このドキュメントでは、T1 回線と E1 回線に関連する各種用語について説明します。このドキュメントは、次の T1 および E1 のトラブルシューティング ドキュメンテーションと併せてお読みください。
このドキュメントの読者は次の項目に関する知識が必要です。
show controllers t1 および show controllers e1 コマンドの出力。
このドキュメントの内容は、特定のソフトウェアやハードウェアのバージョンに限定されるものではありません。
このドキュメントの情報は、特定のラボ環境にあるデバイスに基づいて作成されました。このドキュメントで使用するすべてのデバイスは、初期(デフォルト)設定の状態から起動しています。対象のネットワークが実稼働中である場合には、どのようなコマンドについても、その潜在的な影響について確実に理解しておく必要があります。
ドキュメント表記の詳細は、「シスコ テクニカル ティップスの表記法」を参照してください。
下記の用語の多くは、show controllers t1 および show controllers e1 コマンドの出力に直接表示されます。詳細については、『show controllers e1 コマンドについて』を参照してください。
Bipolar Violation(BPV; 極性違反)エラー イベント
Alternate Mark Inversion(AMI; 交互マーク反転)でコード化された信号の場合、同じ極性のパルスを 2 回連続して受信すると BPV エラー イベントとなります。B8ZS または HDB3 でコード化された信号の場合、同じ極性のパルスが 2 回連続して受信したが、そのパルスがゼロ置換コードの一部でない場合、BPV エラー イベントとなります。
Controlled Slip(CS)エラー イベント
デジタル信号レベル 1(DS1)フレームのペイロード ビットが複製または削除されると Controlled Slip になります。Controlled Slip は、同期受信端末と受信信号のタイミングに差異がある場合に実行される可能性があります。Controlled Slip は、フレーム同期外れの原因にはなりません。
Excessive Zeroes(EXZ; 過剰ゼロ)エラー イベント
AMI でコード化された信号の場合、ゼロが連続して 16 回以上発生すると EXZ エラー イベントとなります。Binary 8-zero Substitution(B8ZS)でコード化された信号の場合は、ゼロが連続して 8 以上検出されると不具合が発生します。
Line Coding Violation(LCV)エラー イベント
極性違反または過剰ゼロ エラー イベントが発生すると、LCV となります。
Path Coding Violation(PCV)エラー イベント
D4 および E1-Cyclic Redundancy Check(CRC; 巡回冗長検査)なしフォーマットでのフレーム同期ビット エラー、または Extended Super Frame(ESF; 拡張スーパ フレーム)フォーマットおよび E1-CRC フォーマットでの CRC エラーが PCV エラー イベントとなります。
Alarm Indication Signal(AIS; アラーム表示信号)不良
D4およびESFリンクの場合、T以上の時間に1つの密度が99.9%以上のフレームなし信号を観察すると、DS1回線インターフェイスで「オール1」状態が検出されます。この場合、3ミリ秒以下のTになります。AISは、T以上の期間に対して、自身の密度またはフレーム化されていない信号基準を満たしていない信号を観測することによって終了します。
E1 リンクでは、512 ビットのストリングにゼロ ビットが 3 未満しか含まれない場合、回線インターフェイスに「オール 1」状態が検出されます。
Out Of Frame(OOF; フレーム同期外れ)不良
OOF 不良とは、フレーミング エラー イベントが特定の頻度で発生することです。
T1 リンクの場合、ESF 信号で 3 ミリ秒、D4 信号で 0.75 ミリ秒に 2 つ以上のフレーミング エラー、5 つの内 2 つ以上のエラー、または連続したフレーミング ビットが少ないことをレシーバが検出したときに OOF 不良が宣言されます。
E1 リンクの場合、フレーム アラインメント信号が 3 回連続してエラーで受信されたときに OOF 不良が宣言されます。
OOF 不良が宣言されると、フレーマは正しいフレーミング パターンの検索を開始します。信号がインフレームになると OOF は終了します。
インフレームになるのは、ESF 信号では 3 ミリ秒、D4 信号では 0.75 ミリ秒の間のフレーム ビット エラーが 2 未満であった場合です。
E1 リンクでは、インフレームになるのは次の場合です。
フレーム N のフレーム アラインメント信号が正しく、
と
フレーム N+1 のフレーム アラインメント信号がなく(つまり TS0 のビット 2 が 1 に設定され)、
と
フレーム N+2 のフレーム アラインメント信号が正しく存在する場合。
