VMware vSphere 5.5 Update 2 を使用した Cisco Unified Computing System および IBM FlashSystem V9000 設計ガイド
最終更新日:2018年6月18日
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目次
VersaStack および Cisco Nexus 9000 の動作モード
VersaStack: Cisco Nexus 9000 設計オプション
設計の重点:VersaStack All Flash ブロックのみ
Cisco Unified Computing System
Cisco Nexus 2232PP 10GE ファブリック エクステンダ
Cisco MDS 9100 マルチレイヤ ファブリック スイッチ
Cisco Unified Computing System Manager
IBM FlashSystem V9000 の使いやすい管理用 GUI
Cisco Nexus 1000v vCenter プラグイン
VersaStack のハードウェアおよびソフトウェア オプション
Cisco Unified Computing System
Cisco® Validated Design は、お客様による導入を促進かつ改善するために設計、テスト、文書化されたシステムおよびソリューションで構成されます。これらの設計では、幅広いテクノロジーと製品を、顧客のビジネス ニーズに対応するために開発されたソリューションのポートフォリオに組み込んでいます。
このドキュメントは、Cisco Nexus 9000 スイッチを使用した VersaStack® ソリューションにおけるシスコ、IBM® のテクノロジーおよび VMware vSphere 5.5 Update 2 について説明しています。VersaStack ソリューションは、シスコおよび IBM の技術を共有クラウド インフラストラクチャとして導入するための検証済みのアプローチです。
VersaStackTM は統合プラットフォーム アーキテクチャです。Cisco Unified Computing System(Cisco UCS)、Cisco Nexus® ファミリのスイッチ、IBM Storewize V7000 Unified、FlashSystem V9000 オールフラッシュ エンタープライズ ストレージを基盤として構築したデータセンター向けに事前設計されています。単一障害点を発生させないように設計され、シンプル性、効率性、汎用性に重点が置かれています。さまざまな仮想化ハイパーバイザ、ベアメタル オペレーティング システムを実行し、エンタープライズ ワークロードをサポートするのに最適なプラットフォームです。
VersaStack はベースラインの構成だけでなく、さまざまなユース ケースや要件に対応するための拡張性と最適化を行える柔軟性を備えています。このドキュメントで説明しているシステム設計については、さまざまな障害条件下での負荷テストにより、回復力のあることが実証されています。ファームウェアやオペレーティング システムのアップグレードなどの運用タスク、スイッチ、ケーブル、ハードウェアなどの障害、電源喪失に対する耐障害性についても確認されています。このドキュメントでは、VersaStack 上に構築した VMware vSphere 5.5 Update 2 を使用したソリューションについて説明しています。シスコと IBM が作成したこのドキュメントでは、共有インフラストラクチャ プラットフォームの導入における、設計上の選択と採用したベスト プラクティスについて説明しています。
IT 業界では、コンバージド ソリューションとクラウド コンピューティングへと向かうデータセンターの大規模な変革が進んでいます。企業のお客様は、コンピューティング、ネットワーク、ストレージといった複数のレイヤから、統合されたスタックへと移行しつつあります。それにより、クラウド コンピューティングを利用したコスト効率の高い仮想化環境の基盤を構築し、俊敏性とコスト削減を実現しようとしています。
このプロセスを加速し、共有クラウド インフラストラクチャへの発展を容易にするために、シスコと IBM は、VMware vSphere® 向けの VersaStackTM 上で利用できるソリューションを開発しました。両者のパートナーシップの下で、このソリューションを自動化とセルフサービス機能で強化し、VersaStackTM を使用したその他のソリューションを開発する計画が進んでいます。
対象読者としては、セールス エンジニア、フィールド コンサルタント、プロフェッショナル サービス、IT マネージャ、パートナー エンジニアリング、およびインフラストラクチャにより IT の効率向上と革新を実現したいお客様が挙げられますが、それらに限定されるわけではありません。
クラウド機能の有無に関わらず、共有インフラストラクチャへの移行を検討しているお客様は、いくつもの課題に直面することになります。これらの課題の多くは、期待するレベルの効率性を獲得してビジネス目標を達成するために、どこから始めてどのように進めればよいかがわからないことが原因です。マルチテナントの統合プラットフォームのホストに関して経験があるお客様でも、最適なソリューションを得るには、重要な領域の課題に対応する必要があります。そのような領域としては、選択したコンポーネントの互換性、投資保護を維持した拡張性、統合スタックの効率的で容易な管理性などが挙げられます。期待される投資回収率(ROI)を実現し、目標復旧時間(RTO)と目標復旧時点(RPO)を達成するためには、これらすべての要因が重要な考慮事項になります。
互換性と拡張性があり、使いやすい標準ベースのコンポーネントを統合することで、VersaStack は計画、設計、実装段階でのお客様の課題に対応します。VersaStack を導入すると、効率的かつ直観的なフロントエンド ツールによって、簡単かつ俊敏にプラットフォームを管理する手段が得られます。それにより VersaStack アーキテクチャは、必要なガイダンスと目に見える価値を提供しながら、お客様のリスクを軽減し、重大な問題点を解消します。その結果、あらゆるお客様のワークロードの変化に対応可能な、一貫性のあるプラットフォームを確立できます。
VersaStack の新しいバージョンは、従来のモデルと比較して、次のような設計要素を特長としています。
· IBM FlashSystem V9000 ストレージ アレイを使用した Cisco Nexus 9000 スイッチの検証
· 8 Gb および 16 Gb ポートを備えた Cisco MDS 9148S スイッチの検証
· Cisco UCS 2.2(3) 以降のリリースと Cisco UCS B200-M4 サーバのサポート
· IBM FlashSystem ソフトウェアの最新リリース 7.4.1.2 および 7.5.1.0 のサポート
· ブロック ストレージ ベースのデータストアを含むファイバ チャネル ベースのストレージ設計
· LUN への iSCSI および FCoE アクセスのサポート
Cisco と IBM は、VersaStack ソリューション アーキテクチャおよびその多数の使用例を徹底的に確認および検証し、お客様のデータセンターを共有インフラストラクチャ モデルに移行させるために役立つ詳細なドキュメント、情報、参考資料のポートフォリオを作成しました。このポートフォリオには、たとえば次のような項目が含まれています。
· アーキテクチャ設計のベスト プラクティス
· ワークロードのサイズ設定と拡張のガイダンス
· 実装と導入の手順
· 技術仕様(VersaStack 構成の要件を示すルール)
· よく寄せられる質問(FAQ)
· さまざまなユース ケースに焦点を当てた Cisco Validated Design(CVD)と IBM Redbooks
またシスコと IBM は、顧客担当者、技術営業担当者、プロフェッショナル サービス、さらにテクニカル サポート エンジニアで構成される、VersaStack ソリューションに特化した、強固で経験豊富なサポート チームを構築しました。IBM とシスコによるサポート アライアンスにより、お客様とチャネル サービス パートナーは、テクニカル エキスパートのサポートを直接受けることができます。テクニカル エキスパートはさまざまなベンダーと協力し、共有ラボ リソースを利用して潜在的な問題を解決します。
VersaStack によってハイパーバイザとの緊密な統合が図られ、長期的な投資のための論理的な選択として、仮想化環境とクラウド インフラストラクチャが実現します。表 1 に VersaStack の機能を示します。
表 1 VersaStack コンポーネントの機能
IBM FlashSystem V9000 オールフラッシュ ストレージ | Cisco UCS および Cisco Nexus 9000 スイッチ |
リアルタイム圧縮 | ユニファイド ファブリック |
IP レプリケーションの強化 | 仮想 I/O |
フォーム ファクタのスケーリング機能 | 拡張メモリ |
アプリケーションに依存しない階層化 | ポリシー ベース管理によるステートレス サーバ |
フラッシュ最適化 | 一元管理 |
ビッグデータと分析の実現 | アプリケーション セントリック インフラストラクチャ(ACI) |
