Cisco Wide Area Application Services
マニュアルの入手方法、テクニカル サポート、およびセキュリティ ガイドライン
Software Version 4.0.7
改訂: February 2007, OL-12062-01-J
本書では Web Cache Communication Protocol(WCCP)を使用し、次の 3 つの Wide Area Application Services(WAAS)デバイスで構築される WAAS ネットワークの基本的な設定方法について説明します。
• Core Wide Area Application Engine(WAE)
本書の例では、WAAS ネットワークの基本的な設定を完了したあとで WAAS アプリケーション加速機能が適切に動作していることを確認する方法についても説明します。
(注) 設定する WAE デバイスの 1 つが Cisco アクセス ルータにインストールされた拡張ネットワーク モジュール(NME-WAE)の場合は、本書で説明する WAAS CLI を使用するのではなく、アクセス ルータの CLI を使用して基本的なネットワーク設定を構成する必要があります。詳細については、『Configuring Cisco WAAS Network Modules for Cisco Access Routers』を参照してください。
本書では、ネットワークに存在する WAAS Central Manager と WAE を総称する用語として「WAAS デバイス」を使用します。本書に現れる CLI コマンドの詳細なコマンド構文情報については、『 Cisco Wide Area Application Services Command Reference 』を参照してください。
• 「関連資料」
自動登録は、自動的にネットワーク設定を構成し、WAAS Central Manager に WAE を登録します。起動時、WAAS ソフトウェアを実行するデバイス(WAAS Central Manager を除く)は、自動的に WAAS Central Manager を検出し、登録します。手動でデバイスの設定を行う必要はありません。WAE が登録されたら、デバイスを承認し、WAAS Central Manager GUI を使用してリモートでデバイスを構成する必要があります。
本書に示す構成例では、自動登録機能は WAE で意図的に無効になっているので、設定ユーティリティを使用してデバイスの初期設定を実行します。WAE の初期設定を完了したら、WAAS CLI を使用して、明示的に WAE を特定の WAAS Central Manager に登録するように設定します。
自動登録機能の詳細については、『 Cisco Wide Area Application Services Configuration Guide 』を参照してください。
この項では、WAAS ネットワークの基本的な設定の概要を説明します。具体的な内容は、次のとおりです。
図1 に示した WAAS ネットワーク構成例には 1 つの WAAS Central Manager デバイスと、その WAAS Central Manager デバイスを介して集中管理される 2 つの WAE が存在します。
(注) Cisco WAE Inline Network Adapterがインストールされた WAE でインライン モードを使用している場合は、WCCP をイネーブルにしないでください。その場合には、ルータとクライアント(またはファイル サーバ)の間のトラフィック パスに WAE を直接配置してください。WAE は、Cisco WAE Inline Network Adapterのインターフェイスを介してトラフィックを直接代行受信するので、リダイレクションは必要ありません。
インライン WAE デバイスを取り付ける場合は、Cisco.com で提供されている『Installing the Cisco WAE Inline Network Adapter』の「Cabling」の項にあるケーブル接続要件に従ってください。
WAAS Central Manager は専用アプライアンスで稼働させる必要があります。WAAS Central Manager は、WAAS Central Manager デバイスがデータセンターの Web ファイルおよびアプリケーション サーバと同じ物理位置になるように、データセンターに配置された専用アプライアンスにインストールする必要があります。
(注) WAAS Central Manager を WAE ネットワーク モジュール(NME-WAE)デバイスにインストールすることはできません。
Edge WAE は、Edge WAE からローカル サービス(印刷 サービスなど)を要求するクライアントと同じ支社にインストールする必要があります。
次の手順は WAAS ネットワークの基本的な設定を行うために必要な作業の要約です。
1. セットアップ ユーティリティと WAAS CLI を使用して各 WAE の基本的なネットワーク設定を構成し、プライマリ インターフェイスとデバイス モードを定義します。最初は WAAS Central Manager です。「WAAS Central Manager の設定」から開始します。
組み込みインターフェイスが WAAS Central Manager との通信をサポートしているので、Cisco WAE Inline Network Adapterがインストールされた WAE でインライン モードを使用している場合でも、このステップは必要です。Cisco WAE Inline Network Adapterのインターフェイスは自動的に設定されるので、初期設定時に手動で設定する必要はありません。
