Cisco CRS-1 シリーズ キャリア ルーティング システム 16 スロット ラインカード シャーシ ハードウェア オペレーション/トラブルシューティング ガイド
ルート プロセッサおよび分散ルート プロセッサ カードの取り付けの確認
ルート プロセッサと分散ルート プロセッサのトラブルシューティング
クリティカル、メジャー、およびマイナー アラーム ステータスのモニタ
マニュアルの入手方法、テクニカル サポート、およびセキュリティ ガイドライン
このマニュアルでは、Cisco CRS-1 16 スロット ラインカード シャーシのユーザに対して、この装置を正しく動作し、維持し、トラブルシューティングする方法について説明します。シャーシとコンポーネントの計画および取り付けに関するマニュアルの詳細については、「マニュアルの入手方法、テクニカル サポート、およびセキュリティ ガイドライン」を参照してください。
(注) このマニュアルでは以後、Cisco CRS-1 16 スロット ラインカード シャーシをラインカード シャーシと呼びます。
• 「表記法」
• 「警告の定義」
警告 安全上の重要事項
「危険」の意味です。人身事故を予防するための注意事項が記述されています。機器の取り扱い作業を行うときは、電気回路の危険性に注意し、一般的な事故防止対策に留意してください。
これらの注意事項を保存しておいてください。
警告の各国語版、および Cisco CRS-1 の適合規格と安全規格についての情報は、『 Regulatory Compliance and Safety Information for the Cisco CRS-1 Carrier Routing System 』を参照してください。
表1 に、初版以降このマニュアルに加えられた技術的な変更内容を示します。
「ラインカード シャーシの電源投入手順」のステップ 4 の値が修正されました。 |
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「PLIM の取り付けの確認」および「PLIM のトラブルシューティング」の PLIM LED ステータスが修正されました。 |
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ここでは、ラインカード シャーシに関連した、さまざまな動作およびトラブルシューティング手順について説明します。詳細な内容は、次のとおりです。
• 「アラーム モジュールを使用したトラブルシューティング」
ここでは、適正で正常な DC 電源型ラインカード シャーシの電源投入に必要な準備と手順について説明します。ラインカード シャーシのインストール ガイドおよびサイト プランニング ガイドの抜粋が含まれます。適切な電源投入の準備情報すべてについて説明します。
(注) ラインカード シャーシの電源を入れる一般的な推奨手順について説明します。ただし、特別な要件に対応するため、手順を変更できます。
• 電磁放射と伝導性放射を最小限にし、耐障害性を向上します。
• サービスを中断することなく、ラインカード シャーシの電源を入れます。
• 電源投入手順中、Field-Replaceable Unit(FRU; 現場交換可能ユニット)コンポーネントの機能を目視で確認します。
DC 電源型ラインカード シャーシは、冗長 DC 電源をシャーシのミッドプレーンの 6 つの電源ゾーンすべてに提供するため、合計 12 の専用 60 A DC 入力電源を電源入力モジュール(PEM)に接続する必要があります。電源シェルフ 0(ゼロ)への 6 つの 60 A DC 入力はバッテリ A に接続され、電源シェルフ 1 へのほかの 6 つの入力はバッテリ B に接続されます。
ラインカード シャーシ DC 電源システムは、シャーシに 13,200 W の電力を供給します。DC 電源型シャーシごとに、2N 冗長構成の DC 電源シェルフを 2 つ搭載しています。シェルフには入力電源コネクタが搭載されています。DC 電源シェルフごとに 3 つの PEM が搭載されています。電源シェルフと PEM は FRU です。シェルフごとに切断スイッチがあり、PEM にも切断スイッチがあります。
DC 装備のラインカード シャーシはすべて、次の注意事項を順守します。
• すべての電源接続は、各地域および当該国の電気工事規定(NEC)に準拠してください。
• インストーラーは、2 つの専用 60-A サービスを、電源シェルフに取り付けられた各 PEM に接続します。
• 各 PEM 接続の定格は最大 60 A です。PEM 接続ごとに専用の、同一定格の DC 電源が必要です。
• 各 PEM は、ゾーン両方に給電する 2 つの 48 VDC 入力を必要とします。この要件は、各 PEM には 4 本のワイヤ(2 ペア)が必要であることを示します。すなわち、各電源シェルフには合計 12 本のワイヤ(6 ペア)が必要です。各シェルフには 1 本のアース線が必要です。
• DC 電源コードは、同一定格の、より数の大きい銅線ケーブルの使用を推奨します。各 PEM には、2 つの 48 VDC 入力が必要です。PEM ごとに 4 本のワイヤ、または合計で 12 本のワイヤ(6 ペア)、およびアース線が必要です。ワイヤの長さはラインカード シャーシの配置によります。これらのワイヤはシスコシステムズでは購入できません。ただし、ベンダーから購入できます。
DC 電源コードは、電源シェルフ側のケーブル端子で終端させる必要があります。端子は 2 穴とし、0.625 インチ(15.88 mm)間隔の M6 端子スタッドに合うものでなければなりません。
信号劣化を防止するために、基準電圧の 2% に相当する電圧低下を引き起こすインピーダンスを防ぐことのできる大きさのコンダクタにする必要があります。さらに、48 VDC 戻り線に障害が発生した場合に、すべての電流を流せる大きさの保護アース コンダクタにする必要があります。十分な大きさの保護アース コンダクタは安全上の理由から必要です。保護アース線とスイッチの 48 VDC 戻り線のコンダクタを同じサイズにすると、障害に対する完全な冗長性が得られます。
サイトを準備するときは、適切なワイヤ サイズと絶縁体を選択する必要があります。配電を計画する場合、不測の電圧低下と温度上昇に対応するため、取り付ける前に計算する必要があります。
銅線の長さ別に、望ましくない電圧低下を防止するワイヤ ゲージについては、 表2 を参照してください。各種ワイヤ ゲージにおける 1000 フィートの銅線の抵抗については、 表3 を参照してください。これらの表の数字はプランニング用であり、実際の値は地域の法律および規約によって決まります。
1.表 1 は参照用のみです。業界の規則は、ゲージ単位のサーキュラ ミルを決定するのに使用します。 |
ラインカード シャーシの電源投入時に、FRU 損傷を防ぎ、ファシリティ内のほかの機器への電力線の障害を最小限にするには、次の手順を実行します。
ステップ 1 ファシリティ電源がシャーシから切断されていることを確認します。ただし、シャーシ内のすべての切断スイッチがオンである(すべてのオンオフ レバーを押している)ことを確認します。PEM 用に 6 つの切断スイッチ レバーがあり、2 つの DC 電源シェルフ用にも 2 つのレバーがあります。