| 投資保護 |
| 拡張性 |
| 自動化 |
VersaStack は、コンピューティング、ストレージ、およびネットワークを統合することで、簡素化と高速化を実現し、データセンターの構築やアプリケーションの展開に伴うリスクを最小限に抑える、事前検証済みのインフラストラクチャです。この統合システムにより、スタッフの専門知識、アプリケーションのオンボーディング、自動化を促進し、コンプライアンスと認定に関する運用効率を向上させることができる、データセンターでの標準化されたアプローチが可能になります。
VersaStack は、可用性と拡張性が高いインフラストラクチャです。IT 部門は、複数の物理アプリケーションと仮想アプリケーションのワークロードをサポートするように、このインフラストラクチャを進化させることができます。また、サーバやネットワークからストレージまで、どのレベルにおいても単一障害点が発生しません。このファブリックは十分な冗長性と拡張性を備えており、物理レイヤまたは仮想レイヤで個々のコンポーネントに障害が発生した場合でも、シームレスなトラフィック フェールオーバーが行われます。
VersaStack では、仮想マシンをネットワークに安全に接続できます。このソリューションでは、仮想 LAN(VLAN)、Quality of Service(QoS)、Cisco Nexus 1000v 仮想分散スイッチなどのテクノロジーを使用して、統合されたコンピューティング スタック内でネットワーク ポリシーとサービスを均一に適用できます。この機能により、ワークロードが移動しても、スタック全体でアプリケーション ポリシーとセキュリティ ポリシーの一貫性を維持しながら、VersaStack を完全に活用できます。
VersaStack は、アプリケーション ワークロードに対応するリソースの共有プールの特性を明確にし、文書化することで、IT アーキテクチャに対する統一されたアプローチを実現します。VersaStack では、運用効率と一貫性が向上するだけでなく、次のようなさまざまな SLA および IT イニシアチブに対応する汎用性が得られます。
· アプリケーション展開またはアプリケーション移行
· ビジネスの継続性と障害回復
· デスクトップの仮想化
· クラウド提供モデル(パブリック、プライベート、ハイブリッド)およびサービス モデル(IaaS、PaaS、SaaS)
· アセットの統合および仮想化
VersaStack は、次のコンポーネントを含む、データセンター アーキテクチャのベスト プラクティスです。
· Cisco Unified Computing System(Cisco UCS)
· Cisco Nexus および MDS スイッチ
· IBM FlashSystem および IBM Storwize ファミリ ストレージ
図 1 VersaStack のコンポーネント
これらのコンポーネントは、Cisco と IBM のベスト プラクティスに従って接続・構成されており、多様なエンタープライズ ワークロードを安全に実行できる理想的なプラットフォームとなっています。このドキュメントで説明するリファレンス アーキテクチャのスイッチング要素には、Cisco Nexus 9000 を使用しています。VersaStack はパフォーマンスと容量を向上させるために拡張することができます(必要に応じて、コンピューティング、ネットワーク、またはストレージ リソースを個別に追加可能)。また複数の導入を一貫して行う必要がある(VersaStack スタックを追加して展開する)環境では、スケール アウトも可能です。
VersaStack の重要なメリットの 1 つは、大規模な環境でも一貫性を維持できることにあります。図 1 に示す各コンポーネント ファミリ(Cisco Unified Computing System、Cisco Nexus、IBM Storewize および FlashSystem)はそれぞれ、VersaStack の構成と接続のベスト プラクティスで必要となる特長や機能と同様のものをサポートする一方で、インフラストラクチャをスケール アップまたはスケール ダウンするためのプラットフォームとリソースの選択肢を提供します。
設計原則は、目的に従ったアーキテクチャを確実に実装するためのガイドラインです。これによって、コンポーネントと手法をビジネス目標に結び付けることができます。
VersaStack は、次の 5 つの主要な設計目標に対応しています。
· 可用性:アプリケーションとサービスへの確実なアクセスを実現し、いつでも使用できるようにします。
· 拡張性:アーキテクチャ フレームワークの範囲で容量のニーズに対応します。
· 汎用性:インフラストラクチャを変更することなく、新しいサービスをすばやくサポートします。
· 効率性: ポリシー管理と API 管理を通じて、効率的なインフラストラクチャ運用を促進します。
· 簡素化:使いやすさを重視し、導入と運用に伴うコストの削減を可能にします。
VersaStack アーキテクチャでは、モジュール型の冗長コンポーネントを、使いやすい一元的なインターフェイスを通じて管理することで、拡張性、可用性、簡素化を優先的に確保します。
アーキテクチャの原則と機能の組み込みの根拠をいくつか以下に示します。
· 最小共通メカニズム:この原則では、共通/共有モジュールのグローバル化の必要性が強調されています。これには重複を減らす効果があり、効率性のさらなる向上とメンテナンスの簡素化につながります。VersaStack では Cisco UCS Manager、IBM FlashSystem V9000、Storwize V7000 ソフトウェアなどの一元化された管理マネージャが実装され、コンピューティングとストレージの完全なスケール アウト導入が可能になっています。
· 効率的なアクセス調整:VersaStack のアプリケーション セントリック インフラストラクチャ(ACI)機能は、パフォーマンスと柔軟性を向上させるハードウェア コンポーネントとソフトウェア コンポーネントで構成されます。
Cisco UCS Director を組み込むことで、管理レイヤでのさらなる統合が可能であり、さらに俊敏で管理が容易な統合スタックが実現します。
パフォーマンスと包括的なセキュリティという重要な設計基準については、このソリューションでは直接的に対応されていませんが、それらは他の販促資料やベンチマーキング、ソリューション テストの取り組みなどで対応されます。この設計ガイドでは、機能と基本的なセキュリティ要素について検証します。
VersaStack 設計のメリットを次に示します。現行の VersaStack 設計には、ストレージとして IBM FlashSystem V9000 が選択可能です。
· VersaStack All Flash では、IBM FlashSystem V9000 のハードウェアとソフトウェアの機能、IBM FlashCore テクノロジーのフル機能、そして豊富なストレージ仮想化機能が活用されています。
· VersaStack All Flash では IBM FlashSystem V9000 ハードウェアを活用して、単一の V9000 コントロール エンクロージャに接続された最大 57 TB の内部ストレージをサポートします。またフルスケールすることで、効率性の高い最大 2.2 PB の容量がオール フラッシュにより確保することが可能です。圧縮アクセラレータによってサポートされたリアルタイム圧縮と Easy Tier によるフラッシュ最適化が、ストレージの効率性とパフォーマンスを向上させます。
· VersaStack Unified システムでは、IBM Storwize V7000 Unified のハードウェアとソフトウェアの機能を活用することで、管理タスクを簡素化しながらデータセンターの効率性向上が実現します。
· VersaStack Unified では IBM Storwize V7000 Generation 2 ハードウェアを活用して、単一の V7000 コントロール エンクロージャに接続された最大約 2 PB の内部ストレージをサポートします。またフルスケールした場合、最大 7.87 PB の容量が確保されています。圧縮アクセラレータによってサポートされたリアルタイム圧縮と Easy Tier によるフラッシュ最適化が、ストレージの効率性とパフォーマンスを増大させます。
· VersaStack の重要なメリットとしては、FlashSystem V9000 と Storwize ソフトウェアの仮想化機能が挙げられます。これにより管理者は、外部ストレージのボリュームを一元的に管理できます。仮想化によって、FlashSystem と Storwize の使いやすい GUI を通じて管理タスクを簡素化するだけでなく、すべての機能を活用してストレージの使用率と能力を向上できます。管理者はアプリケーションを中断することなくデータを移行できるため、バックアップ、メンテナンス、アップグレードで発生するダウンタイムを回避できます。
· VersaStack Unified では IBM Storwize V7000 Unified を使用して、ファイルとブロック データの管理を 1 つのインターフェイスに統合できます。
