Catalyst 2960 スイッチ PoE ポートのコンフィギュレーション ノート
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debug platform frontend-controller
マニュアルの入手方法、テクニカル サポート、およびセキュリティ ガイドライン
【注意】シスコ製品をご使用になる前に、安全上の注意 |
このコンフィギュレーション ノートでは、Catalyst 2960 WS-C2960-24PC-L および WS-C2960-24LT-L スイッチの Power over Ethernet(PoE)機能について説明します。これらのスイッチでは、Cisco IOS Release 12.2(44)SE 以降が必要となります。このソフトウェア リリースの他の機能に関する詳細については、次のマニュアルを参照してください。
• 『 Release Notes for Cisco IOS Release 12.2(44)SE 』については、次の URL を参照してください。
http://www.cisco.com/en/US/products/hw/switches/ps5023/prod_release_note09186a008092511f.html
• 『 Catalyst 2960 Software Configuration Guide for Cisco IOS Release 12.2(44)SE 』については、次の URL を参照してください。
http://www.cisco.com/en/US/products/ps6406/products_configuration_guide_book09186a00808d4f49.html
• 『 Catalyst 2960 Command Reference for Cisco IOS Release 12.2(44)SE 』については、次の URL を参照してください。
http://www.cisco.com/en/US/products/ps6406/products_command_reference_book09186a00808d4f4b.html
Catalyst 2960 PoE ポートの詳細については、次のセクションを参照してください。
• PoE 機能
• 既知の制限事項
• PoE ポート
• PoE コマンド
• 回路に電力が供給されていないことをスイッチが検知した場合に、PoE 対応ポートから、接続されているシスコの先行標準および IEEE 802.3af 準拠の受電装置に電力を供給する機能
• 消費電力付き Cisco Discovery Protocol(CDP; シスコ検出プロトコル)に対するサポート。受電装置は、消費している電力量をスイッチに通知します。
• シスコのインテリジェント電源管理のサポート。受電装置とスイッチは、電力ネゴシエーション CDP メッセージを介して承認される消費電力レベルをネゴシエーションします。ネゴシエーションにより、ハイパワーのシスコ受電装置は最高のパワー モードで稼働できます。
• 自動検出および電力バジェット機能 ― スイッチは電力バジェットを維持しながら、電力に対する要求をモニタおよび追跡し、可能な場合にのみ電力を供給します。
Catalyst 2960 スイッチの PoE には、次の既知の制限事項があります。
Catalyst 2960 スイッチで Device Manager を使用する場合、次の制限事項が適用されます。
• Port Settings/Port Status ダイアログの PoE カラムには、 NA が表示されます。
• Port Settings ダイアログまたは Command-Line Interface(CLI; コマンドライン インターフェイス)からポートをディセーブルにした場合、再度イネーブルにすることはできません。
• 一部のアクセス ポイント装置は、IEEE 802.3af クラス 1 装置として間違って検出されます。これらのアクセス ポイントは、シスコ先行標準装置として検出される必要があります。 show power inline ユーザ EXEC コマンドは、アクセス ポイントを IEEE クラス 1 装置として表示します。これは、AC 壁面アダプタを使用してアクセス ポイントに電力を供給することで回避できます(CSCin69533)。
• IEEE 802.1x をイネーブルにしているポート上のアクセス VLAN を変更すると、IP Phone のアドレスが削除されます。IEEE 802.1x 対応ポートではこれらの学習は制限されているため、アドレスが再度学習されるまで約 30 秒かかります。回避する必要はありません(CSCea85312)。
• スイッチは電力を供給する前に IEEE 分類を使用して、受電装置の最大消費電力量を学習します。スイッチは、ポートに設定された最大ワット数が IEEE クラスの最大値以下の場合にだけ電力を供給します。これにより、スイッチの電力バジェットが過剰になることはありません。シスコ先行標準の受電装置には、このようなメカニズムはありません。
先行標準の受電装置を使用したネットワークでは、最大ワット数の設定をデフォルト値(15.4 W)のままにしておくことで回避できます。または、受電装置が CDP メッセージを介して消費電力として報告する値以上の値に、ポートの最大ワット数を設定することができます。IEEE クラス 0、3、または 4 装置を使用したネットワークでは、デフォルトの 15.4 W(15,400 ミリワット)を下回る値にポートの最大ワット数を設定しないでください(CSCee80668)。