ステップ 2 すべてのシステム カードがバックプレーンから取り外されていることを確認します。これらのシステム カードには、ルート プロセッサと分散ルート プロセッサ(RP と DRP)、switch fabric cards(SFC; スイッチ ファブリック カード)、Physical Layer Interface Module(PLIM; 物理レイヤ インターフェイス モジュール)、およびその他の交換可能カードが搭載されています。
ステップ 3 完了していなければ、安全アース線を各電源シェルフに接続します。
ステップ 4 電源コードをスタッド端子に接続する前に、次の抵抗の測定値を確認します。
a. 各 -48 VDC とシャーシ(GND)の間の抵抗を測定します。抵抗値は 100 KΩ を越えていなければなりません。ただし、すべての切断スイッチがオフである場合、各電源端子とシャーシ(GND)の間の抵抗がオープンであることを確認します。この測定は、バッテリとアース接地された戻り線、およびバッテリとオープンの戻り線で行ってください。
b. 各入力の 2 つの電源端子(プラスとマイナス)の間の抵抗を測定します。抵抗値は 1 KΩ を越えていなければなりません。ただし、すべての切断スイッチがオフである場合、プラス端子とマイナス端子の間の抵抗がオープンであることを確認します。
c. すべての切断スイッチがオンである場合、すべての入力のプラス端子の間の抵抗を測定します。これは、PEM 活性挿抜(Online Insertion and Removal; OIR)ダイオードが短絡していないことを確認します。各測定は、マルチメートル プローブを逆に接続して 2 回行ってください。抵抗値は 0.1 MΩ を越える必要があります。
ステップ 5 オンオフ レバーを引いて、すべての切断スイッチ(スイッチのうち 8 つ)の電源を切ります。
ステップ 6 12 のファシリティ回路ブレーカーのスイッチをすべてオフにします。
ステップ 7 入力電源のスイッチを一度に 1 つずつ接続します。特定の入力に対するファシリティ ブレーカーに電圧をかけます。入力端子ブロックで電圧を測定します。プラス端子に対するマイナス端子の DC 電圧が -42 ~ -72 VDC であることを確認します。 表4 を使用して、12 の入力すべての電圧測定値を記録します。
ステップ 8 12 のファシリティ回路ブレーカーのスイッチをすべてオンにします。
ステップ 9 電源シェルフ 0(PS0)に対する電源シェルフ切断スイッチをオンにします。PEM の電源がオフであることを確認します。可視 LED はすべて非アクティブです。
ステップ 10 電源シェルフ 0 の PEM A0 切断スイッチをオンにします。PEM の前面パネルの Power OK LED がグリーンであることを確認します。PEM 上でほかの LED がアクティブになっていないことを確認します。PEM の切断スイッチがオフであり、電源シェルフ 1(PS1)のマスター切断スイッチがオフであり、CB trip LED が点灯していることも確認します。 表5 に、ステータス インジケータを示します。
ステップ 11 PEM A1 および A2 にステップ 10 を繰り返します。
ステップ 12 電源シェルフ 1(PS1)に対する電源シェルフ切断スイッチをオンにします。電源シェルフ 1 の PEM の電源がオフであることを確認します。可視 LED はすべて非アクティブです。
ステップ 13 PEM B0、B1、および B2 にステップ 12 を繰り返します。
ステップ 14 すべてのシステム カードを次の順番で挿入します。
a. ファン コントローラをシャーシ前面の上部ケージに左から右に取り付けます。ファン コントローラは、指定スロット FC0 および FC1 に取り付ける必要があることに注意してください。
b. ルート プロセッサをシャーシ前面の下部ケージに左から右に取り付けます。ルート プロセッサは、指定スロット RP0 および RP1 に取り付ける必要があることに注意してください。
c. 4 つのスイッチ ファブリック カードをシャーシ背面の下部ケージに右から左に取り付けます。スイッチ ファブリック カードは、指定スロット SM70、SM16、SM25、および SM34 に取り付ける必要があることに注意してください。
d. 4 つのスイッチ ファブリック カードをシャーシ背面の上部ケージに右から左に取り付けます。スイッチ ファブリック カードは、指定スロット SM34、SM25、SM16、および SM07 に取り付ける必要があることに注意してください。
e. PLIM をシャーシ前面に取り付けます。PLIM は、任意の順番でラインカード スロットに取り付けることができます。
f. MSC をシャーシ背面に取り付けます。MSC は、PLIM のスロット番号に対応するスロットに挿入する必要があります。
ここでは、各種システム カードが適切に取り付けられているか確認するのに必要なステップについて説明します。詳細な内容は、次のとおりです。
ここでは、ラインカード シャーシへのルート プロセッサおよび分散ルート プロセッサ(RP および DRP)カードの取り付け方法について説明します。図1 に、標準 RP カードの前面パネルを示します。
RP および DRP カードの取り付けを確認するには、次の手順を実行します。
ステップ 1 カードがシャーシ スロットに正しく装着されていることを確認します。取り付けを確認する簡単な方法として、RP および DRP カードの前面プレートがカード ケージに取り付けられたほかのカードの前面と揃っていることを確認します。
ステップ 2 イジェクト レバーが閉じ、非脱落型ネジがしっかりと締められているか確認します。確実ではない場合、レバーを外し、ネジをゆるめて、RP および DRP カードを再装着します。
ステップ 3 電源シェルフを調べて、シャーシ全体に電力が供給されているか確認します。
ステップ 4 RP および DRP カードの前面プレートに配置されたステータス LED を使用して、カードが正しく取り付けられているか確認します。
a. グリーン ― カードは正しく取り付けられ、適切に動作しています。
c. 消灯 ― カードのステータスが不明です。カードが正しく取り付けられているか確認してください。また、電源シェルフのインジケータを調べて、カードに電力が供給されているか確認してください。
d. RP がプライマリ モードである(英数字 LED が ACTV RP を表示)場合、ボードは制御処理機能を実行し、セカンダリでもスタンバイの状態でもありません。
e. 英数字 LED が「ACTV RP」を表示していれば、プライマリ RP および DRP は正しく機能しています。
f. 英数字 LED が「STBY RP」を表示していれば、セカンダリ RP および DRP は正しく機能しています。
(注) RP および DRP を起動するのにかかる時間を許可します。RP と DRP をそれぞれ起動するのに 5 ~ 7 分かかります。