2. (任意)「WCCP の設定」の説明に従い、WCCP バージョン 2 を代行受信方式に設定し、TCP 無差別モードを有効にします。Cisco WAE Inline Network Adapterがインストールされた WAE でインライン モードを使用している場合、このステップは不要です。
3. WAE を起動し、WAAS Central Manager GUI を使用して定義済みのアプリケーション定義を有効にします。「WAE の起動およびアプリケーション加速ポリシーの有効化」 を参照してください。
4. WAAS アプリケーション加速が HTTP に対して適切に動作していることを確認します。「アプリケーション加速の確認」を参照してください。
5. 定義済みの superuser アカウントのパスワードを変更します。「管理者パスワードの変更」を参照してください。
本書で示される CLI コマンドの詳細なコマンド構文情報については、『 Cisco Wide Area Application Services Command Reference 』を参照してください。
1 台の WAAS Central Manager および 2 台の WAE で構成される WAAS ネットワークの基本的な設定を行うには、次に示された順序で手順を実行します。
• 「WAE の起動およびアプリケーション加速ポリシーの有効化」
WAAS Central Manager デバイスをインストールして設定するには、次の手順に従ってください。
ステップ 1 データセンターでは、WAAS Central Manager デバイスとして設定する最初の WAAS デバイスを開梱し、接続します。WAE を接続するポートを全二重に設定する必要があります。ハードウェアの設置手順については、WAAS デバイスのハードウェア インストレーション ガイドを参照してください。
ステップ 2 データセンターの最初の WAAS デバイスの電源を投入してコンソール接続を開き、WAE の基本的なデバイス ネットワーク設定( 表1 を参照)を行います。
(注) PC をコンソールとして使用して WAAS デバイスに接続する場合、PC に端末エミュレーション ソフトウェアをインストールしておく必要があります。端末エミュレーション ソフトウェアではパラメータを 9600 ボード、8 データ ビット、パリティ ビットなし、1 ストップビットに設定する必要があります。
WAE 上のこれらの基本的なデバイス ネットワーク設定の初期設定では、Telnet セッションでなく、コンソール接続を使用する必要があります。コンソール接続を使用してデバイス ネットワーク設定を定義したあと、以後の CLI セッションには Telnet セッションを使用できます。デフォルトでは、Telnet サービスは、WAAS デバイスで有効になっています。
ステップ 3 WAAS デバイスを起動すると、初回設定ユーティリティを起動し、基本設定を入力するためのプロンプトが表示されます。初回設定ユーティリティを使用して、WAE 用の基本的なデバイス ネットワーク設定をセットアップします。プロンプトに応えて y を入力します。
設定プロンプトでは WAE 起動シーケンスに進む前に、数秒間の待機があります。
(注) 基本的な設定を入力するためこのときに y を入力しない場合は、ターミナル コンソールから WAAS デバイスにログインした後、setup EXEC CLI コマンドを実行して手動でセットアップユーティリティを呼び出す必要があります。
ステップ 4 セットアップ ユーティリティの指示に従い必要な情報を入力します。たとえば、WAAS デバイスで設定するインターフェイスの番号を入力します。
使用しているネットワークで Dynamic Host Control Protocol (DHCP)が有効になっている場合、 y と答えて WAAS デバイス インターフェイスの DHCP を有効にします。ネットワークで DHCP が有効になっていない場合は、 n を入力します。デフォルトは No です。
ステップ 5 セットアップ ユーティリティに表示される質問に最後まで答え、WAAS デバイスの基本的なネットワーク設定を完了させます。
終了すると、入力した情報の要約が表示されます。将来の参照用に IP アドレスを記録します。WAAS Central Manager デバイスの IP アドレスは、あとで「WAE の起動およびアプリケーション加速ポリシーの有効化」で使用する WAAS Central Manager GUI の起動に必要です。
ステップ 6 プロンプトに応えて変更を確定します。変更を確定すると、デバイスはネットワークで認識され、ping を実行できます。
ステップ 7 WAAS Central Manager に指定したデバイスの基本的なネットワーク パラメータを指定したあと、プライマリ インターフェイスを割り当て、デバイス モードを central-manager に指定し、設定を保存したあと、システムをリロードして新しい設定を有効にします。
システムがリブートし、設定したばかりの WAAS Central Manager の設定が waas-cm という WAAS デバイスにロードされます。これでこのデバイスが WAAS Central Manager に指定されました。
ステップ 8 プロンプトに応えて管理者ユーザ名とパスワードを入力し、 Enter を押します。
ステップ 9 このデバイスがプライマリ WAAS Central Manager として機能するように指定します。
ステップ 10 管理データベースを作成して初期化し、この WAAS Central Manager 上の管理サービスを有効にします。
ステップ 11 この WAAS Central Manger に設定を保存します。