• Cisco 7905 IP Phone は電話機が壁面コンセントに接続されている場合に errdisable になります。
PoE をイネーブルにし、PoE の errdisable ステートから回復するようにスイッチを設定することで回避できます(CSCsf32300)。
Catalyst 2960 PoE 対応スイッチ ポートは、次の接続装置に自動的に電力を供給します(回路上に電力がないことをスイッチが検知した場合)。
• シスコ先行標準の受電装置(Cisco IP Phone および Cisco Aironet アクセス ポイントなど)
Catalyst 2960-24PC には 24 の 10/100 PoE ポートがあり、各ポートは最大 15.4 W の電力を供給できます(スイッチの最大出力電力は 370 W)。Catalyst 2960-24LT には 24 の 10/100 ポートがあり、そのうちの 8 つが PoE ポートで、それぞれ最大 15.4 W の電力を供給できます。
受電装置は PoE スイッチ ポートおよび AC 電源に接続している場合、冗長電力を受けられます。受電装置は電源の交換によってリセットされる場合があります。
スイッチは、次のプロトコルおよび規格を使用して PoE をサポートします。
• 消費電力付き CDP ― 受電装置は消費電力量をスイッチに通知します。スイッチは消費電力メッセージに応答しません。スイッチが行うことができるのは、PoE ポートに電力を供給すること、または PoE ポートへの電力供給を停止することだけです。
• シスコ インテリジェント電源管理 ― 受電装置とスイッチは、電力ネゴシエーション CDP メッセージを介して承認される消費電力レベルをネゴシエーションします。ネゴシエーションにより、7 W 以上を消費するハイパワーのシスコ受電装置が最高のパワー モードで稼働できるようになります。受電装置はまずローパワー モードで起動し、7 W より少ない電力を消費して、ハイパワー モードで稼働するための電力をネゴシエーションにより取得します。装置は、スイッチからの確認を受信した場合にのみハイパワー モードに変更します。
ハイパワー装置は、電力ネゴシエーション CDP をサポートしないスイッチ上ではローパワー モードで稼働できます。
シスコ インテリジェント電源管理機能は、消費電力付き CDP と下位互換性があります。スイッチは受信した CDP メッセージに応じて応答します。CDP はサードパーティ製受電装置ではサポートされていません。そのため、スイッチは IEEE 分類を使用して、これらの受電装置の電力使用状況を判別します。
• IEEE 802.3af ― この規格の主な機能として、受電装置の検出、電源管理、切断の検知、および受電装置の電力分類(オプション)があります。詳細については、この規格を参照してください。
PoE 対応ポートが非シャットダウン ステートの場合、PoE がイネーブルの場合(デフォルト)、および接続装置が AC アダプタで電力供給されていない場合に、スイッチはシスコ先行標準または IEEE 準拠の受電装置を検出します。
スイッチは装置の検出後、そのタイプに基づいて装置の所要電力を決定します。
• スイッチによって検出されたシスコ先行標準の受電装置は、所要電力を提供しません。そのため、電力バジェット用に初期割り当てとして 15.4 W が割り当てられます。
初期電力割り当ては、受電装置が必要とする最大電力量になります。スイッチはまず、検出した受電装置にこの電力量を割り当て、電力を供給します。スイッチが受電装置から CDP メッセージを受信し、受電装置とスイッチが CDP の電力ネゴシエーション メッセージで電力レベルをネゴシエートしていくうちに、初期電力割り当てが調整されます。
• スイッチは検出した IEEE 装置を消費電力クラスに分類します。電力バジェットで使用可能な電力に基づいて、スイッチはポートに電力を供給可能かどうかを判別します。 表1 に、これらのレベルを示します。
• 電力要求をモニタおよび追跡して、可能な場合にのみ電力を供給する
• 自身の電力バジェット(スイッチ上の PoE に使用可能な電力量)を追跡する
• ポートが電力を供給または拒否されたときに、電力アカウンティング計算を実行して、電力バジェットを最新に保つ
電力がポートに適用されたあと、スイッチは CDP を使用して、接続されたシスコ受電装置の 実際の 消費所要電力を判別し、それに応じて電力バジェットを調整します。この機能はサードパーティ製の PoE 装置には適用されません。スイッチは要求を処理して、電力を供給するかまたは拒否します。要求を許可する場合、スイッチは電力バジェットを更新します。要求を拒否すると、スイッチはポートへの電力がオフであることを確認し、Syslog メッセージを生成して、LED を更新します。また、受電装置は追加の電力についてもスイッチとネゴシエーションできます。
スイッチが低電圧、過電圧、温度超過、オシレータの故障、または回路短絡状態などによる障害を検出した場合、ポートへの電力供給を停止し、Syslog メッセージを生成して、電力バジェットおよび LED を更新します。
• auto ― スイッチは接続装置に電力が必要かどうかを自動的に検出します。スイッチがポートに接続された受電装置を検出し、スイッチに十分な電力がある場合は、電力を供給し、電力バジェットを更新し、先着順でポートの電源をオンにして、LED を更新します。LED については、ハードウェア インストレーション ガイドを参照してください。
スイッチに接続されているすべての受電装置用の十分な電力がある場合、すべての装置の電源がオンになります。PoE で使用可能な電力が不足している場合、または他の装置が電力供給を待機している間にある装置が切断され再接続された場合、スイッチは電力を供給または拒否する装置を判別できません。