ここでは、ラインカード シャーシ背面のスロット 0 ~ 15 に配置された Modular Services Card(MSC; モジュラ サービス カード)の取り付けを確認する方法について説明します。図2 に、MSC の前面を示します。
ステップ 1 カードがラインカード シャーシ スロットに正しく装着されていることを確認します。取り付けを確認する簡単な方法として、MSC カードの前面プレートがカード ケージに取り付けられたほかのカードの前面と揃っていることを確認します。
ステップ 2 イジェクト レバーが閉じ、非脱落型ネジがしっかりと締められているか確認します。確実ではない場合、レバーを外し、ネジをゆるめて、MSC を再装着します。
ステップ 3 電源シェルフを調べて、シャーシ全体で電力が供給されているか確認します。
ステップ 4 MSC 前面プレートに配置されたステータス LED を使用して、カードが正しく取り付けられているか確認します。
a. グリーン ― カードは正しく取り付けられ、適切に動作しています。
c. 消灯 ― カードのステータスが不明です。カードが正しく取り付けられているか確認してください。また、電源シェルフのインジケータを調べて、カードに電力が供給されているか確認してください。
d. 英数字 LED が「IOS-XR」を表示していれば、MSC は正しく機能しています。
ここでは、ラインカード シャーシ前面のスロット 0 ~ 15 に配置された PLIM の取り付けを確認する方法について説明します。図3 に、PLIM 前面パネルを示します。
図3 PLIM 前面パネル(1-Port OC-768 を表示)
ステップ 1 カードがラインカード シャーシ スロットに正しく装着されていることを確認します。取り付けを確認する簡単な方法として、PLIM カードの前面プレートがカード ケージに取り付けられたほかのカードの前面と揃っていることを確認します。
ステップ 2 イジェクト レバーが閉じ、非脱落型ネジがしっかりと締められているか確認します。確実ではない場合、レバーを外し、ネジをゆるめて、PLIM を再装着します。
ステップ 3 電源シェルフを調べて、シャーシ全体に電力が供給されているか確認します。
ステップ 4 PLIM 前面プレートのステータス LED を使用して、カードが正しく取り付けられ、動作しているか確認します。
a. グリーン ― カードは正しく取り付けられ、適切に動作しています。
c. 消灯 ― カードのステータスが不明です。カードが正しく取り付けられているか確認してください。また、電源シェルフのインジケータを調べて、カードに電力が供給されているか確認してください。
ここでは、SFC の取り付けを確認する方法について説明します。図4 に、SFC 前面パネルを示します。
ステップ 1 カードがラインカード シャーシ スロットに正しく装着されていることを確認します。取り付けを確認する簡単な方法として、SFC の前面プレートがカード ケージに取り付けられたほかのカードの前面と揃っていることを確認します。
ステップ 2 イジェクト レバーが閉じ、非脱落型ネジがしっかりと締められているか確認します。確実ではない場合、レバーを外し、ネジをゆるめて、SFC を再装着します。
ステップ 3 電源シェルフを調べて、シャーシ全体に電力が供給されているか確認します。
ステップ 4 前面プレートに配置されたステータス LED を使用して、カードが正しく取り付けられているか確認します。
a. グリーン ― カードは正しく取り付けられ、適切に動作しています。
c. 消灯 ― カードのステータスが不明です。カードが正しく取り付けられているか確認してください。また、電源シェルフのインジケータを調べて、カードに電力が供給されているか確認してください。
d. 英数字 LED が「IOS-XR」を表示していれば、SFC は正しく機能しています。
ここでは、ラインカード シャーシ前面に配置されたファン コントローラ(FC)カードの取り付けを確認する方法について説明します。図5 に、FC カードの前面パネルを示します。
FC カードの取り付けを確認するには、次の手順を実行します。
ステップ 1 カードがラインカード シャーシ スロットに正しく装着されていることを確認します。取り付けを確認する簡単な方法として、FC の前面プレートがカード ケージに取り付けられたほかのカードの前面と揃っていることを確認します。
ステップ 2 イジェクト レバーが閉じ、非脱落型ネジがしっかりと締められているか確認します。確実ではない場合、レバーを外し、ネジをゆるめて、FC カードを再装着します。
ステップ 3 電源シェルフを調べて、シャーシ全体に電力が供給されているか確認します。
ステップ 4 前面プレートに配置されたステータス LED を使用して、カードが正しく取り付けられているか確認します。
a. グリーン ― カードは正しく取り付けられ、適切に動作しています。
c. 消灯 ― カードのステータスが不明です。カードが正しく取り付けられているか確認してください。また、電源シェルフのインジケータを調べて、カードに電力が供給されているか確認してください。
d. 英数字 LED が「IOS-XR」を表示していれば、FC カードは正しく機能しています。
ここでは、ラインカード シャーシの取り付けおよび初回起動時の困難な問題の原因を特定する、一般的なトラブルシューティング情報について説明します。
ここの手順では、ラインカード シャーシの初回起動時のトラブルシューティングと、システムの出荷時設定での動作を想定しています。オリジナルのハードウェア設定を変更する、またはデフォルトの設定を変更する場合、ここでの推奨事項は適用されません。
• 「アラーム モジュールを使用したトラブルシューティング」
ここでは、ラインカード シャーシのトラブルシューティングに使用する方法について説明します。トラブルシューティング方法は、ラインカード シャーシのメジャー サブシステムに従って構成されます。
問題を解決できない場合、製品を購入した代理店に連絡し、指示を受けてください。連絡するときは、次の情報を伝えてください。
• ラインカード シャーシの受領日とシャーシのシリアル番号(シャーシのラベルに記載)
– show hardware コマンドを使用して、取り付けるカードを判別します。
– show version コマンドを使用して、この番号を判別します。
問題を解決するには、特定のサブシステムの問題に絞り込みます。現在のラインカード シャーシの動作と予測されるラインカード シャーシの動作を比較します。起動時の問題は通常、1 つのコンポーネントが原因なので、ラインカード シャーシの各コンポーネントをトラブルシューティングするのではなく、各サブシステムを検査する方が効率的に解決できます。
トラブルシューティングを行うため、ラインカード シャーシは次のサブシステムで構成されます。