Cisco Nexus 9000 ファミリのスイッチは、NxOS スタンドアロン モードと Application Centric Infrastructure(ACI)ファブリック モードの 2 つの動作モードをサポートしています。スタンドアロン モードでは、スイッチは一般的な Cisco Nexus スイッチとして動作しながら、ポート密度の向上、低遅延、40 G 接続が実現します。ファブリック モードでは、管理者が Cisco ACI を利用できます。
Cisco Nexus 9000 スタンドアロン モードの VersaStack 設計は、Cisco Nexus 9000 トップ オブ ラック スイッチの 1 つのペアで構成されています。ACI ファブリック モードでは、Cisco Nexus 9500 および 9300 スイッチがスパイン リーフ アーキテクチャで展開されています。このドキュメントで説明するリファレンス アーキテクチャでは ACI が使用されていませんが、Cisco Nexus 9000 スイッチを統合することで、ACI への移行基盤とすることができます。
アプリケーション セントリック インフラストラクチャ(ACI)は、一元化された自動化とポリシーベースのアプリケーション プロファイルによる包括的なアーキテクチャです。ACI では、ハードウェア パフォーマンスの拡張性によりソフトウェアの柔軟性を実現します。ACI の主な特長:
· アプリケーション主導のポリシー モデルによる自動化の簡素化
· リアルタイムのアプリケーション ヘルス モニタリングによる一元的な可視性
· DevOps チームおよびエコシステム パートナーの統合に対応したオープンなソフトウェアの柔軟性
· ハードウェアのスケーラブルなパフォーマンスとマルチテナント機能
ACI によるネットワーキングは、DevOps およびアプリケーションの急速な変化に対応するために導入、監視、管理できるネットワークを将来提供することを目的としています。ACI は、リソースのプロビジョニングおよび管理の自動化を可能にする共通のポリシー フレームワークと複雑度の軽減により、これらを実現します。
VersaStack 内のコンピューティング、ネットワーク、およびストレージ コンポーネントにより、ブロック(iSCSI およびファイバ チャネル)とファイル(NFS/CIFS)のインターフェイスおよびプロトコル オプションが提供されます。これにより柔軟性が確保され、複数の設計オプションから選択できるようになります。使用可能なインターフェイスとサポート対象のプロトコルを使用した、関連オプションの一部を次に示します。
IBM FlashSystem V9000 の現行の設計ではブロック ストレージだけが提供されており、NFS/CIFS などのファイル ストレージはサポートされていません。ただしこの設計では、お客様のデータセンター内の既存のストレージに NFS 接続によってアクセスできます。VersaStack ALL Flash システムでは、高速のファイバ チャネル接続によって、IBM FlashSystem V9000 ストレージに対するブロック ストレージ アクセスが可能になっています。
VersaStack All Flash システムの導入では、IBM FlashSystem V9000 ストレージによるオール フラッシュ ブロック ストレージが活用されます。図 2 に示すように、この設計ではコンピューティング、ネットワーク、およびストレージ レイヤで完全な冗長性が確保されています。単一のデバイスやトラフィック パスに起因する単一障害点はありません。図に示す FlashSystem V9000 には、12 の MicroLatency Flash モジュールと 2 つのコントロール エンクロージャが含まれます。これにより適切な冗長性が確保されます。
図 2 All Flash VersaStack のデザイン
図に示すように、リンク集約テクノロジーが重要な役割を果たしています。それにより、ソリューション スタック全体の総帯域幅とリンクの復元力が向上します。Cisco Unified Computing System と Cisco Nexus 9000 プラットフォームでは、802.3ad 標準 Link Aggregation Control Protocol(LACP)によるアクティブ ポート チャネリングがサポートされています。ポート チャネリングは、リンクの耐障害性とトラフィック分散(ロード バランシング)を可能にするリンク集約手法であり、全メンバー ポートの総帯域幅が増加します。さらに、Cisco Nexus 9000 シリーズは仮想 PortChannel(vPC)機能を備えています。vPC により、異なる 2 つの Cisco Nexus 9000 シリーズ デバイスに物理的に接続されたリンクが、第 3 のデバイスでは 1 つの「論理的な」ポート チャネルとして認識され、デバイスの耐障害性が得られます。vPC により、総帯域幅、リンク、デバイスの復元力が向上します。
Cisco Nexus 設計では、ブロック ストレージ アクセス用に 8 Gb および 16 Gb 対応の FC ファブリックが組み込まれています。これは、IBM FlashSystem V9000 コントロール エンクロージャから Cisco MDS スイッチへ、また Cisco MDS スイッチから Cisco UCS ファブリック インターコネクトへの FC アップリンクによって定義されています。
Cisco Nexus 9000 設計は、専用の SAN スイッチ環境で導入できます。また、直接ファイバ チャネル接続が不要な場合、iSCSI または FCoE を使用することができます。FCoE は 10GbE ロスレス イーサネット以上のみをサポートします。現行のシステム検証には、MDS 9148S スイッチによって実現する専用の SAN スイッチング環境が含まれています。これは、All Flash VersaStack システムでの高性能と高可用性に対する要求に対応するためです。
次の図 3 に、VersaStack All Flash システム内の SAN 接続の詳細を示します。冗長ホスト VSAN が、8 Gb ホスト、または独立したファブリックを通じた V9000 コントローラとのサーバ トラフィックをサポートします。また冗長 VSAN のもう 1 つのペアによって、コントローラは MDS スイッチの 16 Gb ポートを使用したストレージ エンクロージャへの接続が可能になります。
図 3 SAN 接続 – オール フラッシュ ブロック ストレージ
SAN インフラストラクチャでは、中断することなくストレージ エンクロージャや構成要素を追加できます。ファイバ接続に MDS 9148S スイッチのペアを使用することで、冗長性を確保します。MDS スイッチの VSAN を使用して別個のファブリックを作成することで、クラスタ インターコネクトをサポートする、専用のホストまたはサーバ側のストレージ エリア ネットワーク(SAN)とプライベート ファブリックが得られます。
VSAN による論理ファブリックの分離には、次のような利点があります。
1. ホストまたはサーバが誤ってストレージ エンクロージャに直接アクセスする可能性がなくなる。
2. ホスト側またはサーバ側 SAN で輻輳が発生しないため、ホスト側またはサーバ側 SAN と FlashSystem V9000 の両方のパフォーマンスが向上する。
SAN インフラストラクチャは拡張性に優れており、コントローラおよびストレージ エンクロージャを追加して、VersaStack システムの構成要素を 1 つから複数に拡張できます。これにより、データセンターの要件に対応できます。
この CVD では取り上げていない All Flash VersaStack のその他の設計オプションとして、V9000 のビルディング
ブロックへの直接接続が挙げられます。小規模な導入では、直接接続構成で VersaStack All Flash を導入することで、個別のファイバ チャネル スイッチが不要になります。
固定構成要素には、FlashSystem V9000 が 1 台含まれます。ストレージ エンクロージャは、各コントロール エンクロージャに 8 Gb リンクによって直接ケーブル接続され、各コントロール エンクロージャは Cisco UCS ファブリック インターコネクトに直接接続されます。コントロール エンクロージャは、スイッチまたは SAN ファブリックを使用することなく直接接続され、クラスタ リンクが形成されます。固定構成要素は、拡張性のあるビルディング ブロックにアップグレードできますが、このアップグレード プロセスは停止を伴います。
このタイプの導入では、ファブリック インターコネクトの動作は FC スイッチング モードに変更されます。FC ゾーン分割が Cisco UCS SAN 接続ポリシーによって自動化され、ファブリック インターコネクトに適用されるため、新しいサーバの導入が容易になります。
図 4 VersaStack All Flash の直接接続デザイン
この設計は、ファイル ベースおよびブロック ベースのストレージのサポートにおける VersaStack 設計の柔軟性を示すために紹介されています。この設計については現行の CVD では対象となりません。現行の設計には、ブロック ベースのストレージだけが得られる IBM FlashSystem V9000 が含まれています。