すべてのパフォーマンス パラメータは 15 分間隔で累積され、最大 96 インターバル(24 時間)分を 1 つのエージェントが保持します。エージェントが過去 24 時間以内に再起動した場合、利用できるデータは 96 インターバル分よりも少なくなります。また、各パフォーマンス パラメータの 24 時間分の合計があります。
エージェントが15分インターバルの開始とクロック時間の間に固定関係を確立する必要はありません。ただし、エージェントによっては、15分インターバルを四半期ごとに調整することがあります。
Bursty Errored Seconds(BES; バースト エラー秒数)
2 以上 320 未満の Path Coding Violation(PCV)エラー イベントがあり、重大エラー フレームがなく、着信側の AIS 不良が検出されない 1 秒間がバースト エラー秒(別名エラー秒タイプ B)です。制御スリップはこのパラメータに含まれません。
重大エラー秒数は、使用不可秒の間は加算されません。
Controlled Slip Seconds(CSS; CS 秒数)
1 つ以上の Controlled Slip を含む 1 秒間が Controlled Slip 秒です。
Degraded Minutes(DM;低下分数)
[Degraded Minute]は、推定エラーレートが1E-6を超えていても1E-3を超えない分です。
Degraded Minutesは、60秒の長いグループの結果をグループ化し、60秒の長いグループ(分)を1E-6を超えた場合に60秒の長いグループ(分)をカウントして、すべてのAvailable Secondsを収集します。
Errored Seconds(ES; エラー秒数)
ESF および E1-CRC リンクでは、次のいずれかが含まれる 1 秒間がエラー秒です。
1 つ以上のパス コーディング違反
1 つ以上のフレーム同期外れ
1 つ以上の Controlled Slip イベント
AIS 不良の検出
D4 および E1-noCRC リンクでは、極性違反の存在もエラー秒のトリガーとなります。重大エラー秒数は、使用不可秒の間は加算されません。
Line Errored Seconds(LES; 回線エラー秒数)
T1M1.3 によると、ライン コード バイオレーション エラー イベントが 1 つ以上検出された 1 秒間が回線エラー秒です。
現在、多くの実装ではゼロ文字列を検出できませんが、インターフェイスメーカーがANSIに対してこの機能を追加することが予想されます。したがって、時間内に利用可能になります。
T1M1.3 仕様では、近端の回線コード違反の数と遠端の回線エラー秒数がカウントされます。一貫性を維持するため、シスコでは両端の回線エラー秒数をカウントします。
Severely Errored Framing Second(SEFS; 重大エラー フレーム秒数)
1 つ以上の OOF 不良があった、または AIS 不良が検出された 1 秒間が重大エラー フレーム秒です。
Severely Errored Seconds(SES; 重大エラー秒数)
ESF 信号では、次のいずれかが含まれる 1 秒間が重大エラー秒です。
320 以上のパス コーディング違反エラー イベント
1 つ以上の OOF 不良
AIS 不良の検出
E1-CRC 信号では、832 以上のパス コーディング違反エラー イベントまたは 1 つ以上の OOF 不良のある 1 秒間が重大エラー秒です。
E1-noCRC 信号では、2048 以上の LCV を含む 1 秒間が重大エラー秒です。
D4 信号では、フレーミング エラー イベント、または 1 つの OOF 不良、または 1544 以上の LCV を含む 1 秒間が重大エラー秒です。
制御スリップはこのパラメータに含まれません。
重大エラー秒数は、使用不可秒の間は加算されません。
Unavailable Seconds(UAS; 使用不可秒数)
使用不可秒数は、インターフェイスが使用不可能である秒数をカウントすることで計算されます。DS1 インターフェイスは、SES が 10 秒間続く場合にその始まりから、または障害を招く状況(「障害状態」を参照してください)が始まったときから使用不可となります。 障害を引き起こす状況の直前に 1 秒以上の連続した SES が起こっていた場合、DS1 インターフェイスはその SES の最初から使用不可となります。一度使用不可になった後、障害がない場合、DS1 インターフェイスは SES の発生しなかった連続 10 秒間の最初から使用可能となります。一度使用不可になった後、障害が発生した場合、障害のクリアにかかった時間が 10 秒以内ならば、DS1 インターフェイスは SES の発生しなかった連続 10 秒間の最初から使用可能となります。障害のクリアにかかった時間が 10 秒より長い場合、DS1 インターフェイスは SES の発生しなかった連続 10 秒間の最初か、またはクリア成功状況を導く期間の最初の、どちらか後に生じた方の開始から使用可能となります。DS1 のエラー数に関しては、すべてのカウンタは DS1 インターフェイスが使用可能とみなされる期間加算されます。インターフェイスが使用不可能とみなされる期間に加算されるカウンタは UAS だけです。
