このドキュメントでは、バージョン 6.0.182.0 よりも前のバージョンのワイヤレス LAN コントローラ(WLC)でのアグレッシブ ロードバランシング機能について説明します。
次の項目に関する知識があることが推奨されます。
ワイヤレス LAN コントローラ(WLC)と Lightweight アクセス ポイント(LAP)の基本動作のための設定方法に関する知識
Lightweight アクセス ポイント プロトコル(LWAPP)に関する基礎知識
このドキュメントの情報は、次のソフトウェアとハードウェアのバージョンに基づいています。
バージョン 5.0.148.0 を実行する Cisco 4400 シリーズ ワイヤレス LAN コントローラ
Cisco Aironet 1250 シリーズ Lightweight アクセス ポイント
バージョン 3.6 を実行する Cisco Aironet 802.11a/b/g(CB21AG)ワイヤレス LAN クライアント アダプタ
このドキュメントの情報は、特定のラボ環境にあるデバイスに基づいて作成されました。このドキュメントで使用するすべてのデバイスは、初期(デフォルト)設定の状態から起動しています。対象のネットワークが実稼働中である場合には、どのようなコマンドについても、その潜在的な影響について確実に理解しておく必要があります。
ドキュメント表記の詳細は、『シスコ テクニカル ティップスの表記法』を参照してください。
WLC でアグレッシブ ロードバランシングを使用すると、LAP は、LWAPP システムの AP でワイヤレス クライアントをロードバランシングできます。
シングル コントローラの LAP でクライアントをロードバランシングする場合、この機能を使用できます。
アグレッシブ ロードバランシングは、アソシエーション フェーズで機能します。イネーブルで、ロードバランシングの条件が満たされている場合、ワイヤレスクライアントがLAPに関連付けようとすると、アソシエーション応答フレームが、ステータスコード17を含む802.11応答パケットでクライアントに送信されます。このコードは、APがビジー状態で、アソシエーションを受受できません。
理由コード17を使用して関連付け応答フレームを承認、処理、または廃棄するのはクライアントの責任です。一部のクライアントは、802.11仕様の一部であるにもかかわらず、無視します。この標準では、クライアント ドライバが、試行する最初の AP から「ビジー」メッセージを受信するまで、接続先の別の AP を検索する必要があります。多くのクライアントは、これを行わず、アソシエーション要求を再送信しません。問題のクライアントは、以降のアソシエーション試行時にワイヤレス ネットワークで許可されます。
6.0.182.0 よりも前のバージョンの WLC では、コントローラは、理由コード 17 のアソシエーション応答フレームをクライアントに送信します。クライアントは、理由コード 17 を廃棄する場合、クライアントは、同じ AP を再試行できます。この時点で、AP により、クライアントは、アソシエーションを完了できます。
クライアントがアソシエーション応答ステータス コード 17 を承認する場合、クライアントは、別の AP にアソシエートしようとします。たとえば、ロードバランシングがイネーブルにされ、ロードバランシング ウィンドウが 5 つのクライアントとして設定される場合、6 つめのクライアントが AP にアソシエートしようとすると、このクライアントは、AP がビジーであることを示すステータス コード 17 の 802.11 アソシエーション応答フレームを受信します。
アグレッシブ ロードバランシングは、ワイヤレス LAN コントローラの CLI または GUI を介して設定できます。
CLI を介してアグレッシブ ロードバランシングをイネーブルまたはディセーブルにするには、次の手順を完了します。
次のコマンドを実行します。
config load-balancing status {enable | disable}
ウィンドウ サイズを設定するには、次のコマンドを実行します。
configure load-balancing window <size>
注:ウィンドウのサイズはゼロから20までです。
GUI を介してアグレッシブ ロードバランシングを設定するには、次の手順を完了します。
コントローラ GUI から、[Controller] > [General] をクリックして、[General] ページを開きます。
[Aggressive Load-Balancing] ドロップダウン ボックスから、[Enabled] または [Disabled] のいずれかを選択して、この機能を設定します。
[Apply] をクリックします。
ウィンドウ設定は、アグレッシブ ロードバランシングがいつ起動するかを制御します。ウィンドウ設定が 5(6.0.182.0 よりも前のバージョンのデフォルト)の場合、6 つめのクライアント以降のすべてのクライアントがロードバランシングされます。
次に、アグレッシブ ロードバランシングの例を示します。
2 つの AP、AP1 および AP2 には、クライアントがそれぞれ 2 つおよび 3 つアソシエートされています。
ロードバランシングがイネーブルで、ウィンドウは 0 に設定されています。
この情報は、コントローラのデバッグから取得できます。
*May 19 13:10:33.023: 00:40:96:b4:8b:ff Load Balancing mobile 00:40:96:b4:8b:ff 802.11bg minimum users 0, window 0 *May 19 13:10:33.023: 00:40:96:b4:8b:ff Load Balancing mobile 00:40:96:b4:8b:ff on AP 00:17:df:9f:0f:e0(1) band 1 has 0 users - Good: rssi (antenna-A -31) (antenna-B -57), snr = 57 *May 19 13:10:33.023: 00:40:96:b4:8b:ff Load Balancing mobile 00:40:96:b4:8b:ff on AP 00:17:df:9e:ad:d0(1) band 1 has 2 users - Bad: rssi (antenna-A -37) (antenna-B -64), snr = 38 *May 19 13:10:33.023: 00:40:96:b4:8b:ff Load Balancing mobile 00:40:96:b4:8b:ff could not find acceptable 802.11a candidate -- defaulting all *May 19 13:10:33.023: 00:40:96:b4:8b:ff Load Balancing mobile 00:40:96:b4:8b:ff is denied association with AP 00:17:df:9e:ad:d0(1) (count=1)
特定のクライアント MAC アドレスでデバッグすると、次のように表示されます。
*May 19 13:14:13.432: 00:40:96:b4:8b:ff Sending Assoc Response to station on BSSID 00:17:df:9f:0f:e0 (status 17)
クライアントがステータス コード 17 を承認せず、同じ AP を再試行すると、次のように表示されます。
*May 19 13:14:14.042: 00:40:96:b4:8b:ff Load Balancing mobile 00:40:96:b4:8b:ff is permitted to associate with AP 00:17:df:9f:0f:e0(1) ( on RETRY count=1)
ロードバランシング設定を確認するには、次のコマンドを実行します。
(Cisco Controller) >show load-balancing Aggressive Load Balancing........................ Disabled Aggressive Load Balancing Window................. 10 clients
注:コントローラでCisco 7921および7920ワイヤレスIP電話を使用する場合は、各コントローラでアグレッシブロードバランシングが無効になっていることを確認してください。ディセーブルにされていない場合、電話による初期ローミングが失敗し、オーディオ パスが中断されることがあります。
次に、いくつかの注意事項を示します。
すでに認証およびアソシエートされているクライアントは、アグレッシブ ロードバランシングの結果として、システムから削除されることはありません。ロードバランシングは、アソシエーション フェーズのみで発生します。
この機能は、コントローラごとに実装されます。つまり、アグレッシブ ロードバランシングが必要な場合、同じ地理的領域の AP はすべて同じ WLC に論理的に接続する必要があります。
次の場合、ロードバランシングは行われません。
しきい値ロードバランシング ウィンドウを超えている場合。つまり、クライアントに要求された AP が有効な候補 AP である場合です(現在のユーザ数 <= ウィンドウ + 最小ユーザ数)。
クライアントが再アソシエーション要求を、アソシエートされている AP に送信する場合。