• プロセッサ サブシステム ― 冗長ルート プロセッサ(RP および DRP)、PLIM を搭載した MSC、SFC、およびファン コントローラ カードが含まれます。RP、DRP、および MSC にはオンボード プロセッサが搭載されています。RP および DRP は、Cisco IOS XR ソフトウェア イメージのコピーを各 MSC プロセッサにダウンロードします。システムでは、英数字ディスプレイ(各 MSC、RP、および DRP)を使用して、トラブルシューティングに役立つステータスやエラー メッセージを表示します。
(注) MSC と PLIM は相互依存デバイスです。片方のデバイスがないともう片方のデバイスも動作できません。ただし、トラブルシューティング時は、問題についてコンポーネントをそれぞれを調べる必要があります。
• 冷却サブシステム ― カード ケージに空気を循環させてカードを冷却するファン トレイと、電源モジュールに冷気を循環させる、各電源モジュール内のファンで構成されます。
主要コンポーネントすべてのステータスおよび英数字 LED を確認することで、起動シーケンスのどこで、いつラインカード シャーシに障害が発生したのかを判別できます。
正常なラインカード シャーシ起動シーケンスでは、次のイベントと状態が発生します。
1. ブロワー モジュールのファンは電力を受信し、シャーシ内に空気を引き込み始めます。
2. 各電源モジュール(AC または DC)のファンは電力を受信し、電源モジュールに空気を引き込み始めます。
3. RP と DRP、SFC、FC カード、取り付けられた MSC と PLIM の電源投入およびブート プロセスが進むにつれて、各カードのステータスが各カードの前面パネルの英数字 LED に表示されます。
表6 に、システムが正常に起動したあとのステータスおよび英数字 LED の状態を示します。
システム カードの取り付けを確認したあとに問題が発生した場合、このセクションを使用して問題の原因を特定し、修正してください。次のサブセクションが含まれます。
RP および DRP が動作しない、または電源がオフである場合は、次の情報を確認してください。
• カードがスロットに正しく装着されていることを確認します。取り付けを確認する簡単な方法として、RP および DRP カードの前面プレートがカード ケージに取り付けられたほかのカードの前面と揃っていることを確認します。
• イジェクト レバーが閉じ、非脱落型ネジがしっかりと締められているか確認します。確実ではない場合、レバーを外し、ネジをゆるめて、RP および DRP を再装着します。
• アラーム モジュールを調べて、アラーム状態がおきていないか確認します。
• 電源シェルフを調べて、シャーシ全体に電力が供給されているか確認します。
RP および DRP 前面プレートのステータス LED を使用して、カードが正しく取り付けられているか確認します。
• カードが正しく取り付けられている場合は、ステータス LED がグリーンに点灯します。
• ステータス LED がイエローで点滅している場合は、カードにハードウェア問題または通信問題があります。
• ステータスが点灯しない場合、ボードの状態は不明です。電源シェルフのインジケータを調べて、ボードに電力が供給されているか確認してください。
• ボードのブート シーケンス中に障害が発生した場合は、4 文字の英数字ディスプレイに現在のブート フェーズが表示されるため、ボードの障害のデバッグに役立ちます。
MSC が動作しない、または電源がオフである場合は、次の情報を確認してください。
• カードがスロットに正しく装着されていることを確認します。取り付けを確認する簡単な方法として、MSC の前面プレートがカード ケージに取り付けられたほかのカードの前面と揃っていることを確認します。
• イジェクト レバーが閉じ、非脱落型ネジがしっかりと締められているか確認します。確実ではない場合、レバーを外し、ネジをゆるめて、MSC を再装着します。
• アラーム モジュールを調べて、アラーム状態がおきていないか確認します。
• 電源シェルフを調べて、シャーシ全体に電力が供給されているか確認します。
MSC 前面プレートのステータス LED を使用して、MSC が正しく取り付けられているか確認します。
• カードが正しく取り付けられている場合は、ステータス LED がグリーンに点灯します。
• ステータス LED がイエローで点滅している場合は、カードにハードウェア問題または通信問題があります。
• ステータスが点灯しない場合、ボードの状態は不明です。電源シェルフのインジケータを調べて、ボードに電力が供給されているか確認してください。
• ボードのブート シーケンス中に障害が発生した場合は、4 文字の英数字ディスプレイに現在のブート フェーズが表示されるため、ボードの障害のデバッグに役立ちます。
PLIM が動作しない、または電源がオフである場合は、次の情報を確認してください。
• PLIM がスロットに正しく装着されていることを確認します。取り付けを確認する簡単な方法として、PLIM の前面プレートがカード ケージに取り付けられたほかの PLIM の前面と揃っていることを確認します。
• イジェクト レバーが閉じ、非脱落型ネジがしっかりと締められているか確認します。確実ではない場合、レバーを外し、ネジをゆるめて、PLIM を再装着します。
• アラーム モジュールを調べて、アラーム状態がおきていないか確認します。
• 電源シェルフを調べて、シャーシ全体に電力が供給されているか確認します。
PLIM 前面プレートの LED を使用して、カードが正しく取り付けられ、動作しているか確認します。
• カードが正しく取り付けられ、状態が IOS-XR に変更すると、ステータス LED はグリーンに点灯します。
• ステータス LED がイエローの場合は、カードにハードウェア問題または通信問題があります。
• ステータスが点灯しない場合、ボードの状態は不明です。電源シェルフのインジケータを調べて、ボードに電力が供給されているか確認してください。
• ボードのブート シーケンス中に障害が発生した場合は、MSC 上の 4 文字の英数字ディスプレイに現在のブート フェーズが表示されるため、ボードの障害のデバッグに役立ちます。
• LED アレイ(3 つまたは 5 つのグリーンの LED)は、各ポートのステータスを示します。
• ACTIVE ― ポートが論理上アクティブで、レーザーがオンです。
• CARRIER ― 受信ポート(Rx)がキャリア信号を受信しています。
• RX PKT ― パケットを受信するごとに LED が点滅します。
SFC が動作しない、または電源がオフである場合は、次の情報を確認してください。
• カードがスロットに正しく装着されていることを確認します。取り付けを確認する簡単な方法として、SFC の前面プレートがカード ケージに取り付けられたほかのカードの前面と揃っていることを確認します。
• イジェクト レバーが閉じ、非脱落型ネジがしっかりと締められているか確認します。確実ではない場合、レバーを外し、ネジをゆるめて、SFC を再装着します。
• アラーム モジュールを調べて、アラーム状態がおきていないか確認します。
• 電源シェルフを調べて、シャーシ全体に電力が供給されているか確認します。
SFC 前面プレートのステータス LED を使用して、カードが正しく取り付けられているか確認します。