これで WAAS Central Manager の初期設定は完了しました。次に、他の 2 つの WAAS デバイス(Core WAE および Edge WAE)の初期設定を行い、この WAAS Central Manager に登録します。詳細については、次の 2 つの項を参照してください。
WAAS Core WAE デバイスをインストールして設定し、WAAS Central Manager に登録するには、次の手順に従ってください。
ステップ 1 データセンターで WAAS ネットワーク上の Core WAE として設定する 2 番めの WAAS デバイスを開梱して接続します。WAE を接続するポートを全二重に設定する必要があります。ハードウェアの設置手順については、WAE のハードウェア インストレーション ガイドを参照してください。
ステップ 2 Core WAE に指定した WAE の電源を投入し、コンソール接続を開きます。
ステップ 3 WAAS デバイスを起動すると、初回設定ユーティリティを起動し、基本設定を入力するためのプロンプトが表示されます。初回設定ユーティリティを使用して、デバイスの基本的なネットワーク パラメータをセットアップします。プロンプトに応えて y を入力します。
設定プロンプトは数秒後、WAAS デバイスの起動シーケンスに進みます。
(注) 基本的な設定を入力するために y を入力しない場合は、ターミナル コンソールから WAAS デバイスにログインしたあと、setup EXEC CLI コマンドを実行して手動でセットアップユーティリティを呼び出す必要があります。ユーザ名は admin、パスワードは default です。
ステップ 4 セットアップ ユーティリティの指示に従い必要な情報を入力します( 表1 を参照)。
ステップ 5 設定ユーティリティに表示される質問に最後まで答え、Core WAE デバイスの基本的なネットワーク設定を完了させます。
ステップ 6 終了すると、入力した情報の要約が表示されます。プロンプトに応えて変更を確定します。変更を確定すると、デバイスはネットワークで認識され、ping を実行できます。
ステップ 7 Core WAE に指定した WAE(Core-WAE1)の基本的なネットワーク パラメータを指定したあと、このデバイスのプライマリ インターフェイスを割り当て、デバイス モードとして application-accelerator を指定します。
ステップ 8 Core WAE1 を登録する WAAS Central Manager の IP アドレスまたはホスト名を指定します。たとえば、「WAAS Central Manager の設定」で設定した WAAS Central Manager の IP アドレスを指定します。
(注) 使用環境で DNS がサポートされている場合、central-manager address コマンドを使用して WAE を WAAS Central Manager に登録するときに WAAS Central Manager の IP アドレスではなく完全修飾ホスト名(例: waas-cm.abc.com)を指定することを推奨します。ホスト名を使用すると、将来 WAAS Central Manager の IP アドレスを変更でき、すべての WAE の登録解除、再登録の必要がありません。WAE の DNS テーブル内の WAAS Central Manager の IP アドレスを変更するだけで、同じ WAAS Central Manager への登録はそのままにできます。
ステップ 9 管理データベースを作成して初期化し、Core WAE1 上の管理サービスを有効にします。
ステップ 11 Core-WAE1 で現在動作している WAAS 設定を確認します。
これで Core WAE の初期設定は完了しました。次に、Edge WAE に指定した WAE を初期設定して WAAS Central Manger デバイスに登録します。詳細については、次の項を参照してください。
WAAS Edge WAE デバイスをインストールして設定し、WAAS Central Managerに登録するには、次の手順に従ってください。
ステップ 1 支社で WAAS ネットワーク上の Edge WAE として設定する 3 番めの WAAS デバイスを開梱して接続します。WAE を接続するポートを全二重に設定する必要があります。ハードウェアの設置手順については、WAE のハードウェア インストレーション ガイドを参照してください。
ステップ 2 支社で Edge WAE に指定した WAE の電源を投入し、コンソール接続を開きます。
ステップ 3 WAAS デバイスを起動すると、初回設定ユーティリティを起動し、基本設定を入力するためのプロンプトが表示されます。初回設定ユーティリティを使用して、WAE の基本的なネットワーク パラメータをセットアップします。プロンプトに応えて y を入力します。
設定プロンプトは数秒後、WAAS デバイスの起動シーケンスに進みます。
(注) 基本的な設定を入力するために y を入力しない場合は、ターミナル コンソールから WAAS デバイスにログインした後、setup EXEC CLI コマンドを実行して手動でセットアップユーティリティを呼び出す必要があります。ユーザ名は admin、パスワードは default です。
ステップ 4 セットアップ ユーティリティの指示に従い必要な情報を入力します( 表1 を参照)。
ステップ 5 セットアップ ウィザードに表示される質問に最後まで答え、Edge WAE デバイスの基本的なネットワーク設定を完了させます。
ステップ 6 終了すると、入力した情報の要約が表示されます。プロンプトに応えて変更を確定します。変更を確定すると、デバイスはネットワークで認識され、ping を実行できます。
