E3 エラー イベントのトラブルシューティング

概要

このドキュメントでは、さまざまな E3 エラー イベントについて説明し、それを識別し、トラブルシューティングする方法を示します。ハード プラグ ループバック テストに関する項もあります。

前提条件

要件

このドキュメントに特有の要件はありません。

使用するコンポーネント

このドキュメントの内容は、特定のソフトウェアやハードウェアのバージョンに限定されるものではありません。

このドキュメントの情報は、特定のラボ環境にあるデバイスに基づいて作成されました。このドキュメントで使用するすべてのデバイスは、初期（デフォルト）設定の状態から起動しています。対象のネットワークが実稼働中である場合には、どのようなコマンドについても、その潜在的な影響について確実に理解しておく必要があります。

表記法

ドキュメント表記の詳細は、『シスコ テクニカル ティップスの表記法』を参照してください。

エラー イベントの識別

使用するポート アダプタのタイプによって、E3 エラー イベントを表示する Cisco IOS® ソフトウェア コマンドが決定します。

PA-E3 ポート アダプタ

PA-E3 ポート アダプタで E3 エラー イベントを表示するには、show controllers serial コマンドを使用します。

dodi#show controllers serial 5/0
  M1T-E3 pa: show controller:
  ...
  Data in current interval (798 seconds elapsed):
  0 Line Code Violations, 0 P-bit Coding Violation
  0 C-bit Coding Violation
  0 P-bit Err Secs, 0 P-bit Sev Err Secs
  0 Sev Err Framing Secs, 0 Unavailable Secs
  0 Line Errored Secs, 0 C-bit Errored Secs, 0 C-bit Sev Err Secs

PA-MC-E3 ポート アダプタ

PA-E3 ポート アダプタで E3 エラー イベントを表示するには、show controllers e3 コマンドを使用します。

dodi#show controllers e3 4/0
  E3 4/0 is up.
  ...
  Data in current interval (81 seconds elapsed):
  0 Line Code Violations, 0 P-bit Coding Violation
  0 C-bit Coding Violation
  0 P-bit Err Secs, 0 P-bit Severely Err Secs
  0 Severely Err Framing Secs, 0 Unavailable Secs
  0 Line Errored Secs, 0 C-bit Errored Secs, 0 C-bit Severely Errored

エラー イベントの定義

以下は E3 エラー イベントの定義です。使用するポート アダプタの種類は問いません。

• Line Code Violations（LCV；ラインコード違反）：これは、HDB3ラインコードに含まれる受信したバイポーラ違反(BPV)の数を報告します。

• PビットおよびCビットコーディング違反およびすべての派生エラー秒数：これらのエラーはT3に対してのみ定義されているため、これらは常に0です。

• Severely Err Framing Secs：リモートアラーム表示(RALI)が受信された、またはフレーム同期損失(LOF)状態が発生した1秒間隔の数を報告します。