以下の VersaStack 設計は、VMware データストアに対する NFS アクセスと SAN ブート用 FC、さらに IBM Storwize V7000 Unified を使用した追加の VMFS データストアで構成された、統合インフラストラクチャを示しています。
図 5 は、IBM Storwize V7000 Unified を使用したファイル ストレージおよびブロック ストレージを含む、VersaStack Unified システムの詳細を示しています。オール フラッシュ設計と同様に、VersaStack Unified 設計でも、コンピューティング、ネットワーク、およびストレージ レイヤの完全な冗長性が確保されています。デバイスまたはトラフィック パスの観点から見た単一障害点はありません。ここに示す Storwize V7000 コントローラは、それぞれ 2 つのクラスタ ノードに対応する 2 つのノード キャニスター、さらに 24 のディスク ドライブを含む、1 つのエンクロージャで構成されています。
図 5 拡張性の高いマルチプロトコル VersaStack 設計
VersaStack Unified 設計には、IP ベースの NFS を使用したファイル アクセスと FC ベースのブロック アクセスのストレージ ソリューションが組み込まれています。このソリューションでは、10 GbE 対応で 40GbE まで対応可能なイーサネット ファブリックが実現しています。これは Cisco UCS ファブリック インターコネクトからのイーサネット アップリンクと、V7000 ファイル モジュールを通じて Cisco Nexus スイッチに接続されている IBM Storwize V7000 ストレージからのイーサネット アップリンクによって定義されます。
Cisco Nexus 設計では同様に、8 Gb 対応で 16 Gb まで対応可能な FC ファブリックがブロック アクセス用に組み込まれています。これは、IBM Storwize V7000 コントロール エンクロージャから Cisco Nexus スイッチへの Cisco MDS スイッチを通じた FC アップリンクによって定義されます。
Cisco Nexus 9000 設計は、専用の SAN スイッチング環境に導入するか、SAN プロトコルに iSCSI を使用した直接ファイバ チャネル接続を必要としません。
VersaStack 設計の詳細については、次の URL を参照してください。http://www.cisco.com/c/en/us/solutions/enterprise/data-center-designs-cloud-computing/versastack-designs.html [英語]
VersaStack All Flash の設計を実装するには次のコンポーネントが必要です。
· Cisco Unified Compute System
· Cisco Nexus 9372PX シリーズ スイッチ
· Cisco MDS 9148S シリーズ スイッチ
· IBM FlashSystem V9000 およびクラスタ接続用の 16 Gb ファイバ チャネル アダプタとホスト接続用の 8 Gb ファイバ チャネル アダプタ
· VMware vSphere 5.5 U2
Cisco Unified Computing System は、ブレードおよびラック サーバ コンピューティングの次世代ソリューションです。
このシステムは、低遅延のロスレス 10 ギガビット イーサネット ユニファイド ネットワーク ファブリックと、エンタープライズクラスの x86 アーキテクチャ サーバを統合します。このシステムは、すべてのリソースが単一の管理ドメインに集約された、統合型の拡張性に優れたマルチシャーシ プラットフォームです。Cisco Unified Computing System は、エンドツーエンドのプロビジョニングと、仮想化システムと非仮想化システムに対する移行サポートを通じて、新しいサービスを簡単、確実、安全に提供します。
Cisco Unified Computing System は、次のコンポーネントで構成されています。
· Cisco UCS Manager(http://www.cisco.com/web/JP/product/hs/ucs/cum/index.html)は、Cisco Unified Computing System 内のすべてのソフトウェア コンポーネントとハードウェア コンポーネントを管理する、統合された組み込みの管理機能を提供します。
· Cisco UCS 6200 シリーズ ファブリック インターコネクト(http://www.cisco.com/web/JP/product/hs/ucs/ucs6200/index.html)は、ライン レート、低遅延、ロスレスの 10 Gbps イーサネットおよび Fibre Channel over Ethernet インターコネクト スイッチのファミリで、Cisco Unified Computing System の管理と通信バックボーンを提供します。
· Cisco UCS 5100 シリーズ ブレード サーバ シャーシ(http://www.cisco.com/web/JP/product/hs/ucs/ucs5100/index.html)は、6 台のラック ユニット(RU)で最大 8 台のブレード サーバおよび 2 台のファブリック エクステンダをサポートします。
· Cisco UCS B シリーズ ブレード サーバ(http://www.cisco.com/web/JP/product/hs/ucs/ucs_b/index.html)は、Intel ベースのブレード サーバのパフォーマンス、効率性、汎用性、生産性を向上させます。
· Cisco UCS C シリーズ ラック マウント サーバ(http://www.cisco.com/en/US/products/ps10493/index.html [英語])は、業界標準のフォーム ファクタでユニファイド コンピューティングの機能を提供できるため、TCO の軽減と俊敏性の向上に役立ちます。
· Cisco UCS アダプタ(http://www.cisco.com/web/JP/product/hs/ifmodule/ucsa/index.html)wire-once アーキテクチャでは幅広いオプションが用意されており、ファブリックの集約、仮想化の最適化、管理の簡素化を実現します。
Cisco Nexus 2232PP 10G は、コンパクトな 1 ラック ユニット(1RU)フォーム ファクタに、10 Gb イーサネットおよび Fibre Channel Over Ethernet(FCoE)Small Form-Factor Pluggable Plus(SFP+)サーバ ポート 32 個と、10 Gb イーサネットおよび FCoE SFP+ アップリンク ポート 8 個を搭載しています。
Cisco UCS C シリーズ ラックマウント サーバと Cisco UCS Manager を統合することで、Cisco Nexus 2232 プラットフォームを通じて、Cisco UCS Manager GUI または Cisco UCS Manager CLI を使用したサーバの管理が可能になります。Cisco Nexus 2232 は、統合された Cisco UCS C シリーズ サーバのデータ制御とトラフィック制御をサポートします。
Cisco Nexus 9000 シリーズ スイッチは、モジュール型(9500 スイッチ)と固定型(9300 スイッチ)の両方の 10/40/100 ギガビット イーサネット スイッチ構成を提供し、次のいずれかのモードで動作するように設計されています。
· 従来のアーキテクチャ用の Cisco NX-OS モード
· ACI のポリシーに基づいたサービスとインフラストラクチャ自動化機能を最大限に活用できる ACI モード
· 高性能かつ高密度で、エネルギー効率の高い従来型の 3 層アーキテクチャまたはリーフスパイン アーキテクチャを実現
· アプリケーション導入を自動化し、簡素化、俊敏性、柔軟性を実現する Cisco ACI の基盤を提供
· 最大 60 Tbps のノンブロッキング パフォーマンス、遅延は 5 マイクロ秒以下
· ノンブロッキングのレイヤ 2 およびレイヤ 3 イーサネット ポート(10 Gbps の場合は最大 2,304 個、
40 Gbps の場合は最大 576 個)
· ワイヤスピードの仮想拡張 LAN(VXLAN)ゲートウェイ、ブリッジング、ルーティングのサポート
· 運用を中断しない完全な Cisco In-Service Software Upgrade(ISSU)とパッチの適用
· 完全な冗長性を持ち、ホットスワップ可能なコンポーネント
· サードパーティ製とシスコ製の ASIC を組み合わせることで信頼性とパフォーマンスが向上
· ミッドプレーンのないシャーシ設計によりエアーフローを最適化し、エネルギー要件を緩和
· ASIC の数を減らした最適化設計でエネルギー消費を軽減
· スイッチに搭載された効率的な電源装置は 80 Plus Platinum 規格に対応
· シスコの 40 Gbps 双方向トランシーバにより、既存の 10 ギガビット イーサネットのケーブル設備を 40 ギガビット イーサネットに再利用可能
· 次世代の ASIC に対応可能な設計