ステップ 7 Edge WAE に指定した WAE(Edge-WAE1)の基本的なネットワーク パラメータを指定したあと、デバイスのプライマリ インターフェイスを割り当て、デバイス モードとして application-accelerator を指定します。
ステップ 8 Edge WAE1 を登録する WAAS Central Manager の IP アドレスまたはホスト名を指定します。たとえば、「WAAS Central Manager の設定」で設定した WAAS Central Manager の IP アドレスを指定します。
(注) 使用環境で DNS がサポートされている場合、central-manager address コマンドを使用して WAE を WAAS Central Manager に登録するときに WAAS Central Manager の IP アドレスではなく完全修飾ホスト名(例: waas-cm.abc.com)を指定することを推奨します。ホスト名を使用すると、将来 WAAS Central Manager の IP アドレスを変更でき、すべての WAE の登録解除、再登録の必要がありません。WAE の DNS テーブル内の WAAS Central Manager の IP アドレスを変更するだけで、同じ WAAS Central Manager への登録はそのままにできます。
ステップ 9 管理データベースを作成して初期化し、Edge-WAE1 上の管理サービスを有効にします。
ステップ 11 Edge-WAE1 の現在動作している設定を確認します。
これで Edge WAE の初期設定は完了しました。次に WCCP の設定を行います。詳細については、次の項を参照してください。
(注) Cisco WAE Inline Network Adapterがインストールされた WAE でインライン モードを使用している場合は、WCCP を設定しないでください。設定するとインライン モードの動作が妨げられます。インライン モードではトラフィックを直接代行受信するので、リダイレクションは不要です。
WCCP は、クライアント要求を処理するために、WAE への透過的なリダイレクション方法を提供します。基本 WCCP を設定するには、ネットワーク内の少なくとも 1 台のルータと WAE で WCCP サービスを有効にする必要があります。WAE を起動し稼働させるために、使用可能な WCCP 機能またはサービスをすべて設定する必要はありません。この設定例では、WAAS ネットワークに Core WAE と Edge WAE があるため、次のように 4 台のデバイスで WCCP バージョン 2 を設定する必要があります。
(注) WCCP バージョン 1 は Web トラフィック(ポート 80)のみをサポートしているため、これらのデバイスが WCCP バージョン 1 の代わりに WCCP バージョン 2 を使用するように設定する必要があります。WCCP 設定の詳細については、『Cisco Wide Area Application Services Configuration Guide』を参照してください。
データセンターのルータ(Core-Router1)で基本的な WCCP 設定を行うには、次の手順に従ってください。
ステップ 1 Core-Router1 にログオンして、グローバル コンフィギュレーション モードに入ります。
ステップ 2 Core-Router1 で WCCP バージョン 2 および WCCP サービス 61 と 62 (TCP 無差別モード)を有効にします。
ステップ 3 Core-Router1 で、リダイレクション用の LAN インターフェイスを設定します。このインターフェイスでは、トラフィックがデータセンター ネットワークから WAN に発信されたときに代行受信されます。
ステップ 4 fa1/0.40 の着信方向で WCCP サービス 61 を有効にします。
ステップ 5 リダイレクション用の WAN インターフェイスを設定します。このインターフェイスでは、トラフィックが WAN からデータセンター ネットワークに着信したときに代行受信されます。
ステップ 6 serial0 の着信方向で WCCP サービス 62 を有効にします。
ステップ 7 リダイレクション ループを回避するため、Core-WAE1 が Core-Router1 に接続するサブインターフェイスを設定します。ルーティング ループを回避するため、リダイレクションを実行する Core-Router1 のインターフェイスと同じセグメント(サブネット)に Core-WAE1 を接続してはいけません。Core-WAE1 が接続する第 3 のインターフェイス(分離された物理インターフェイス)またはルータの LAN ポートにないサブインターフェイスがあることを確認します。次の例では、サブインターフェイスが使用されています。
ステップ 8 サブインターフェイスを作成したあと、 ip wccp redirect exclude in コマンドを入力して、Core-Router1 がローカル WAE (Core-WAE1)へ同じトラフィックを繰り返しリダイレクトしないように指定します。
ステップ 10 Core-Router1 で Cisco エクスプレス転送(CEF)を有効にします。
(注) CEF は必須ではありませんが、性能を向上させるために推奨します。ルータで CEF が有効になっている場合、WCCP は IP CEF を使用できます。
ステップ 11 実行コンフィギュレーションを不揮発性メモリに書き込み、行った設定変更を保存します。
ステップ 12 Core-Router1 の新しい設定を確認します。
これで コア ルータ上の WCCP の設定は完了しました。次に Core WAE 上で WCCP の設定を行います。詳細については、次の項を参照してください。
