このドキュメントでは、T1 回線で発生するさまざまなエラー イベントについて説明し、これらのエラーを修正するためのトラブルシューティング情報を記載しています。最も一般的な T1 の問題を解決するには、このドキュメントと併せて『T1 レイヤ 1 トラブルシューティング』、『T1 アラーム トラブルシューティング』、『T1 PRI トラブルシューティング』ドキュメントを参照してください。
ドキュメント表記の詳細は、『シスコ テクニカル ティップスの表記法』を参照してください。
このドキュメントに関しては個別の前提条件はありません。
このドキュメントの内容は、特定のソフトウェアやハードウェアのバージョンに限定されるものではありません。
このマニュアルの情報は、特定のラボ環境に置かれたデバイスに基づいて作成されました。このドキュメントで使用するすべてのデバイスは、初期(デフォルト)設定の状態から起動しています。実稼動中のネットワークで作業をしている場合、実際にコマンドを使用する前に、その潜在的な影響について理解しておく必要があります。
show controller t1 コマンドを使用すると、該当のコントローラ ハードウェアに限定されたコントローラ ステータスが表示されます。この情報は、テクニカル サポートのスタッフが診断タスクを行う際に役立ちます。Network Processor Module(NPM; ネットワーク プロセッサ モジュール)または MultiChannel Interface Processor(MIP; マルチチャネル インターフェイス プロセッサ)は、ポート アダプタに問い合わせて現在のステータスを確認できます。
さらに show controller t1 EXEC コマンドでは、次の情報も得られます。
T1 リンクの統計情報スロットとポート番号を指定した場合、15 分間ごとの統計情報が表示されます。
物理層とデータリンク層のトラブルシューティング情報
T1 回線上のローカル アラームおよびリモート アラーム情報(ある場合)
show controller コマンドを使用して、コントローラにアラームまたはエラーが表示されているか確認します。フレーミング、ライン コーディング、およびスリップ秒の各エラー カウンタが増えているかどうかを調べるには、show controller t1 コマンドを繰り返し使用します。現在の間隔でのカウンタの値を記録します。
フレーミングおよびライン コーディングの設定については、サービス プロバイダーに問い合せてください。Extended Super Frame(ESF)では Binary 8-Zero Substitution(B8ZS)ライン コーディングを使用し、Super Frame(SF)では Alternate Mark Inversion(AMI)ライン コーディングを使用するのが一般的です。
T1 回線でスリップが存在する場合は、クロッキングの問題があります。Customer Premises Equipment(CPE; 顧客宅内機器)は、T1 プロバイダー(電話会社)からのクロッキングに同期する必要があります。 この問題を解決するには、次の手順を実行します。
クロック ソースが電話会社から取得されていることを確認します。show controller t1 EXEC コマンドの出力に、「Clock Source is line primary」が含まれていることを確認します。
注:アクセスサーバに複数のT1が接続されている場合、1つのT1だけがプライマリソースになります。他の T1 はプライマリ ソースからクロックを取得します。T1 が複数ある場合は、プライマリ クロック ソースとして指定されている T1 回線が正しく設定されていることを確認します。また、プライマリ ソースがダウンした場合にクロッキングを供給するための 2 番目の T1 回線を設定することもできます。これには、コントローラ設定モードから clock source line secondary コマンドを使用します。
コントローラ設定モードから、プライマリとセカンダリの両方の T1 クロック ソースを設定します。以下に、いくつかの例を示します。
maui-nas-03(config-controlle)#clock source line primary
と
maui-nas-03(config-controlle)#clock source line secondary 1
プライマリおよびセカンダリとして指定する T1 がどちらもアクティブで安定していることを確認します。クロック ソースの詳細については、「AS5xxx ネットワーク アクセス サーバのためのクロックの同期」を参照してください。
注:特定のプラットフォーム(AS5350、AS5400、AS5800など)では、dial-tdm-clockコマンドを使用してクロックソースを指定します。詳細については、Command Lookup ツールを参照してください。このツールやその他の Cisco TAC ツールは「ツールとユーティリティ」にあります。
手順は以下のとおりです。
ポートに設定されたフレーミング フォーマットが、回線のフレーミング フォーマットと一致していることを確認します。show controller t1の出力で「Framing is {ESF|SF}」を探します。
フレーミングフォーマットを変更するには、framing {sf | esf}コマンドを使用します。以下に、いくつかの例を示します。
maui-nas-03(config-controlle)#framing esf
cablelength long または cablelength short コマンドを使用してライン構築を変更します。
構築設定の詳細については、サービス プロバイダーに問い合せるとともに、「T1/E1 コントローラ コマンド」ドキュメントを参照してください。
手順は以下のとおりです。