供給する電力がシステムの電力バジェットを超える場合、スイッチは電力供給を拒否して、ポートへの電力がオフになっていることを確認し、Syslog メッセージを生成して LED を更新します。電力供給が拒否されたら、スイッチは定期的に電力バジェットをモニタし、引き続き電力要求に応じようとします。
装置がスイッチから電力供給され、さらに AC 電源に接続された場合、スイッチは引き続きその装置に電力を供給することがあります。装置の電力供給がスイッチによるものか AC 電源によるかに関わらず、スイッチは引き続き装置に電力を供給していることを報告する場合があります。
受電装置が取り外されると、スイッチは自動的に切断を検出し、ポートからの電力供給を停止します。非受電装置の接続は損傷を与えることなく行うことができます。
ポートで許可される最大ワット数を指定できます。受電装置の IEEE クラス最大ワット数が、設定された最大値より大きい場合、スイッチはポートに電力を供給しません。スイッチが受電装置に電力供給しても、あとで受電装置が CDP メッセージにより設定された最大値を上回る値を要求した場合、スイッチはポートへの電力の供給を停止します。受電装置に割り当てられた電力は、グローバル 電力バジェットに戻されます。ワット数を指定しない場合、スイッチは最大値の電力を供給します。任意の PoE ポート上で auto 設定を使用します。 auto はデフォルト設定です。
• static ― スイッチは事前にポートに電力を割り当てて(受電装置が接続されていない場合でも)、ポートに電力を供給できることを保証します。スイッチはポートに設定された最大ワット数を割り当てます。このワット数は、IEEE クラスまたは受電装置の CDP メッセージでは調整されません。電力は事前に割り当てられるため、最大ワット数以下の電力を使用する受電装置がスタティック ポートに接続する場合は、電力の供給が保証されています。このポートへの電力供給は、先着順ではありません。
ただし、受電装置の IEEE クラスが最大ワット数を上回る場合、スイッチはこの受電装置に電力を供給しません。スイッチが、CDP メッセージにより、最大ワット数より多くの電力が受電装置に必要であることを認識すると、受電装置はシャットダウンされます。
ワット数を指定しない場合、スイッチは最大値を事前に割り当てます。スイッチが受電装置を検出した場合にのみ、ポートに電力供給します。ハイプライオリティ インターフェイス上では、 static 設定を使用します。
• never ― スイッチは受電装置の検出をディセーブルにして、非受電装置が接続されても、PoE ポートに電力を供給しません。このモードを使用するのは、PoE 対応ポートに電力を供給しないことが決まっている(ポートをデータ専用ポートにする)場合のみです。
PoE ポートの設定の詳細については、「PoE ポート上での電源管理モードの設定」を参照してください。
ほとんどの場合、デフォルト設定(auto モード)は正常に稼働し、プラグアンドプレイ動作を提供します。それ以上の設定は必要ありません。ただし、PoE ポートにより高いプライオリティを与える場合、PoE ポートをデータ専用にする場合、または最大ワット数を指定してポート上のハイパワーの受電装置を許可しない場合には、次の手順を使用します。
(注) PoE 設定を変更する場合、設定されているポートは電力を廃棄します。新しい設定、他の PoE ポートのステート、および電力バジェットのステートによっては、ポートが再びアクティブにならないことがあります。たとえば、ポート 1 が auto およびオン ステートで、このポートを static モードに設定する場合などです。スイッチはポート 1 への電力供給を停止し、受電装置を検出して、ポートに再度電力を供給します。ポート 1 が auto およびオン ステートで、このポートに 10 W の最大ワット数を設定する場合、スイッチはポートへの電力供給を停止してから、受電装置を再度検出します。スイッチがポートに再度電力を供給するのは、受電装置がクラス 1、クラス 2、またはシスコ専用の受電装置の場合のみです。
PoE 対応ポートで電源管理モードを設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
show power inline ユーザ EXEC コマンドの出力については、「show power inline」を参照してください。PoE 関連コマンドの詳細については、「PoE スイッチ ポートのトラブルシューティング」を参照してください。
シスコ受電装置が PoE ポートに接続されると、スイッチは CDP を使用して装置の 実際の 消費電力を確認し、電力バジェットを調整します。この機能はサードパーティ製の IEEE 準拠受電装置には適用されません。これらの装置に対しては、スイッチが電力要求を認可すると、スイッチは IEEE の受電装置分類に従って電力バジェットを調整します。受電装置がクラス 0(クラス ステータス不明)またはクラス 3 の場合には、スイッチは実際の必要電力量に関わらず、装置に対して 15,400 ミリワットを割り当てます。受電装置が実際の消費量より高いクラスを通知してきた場合、または電力分類をサポートしていない場合(デフォルトはクラス 0)、スイッチはグローバル 電力バジェットを追跡するために IEEE クラス情報を使用するため、電力を供給できる装置が少なくなる場合があります。