データセンターの Core WAE (Core-WAE1)で基本的な WCCP 設定を行うには、次の手順に従ってください。
ステップ 1 Core-WAE1 にログオンしてグローバル コンフィギュレーション モードを開始します。
ステップ 2 Core-WAE1 で WCCP バージョン 2 を有効にします。
ステップ 3 TCP 無差別モード サービス(WCCP サービス 61 および 62)用の WCCP ルータ リストを設定します。次の例は、IP アドレスが 2.2.2.1 の Core-Router1 のルータ リスト 1 の設定を示します。
(注) WAE 上でルータ リストを作成するには、wccp router-list グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。WAE の特定の WCCP サービス(たとえば TCP 無差別モード サービス)をサポートするすべての WCCP 対応ルータの IP アドレスを入力します。WCCP サービスごとに異なるルータを使用する場合は、複数のルータ リストを作成する必要があります。1 つの router list コマンドで最大 6 つのルータを指定することができます。同じリストで複数の router-list コマンドを使用して最大 32 のルータを指定できます。ルータ リストには IP アドレスを少なくとも 1 つ入れる必要があります。
ステップ 4 Core-WAE1 で TCP 無差別モード サービスをオンにして、この WCCP サービスを作成したばかりの WCCP ルータ リスト(ルータ リスト番号 1)と関連付けます。リスト内のルータに、Core-WAE1 が TCP 無差別モード サービス要求を受け入れることが通知されます。
ステップ 5 グローバル コンフィギュレーション モードを終了します。
ステップ 6 実行コンフィギュレーションを不揮発性メモリに書き込み、行った設定変更を保存します。
ステップ 7 Core-WAE1 の新しい設定を確認します。
これで Core WAE 上の WCCP の設定は完了しました。次に ブランチ ルータ上で WCCP の設定を行います。詳細については、次の項を参照してください。
支社のルータ(Edge-Router1)で基本的な WCCP 設定を行うには、次の手順に従ってください。
ステップ 1 Edge-Router1 にログオンして、グローバル コンフィギュレーション モードに入ります。
ステップ 2 Edge-Router1 で WCCP バージョン 2 および WCCP サービス 61 と 62 (TCP 無差別モード)を有効にします。
ステップ 3 Edge-Router1 で、リダイレクション用の LAN インターフェイスを設定します。このインターフェイスでは、トラフィックが支社ネットワークから WAN に発信されたときに代行受信されます。
ステップ 4 fa0/0.10 の着信方向で WCCP サービス 61 を有効にします。
ステップ 5 リダイレクション用の WAN インターフェイスを設定します。このインターフェイスでは、トラフィックが WAN から支社ネットワークに着信したときに代行受信されます。
ステップ 6 serial0 の着信方向で WCCP サービス 62 を有効にします。
ステップ 7 リダイレクション ループを回避するため、Edge-WAE1 が Edge-Router1 に接続するサブインターフェイスを設定します。ルーティング ループを回避するため、リダイレクションを実行する Edge-Router1 のインターフェイスと同じセグメントに Edge-WAE1 を接続してはいけません。Edge-WAE1 が接続する第 3 のインターフェイスまたはルータの LAN ポートにないサブインターフェイスがあることを確認します。次の例では、サブインターフェイスが使用されています。
ステップ 8 サブインターフェイスを作成したあと、 ip wccp redirect exclude in コマンドを入力して、Edge-Router1 がローカル WAE (Edge-WAE1)に同じトラフィックを繰り返しリダイレクトしないように指定します。
ステップ 10 Edge-Router1上の CEF を有効にします。
(注) CEF は必須ではありませんが、性能を向上させるために推奨します。ルータで CEF が有効になっている場合、WCCP は IP CEF を使用できます。
ステップ 11 実行コンフィギュレーションを不揮発性メモリに書き込み、行った設定変更を保存します。
ステップ 12 Edge-Router1 の新しい設定を確認します。
これで ブランチ ルータ上の WCCP の設定は完了しました。次に Edge WAE 上で WCCP の設定を行います。詳細については、次の項を参照してください。
支社の Edge WAE (Edge-WAE1)で基本的な WCCP 設定を行うには、次の手順に従ってください。
ステップ 1 Edge-WAE1 にログオンして、グローバル コンフィギュレーション モードに入ります。
ステップ 2 Edge-WAE1 で WCCP バージョン 2 を有効にします。
ステップ 3 TCP 無差別モード サービス(WCCP サービス 61 および 62)用の WCCP ルータ リストを設定します。次の例は、IP アドレスが 1.1.1.1 の Edge-Router1 のルータ リスト 1 の作成を示します。
ステップ 4 Edge-WAE1 で TCP 無差別モード サービスをオンにして、この WCCP サービスを作成したばかりの WCCP ルータ リスト(ルータ リスト番号 1)と関連付けます。リスト内のルータに、Edge-WAE1 が TCP 無差別モード サービス要求を受け入れることが通知されます。
