTROLLER-5-UPDOWN: Controller E1 0, changed state to up
Mar 20 10:06:24.494: %LINK-3-UPDOWN: Interface Serial0:15, changed state to up
レイヤ2が安定しているように見えない場合は、このドキュメントを参照してください。
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送信(TX)側と受信(RX)側のどちらにもサービス アクセス ポイント ID(SAPI)メッセージのみが表示されることを確認します。例:
Mar 20 10:06:52.505: ISDN Se0:15: TX -> RRf sapi = 0 tei = 0 nr = 0
Mar 20 10:06:52.505: ISDN Se0:15: RX <- RRf sapi = 0 tei = 0 NR = 0
Mar 20 10:07:22.505: ISDN Se0:15: TX -> RRp sapi = 0 tei = 0 NR = 0
Mar 20 10:07:22.509: ISDN Se0:15: RX <- RRp sapi = 0 tei = 0 NR = 0
Mar 20 10:07:22.509: ISDN Se0:15: TX -> RRf sapi = 0 tei = 0 NR = 0
Mar 20 10:07:22.509: ISDN Se0:15: RX <- RRf sapi = 0 tei = 0 NR = 0
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拡張非同期平衡モード設定(SABME)メッセージが表示されないことを確認します。これらのメッセージは、レイヤ 2 が再初期化しようとしていることを示します。これらのメッセージは通常、ポーリング要求(RRp)が送信され、スイッチからの応答(RRf)がない場合、またはその逆の場合に表示されます。次に、SABMEメッセージの例を示します。
Mar 20 10:06:21.702: ISDN Se0:15: RX <- SABMEp sapi = 0 tei = 0
Mar 20 10:06:22.494: ISDN Se0:15: TX -> SABMEp sapi = 0 tei = 0
SABMEメッセージが表示されたら、次の手順を実行します。
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show running-config コマンドを使用して、isdn switch-type および pri-group timeslots が正しく設定されていることを確認します。正しい値については、契約しているサービス プロバイダーにお問い合わせください。
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isdn switch-typeおよびpri-groupの設定を変更するには、次のコマンドを入力します。
bru-nas-03#configure terminal
bru-nas-03(config)#isdn switch-type primary-net5
bru-nas-03(config)#controller e1 0
bru-nas-03(config-controlle)#pri-group timeslots 1-31
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show interfaces serial number:15(number はインターフェイス番号)コマンドを使用して、D チャネルがアップになっていることを確認します。
D チャネルがアップになっていない場合は、no shutdown コマンドを使用してアップにします。例:
bru-nas-03(config)#interface serial 0:15
bru-nas-03(config-if)#no shutdown
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カプセル化が PPP であることを確認します。そうでない場合は、encapsulation ppp コマンドを使用してカプセル化を設定します。例:
bru-nas-03(config-if)#encapsulation ppp
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インターフェイスがループバック モードになっていることを確認します。ループバックはテスト目的でのみ設定する必要があります。no loopback コマンドを使用してループバックを削除します。例:
bru-nas-03(config-if)#no loopback
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ルータの電源をオフ/オンします。
問題が解消されない場合は、お客様のサービス プロバイダーまたは Cisco Technical Assistance Center(TAC)にお問い合わせください。
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