上記の説明から、重大エラー秒と使用不可秒のカウンタは信号使用不可状態になった時点で調整する必要があるので、10 秒以上の間隔が統計情報ウィンドウの境界である 900 秒をまたがるという特殊なケースが発生します。該当する dsx1IntervalSES および dsx1IntervalUAS オブジェクトを連続して得た場合、ウィンドウの最初の数秒間に最初のオブジェクトを得ると、異なった値が返されます。これは、現在定義されている管理対象オブジェクトを選択することによる避けられない副作用であると考えられます。
次の障害状態が、受信または検出される報告対象の障害です。DS1 インターフェイスが障害状態を招く状況を生む場合、その状況は詳細に記述されます。
Alarm Indication Signal(AIS; アラーム表示信号)障害
アラーム表示信号障害は、入力側で AIS 不良が検出され、(オール 1 信号がフレーム化されないために起こる)Loss Of Frame(LOS; フレーム同期損失)障害が宣言された後も AIS 不良が持続する場合に宣言されます。AIS 障害は、LOF 障害がクリアされた時点でクリアされます。
遠端アラーム障害(イエロー アラーム)
遠端アラーム障害は、T1 の場合はイエロー アラームとして、また E1 の場合はディスタント アラームとしても知られています。
D4 リンクでは、遠端アラーム障害はすべてのチャネルのビット 6 が少なくとも 335 ミリ秒の間ゼロであった場合に宣言され、少なくとも 1 つのチャネルのビット 6 が、期間 T の間(T は通常 1 秒未満、長くても 5 秒未満)ゼロでなかった場合にクリアされます。D4 リンクでは、Loss of Signal(LOS; 信号消失)が検出された場合でも、遠端アラーム障害は宣言されません。
ESF リンクでは、遠端アラーム障害は連続した 10 回の 16 ビット パターンのインターバルのうち少なくとも 7 回にイエロー アラーム信号パターンが発生した場合に宣言され、連続 10 回の 16 ビット信号パターンのインターバルでイエロー アラーム信号パターンが発生しなかった場合にクリアされます。
E1 リンクでは、タイムスロット ゼロのビット 3 が 2 回連続して 1 に設定されて受信されたときに遠端アラーム障害が宣言されます。タイムスロット ゼロのビット 3 がゼロに設定されて受信されると、遠端アラーム障害はクリアされます。
遠端マルチフレーム損失障害
遠端マルチフレーム損失障害は、フレーム 0 の TS16 のビット 2 が 2 回連続して 1 に設定されて受信されたときに宣言されます。遠端マルチフレーム損失障害は、フレーム 0 の TS16 のビット 2 がゼロに設定されて受信されるとクリアされます。遠端マルチフレーム損失障害は、個別線信号方式モードで動作する E1 リンクでだけ宣言されます。
ループバック擬似障害
Loopback Pseudo-Failureは、近端機器が(あらゆる種類の)ループバックをDS1に配置した場合に宣言されます。これにより、管理エンティティは1つのオブジェクトからDS1をサービス中と見なすことができるかどうかを判断できます(近端機器の観点から)。
Loss Of Frame(LOF; フレーム同期損失)障害
T1 リンクでは、OOF 不良または LOS 不良が T 秒間(T は 2 以上、10 以下)続いた場合にフレーム同期損失障害が宣言されます。この障害は、OOF 不良または LOS 不良が T 秒間(T は 0 以上、20 以下)なかった場合にクリアされます。多くのシステムでは、この障害の宣言やクリアの前に、期間 T の間の「ヒット統合」が行われます。
E1 リンクでは、OOF 不良が検出されたときにフレーム同期損失障害が宣言されます。
マルチフレーム損失障害
マルチフレーム損失障害は、マルチフレーム アラインメント信号(フレーム 0 の TS16 のビット 4 から 7)が連続 2 回エラーで受信されたときに宣言されます。マルチフレーム損失障害は、最初の正しいマルチフレーム アラインメント信号の受信によってクリアされます。この障害が宣言されるのは、(個別線信号方式モードとも呼ばれる)フレーミングで動作する E1 リンクでだけです。
Loss Of Signal(LOS; 信号消失)障害
T1 では、正負どちらの極性のパルスもない、175 +/- 75 のパルス位置を連続して観測した時点で信号消失障害が宣言されます。LOS 障害は、パルスの受信から連続して 175 +/- 75 のパルス位置の期間で、平均 12.5 % のパルス密度が観察された場合にクリアされます。
E1 リンクでは、ゼロが連続して 11 以上検出されたときに信号消失障害が宣言されます。
TS16 アラーム表示信号障害
E1 リンクでは、連続した 2 つのマルチフレームの全フレームでタイムスロット 16 がオール 1 として受信された場合に TS16 アラーム表示信号障害が宣言されます。この状況は、T1 では宣言されません。
回線 ID
これは回線のベンダーが指定する文字列であり、トラブルシューティングの手順でベンダーとやり取りを行う際に役立ちます。