power inline consumption wattage グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用すると、IEEE 分類で指定されているデフォルトの所要電力を上書きできます。IEEE 分類の規定と装置が実際に必要とする電力との差分は、グローバル電力バジェットに戻され、追加の装置に使用することができます。これにより、スイッチの電力バジェットを拡大し、より効率的に電力を使用できるようになります。
(注) 電力バジェットを手動で設定する場合は、スイッチと受電装置間のケーブルで失われる電力損失も考慮する必要があります。
power inline consumption default wattage または no power inline consumption default グローバル コンフィギュレーション コマンド、あるいは power inline consumption wattage または no power inline consumption インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを入力すると、次の注意メッセージが表示されます。
IEEE 電力分類の詳細については、「PoE ポート」を参照してください。
任意の PoE ポートに接続された受電装置の電力バジェット量を設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
設定をデフォルトに戻すには、 no power inline consumption default グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。
特定の PoE ポートに接続された受電装置の電力バジェット量を設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
設定をデフォルトに戻すには、 no power inline consumption インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
show power inline consumption 特権 EXEC コマンドの出力については、「power inline consumption」を参照してください。
ここでは、PoE ポートのトラブルシューティング方法について説明します。
PoE スイッチ ポートに接続された受電装置(Cisco IP Phone 7910 など)が AC 電源から電力が供給されている場合に、AC 電源から電力が供給されなくなると、装置は errdisable ステートになる可能性があります。errdisable ステートから回復するには、 shutdown インターフェイス コンフィギュレーション コマンドに続けて、 no shutdown インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを入力します。また、errdisable ステートから回復するには、スイッチに自動回復機能を設定することもできます。次のコマンドを使用して、PoE ポート ステータスをモニタします。
• show controllers power inline 特権 EXEC コマンド
Power over Ethernet(PoE)イベントのロギングをイネーブルにするには、 logging event power-inline-status インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。PoE ステータス イベントのロギングをディセーブルにする場合は、このコマンドの no 形式を使用しますが、このコマンドの no 形式を使用しても、PoE エラー イベントはディセーブルになりません。
Power over Ethernet(PoE)ポート上で電源管理モードを設定するには、power inline インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。デフォルト設定に戻すには、このコマンドの no 形式を使用します。
power inline {auto [ max max-wattage ] | never | static [ max max-wattage ]}
このコマンドは、PoE 対応ポートでのみサポートされています。PoE がサポートされていないポートでこのコマンドを入力すると、次のエラー メッセージが表示されます。
ポート上のハイパワーの受電装置を許可しないようにするには、 max max-wattage オプションを使用します。この設定によって、受電装置が最大ワット数より多い電力を要求する Cisco Discovery Protocol(CDP; シスコ検出プロトコル)メッセージを送信すると、スイッチはポートへ電力を供給しません。受電装置の IEEE クラスの最大値が最大ワット数を超えると、スイッチは装置に電力を供給しません。電力はグローバル電力バジェットに戻されます。
(注) power inline max max-wattage コマンドが 15.4 W 未満に設定されている場合、スイッチはクラス 0 またはクラス 3 装置に電力を供給しません。
スイッチが受電装置への電力供給を拒否する場合(受電装置が CDP メッセージを通じて制限を超えた電力を要求する場合、または IEEE クラスの最大値が最大ワット数を超えている場合)、PoE ポートは power-deny ステートになります。スイッチはシステム メッセージを生成し、 show power inline ユーザ EXEC コマンド出力の Oper カラムに power-deny
が表示されます。