• Unavailable Secs：コントローラで障害が発生した1秒間隔の数を報告します。

• 回線エラー秒数：これは、回線コード違反が発生した1秒間隔の数を報告します。

エラー イベントのトラブルシューティング

このセクションでは、E3 回線で発生する各種エラー イベントについて説明し、それらのエラーを解決する方法に関する情報を提供します。

ライン コード違反とライン コード エラー秒数の増加

これらのエラーを解決するには、次の手順を実行します。

1. 75 オーム同軸ケーブルのリモート エンドにある機器が HDB3 ライン コードで E3 信号を送信していることを確認します。

2. 75 オーム同軸ケーブルの整合性を確認します。ケーブルに破損またはその他の物理的異常がないか調べます。必要であればケーブルを交換します。

3. 外部ループバック ケーブルをポートに挿入します。詳細は、「E3 回線向けハード プラグ ループバック テスト」を参照してください。

重大エラー フレーミングの秒数と使用不可秒数の増加

これらのエラーを解決するには、次の手順を実行します。

1. ローカル インターフェイス ポート設定が遠端機器設定に対応していることを確認します。

2. ローカル エンドでアラームの識別を試み、「E3 アラームのトラブルシューティング」で提案されている手順を実行します。

3. 外部ループバック ケーブルをポートに挿入します。詳細は、「E3 回線向けハード プラグ ループバック テスト」を参照してください。

E3 回線向けハード プラグ ループバック テスト

ハード プラグ ループバック テストでは、ルータのハードウェアに何らかの問題があるかどうかを判別します。ハード プラグ ループバック テストでルータの問題が検出されなかった場合、問題は E3 回線の他の部分にあります。

BNC コネクタのハード ケーブル ループバックの設定

ハード プラグ ループバックを設定するには、両端にオス型の Bayonet Neill-Concelman（BNC）コネクタが付いた 75 オーム同軸ケーブルが必要になります。ポート アダプタの送信（Tx）ポートを受信（Rx）ポートに接続するには、この同軸ケーブルを使用します。E3 シリアル インターフェイス/コントローラおよびすべての E1 コントローラ上で clock source internal コマンドを設定する必要もあります。これは PA-MC-E3 ポート アダプタの場合のみに該当します。

ハード プラグ ループバックの確認

ポート アダプタのタイプによって、拡張 ping（PA-E3 ポート アダプタの場合）または E1 ビット エラー レート テスト（BERT）（PA-MC-E3 ポート アダプタの場合）のどちらでハード ループバックを確認する必要があるかが決まります。

PA-E3：拡張 ping テストの準備

PA-E3 ポート アダプタで拡張 ping テストの準備をするには、次の手順を実行します。

1. write memory コマンドを使用して、ルータの設定を保存します。

2. インターフェイス シリアルのカプセル化をインターフェイス設定モードのハイレベル データ リンク制御（HDLC）に設定します。

3. show running config コマンドを使用して、インターフェイスに一意の IP アドレスが設定されていることを確認します。シリアル インターフェイスに IP アドレスが設定されていない場合は、一意のアドレスを取得して、そのアドレスをサブネット マスク 255.255.255.0 でインターフェイスに割り当てます。

4. clear counters コマンドを使用して、インターフェイスのカウンタをクリアします。

PA-E3：拡張 ping テストの実行

PA-E3 ポート アダプタでシリアル回線 ping テストを実行するには、次の手順を実行します。

1. 以下の手順を実行して、拡張 ping テストを実施します。

   1. [Type] で [ping ip] を選択します。

   2. IP アドレスがターゲット アドレスとして割り当てられているインターフェイスの IP アドレスを入力します。

   3. 繰り返しのカウントとして [1000] を選択します。

   4. データグラムのサイズとして [1500] を選択します。

   5. タイムアウトに関するプロンプトが表示されたら、Enter キーを押します。

   6. 拡張コマンドについて [Yes] を選択します。

   7. 発信元アドレスに関するプロンプトが表示されたら、Enter キーを押します。

   8. サービスのタイプに関するプロンプトが表示されたら、Enter キーを押します。

   9. IP ヘッダーの DF ビットの設定に関するプロンプトが表示されたら、Enter キーを押します。

   10. 応答データの検証に関するプロンプトが表示されたら、Enter キーを押します。

   11. データ パターンとして [0x0000] を選択します。

   12. Enter キーを 3 回押します。

   pingパケットサイズが1500バイトで、すべてゼロのping、0x0000を実行していることに注意してください。また、pingカウントの指定は1000に設定されています。つまりこの場合、1500 バイトの ping パケットが 1000 回送信されます。

2. show interfaces serial コマンド出力を調べて、入力エラーが増加したかどうかを判断します。入力エラーが増加していない場合、ローカル ハードウェア（ケーブルやルータのインターフェイス カードなど）はおそらく良好な状態です。