· NX-OS と ACI の両モードで Cisco Nexus 2000 シリーズ ファブリック エクステンダをサポート
· NX-OS モードから ACI モードへのスムーズな移行
ACI ファブリック モードを活用する場合、Cisco Nexus 9500 および 9300 スイッチは、スパイン/リーフ型アーキテクチャに導入されます。このドキュメントで説明するリファレンス アーキテクチャでは ACI が使用されていませんが、Cisco Nexus 9000 スイッチを導入することで、ACI への移行基盤とすることができます。アプリケーション セントリック インフラストラクチャ(ACI)は、一元化された自動化とポリシーベースのアプリケーション プロファイルによる包括的なアーキテクチャです。ACI では、ハードウェア パフォーマンスの拡張性によりソフトウェアの柔軟性を実現します。
詳細については、以下を参照してください。
http://www.cisco.com/c/en/us/products/switches/nexus-9000-series-switches/index.html [英語]
Cisco Nexus 1000V シリーズ スイッチは、仮想マシン(VM)とクラウド ネットワーキングに総合的かつ拡張可能なアーキテクチャのプラットフォームを提供します。VMware vSphere ハイパーバイザと一体化し、VMware vCloud® Director と完全に互換性がある Cisco Nexus 1000V シリーズには、次のような機能があります。
· Cisco NX-OS オペレーティング システムと IEEE 802.1Q スイッチング テクノロジーに基づいた高度な仮想マシン ネットワーキング
· 仮想ネットワーク サービスと効率的、最適に統合された Cisco vPath テクノロジー
· Virtual Extensible Local Area Network(VXLAN)によりクラウド ネットワーキングに対応
· ポリシーベースの仮想マシン接続
· モビリティのある仮想マシンのセキュリティとネットワーク ポリシー
· サーバ仮想化およびネットワーキング チームのための中断を発生させない運用モデル
· Cisco vPath による仮想化ネットワーク サービスで、ロード バランシング、ファイアウォール、WAN アクセラレーションなど、L4 ~ L7 のネットワーク サービスを単一のアーキテクチャで提供します。詳細については、
以下を参照してください。
— http://www.cisco.com/web/JP/product/hs/switches/nexus1000/index.html
— http://www.cisco.com/web/JP/product/hs/switches/nexus1000/nexus1010/index.html
Cisco® MDS 9148S 16G マルチレイヤ ファブリック スイッチは、信頼性と柔軟性に優れた低コストの次世代 Cisco MDS 9100 シリーズ スイッチです。高いパフォーマンスと、卓越した柔軟性とコスト効率を兼ね備えています。この高性能でコンパクトな 1 ラック ユニット(1RU)スイッチは、ラインレート 16 Gbps ファイバ チャネル ポートを 12 から 48 に拡張できます。Cisco MDS 9148S は、管理が容易な高度なストレージ ネットワーキング機能と Cisco MDS 9000 ファミリ ポートフォリオとの互換性により、信頼性に優れたエンドツーエンド接続を実現します。
表 2 に、Cisco MDS 9148S の主な機能と利点を示します。
機能 | 利点 |
すべてのプラットフォームに共通のソフトウェア | ファブリック全体で一貫性のあるプロビジョニング、管理、診断機能に対応した Cisco NX-OS および Cisco Prime DCNM を使用することで総所有コスト(TCO)を削減します。 |
PowerOn Auto Provisioning | ソフトウェア イメージの導入とアップグレードを自動化します。 |
スマート ゾーン分割 | ハードウェア リソースの消費を抑え、ゾーンの作成と管理に必要な管理時間を短縮します。 |
インテリジェント診断/ハードウェア ベースの低速ポート検出 | ファイバ チャネル Ping と Traceroute を使用して、フローの正確なパスとタイミングを特定し、Cisco スイッチド ポート アナライザ(SPAN)/リモート SPAN(RSPAN)と Cisco Fabric Analyzer を使用して、ネットワーク トラフィックをキャプチャおよび分析することで、信頼性の向上、問題解決の迅速化、サービス コストの削減を実現します。 |
仮想出力キューイング | ヘッドオブライン ブロッキングを回避することで、各ポートでラインレートのパフォーマンスが確保されます。 |
高性能 ISL | マルチパス ロード バランシングにより、最大 16 の物理 ISL を単一の論理 PortChannel バンドルに集約することで、帯域利用率を最適化します。 |
インサービス ソフトウェア アップグレード | 計画的なメンテナンスとソフトウェア アップグレードのダウンタイムを短縮します。 |
詳細については、次のマニュアルを参照してください。
この検証済み設計で使用されるストレージ コントローラの IBM FlashSystem V9000 は、ワークロードに対する厳しい要求にも対応するように設計されています。IBM FlashSystem V9000 は、フラッシュ向けに最適化された、エンタープライズ クラスの仮想化ストレージ システムであり、効果的なストレージ インフラストラクチャの導入を簡素化し、データ ストレージの経済性に変化をもたらすための基盤となります。仮想サーバ環境を補完するために設計されたこれらのモジュラ ストレージ システムは、ビジネス ニーズの変化に対応するために必要な柔軟性と即応性を提供します。
IBM FlashSystem V9000 には次のホスト インターフェイスがあります。
· SAN 接続に対応する 16 Gbps ファイバ チャネル
· SAN 接続に対応する 8 Gbps ファイバ チャネル
· 1 Gbps iSCSI
· オプションの 10 Gbps iSCSI/FCoE
IBM FlashSystem V9000 の各コントロール エンクロージャでは、最大 128 GB の内部キャッシュが確保されており、書き込みの高速化と最適化が実現し、ハードウェアが高速化され、リアルタイム圧縮のパフォーマンスが向上します。
IBM FlashSystem V9000 は、次のようなさまざまな特長を備えた Storwize ソフトウェアが導入されます。
· IBM リアルタイム圧縮
· IBM Easy Tier によるストレージの自動階層化
· 外部ストレージの仮想化およびデータ マイグレーション
· メトロ・ミラーによる、同期データ複製
· グローバル・ミラーによる、非同期データ複製
· FlashCopy による、ほぼ即時のデータ バックアップ
ストレージ業界における重要な差別化要因となるのが、IBM のリアルタイム圧縮です。リアルタイム圧縮は他の圧縮アプローチとは異なり、圧縮アクセラレータと呼ばれる専用のハードウェアを利用することで、アクティブなプライマリ データに対して機能します。それによって実稼働データベースや電子メール システムなどの広範なデータに対する効率性が大幅に向上し、同じ物理ディスク領域に保存できるアクティブ データと比較して最大 5 倍のストレージ容量が得られます。
IBM Easy Tier は、アクティブ データを自動的に識別し、フラッシュなどの高速なストレージに移動させることで、効率性を高めながらさらにパフォーマンスを向上させます。つまりフラッシュ ストレージがより優先度の高いデータに使用されることになり、フラッシュ容量が少なくてもパフォーマンスが向上します。フラッシュがないシステムでも、ホット スポットが自動的に検出され、データが再分配されるため、パフォーマンスが最適化されます。
詳細については、http://www-03.ibm.com/systems/storage/flash/v9000/ [英語] を参照してください。
VMware vSphere は、処理、メモリ、ネットワーク、ストレージで構成された IT リソースのプールを管理する、優れた仮想化プラットフォームです。仮想化により、同一の物理ホスト上で、独立した複数の仮想マシンを稼働できます。すべてのサーバ リソースをアプリケーションの 1 つのインスタンスに集中させる従来のオペレーティング システムとは異なり、vSphere ではサーバ ハードウェアのリソースを高い精度で管理し、複数のインスタンスを動的にサポートできます。
詳細については、http://www.vmware.com/products/datacenter-virtualization/vsphere/overview.html [英語] を参照してください。
このセクションでは、VersaStack のドメインと要素の管理について、概要を示します。
· Cisco UCS Manager
· Cisco UCS Central
· IBM FlashSystem V9000 統合管理 GUI
· VMware vCenter™ Server
· Cisco UCS Performance Manager