• カードが正しく取り付けられている場合は、ステータス LED がグリーンに点灯します。
• ステータス LED がイエローで点滅している場合は、カードにハードウェア問題または通信問題があります。
• ステータスが点灯しない場合、ボードの状態は不明です。電源シェルフのインジケータを調べて、ボードに電力が供給されているか確認してください。
• ボードのブート シーケンス中に障害が発生した場合は、4 文字の英数字ディスプレイに現在のブート フェーズが表示されるため、ボードの障害のデバッグに役立ちます。
FC カードが動作しない、または電源がオフである場合は、次の情報を確認してください。
• カードがスロットに正しく装着されていることを確認します。取り付けを確認する簡単な方法として、FC カードの前面プレートがカード ケージに取り付けられたほかのカードの前面と揃っていることを確認します。
• イジェクト レバーが閉じ、非脱落型ネジがしっかりと締められているか確認します。確実ではない場合、レバーを外し、ネジをゆるめて、FC カードを再装着します。
• アラーム モジュールを調べて、アラーム状態がおきていないか確認します。
• 電源シェルフを調べて、シャーシ全体に電力が供給されているか確認します。
FC カードの前面プレートのステータス LED を使用して、カードが正しく取り付けられているか確認します。
• カードが正しく取り付けられている場合は、ステータス LED がグリーンに点灯します。
• ステータス LED がイエローで点滅している場合は、ボードに問題があります。
• ステータスが点灯しない場合、ボードの状態は不明です。電源シェルフのインジケータを調べて、ボードに電力が供給されているか確認してください。
• ボードのブート シーケンス中に障害が発生した場合は、2 行 4 文字の英数字ディスプレイに現在のブート フェーズが表示されるため、ボードの障害のデバッグに役立ちます。
各システム カードには、2 行(上下)の 4 文字からなる英数字 LED ディスプレイが含まれます。 表7 に、システム カードで表示される英数字 LED のメッセージを示します。
AC 電源シェルフ内に、3 つの AC 整流器が取り付けられています。図6 に、AC 整流器を示します。
各 AC 整流器の状態は、電源シェルフ内の Service Processor(SP; サービス プロセッサ)モジュールによりモニタされます。SP は、RP 上のシステム コントローラと通信します。SP 回路は、AC 整流器の次の障害およびアラーム状態をモニタします。
• 障害 ― バイアス電源の障害、過熱または過電流制限状態など、AC 整流器の障害を示します。DC 出力が許容出力範囲を越えた場合の警告も含まれます。
• AC 入力障害 ― AC 入力電圧が範囲外であることを示します。
• 回路ブレーカー遮断 ― AC 整流器の回路ブレーカーが遮断されたことを示します。
• 過熱 ― AC 整流器が最大許容動作温度を超えたことを示します。
• AC 整流器の検出 ― 整流器を検出し、電源シェルフに適切に装着されていることを示します。
• 電圧および電流モニタ信号(Vmon、Imon) ― AC 整流器からの出力電圧および電流が範囲内であることを示します。
各 AC 整流器には、制御ソフトウェアが使用する情報(製品番号、シリアル番号、アセンブリの変更、特殊な設定、テスト履歴、フィールド追跡データなど)が保管される ID EEPROM が含まれています。
各 AC 整流器には、電力およびステータスのインジケータがあります。AC 整流器のインジケータは両方の AC 電源シェルフから給電されるので、AC 整流器に入力電圧が給電されていなくても、インジケータは動作します。
表8 に、AC 整流器のステータス インジケータとその意味を示します。 表9 に、障害が発生した場合の LED の表示を示します。
AC 整流器をトラブルシューティングするには、次のステップを実行します。
ステップ 1 ラインカード シャーシのインストール ガイドの指示に従って AC 整流器を取り外し再装着することで、AC 整流器が AC 電源シェルフに適切に装着されていることを確認します。
ステップ 2 ラインカード シャーシの電源がオンであり、すべての電源コードが正しく接続されていることを確認します。
• 電源シェルフの背面パネルにある電源コードが固定クリップで所定位置に固定されています。
• 電源コードの端がそれぞれの AC 電源コンセントにしっかり差し込まれています。
ステップ 3 表8 および 表9 の値を使用して、AC 整流器のステータス LED インジケータをチェックします。
–電源コードを取り外して、AC 整流器への電源をいったん切断してから、入れます。
–インジケータが点灯する場合、AC 整流器を再装着してください。
–インジケータがまだ点灯している場合、AC 整流器を交換してください。
• OT(イエロー) ― AC 整流器が過熱状態であり、シャットダウンの原因となることを示します。
(注) OT インジケータが点灯または点滅する場合、FAULT インジケータも点灯します。
–AC 整流器のファンとブロワー モジュールが正しく動作している場合、既存の AC 整流器をスペアと交換してください。
• ILIM(イエロー) ― AC 整流器が、電流制限状態で動作していることを示します。
–各電源コードが専用の AC 電源に接続されていることを確認してください。
–公称 200 ~ 240 VACで稼働する AC 整流器ごとに、20 A(北米)または 13 A(その他の国)以上のコンセントが必要です。
リダンダント電源を装備しているので、片方の AC 整流器からバックプレーンへの DC 出力電圧で問題が発生してもラインカード シャーシの動作は影響を受けません。ラインカード シャーシには複数の AC 整流器を装備しているので、片方の AC 整流器が故障しても、シャーシの電源がオンになり動作します。
DC PEM は、DC 電源シェルフ内に取り付けられています。図7 に、DC PEM を示します。
(電源シェルフ内の)サービス プロセッサ モジュールが、各 PEM をモニタし、ルータ プロセッサ上のシステム コントローラ機能にステータスを通知します。サービス プロセッサは PEM が存在するかどうか検出し、PEM 出力電圧と電流、および障害とアラームの状態をモニタします。
各 PEM には、制御ソフトウェアが使用する情報(製品番号、シリアル番号、アセンブリの変更、特殊な設定、テスト履歴、フィールド追跡データなど)が保管される ID EEPROM が含まれています。
各 PEM には、電力およびステータスのインジケータがあります。PEM インジケータは、両方の DC 電源シェルフから給電されます。したがって、PEM に入力電圧が供給されていない状態でも、インジケータは動作します。 表10 に、PEM のステータス インジケータとその意味を示します。 表11 に、特定の障害状態における LED の表示を示します。
DC PEM をトラブルシューティングするには、次のステップを実行します。