ステップ 5 グローバル コンフィギュレーション モードを終了します。
ステップ 6 実行コンフィギュレーションを不揮発性メモリに書き込み、行った設定変更を保存します。
ステップ 7 Edge-WAE1 の新しい設定を確認します。
これで Edge WAE 上の WCCP の設定は完了しました。次に、WAE を起動してアプリケーション加速ポリシーを有効にします。詳細については、次の項を参照してください。
WAAS Central Manager として指定した WAE を展開したあと、WAAS Central Manger GUI を使用して WAAS ネットワークの基本的な設定を行うことができます。WAAS Central Manager の GUI を使用して、WAAS ネットワークの地理的に分散した WAE を中央で管理し、監視することもできます。
WAAS Central Manager の GUI にアクセスして WAAS ネットワークの初期設定を行うには、次の手順に従ってください。
ステップ 1 WAAS Central Manager GUI にログインします。
https:// IP_address_of_WAAS Central_Manager :8443
https:// hostname_of_WAAS_Central_Manager :8443
(注) WAAS Central Manager の GUI にアクセスするときは、データが安全に WAAS Central Manager から Web ブラウザに送信されるように HTTP ではなく HTTPS を使用してください。
b. [Security Alert] ウィンドウが表示されたら、 [Yes] をクリックしてセキュリティ証明書を承諾します。
c. [Login] ウィンドウが表示されたら、定義済み superuser アカウントのデフォルトのユーザ名(admin)とデフォルトのパスワード(default)を入力し、 Login ボタンをクリックします。
ブラウザに WAAS Central Manager GUI の [System Home] ウィンドウが表示され、この Central Manager の現在の設定に含まれる WAE の数が示されます。この例の現在の設定には 3 台のデバイス(Central Manager、Core WAE [Core-WAE1] および Edge WAE [Edge-WAE1]) があります。
ステップ 2 Core WAE および Edge WAE を起動します。
(注) セキュリティ上、WAAS ネットワークに追加するすべての WAE を承認する必要があります。セキュリティ機能が未承認のデバイスによる WAAS ネットワークへの参加を防止します。
a. WAAS Central Manager GUI で [Devices] > [Devices] を選択します。
WAAS Central Manager ウィンドウに次の 3 つの WAAS デバイスが表示されます。
–データセンターの WAAS Central Manager(waas-cm)。現在オンラインになっている唯一の WAAS デバイスです。WAAS Central Manager ウィンドウに、このデバイスがこの WAAS ネットワークのプライマリ WAAS Central Manager として機能していることが示されます。
–データセンターの Core WAE(Core-WAE1)。WAAS Central Manager は認識していますが、現在非アクティブです。
–支社の Edge WAE(Edge-WAE1)。WAAS Central Manager は認識していますが、現在非アクティブです。
(注) WAAS Central Manager ウィンドウに非アクティブの WAE が表示されていない場合は、タスクバーの [View All Devices] アイコンをクリックします。これにより、WAAS Central Manager ウィンドウは更新され、非アクティブの WAE が表示されます。
b. タスクバーの [Activate all inactive WAEs] アイコンをクリックして、2 つの非アクティブな WAE(Core-WAE1 と Edge-WAE1)を起動します。
[Activate All Inactive WAE] ウィンドウが表示されます。デフォルトでは [Create a new location for each inactive WAE] オプションが選択されているので、非アクティブの WAE 用のデフォルト位置が作成され、非アクティブな WAE はデフォルト位置に割り当てられます。初期設定中に位置を作成できます。またデフォルト位置を使用して初期設定を行い、あとでデフォルト位置を変更することもできます。この設定例では、デフォルト位置を使用して WAAS ネットワークの初期設定を行います。位置の作成と変更方法については、『 Cisco Wide Area Application Services Configuration Guide 』を参照してください。
Core-WAE1 および Edge-WAE1 の現在の状態は inactive から pending に変わっています。
ステップ 3 Edge-WAE1 で定義済みアプリケーション ポリシーと分類を有効にします。
a. Edge-WAE1 の横にある [Edit] アイコンをクリックします。この Edge WAE の [Device Home] ウィンドウが表示されます。このデバイスでは現在ポリシーまたはアプリケーションが何も有効になっていないことが示されます。
b. タスクバーの [Restore default Application policy settings] アイコンをクリックします。