Cisco UCS Manager では組み込み機能によって、複数のシャーシにまたがる Cisco Unified Computing System(UCS)ソフトウェアおよびハードウェア コンポーネントを一元的かつ統合的に管理できます。最大 160 台のサーバに対応し、数千単位の仮想マシンをサポートできます。管理者は直観的な GUI、コマンドライン インターフェイス(CLI)、または XML API を通じて、Cisco Unified Computing System 全体を、ドメインと呼ばれる 1 つの論理エンティティとして管理できます。
Cisco UCS Manager は、クラスタ化されたアクティブ/スタンバイ構成を使用してハイアベイラビリティを実現する Cisco UCS 6200 シリーズ ファブリック インターコネクトのペア上に組み込まれます。Cisco UCS Manager と Cisco VIC のプログラマビリティによって、ステートレスなサーバが実現し、管理者はサーバのプロビジョニング、デバイス検出、インベントリ、構成、診断、監視、障害検出、監査、統計情報収集を 1 つのインターフェイスで行うことができます。ステートレスとは、サーバの ID を基盤のハードウェアから分離し、必要に応じて新しいサーバの ID を引き継ぐことができることを意味します。
Cisco UCS サーバは、MAC、UUID、WWN、ファームウェア、BIOS のバージョンなどのサーバの識別情報を、冗長化されたファブリック インターコネクトにある Cisco UCS Manager 内のプールに保存する機能を備えています。Cisco UCS Manager のサービス プロファイルとテンプレートは、汎用的なロール ベースとポリシー ベースの管理をサポートしています。またシステム設定情報を構成管理データベース(CMDB)にエクスポートすることにより、IT Infrastructure Library(ITIL)概念へのプロセス準拠を促進できます。
コンピューティング ノードは、Cisco UCS サービス プロファイルを活用することで、Cisco UCS 環境に導入されます。サービス プロファイルにより、サーバ、ネットワーク、およびストレージ管理者は、必要に応じて割り当てと再割り当てができるコンピューティング容量として Cisco UCS サーバを利用できます。このプロファイルにより、サーバの I/O プロパティ、パーソナリティ、プロパティ、ファームウェアのリビジョンが定義され、Cisco UCS 6200 シリーズ ファブリック インターコネクトに保存されます。管理者はサービス プロファイルを使用することで、インフラストラクチャ リソースのプロビジョニングを数日間から数分間に短縮できます。より動的な環境が構築され、サーバ容量を効率的に利用できるようになります。
各サービス プロファイルは、サーバ ソフトウェア定義と、サーバの LAN および SAN 接続要件で構成されます。サービス プロファイルがサーバに導入されると、Cisco UCS Manager は、プロファイルで指定された設定に一致するように、サーバ、アダプタ、ファブリック エクステンダ、ファブリック インターコネクタを自動的に設定します。サーバ、ネットワーク インターフェイス カード(NIC)、ホスト バス アダプタ(HBA)、LAN および SAN スイッチの自動設定により、人的エラーのリスクが低減し、一貫性の向上と、サーバの導入時間の短縮が実現します。
サービス プロファイルは、仮想化環境と非仮想化環境の両方にメリットがあります。サーバ間でワークロードを移動させる場合や、サービスまたはアップグレードのためにサーバをオフラインにする場合など、仮想化されていないサーバのモビリティが向上します。また、プロファイルを仮想化クラスタとともに使用することで、新たなリソースをオンランインで簡単に追加できるため、仮想マシンの容量とモビリティを補完できます。
Cisco UCS Manager の詳細については、http://www.cisco.com/web/JP/product/hs/ucs/cum/index.html を参照してください。
Cisco UCS では、1 つのデータセンター内での拡張、複数の拠点での拡張、またはその両方を管理する場合でも、Cisco UCS Central Software は複数の Cisco UCS ドメインを一元的に管理します。その際、Cisco UCS Manager が 1 つのドメインをサポートするときと同じコンセプトで管理します。Cisco UCS Central Software は、Cisco UCS Manager のインスタンスで利用可能なグローバル リソース(ID とポリシーを含む)を管理します(図 6)。ポリシー(グローバル サービス プロファイルとして埋め込み済み)の適用を個々のドメインに委任でき、そのドメインで Cisco UCS Manager がポリシーを有効にします。初回リリースの Cisco UCS Central Software は、1 つのデータセンター内、またはサーバで使用される世界中の任意の数のドメインに分散している、最大 10,000 台までのサーバをサポートできます。
図 6 Cisco UCS 管理スタック
Cisco UCS を基盤とする物理インフラストラクチャや仮想環境データセンターでは、Cisco UCS Performance Manager を使用することで、異種混在環境の重要なシステム コンポーネント、ネットワーク接続、アプリケーション、およびビジネス サービスを一元的に監視できます。
Cisco UCS Performance Manager では、単一の管理コンソールによる詳細な監視が可能です。このソフトウェアは、Cisco UCS Manager の API とその他の Cisco® 製品やサードパーティ製コンポーネントの API I/F を使用して、データを収集し、統合インフラストラクチャとして俯瞰的かつ、各コンポーネント情報を集約し、相互関連性を含めた情報を表示します。
Cisco UCS Performance Manager は、以下の機能を提供します。
· Cisco UCS 統合インフラストラクチャのパフォーマンス監視および管理を一元化します。
· ネットワーク ファブリックおよびデータセンター スイッチの帯域幅使用状況とキャパシティのしきい値をリアルタイムに表示します。
· 各システムの接続関係を検出して関係モデルを作成し、すべてのコンポーネントを 1 つの正確なビューとして表示します。
· Cisco UCS サーバ、シスコ ネットワーキング、ストレージ、ハイパーバイザ、オペレーティング システムを対象としています。
· 個々のコンポーネント レベルにドリルダウンでき、速やかに状況詳細の把握と問題を特定、解決に導きます。
Cisco UCS Performance Manager の Express バージョンは、Cisco UCS ベースのコンピューティング プラットフォーム(物理および仮想)に対してのみ使用可能です。Express バージョンは、Cisco UCS サーバ、ハイパーバイザ、およびオペレーティング システムを対象としています。
図 7 Cisco UCS Performance Manager によるインフラストラクチャ コンポーネントの統合
図 8 Cisco UCS Performance Manager によるトポロジ表示
IBM FlashSystem V9000 の組み込みのユーザ インターフェイス(図 9)は操作が簡単なため、管理者はボリュームの作成や提供、ホスト マッピングなどのストレージ管理タスクを統合されたインターフェイスですばやく簡単に行うことができます。また、パフォーマンスをリアルタイムで監視することもできます(図 10)。
IBM FlashSystem V9000 の管理インターフェイスでは最新のソフトウェア更新を確認することができ、アップグレード ウィザードを使用すれば、数回クリックするだけで最新のソフトウェア リリースに更新できます。このインターフェイスでは、ソフトウェア更新の自動検出を利用できるため、セットアップ時間が大幅に短縮され、展開を簡単に行うことができます。
このインターフェイスは Web からアクセス可能で、製品に組み込まれているため、管理ソフトウェアのダウンロードや更新は必要ありません。
図 9 IBM FlashSystem V9000 の管理用 GUI の例
図 10 IBM FlashSystem V9000 の管理用 GUI によるリアルタイム パフォーマンス モニタリング
VMware vCenter は、プロセッサ、ストレージ、ネットワーキングなど、IT インフラストラクチャ リソースの大規模なコレクションを、シームレスで汎用的かつ動的な方法で管理できる仮想化管理アプリケーションです。大規模な VMware vSphere ホスト群を簡単かつ効率的に管理できます。すべてのホストと仮想マシンを 1 つのコンソールから統合して管理でき、クラスタ、ホスト、仮想マシンのパフォーマンス監視を集約できます。管理者はコンピューティング クラスタ、ホスト、仮想マシン、ストレージ、ゲスト OS、およびその他の仮想インフラストラクチャの重要なコンポーネントについて、ステータスと構成を詳細に把握できます。たった 1 人の管理者で、VMware vCenter Server を使用して 100 以上の仮想化環境のワークロードを管理することも可能です。これは、物理インフラストラクチャを管理する場合の一般的な生産性の 2 倍以上です。また、VMware vCenter では、VMware vSphere 環境で使用できる豊富な機能を管理できます。