ステップ 1 ラインカード シャーシのインストール ガイドの指示に従って DC PEM を取り外し再装着することで、DC PEM が DC 電源シェルフに適切に装着されていることを確認します。
ステップ 2 ラインカード シャーシの電源がオンであり、すべての電源コードが正しく接続されていることを確認します。
• 電源シェルフの背面パネルにある電源コードが固定クリップで所定位置に固定されています。
• 電源コードの端がそれぞれの DC 電源コンセントにしっかり差し込まれています。
ステップ 3 表10 および 表11 の値を使用して、DC PEM のステータス LED インジケータをチェックします。
–電源コードを取り外して、DC PEM への電源をいったん切断してから、入れます。
–インジケータが点灯する場合、DC PEM を再装着してください。
–インジケータがまだ点灯している場合、DC PEM を交換してください。
• OT(イエロー) ― DC PEM が過熱状態であり、シャットダウンの原因となることを示します。
(注) OT インジケータが点灯または点滅する場合、FAULT インジケータも点灯します。
–DC PEM のファンとブロワー モジュールが正しく動作している場合、既存の DC PEM をスペアと交換してください。
• ILIM(イエロー) ― DC PEM が、電流制限状態で動作していることを示します。
–各電源コードが専用の DC 電源に接続されていることを確認してください。
–公称 200 ~ 240 VDC で稼働する DC PEM ごとに、20 A(北米)または 13 A(その他の国)以上のコンセントが必要です。
リダンダント電源を装備しているので、片方の PEM からバックプレーンへの DC 出力電圧で問題が発生してもラインカード シャーシの動作は影響を受けません。ラインカード シャーシには複数の DC PEM を装備しているので、片方の PEM が故障しても、シャーシは電源がオンになり動作します。
配電システムをトラブルシューティングするには、次のステップを実行します。
ステップ 1 AC 整流器または DC PEM をチェックして、次を確認します。
• イジェクト レバーが完全に閉じていて、非脱落型ネジで適切に固定されています。
電源装置が上記の基準を満たしている場合、正しい電源装置が存在して許容範囲内になっています。電源装置は正しく機能しています。
ステップ 2 ブロワー モジュールが動作していることを確認します。
• ブロワー モジュールが機能していれば、ブロワー モジュールへの電源が正常に提供されています。
• ブロワー モジュールが機能していない場合、ブロワー モジュール自体、またはブロワー モジュールに供給される電力に問題があります。ブロワー モジュールをイジェクトして再装着してください。
• ブロワー モジュールがまだ動作しない場合、ブロワー モジュールのコントローラ カードまたはケーブルに問題があります。ブロワー モジュールを交換してください。また、「冷却サブシステムのトラブルシューティング」を参照してください。
冷却システムは、ラインカード シャーシにより生成された熱を発散させ、シャーシ コンポーネントの温度を制御します。冷却システムは、単一障害(単一ファンまたはファン トレイの障害など)が発生してもシャーシの動作を継続できるように、完全冗長アーキテクチャで構成されています。詳細は、「ファン コントローラの冗長性」を参照してください。このアーキテクチャは、冗長負荷分散設計もサポートしています。
完全なシャーシ冷却システムには、次のコンポーネントが含まれています。
• ファン トレイ× 2(各トレイに 9 ファン)、およびファン コントローラ カード× 2
電源シェルフの AC 整流器および DC PEM にも専用の内蔵冷却ファンを装備しています。
ファン トレイの 9 個のファンはすべて、1 つのグループとして動作します。したがって、エアフローを増加または低下させる必要がある場合には、トレイのすべてのファンの回転速度が同時に増加または低下します。シャーシ内で 2 つのファン トレイが稼働していると、両方のトレイのファンの速度が同時に調整されます。
ラインカード シャーシ全体に配置されている温度センサ(吸気、排気、およびホットスポット)は、温度をモニタし、システムが適切に冷却されているかどうかを判別します。
ファンの動作は、複数のタイプの SP モジュール上で実行されるソフトウェアによって制御されます。これらの SP モジュールは、内部イーサネットにより、Route Processor(RP; ルート プロセッサ)上のシステム コントローラに接続しています。
ラインカード シャーシ全体のエアフローは、プッシュプル方式により制御されます(図8 を参照)。下部ファン トレイによりシャーシ前面の下部から空気が取り込まれ、上部ファンによりカード ケージを通って上方に空気が引き込まれ、シャーシ背面の上部から温かい空気が排出されます。
(注) ラインカード シャーシの最大エアフローは、1 分間に 2050 立法フィートです。
シャーシの下部ファン トレイの上にあるスライド式トレイには、交換可能なエア フィルタが装着されています。ラインカード シャーシのエア フィルタ( 図9 )は、シャーシの背面(MSC 側)に差込みます。
エア フィルタは、必要に応じた頻度で交換する必要があります。空気が汚れている環境や、温度アラームが頻繁に発生する場合には、吸気グリルの汚れを確認し、エア フィルタを調べて、交換する必要があるかどうかを判別してください。交換する場合には、エア フィルタを取り外す前に、スペアのフィルタを手元に用意してください。準備ができたら、汚れたフィルタを取り外し、スペアのフィルタをシャーシに取り付けます。
(注) エア フィルタの両側には網があり、エアフローを示す矢印が付いています。また、フィルタ アセンブリの下側に、2 本のシート メタル ストラップが付いています。
ファン制御ソフトウェアおよび関連回路が、各ファンへの DC 入力電圧を調整し、回転速度が制御します。ファン制御ソフトウェアおよび関連回路により、ラインカード シャーシを適切な温度範囲で動作させるために必要なエアフローが、増加または減少します。シャーシの冷却システムは、冷却、騒音、および消費電力を最適化するために複数のファン速度を使用します。4 つの標準動作ファン速度と、ファン トレイの障害時に使用する 1 つの高速ファン設定があります。
初回起動時には、制御ソフトウェアはファンを 4300 ~ 4500 RPM で始動します。ファンにより、システムの初期設定中およびソフトウェア ブート中のエアフローが供給され、ソフトウェアが起動中に停止した場合でも、シャーシを十分に冷却します。ファン制御ソフトウェアの初期設定は、ルーティング システム ソフトウェアの起動後に実行され、完了までに 3 ~ 5 分かかります。その後は、ファン制御ソフトウェアによってファン速度が適切に調整されます。
標準動作では、下部カード ケージ(下部ケージが空の場合には上部カード ケージ)の吸気温度センサにより感知された温度が平均化されます。現在の温度に適したファン速度を判別するために、ファン制御ソフトウェアは、平均吸気温度を、各温度に最適なファン速度がリストされた検索テーブルと照合します。さらに、現在の温度に最適な値になるように、ファン速度を設定します。検索テーブルの温度範囲は、調整間隔中のファン速度の変動に対応できるよう、適切な幅で重複しています。