ポートで設定されているライン コーディングが、回線のライン コーディングと一致していることを確認します。show controller t1の出力で、Line Code is {B8ZS|AMI}を探します。
ラインコーディングを変更するには、linecode {ami | b8zs}コマンドを使用します。以下に、いくつかの例を示します。
maui-nas-03(config-controlle)#linecode b8zs
cablelength long または cablelength short コマンドを使用してライン構築を変更します。
構築設定の詳細については、サービス プロバイダーに問い合せるとともに、「T1/E1 コントローラ コマンド」ドキュメントを参照してください。
パス コード違反は、SF の場合はフレーム同期エラーであり、ESF の場合は Cyclic Redundancy Check(CRC; 巡回冗長検査)エラーです。パス コード違反とライン コード違反は通常は同時に発生します。ライン コーディングが正しいことを常に確認してください。
パス コード違反エラー イベントは、D4(SF)フォーマットのフレーム同期ビット エラーか、または ESF フォーマットの CRC エラーです。パス コード違反とライン コード違反は通常は同時に発生します。ライン コーディングが正しいことを常に確認してください。
ポートで設定されているライン コーディングが、回線のライン コーディングと一致していることを確認します。show controller t1の出力で、「Line Code is {B8ZS|AMI}」を探します。
ラインコーディングを変更するには、linecode {ami | b8zs}コマンドを使用します。以下に、いくつかの例を示します。
maui-nas-03(config-controlle)#linecode b8zs
cablelength long または cablelength short コマンドを使用してライン構築を変更します。
構築設定の詳細については、サービス プロバイダーに問い合せるとともに、「T1/E1 コントローラ コマンド」ドキュメントを参照してください。
show running-config コマンドを使用して、isdn switch-type および pri-group timeslots が正しく設定されていることを確認します。ISDN インターフェイスのセントラル オフィス スイッチ タイプを指定するには、isdn switch-type グローバル設定コマンドを使用します。このコマンドのオプションには、primary-5ess、primary-dms100、および primary-ni があります。使用すべき正しい値については、サービス プロバイダーにお問い合せください。
注:ISDN PRI グループとチャネル グループを同じコントローラですでに定義している場合は、タイムスロットが重複していないことと、チャネル グループで ISDN D チャネル タイムスロットが使用されていないことを確認してください。チャネル グループの詳細については、「チャネライズド E1 およびチャネライズド T1 の設定コマンド」を参照してください。Primary Rate Interface(PRI; 一次群速度インターフェイス)を設定するときは、 isdn switch-type グローバル設定コマンドを使用してスイッチ タイプを設定してください。
isdn switch-type および pri-group を設定するには、次のコマンドを入力します。
maui-nas-03#configure terminal maui-nas-03(config)#isdn switch-type primary-5ess maui-nas-03(config)#controller t1 0 maui-nas-03(config-controlle)#pri-group timeslots 1-24
エラー カウンタが増えていないにもかかわらず問題が解決しない場合は、次の手順を実行して、シグナリング チャネルがアップしていて正しく設定されていることを確認します。
show interfaces serial number:23 コマンドを実行します。number はインターフェイス番号です。
インターフェイスがアップしていることを確認します。インターフェイスがアップしていない場合は、no shutdown コマンドを使用してインターフェイスをアップします。以下に、いくつかの例を示します。
maui-nas-03#config terminal Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z. maui-nas-03(config)#interface serial 0:23 maui-nas-03(config-if)#no shutdown
カプセル化が PPP であることを確認します。そうでない場合は、encapsulation ppp コマンドを使用してカプセル化を設定します。以下に、いくつかの例を示します。
maui-nas-03(config-if)#encapsulation ppp
インターフェイスがループバック モードになっていないことを確認します。ループバックはテストの目的にだけ設定します。no loopback コマンドを使用してループバックを削除します。以下に、いくつかの例を示します。
maui-nas-03(config-if)#no loopback
ルータの電源をオフ/オンします。
それでも問題が解決しない場合は、下記のドキュメントを参照してから、サービス プロバイダーか Cisco Technical Assistance Center(TAC)にお問い合せください。
改定 | 発行日 | コメント |
---|---|---|
1.0 |
09-Sep-2005 |
初版 |