詳細については、http://www.vmware.com/products/vcenter-server/overview.html [英語] を参照してください。
vCenter Server プラグインを使用すると、vCenter Server のさらに多くの機能を利用できます。vCenter Hardware Status や vCenter Service Status など、プラグインにはベースとなる vCenter Server 製品の一部としてインストールされるものもありますが、別途インストールが必要なプラグインもあります。VersaStack の検証プロセスでは、次のようなプラグインを使用しています。
Cisco Nexus 1000V 仮想スイッチは、VMware ESX 仮想化サーバ環境向けのソフトウェアベースのレイヤ 2 スイッチです。Cisco Nexus 1000V は、物理環境と仮想環境の両方で、一貫性のあるネットワーキング エクスペリエンスを提供します。これは 2 つのコンポーネントで構成されています。1 つはハイパーバイザに組み込まれているソフトウェア スイッチである仮想イーサネット モジュール(VEM)です。もう 1 つは、仮想マシンのネットワーキング ポリシーと Quality of Service を管理するモジュールである仮想スーパーバイザ モジュール(VSM)です。
Cisco Nexus 1000V リリース 4.2(1)SV2(1.1) 以降、VMware vCenter Server 用プラグインである vCenter プラグイン(VC プラグイン)が、Cisco Nexus 1000V 仮想スイッチでサポートされています。このプラグインにより、サーバ管理者は仮想ネットワークを表示し、Cisco Nexus 1000V 仮想スイッチのネットワーキングを可視化することができます。vCenter プラグインは、VMware vSphere Web Client のみでサポートされます。VMware vSphere Web Client では、VMware vCenter Server システムに接続し、ブラウザから Cisco Nexus 1000V を管理できます。vCenter プラグインは、vSphere Web Client のユーザ インターフェイスの一部として、Cisco Nexus 1000V の新たなタブにインストールされます。
vCenter プラグインを使用すると、管理者は VSM の設定情報を表示できます。また、サーバ管理者はネットワーキングの詳細を必要に応じてエクスポートし、分析できます。そのため、vCenter プラグインから得られる詳細に基づいて、ネットワーキング リソースを効率的に監視し、管理することができます。
IBM Spectrum Protect Snapshot(旧称:Tivoli Storage FlashCopy Manager)は、アプリケーションと連携するスナップショット バックアップとリストア機能により、重要なアプリケーションとデータベースの高度な保護を実現します。
また、vCenter に統合された Spectrum Protect ソフトウェアと VM 対応スナップショット テクノロジーを使用することで、アプリケーション認識型のバックアップとリストアを、高頻度でほぼ瞬時に、中断することなく実行・管理できます。
詳細については、http://www-03.ibm.com/software/products/ja/spectrum-protect-snapshot を参照してください。
次の表 3 に、ソリューションの検証に使用したハードウェアとソフトウェアのバージョンを示します。VersaStack の特定の実装に関するサポートを確認するには、シスコ、IBM、および VMware に関する相互運用性マトリクスを参照する必要があります。詳細については、次のリンクを参照してください。
· IBM System Storage Interoperation Center [英語]
· Cisco UCS ハードウェアおよびソフトウェア相互運用性ツール [英語]
· VMware 互換性ガイド [英語]
レイヤ | デバイス | イメージ | コメント |
コンピュー | Cisco UCS ファブリック Interconnects 6200 シリーズ | 2.2(5a) | 組み込み型の管理 |
Cisco UCS C 220 M3/M4 | 2.2(3g) | ソフトウェア バンドル リリース | |
Cisco UCS B 200 M3/M4 | 2.2(3g) | ソフトウェア バンドル リリース | |
Cisco ESXi eNIC | 2.1.2.59 | Cisco VIC 用イーサネット ドライバ | |
Cisco ESXi fnic ドライバ | 1.6.0.12 | Cisco VIC 用 FCoE ドライバ | |
ネットワーク | Cisco Nexus 9372 | 6.1(2)I3(4b) | オペレーティング システムのバージョン |
|
|
| |
Cisco MDS 9148S | 6.2(9c) | FC スイッチのファームウェア バージョン | |
ストレージ | IBM FlashSystem V9000 | 7.4.1.2 | ソフトウェア バージョン |
ソフトウェア | VMware vSphere ESXi | 5.5u2 |
|
VMware vCenter | 5.5u2 |
| |
Cisco Nexus 1000V | 5.2(1)SV3(1.4) | ソフトウェア バージョン |
VersaStack 展開用の CVD では特定のハードウェアとソフトウェアが使用されていますが、コンポーネントについては、このドキュメントで参照されている HCL リストに記載されている限り、環境固有のニーズに合ったコンポーネントとオペレーティング システムを使用できます。VersaStack では、サポート レベルのコードを実行しているコンポーネントであれば、レプリケーションやストレージ仮想化などすべての高度なソフトウェア機能と合わせて導入できます。可能な限り、導入の CVD で指定されているソフトウェア バージョンを使用することを推奨します。Linux や Windows などのその他のオペレーティング システムも、ハイパーバイザまたはハイパーバイザ環境内のゲスト OS として VersaStack でサポートされています。ベア メタル サーバに直接インストールすることもできます。iSCSI などその他のプロトコルもサポートされています。IP 専用スイッチなど基本的なネットワーキング コンポーネントは、一般的に IBM HCL には含まれていません。追加のハードウェア オプションの例については、表 4 を参照してください。
相互運用性に関するリンク
http://www-03.ibm.com/systems/support/storage/ssic/interoperability.wss [英語]
http://www.cisco.com/web/techdoc/ucs/interoperability/matrix/matrix.html [英語]
表 4 VersaStack のその他のハードウェアおよびソフトウェア オプション例
レイヤ | ハードウェア | ソフトウェア |
コンピューティング | ラック: | 2.2(3b) 以降 |
| 5108 シャーシ | 2.2(3b) 以降 |
| ブレード: | 2.2(3b) 以降 |
|
|
|
ネットワーク | 93XX、55XX、56XX、35XX シリーズ | 6.1(2)I3(1) 以降 |
| Cisco Nexus 1000V | 5.2(1)SV3(1.1) 以降 |
| UCS VIC 12XX シリーズ、13XX シリーズ |
|
ストレージ | Cisco MDS 91XX、92XX、95XX、97XX シリーズ | 6.2(9) 以降 |
| IBM FlashSystem V9000 | バージョン 7.4.1.2 以降 |
| IBM Storwize V7000 | バージョン 7.3.0.9 以降 |
| LFF Expansion (2076-12F) SFF Expansion (2076-24F)
|
|
| IBM Storwize V7000 Unified File Module(2073-720) | バージョン 1.5.0.5-1 以降 |
ソフトウェア | VMware vSphere ESXi | 5.5u1 以降 |
| VMware vCenter | 5.5u1 以降 |
| Windows | 2008R2、2012R2 |
図 11 に、新しい All Flash VersaStack の設計を示します。このインフラストラクチャではスタック全体で物理的な冗長性が確保され、リンクやデバイスの障害に統合スタックが影響されない、レイヤ 1 の高可用性要件に対応しています。
このソリューションには、設計の効率性をさらに向上させるシスコおよび IBM のテクノロジーと機能が、追加で組み込まれています。All Flash VersaStack ソリューションのコンピューティング、ネットワーク、およびストレージ設計の概要を図 11 に示します。それぞれのコンポーネントの詳細については、以降のセクションで説明します。