(注) アラームや障害が発声していない場合、ファン制御ソフトウェアは、1 ~ 2 分間隔で温度センサをチェックします。
各カード上のローカル熱センサは、温度をモニタし、冷却システムにより適正に冷却されていない場合、熱アラームを生成します。温度センサは、周囲温度の上昇、エア フィルタの詰まり、他のエアフロー障害、またはこれらの要因が重なることによっても反応します。ファン障害が発生すると障害メッセージが生成されますが、熱センサが反応しなければ、ファン制御は変更されません。
熱センサは、熱アラームを報告すると、障害状態をローカル SP に伝え、さらに RP 上のシステム コントローラに通知します。システム コントローラは、各ファン コントローラ ボード上の SP に障害状態を伝えます。その後、ファン制御ソフトウェアが、障害を解決するために適切な処置を行います。
熱センサが反応すると、ファン制御ソフトウェアは(ファン速度の増加などにより)問題の解決を試みます。ソフトウェアは、シャーシ コンポーネントの信頼性が損なわれ、チップが破壊される温度にならないよう、一連の処理を実行します。障害が持続する場合には、コンポーネントを保護するために、カードまたはモジュールがシャットダウンされます。
ファン コントローラ カードおよびファン トレイには、カードまたはファン トレイがシャーシのミッドプレーンから取り外されたときに電力を停止するクイックシャットダウン モードがあります。クイックシャットダウン モードは、活性挿抜実行中の突入電流を最小化します。標準のメンテナンス状態では、ソフトウェアは障害部分への電力を徐々にシャットダウンするので、キャパシタが放電する時間は十分にあります。
冷却システムの冗長アーキテクチャにより、冷却システムは、特定のコンポーネントに障害が発生しても動作を継続できます。冷却システムは、次のコンポーネントのいずれかに障害が発生しても、ラインカード シャーシを適切に冷却する動作を継続します。
• ファン、ファン トレイ、またはファン コントローラ カード
• 電源シェルフまたは電源モジュール(DC PEM または AC 整流器)
二重ファン障害とは、2 つのファン トレイ、2 つのファン トレイ ボード、2 つのファン コントローラ カード、2 つの電源シェルフ、2 つの電源モジュール(DC PEM または AC 整流器)、またはこれらのコンポーネントのいずれか 2 つの組み合わせの障害です。二重障害が発生しても、両方のファン トレイに障害が発生するか、熱アラームによりシャーシの電源切断を要する重大な問題が示されない限り、シャーシの電源はオンのままです。複数のファンの障害は、二重障害とはみなされません。複数のファンに障害が発生しても、冷却機能には影響しないからです。
(注) 冷却システムのコンポーネントに障害が発生した場合には、24 時間以内(またはさらに短時間のうちに)交換する必要があります。
両方のファン コントローラ カードを併用することで、完全な冗長入力電源が提供され、ファン トレイおよびファンの論理が制御されます。各ファン コントローラ カードは、A および B の両方の電源シェルフから入力電力(-48 VDC)を受信します。ファン コントローラ カードは、「A」バスからの入力電力を 1 つのファン トレイに供給し、「B」バスからの電力を他方のファン トレイに供給します。したがって、上部ファン トレイは 1 つのファン コントローラ カード上の「A」バスと、2 つめのファン コントローラ カード上の「B」バスから給電されます。
(注) 1 つのファン コントローラ カードに障害が発生すると、他方のファン コントローラ カードが、各ファンまたはファン トレイに全電力を供給します。このモードでは、稼働している 1 つのファン コントローラ カードは、最大 24 VDC を提供します。
図10 に、シャーシの背面(MSC 側)に接続されるファン トレイを示します。各ファン トレイは、ホットスワップ対応の FRU です。シャーシは、両方のファン トレイを取り付けた状態で実行できます。
• ファン× 9 ― 各ファンは、入力電力として公称 +24 VDC を使用します。この電圧が調整されて、ファン速度が増加または低下します。ファンは、4000 ~ 6700 RPM の範囲で動作します。1 つのファンへの入力電力は、各ファン コントローラ カードに 1 つずつある 2 つの DC/DC コンバータから供給されます。
• ファン トレイ ボード ― ファンとやりとりする信号を終端し、コモンモード ノイズをフィルタリングします。追跡機能とインジケータが搭載されています。
• 前面パネル ステータス LED ― この LED は、次の状態を示します。
ラインカード シャーシには、2 つの FC カード(図11)が搭載されています。
• ミッドプレーンからの -48 VDC を、ファンの稼働に必要な DC 電圧に変換します。
• システムを制御し、サービス プロセッサ モジュールを介して RP 上のシステム コントローラ機能と通信します。
• RP 上のシステム コントローラからファン コントローラ SP モジュールに吸気温度アラームと熱アラームを通知します。シャーシは、3 種類の温度センサを使用します。吸気、排気、およびホット スポットです。これらのセンサはすべて、熱アラームを生成できます。
シャーシの冷却システムは、ルーティング システムが生成した熱を発散させ、ファブリック カード シャーシとラインカード シャーシのコンポーネントの温度を制御します。冷却システムは、単一障害(単一ファンまたはファン トレイの障害など)が発生してもルーティング システムの動作を継続できるように、完全冗長アーキテクチャで構成されています。温度センサ(カードとモジュール、吸気、排気、およびホットスポット)は、シャーシ全体に配置され、温度を監視します。
システムにより適正に冷却されていない場合、熱アラームを生成します。温度センサは、次の要因によって反応します。
ファン コントローラは、ファンの速度を変えることでシャーシ内の温度を維持しようとします。シャーシの温度しきい値を超過すると、熱アラームが生成されます。障害が持続する場合には、コンポーネントを保護するために、カードまたはモジュールがシャットダウンされます。
過熱状態の場合にシャーシの冷却システムの問題を特定するには、次のステップを実行します。
ステップ 1 システムの起動時にブロワー モジュールが正しく動作していることを確認します。
• ブロワー モジュールが動作しているか判断するには、ブロワー モジュール前面パネルの LED インジケータを確認します。
–OK(グリーン) ― ブロワー モジュールは正常に動作し、-48 VDC 電力を受信します。シャーシ バックプレーンからブロワー モジュールへのケーブルが良好であることを示します。
–FAIL(レッド) ― ブロワー モジュール内で障害が検出されています。ブロワー モジュールを交換してください。