c. デフォルトのアプリケーション ポリシー設定を復元するかどうかを確認するダイアログボックスが表示されたら、 [Yes] をクリックします。
d. 変更を保存するには、 [Submit] をクリックします。
e. Edge-WAE1 に現在適用されているアプリケーション ポリシー設定を表示するには、[Contents] ペインから、 [Acceleration] > [Policies] を選択します。
f. Edge-WAE1 に現在適用されているアプリケーション分類子を表示するには、[Contents] ペインから、 [Acceleration] > [Classifiers] を選択します。
これで WAAS ネットワークの初期設定は完了しました。次に、アプリケーション加速が正しく動作していることを確認します。詳細については、次の項を参照してください。
WAAS ソフトウェアには、WAE が最も一般的なアプリケーション トラフィックを分類し、最適化できる 一連の定義済みアプリケーション ポリシーが付属しています。このデフォルトのアプリケーション ポリシーは既知のポート番号を使用するアプリケーション用です。定義済みのアプリケーション定義ポリシーの一覧については、『 Cisco Wide Area Application Services Configuration Guide 』を参照してください。
WAAS Central Manager GUI を使用すると、これらの定義済みアプリケーション ポリシーを変更して新しいポリシーを作成し、WAAS ネットワーク内の 1 つまたは複数のデバイスに一元配布できます。WAAS CLI から定義済みのアプリケーション ポリシーを変更したり新しいポリシーを作成することもできます。ただし、このタスクの複雑さを大幅に低減させ、一貫性レベルを高めるために、WAAS Central Manager GUI を使用してこのタスクを行うことを強く推奨します(CLI コマンド構文については、『 Cisco Wide Area Application Services Command Reference 』を参照)。
WAAS アプリケーション加速が定義済みアプリケーションの 1 つに対して適切に動作していることを確認します。アプリケーション加速が HTTP アプリケーションに対して適切に動作していることを確認するには、次の手順に従います。
ステップ 1 Use リモート デスクトップまたは同様のアプリケーションを使用して、支社のクライアント デスクトップ(クライアントA)にアクセスします。
ステップ 2 クライアント A のブラウザから、データセンターに配置されたサーバ(サーバA)に存在する Web ページの URL を入力します。Web ページにはそのページからダウンロード可能な大型ファイル(Microsoft Word または Powerpoint ファイルなど)へのリンクがなければなりません。
(注) HTTP に対してアプリケーション加速が適切に動作していることの確認が目的であるので、Web ページのアクセスには HTTPS ではなく HTTP を使用してください。
クライアント A のブラウザに要求された Web ページが表示されます。
ステップ 3 Web ページ中でファイルをダウンロードするリンクの 1 つをクリックします。
クライアント A のデスクトップへのファイル ダウンロードのリンクをクリックすると、この要求がアクティブな転送を呼び出します。これにより、アクティブな転送を呼び出す HTTP 要求に対してこのクライアントとサーバ間でアプリケーション加速が動作しているかどうかを確認できます。
ステップ 4 このファイルを開くまたは保存するかどうかのプロンプトに応えて、 [Save] をクリックし、クライアント A デスクトップ上のこのファイルの保存位置を指定します(たとえばローカル ディスク ドライブのフォルダに保存)。ダイアログボックスに指定されたファイルをデスクトップにダウンロードし保存中であることが示されます。
ステップ 5 ダウンロードが完了すると、指定位置へのファイルのダウンロードが完了したことがダイアログボックスに表示され、ダウンロードの転送速度も示されます。ダイアログボックスにダウンロードしたファイルを開くかどうかを尋ねるプロンプトが表示されたら、 [Close] をクリックしてダイアログボックスを閉じます。
ステップ 6 同じ Web ページで同じダウンロード リンクをクリックして、クライアント A のデスクトップに同じファイルをダウンロードします。
この 2 回めのファイル ダウンロードは時間が短く、転送速度も速くなります。同じファイルを同じデスクトップに 2 回めにダウンロードしたときの所要時間の大幅な減少は、WAAS アプリケーション加速機能が HTTP(クライアント A とサーバ A 間で HTTP を使用するアクティブな転送要求)に対して適切に動作していることを示します。
(注) show statistics tfo savings および show statistics dre EXEC コマンドのような CLI コマンドを使用して、WAE がデータを代行受信、最適化および圧縮していることを確認することもできます。これらのコマンドは application-acceleration デバイス モードのみでサポートされています。また、これらのコマンドは WAE 上の CLI セッションから実行する必要があります。これらの CLI コマンドの詳細については、『Cisco Wide Area Application Services Command Reference』を参照してください。