ポートに高いプライオリティを与えるには、 power inline static max max-wattage コマンドを使用します。スイッチは、auto モードに設定されたポートに電力を割り当てる前に、static モードに設定されたポートに PoE を割り当てます。スタティック ポートが装置検出より優先的に設定されている場合に、スイッチはスタティック ポートの電力を予約します。接続された装置がない場合、ポートがシャットダウン状態か否かに関係なく、スイッチはスタティック ポートの電力を予約します。スイッチはポートに設定された最大ワット数を割り当てます。このワット数は、IEEE クラスまたは受電装置の CDP メッセージでは調整されません。電力は事前に割り当てられるため、最大ワット数以下の電力を使用する受電装置がスタティック ポートに接続する場合は、電力の供給が保証されています。ただし、受電装置の IEEE クラスが最大ワット数を上回る場合、スイッチはこの受電装置に電力を供給しません。スイッチが、CDP メッセージにより、最大ワット数より多くの電力が受電装置に必要であることを認識すると、受電装置はシャットダウンされます。
ポートが static モードの場合にスイッチが電力を事前割り当てできない場合(たとえば、電力バジェット全体がすでに別の自動ポートまたはスタティック ポートに割り当てられているなど)、 Command rejected: power inline static: pwr not available
というメッセージが表示されます。ポートの設定は、そのまま変更されません。
power inline auto または power inline static インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用してポートを設定すると、ポートは設定された速度とデュプレックスの設定値を使用して自動ネゴシエーションを行います。これは、(受電装置であるか否かに関係なく)接続された装置の所要電力を判別するのに必要です。所要電力が判別されたあと、スイッチはインターフェイスをリセットすることなく、設定された速度とデュプレックスの設定値を使用してインターフェイスを設定します。
power inline never コマンドを使用してポートを設定する場合、ポートは設定された速度とデュプレックスの設定値に戻ります。
ポートにシスコの受電装置が接続されている場合は、ポートの設定に power inline never コマンドを使用しないでください。ポートで不正なリンクアップが生じ、errdisable ステートになる可能性があります。
各受電装置が使用するワット数を指定することにより、装置の IEEE 分類によって指定された電力量を無効にするには、power inline consumption グローバルまたはインターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。デフォルトの電力設定に戻すには、このコマンドの no 形式を使用します。
power inline consumption default wattage
no power inline consumption default
(注) default キーワードは、グローバル コンフィギュレーション コマンドにのみ表示されます。
シスコの受電装置が PoE ポートに接続されると、スイッチは Cisco Discovery Protocol(CDP; シスコ検出プロトコル)を使用して装置の 実際の 消費電力を確認し、電力バジェットを調整します。この機能はサードパーティ製の IEEE 準拠受電装置には適用されません。これらの装置に対しては、スイッチが電力要求を認可すると、スイッチは IEEE の受電装置分類に従って電力バジェットを調整します。受電装置がクラス 0(クラス ステータス不明)またはクラス 3 の場合には、スイッチは実際の必要電力量に関わらず、装置に対して 15400 ミリワットを割り当てます。受電装置が実際の消費量より高いクラスを通知してきた場合、または電力分類をサポートしていない場合(デフォルトはクラス 0)、スイッチはグローバル 電力バジェットをモニタするために IEEE クラス情報を使用するため、電力を供給できる装置が少なくなる場合があります。
power inline consumption wattage インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用すると、IEEE 分類で指定されているデフォルトの所要電力を上書きできます。IEEE 分類の規定と装置が実際に必要とする電力との差分は、グローバル電力バジェットに戻され、追加の装置に使用することができます。これにより、スイッチの電力バジェットを拡大し、より効率的に電力を使用できるようになります。
power inline consumption default wattage または no power inline consumption default グローバル コンフィギュレーション コマンド、あるいは power inline consumption wattage または no power inline consumption インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを入力すると、次の注意メッセージが表示されます。
(注) 電力バジェットを手動で設定する場合は、スイッチと受電装置間のケーブルで失われる電力損失も考慮する必要があります。
IEEE 電力分類に関する詳細については、このリリースに対応するソフトウェア コンフィギュレーション ガイドの「Configuring Interface Characteristics」の章を参照してください。