–インジケータが点灯せず、ブロワーも動作しない場合、ブロワー モジュールか、ブロワー モジュールに供給される -48 VDC 電力に問題があります。ステップ 2 に進みます。
ステップ 2 非脱落型ネジがしっかりと締められているか確認し、ブロワー モジュールをイジェクトし、再装着します。
ブロワー モジュールがまだ機能しない場合、ステップ 3 に進みます。
ステップ 3 各電源モジュールの LED インジケータを調べて、-48 VDC 電源を確認します。
• 各電源モジュールで Pwr OK インジケータが点灯し、Fault インジケータが消灯している場合、ブロワーは -48 VDC を受信しています。
–ブロワー モジュールがまだ機能しない場合、ブロワー モジュール コントローラ カードに問題があるか、ブロワー モジュール ケーブルの問題が検出されていない可能性があります。ブロワー モジュールを交換してください。
–新しいブロワー モジュールが機能しない場合、製品を購入した代理店に連絡し、指示を受けてください。
• Fault インジケータが点灯する場合、電源モジュールが故障しています。電源モジュールを交換してください。
• Temp および Fault インジケータが点灯する場合、過熱状態が存在します。
–電源モジュール のファンが正しく動作しているか確認します。
–ファンが動作していない場合、電源モジュールを交換してください。
電源モジュールを交換しても問題が解決しない場合、製品を購入した代理店に連絡してください。
ラインカード シャーシ プロセッサのサブシステムは、RP、MSC を搭載した PLIM、およびアラーム モジュールで構成されます。最小限のラインカード シャーシ構成の場合、上部カード ケージのスロット 7 に RP が搭載されていなければなりません。ルータにオプションの冗長 RP を搭載する場合、冗長 RP は下部カード ケージの左端スロット(スロット 8)に搭載する必要があります。
各 AC または DC 電源シェルフには、電源シェルフのステータスをモニタし、システム アラーム用の外部インターフェイスを提供するアラーム モジュールが搭載されています。電源シェルフはすべて、同じアラーム モジュール(図12)を使用します。
(注) アラーム モジュール前面プレート上の Alarm コネクタに接続できるのは、Safety Extra-Low Voltage(SELV; 安全超低電圧)回路だけです。アラーム回路の最大定格は、2 A、50 V です。
–アラーム LED ― 3 つの大型 LED(クリティカル、メジャー、マイナー)により、シャーシのステータスが表示されます。これらの LED は、RP システム コントローラ上のソフトウェアによって制御されます。冗長性を提供するために(1 つの LED に障害が発生しても、アラーム ステータスが確実に表示されるように)、各アラーム インジケータには 2 つの LED があります。
–リレー ― アラーム モジュールの出力機能は、リレーおよび関連ドライバで構成されています。システム コントローラ(RP 上)により指示されると、アラーム モジュール上の SP モジュールがリレーを開始します。アラーム リレー コネクタは、標準 DA-15S コネクタです。
• PEM または AC 整流器のステータスのモニタ ― アラーム モジュールは、DC PEM または AC 整流器のパフォーマンスおよびステータスをモニタします。モジュールがモニタするのは、回路ブレーカーの遮断、正常な給電、電力障害、内部障害、過熱、AC 整流器または PEM の検出、および電圧と電流の出力レベルです。アラーム モジュールは両方の電源シェルフから給電されるので、給電されていないシェルフのステータスも通知されます。
• アラームのモニタ ― LED に、シャーシのステータス情報が表示されます。
–システムが正常に動作している場合、LED に「IOS-XR」が表示されます。
–アラームが発生すると、LED により、問題のあるカードまたはコンポーネントが示されます。たとえば、ファン トレイが検出されない場合、どのファン トレイが検出されないのかが表示されます。「0 1 SP」と表示された場合、ラック 0、スロット 1 の MSC に問題があることを示しています。
RP はシステムに対し、温度、電圧、電流、およびファン速度の値を継続的に調べます。しきい値を超過すると、RP は適切なアラーム重大度をアラーム カードで設定し、対応する LED を点灯します。適切なアラーム ディスプレイ リレーが動作し、アラーム ディスプレイに接続された外部音声アラームまたはビジュアル アラームがアクティブになります。RP により、システム コンソール上にしきい値超過に関するメッセージも書き込まれます。ステータス LED は次のとおりです。
• クリティカル ― カードまたはシステムが不安定で、シャットダウンされます。
• メジャー ― 重大度の高い警告。システムを調べて、問題の原因を特定します。無視すれば、アラームはクリティカルになります。
• マイナー ― 基本的な警告を示します。大抵の場合、対処不要です。
(注) 温度がマイナー、メジャー、クリティカルのしきい値へと上がるにつれて、ファンの速度が上がります。このファン速度は温度の上昇に対応するためのものです。ノードのクリティカルしきい値を超過すると、ノードはシャットダウンされます。
アラームが発生すると、ディスプレイにより、問題のあるカードまたはコンポーネントが示されます。
クリティカル、メジャー、およびマイナー アラーム LED は、英数字ディスプレイに表示されたメッセージで解釈されます。たとえば、マイナー LED が点灯し、英数字ディスプレイが 0 SM0 SP を示す場合、0/SM0/SP にマイナー アラームが存在します。メジャー LED が点灯し、英数字ディスプレイが UPPR FAN-TRAY ALRM を示す場合、上部ファン トレイによってメジャー アラームが生成されます。
show environment fans コマンドを使用してファンのステータスを確認し、ファンに障害が発生しているか調べてください。両方の例では、show logging コマンドの出力を調べるとアラームの詳細がわかります(「MINOR alarm generated by <component_name>」または「MAJOR alarm generated by <component_name>」の形式のメッセージ)。 表12 に、アラーム モジュール LED の各種ステータスを示します。
4.両方のファン トレイを取り外すと、システム全体がただちにシャットダウンします。これは、他の状態に関係なく、両方のファン トレイがシャーシから取り外されていることをソフトウェアが検出するとすぐに発生します。他の温度ベースの場合では、ノードは 1 つずつシャットダウンされます。また、シャットダウンしたファン トレイが原因で、他のファン トレイが停止し、やがてシステムが完全にシャットダウンします。 |
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