3. 別のデータ パターンで追加の拡張 ping を実行します。以下に、いくつかの例を示します。

   • 0x1111 のデータ パターンを使用してステップ 1 を繰り返します。

   • 0xffff のデータ パターンを使用してステップ 1 を繰り返します。

   • 0xaaaa のデータ パターンを使用してステップ 1 を繰り返します。

4. すべての拡張 ping テストが 100% 成功したことを確認します。

5. show interfaces serial コマンドを入力します。E3 シリアル インターフェイスには、巡回冗長検査（CRC）、フレーム、入力などのエラーがあってはなりません。これは、show interfaces serial コマンド出力の最後から 5 行目と 6 行目で確認できます。

   すべての ping が 100% 成功してエラーがない場合は、ハードウェアはおそらく良好な状態です。問題はケーブルか電話会社のいずれかにあります。

6. ループバック ケーブルをインターフェイスから取り外して、E3 回線をポートに差し戻します。

7. ルータで copy startup-config running-config EXEC コマンドを入力し、拡張 ping テスト中に running-config に対して行った変更があればそれを消去します。出力先のファイル名の入力が求められたら、Enter キーを押します。

PA-MC-E3：E1 回線での BERT の準備

BERT 回線は PA-MC-E3 ポート アダプタに組み込まれています。オンボード BERT 回路に接続するため、E3 回線ではなく、E1 回線を設定できます。

オンボード BERT 回線で生成できるテスト パターンには、次の 2 つのカテゴリがあります。

• 疑似乱数:ITU-T O.151およびO.153に準拠する指数数値

• 繰り返し：ゼロまたは1または0と1の交代

E1 回線で BERT を準備するには、clear counters コマンドを使用して、インターフェイスのカウンタをクリアします。

PA-MC-E3：E1 回線での BERT の実行

E1 回線で BERT を実行するには、次の手順を実行します。

1. e1 <e1-line-number> bert pattern 2^23 interval 1 E3 コントローラ設定コマンドを使用して E1 回線で BERT パターンを送信します。「e1-line-number」の値は 1 ～ 16 です。

2. BERT が完了したら、show controller e3 コマンド出力を調べて、以下のようであるかを確認します。

   • 「受信ビット（Bits Received）」は、BERT インターバルの間に E1 回線で送信されるビット数に相当します。

   • 「ビット エラー（Bit Errors）」は 0 のままです。

   「ビット エラー（Bit Errors）」が増加していない場合、ローカル ハードウェア（ケーブルやルータのインターフェイス カードなど）はおそらく良好な状態です。

   E3 4/0 E1 2
      No alarms detected.
      Framing is crc4, Clock Source is line, National bits are 0x1F.
      BERT test result (done)
      Test Pattern : 2^23, Status : Not Sync, Sync Detected : 1
      Interval : 1 minute(s), Time Remain : 0 minute(s)
      Bit Errors(Since BERT Started): 0 bits, 
      Bits Received(Since BERT start): 111 Mbits
      Bit Errors(Since last sync): 0 bits
      Bits Received(Since last sync): 111 Mbits
   

3. 他の E1 回線で別の BERT を実行します。

   すべての BERT が 100% 成功してビット エラーがない場合は、ハードウェアはおそらく良好な状態です。問題はケーブルか電話会社のいずれかにあります。

4. ループバック ケーブルをインターフェイスから取り外して、E3 回線をポートに差し戻します。

   ケースを開く場合、この情報を Cisco テクニカルサポートに送信してください。

   • show running interface e3 x/y

   • show controller

   • clear counters

   • show interfaces

   • ping with different pattern

関連情報

• PA-MC-E3 マルチチャンネル E3 ポート アダプタのインストールと設定
• E3 トラブルシューティング フローチャート
• E3 アラームのトラブルシューティング
• PA-MC-E3 マルチチャンネル E3 同期シリアル ポート アダプタ
• Cisco 7200 および 7500 ルータ向けマルチチャンネル E3 ポート アダプタ
• Cisco マルチチャネル シリアル ポート アダプタ
• テクニカル サポートとドキュメント – Cisco Systems

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