このコマンドは、PoE 対応ポートでのみサポートされています。PoE がサポートされていないスイッチまたはポートでこのコマンドを入力すると、エラー メッセージが表示されます。
次の例では、グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用して、各 PoE ポートに 5000 ミリワットの電力を確保するようスイッチを設定する方法を示します。
次の例では、インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用して、特定の PoE ポートに接続された受電装置に 12000 ミリワットの電力を確保するようスイッチを設定する方法を示します。
指定した Power over Ethernet(PoE)コントローラのレジスタの値を表示するには、 show controllers power inline ユーザ EXEC コマンドを使用します。
show controllers power inline [ instance ] [ | { begin | exclude | include } expression ]
Catalyst 2960-24PC スイッチでは、 instance 範囲は 0 ~ 1 です。0 ~ 1 以外のインスタンスの場合、スイッチは出力しません。
このコマンドはすべてのスイッチ上に表示されますが、PoE スイッチでのみ有効です。PoE をサポートしないスイッチの情報は提供されません。
この出力には、シスコのテクニカル サポート担当がスイッチのトラブルシューティングを行うのに役立つ情報が表示されます。
文字列では、大文字と小文字が区別されます。たとえば、 | exclude output と入力した場合、 output を含む行は表示されませんが、 Output を含む行は表示されます。
指定した Power over Ethernet(PoE)ポートまたはすべての PoE ポートの PoE ステータスを表示するには、 show power inline ユーザ EXEC コマンドを使用します。
show power inline interface-id | consumption [ | { begin | exclude | include } expression ]
文字列では、大文字と小文字が区別されます。たとえば、| exclude output と入力した場合、output を含む行は表示されませんが、Output を含む行は表示されます。
次の例では、 show power inline コマンドの出力を示します。出力では、ポート 2 がスタティックに設定されており、このポートに電力が事前に割り当てられていますが、受電装置は接続されていません。ポート 6 は、最大ワット数が 10 W に設定されているために power-deny ステートになっているスタティック ポートです。接続された受電装置は、クラス 0 またはクラス 3 装置に対して報告されたクラスの最大ワット数を持ちます。
電源コントローラおよび Power over Ethernet(PoE)システムのデバッグをイネーブルにするには、 debug ilpower 特権 EXEC コマンドを使用します。デバッグをディセーブルにするには、このコマンドの no 形式を使用します。
debug ilpower { cdp | controller | event | ha | port | powerman | registries }
no debug ilpower { cdp | controller | event | ha | port | powerman | registries }
フロントエンド コントローラ アクティビティのデバッグをイネーブルにするには、 debug platform frontend-controller 特権 EXEC コマンドを使用します。デバッグをディセーブルにするには、このコマンドの no 形式を使用します。
debug platform frontend-controller { all | image | led | manager | poe | register | thermal }
no debug platform frontend-controller { all | image | led | manager | poe | register | thermal }
マニュアルの入手方法、テクニカル サポート、マニュアルに関するフィードバックの提供、セキュリティ ガイドライン、および推奨されるエイリアスや一般のシスコ マニュアルに関する情報については、次の URL で、毎月更新される『 What's New in Cisco Product Documentation 』を参照してください。ここには、シスコの新規および改訂版の技術マニュアルの一覧も示されています。
http://www.cisco.com/en/US/docs/general/whatsnew/whatsnew.html
Japan TAC Web サイトでは、利用頻度の高い TAC Web サイト( http://www.cisco.com/tac )のドキュメントを日本語で提供しています。Japan TAC Web サイトには、次の URL からアクセスしてください。
http://www.cisco.com/jp/go/tac
サポート契約を結んでいない方は、「ゲスト」としてご登録いただくだけで、Japan TAC Web サイトのドキュメントにアクセスできます。
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