WAAS デバイスを初期設定したあとで、各 WAAS デバイスで定義済みの superuser アカウント用のパスワードをただちに変更することを強く推奨します(定義済みのユーザ名は admin、パスワードは default、特権レベルは superuser、特権レベル 15 です)。
WAAS Central Manager でこの superuser アカウント用の定義済みのパスワードが変更されていない場合は、この superuser アカウントを使用して WAAS Central Manager GUI にログインするたびに、次のダイアログボックスが表示されます(図2 を参照)。
図2 superuser アカウント用の定義済みのパスワードを変更する必要があることを示すメッセージ
この superuser アカウント用の定義済みのパスワードが変更されていない場合、この superuser アカウントを使用して WAAS デバイスの WAAS CLI にログインするたびに、コンソールに次のメッセージも表示されます。
Central Manager に登録されているすべての WAE デバイスの superuser アカウント用パスワードを変更するには、次の手順に従ってください。
ステップ 1 まだログインしていない場合は、admin アカウントを使用して WAAS Central Manager GUI にログインします。
ステップ 2 WAAS Central Manager GUI から、 [System] > [Password] を選択します。
[Changing Password for User Account] ウィンドウが表示されます。
ステップ 3 [New Password] フィールドに、新しいパスワードを入力します。パスワードは、大文字と小文字を区別します。
ステップ 4 [Confirm New Password] フィールドに、確認のためにパスワードを再入力します。
パスワードが変更されたことを確認する「Changes Submitted メッセージ」が、ウィンドウの一番下に表示されます。このパスワード変更は登録されているすべての WAE で実施されます。
WAAS ネットワーク内の WAE 同士のクロック同期は重要です。各 WAE で、Network Time Protocol(NTP)サーバをセットアップし、クロックの同期を維持します。NTP サーバのセットアップについては、『 Cisco Wide Area Application Services Configuration Guide 』の「Configuring Other System Settings」の章を参照してください。
クロックを手動で設定するには、各 WAE で clock EXEC CLI コマンドを使用します。詳細については、『 Cisco Wide Area Application Services Command Reference 』を参照してください。
WAAS ネットワークでアプリケーション加速の初期設定を行ったあと、他の WAAS 管理タスクを実行できます。詳細については、『 Cisco Wide Area Application Services Configuration Guide 』を参照してください。
Cisco WAAS ソフトウェアの詳細については、次のマニュアルを参照してください。
• 『 Release Note for Cisco Wide Area Application Services 』
• 『 Cisco Wide Area Application Services Command Reference 』
• 『 Cisco Wide Area Application Services クイック コンフィギュレーション 』 (本書)
• 『 Cisco Wide Area Application Services Configuration Guide 』
• 『 Configuring Cisco WAAS Network Modules for Cisco Access Routers 』
• 『 Regulatory Compliance and Safety Information for the Cisco Content Networking Product Series 』
• 『 Cisco Wide Area Application Engine 511 and 611 Hardware Installation Guide 』
• 『 Cisco Wide Area Application Engine 512 and 612 Hardware Installation Guide 』
• 『 Cisco Wide Area Application Engine 7326 Hardware Installation Guide 』
• 『 Cisco Network Modules Hardware Installation Guide 』
マニュアルの入手方法、テクニカル サポート、マニュアルのフィードバック、セキュリティ ガイドライン、および推奨するエイリアスと一般的なシスコのマニュアルについては、次の URL で、毎月発行される『 What's New in Cisco Product Documentation 』を参照してください。シスコの新規または改訂版の技術マニュアルの一覧が示されています。
http://www.cisco.com/en/US/docs/general/whatsnew/whatsnew.html
Japan TAC Web サイトでは、利用頻度の高い TAC Web サイト( http://www.cisco.com/tac )のドキュメントを日本語で提供しています。Japan TAC Web サイトには、次の URL からアクセスしてください。
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