図 11 VersaStack All Flash 用の Cisco Nexus 9000 設計
テクノロジー概要セクションの上記の図 2 では、Cisco Nexus 9000 と Cisco MDS スイッチを使用した、VersaStack All Flash System 論理トポロジを示しています。この設計ではすべてのレベルで物理的な冗長性が確保され、高可用性を実現するための接続が行われており、信頼性の高いプラットフォームとなっています。このソリューションにはシスコおよび IBM のテクノロジーと機能が追加で組み込まれており、差別化された効率的な設計が実現しています。本ドキュメントのこのセクションでは、VersaStack All Flash System 用に検証された論理構成について説明します。
VersaStack 設計では、Cisco UCS B シリーズと C シリーズの両方の導入がサポートされています。本ドキュメントのこのセクションでは、各導入の VersaStack への統合について説明します。Cisco Unified Computing System は、堅牢で可用性が高く管理が容易なコンピューティング リソースを提供することにより、仮想サーバ環境をサポートします。Cisco Unified Computing System のコンポーネントは、物理的な冗長性と一連の論理構造により、極めて復元力の高い VersaStack コンピューティング ドメインを実現します。この検証では、複数の Cisco UCS B シリーズ ESXi サーバがファイバ チャネルを使用して SAN からブートされます。ESXi ノードは、Cisco 1240 および 1340 VIC アダプタを搭載した Cisco UCS B200-M3 および B200-M4 シリーズ ブレードで構成されています。これらのノードは、vSphere Virtual Center、Microsoft Active Directory およびデータ サービスなどのインフラストラクチャ サービスをサポートしている VMware DRS および HA 対応クラスタに割り当てられています。
VersaStack ではシステムの個々のコンポーネントを調整して、規模やパフォーマンスに関する特殊な要件にも対応できます。Cisco UCS のコンポーネントを発注する際の I/O コンポーネントの選択は、規模とパフォーマンスの特性に直接影響します。図 12 に、Cisco UCS 5100 シリーズ シャーシで使用可能なバックプレーン接続を示します。図のように、
2 つのファブリック エクステンダ(I/O モジュール)のそれぞれに、ハーフ幅ブレード スロットと接続できる 4 つの 10GBASE KR(802.3ap)標準イーサネット バックプレーン パスが備わっています。これは、次に示す選択に応じて、
各ハーフ幅スロットが最大 80 Gb の集約トラフィックをサポートできることを意味します。
· ファブリック エクステンダ モデル(2204XP または 2208XP)
· モジュール型 LAN-On-Motherboard(mLOM)カード
· メザニン スロット カード
図 12 Cisco UCS B シリーズ M3 サーバ シャーシのバックプレーン接続
Cisco UCS シャーシには、それぞれ Cisco UCS ファブリック エクステンダのペアが搭載されています。ファブリック エクステンダには、2208XP と 2204XP の 2 つのモデルがあります。Cisco UCS 2208XP は、ファブリック インターコネクトにブレード シャーシを接続する 8 つの 10 ギガビット イーサネット、FCoE 対応ポートを備えています。Cisco UCS 2204 は、ファブリック インターコネクトに接続する、同じ特性を持つ 4 つの外部ポートを備えています。それぞれの Cisco UCS 2208XP は 32 個の 10 ギガビット イーサネット ポートを備えており、ミッドプレーンを通じてシャーシ内の 8 つのハーフ幅スロットに接続されます(スロットあたり 4 個)。2204XP では同様のポートが 16 個あります(スロットあたり 2 個)。
表 5 ファブリック エクステンダ
| ネットワーク側インターフェイス | ホスト側インターフェイス |
UCS 2204XP | 4 | 16 |
UCS 2208XP | 8 | 32 |
VersaStack ソリューションは一般的に、Cisco VIC 1240 または Cisco VIC 1280 を使用して検証されます。Cisco UCS B200 M4 サーバを VersaStack All Flash システムに追加することで、VIC 1340 と VIC 1380 もこれらの新しいブレード サーバで検証されます。Cisco UCS VIC 1240 は、Cisco UCS B シリーズ ブレード サーバの M3 世代専用に設計された、4 ポートの 10 ギガビット イーサネットと Fibre Channel over Ethernet(FCoE)対応モジュール型 LAN-On-Motherboard(mLOM)を搭載しています。Cisco VIC 1340、次世代 2 ポート、40 ギガビット イーサネット、Fibre Channel over Ethernet(FCoE)対応モジュール型 LAN-On-Motherboard(mLOM)メザニン アダプタは、B200 M3 および M4 世代両方の Cisco UCS B シリーズ ブレード サーバ向けに設計されています。Cisco UCS VIC 1240 および VIC 1340 の性能は、オプションのポート エクスパンダと組み合わせ、Cisco UCS 2208 ファブリック エクステンダと使用することで、8 ポート 10 ギガビット イーサネットまで拡張できます。
Cisco VIC 1280 および 1380 は、Cisco UCS B シリーズ ブレード サーバ向けに設計された、8 ポート 10 ギガビット イーサネット、Fibre Channel over Ethernet(FCoE)対応のメザニン カードです。
FEX、VIC、およびメザニン カードの選択は、サーバから送受信される集約トラフィックのスループットに大きく影響します。図 13 に、I/O モジュールと Cisco VIC のバックプレーン接続の概要を示します。KR レーンの数は、シャーシ、さらにブレードで使用可能な 10 GbE パスを示します。図 12 に示すように、I/O モジュールと VIC のモデルに応じて、トラフィック集約は異なります。2204XP ではハーフ幅ブレード スロットあたり 2 つの KR レーンが有効になり、2208XP では 4 つすべてが有効になります。同様に、KR レーンの数は VIC 1240/1340、ポート エクスパンダを使用した VIC 1240/1340、または VIC 1280/1380 のいずれを選択するかによって異なります。
VersaStack 設計で最も一般的に検証される I/O コンポーネント構成は、次の 2 つです。
· VIC 1240 および FEX 2204 を搭載した Cisco UCS B200M3
· VIC 1240 および FEX 2208 搭載した Cisco UCS B200M3
· VIC 1340 および FEX 2208 搭載した Cisco UCS B200M4 *
* VIC 1340 および FEX 2208 を搭載した Cisco UCS B200M4 の構成は、図 12 で示すように VIC 1240 および FEX 2208 を搭載した B200M3 の構成と似ているため、説明を省略します。
図 13 と図 14 に、最初の 2 つの構成の接続を示します。
図 13 検証済みバックプレーン構成 — VIC 1240 と FEX 2204
図 13 では、FEX 2204XP によってハーフ幅ブレードに対する 2 つの KR レーンが有効になり、グローバル検出ポリシーがファブリック ポート チャネルの形成を指示します。それにより、ブレード サーバとの 20 GbE 接続が確立されます。
図 14 検証済みバックプレーン構成 — VIC 1240 と FEX 2208
図 14 では、FEX 2208XP によってハーフ幅ブレードに対する 8 つの KR レーンが有効になり、グローバル検出ポリシーがファブリック ポート チャネルの形成を指示します。VIC 1240 ではポート エクスパンダ モジュールは使用されていないため、この構成ではブレード サーバとの 40 GbE 接続が確立されます。
Cisco Unified Computing System は、ディスクリート モードまたはポート チャネル モードを使用してシャーシを検出するように構成できます(図 15)。ディスクリート モードでは、各 FEX KR 接続とサーバ接続が、ファブリック インターコネクトのポートにホーム接続されたネットワーク ファブリック接続に関連付けまたはピン接続されます。外部リンクに障害が発生すると、FEX I/O モジュール内のすべての KR 接続が無効になります。ポート チャネル モードでは、ネットワーク ファブリック リンクに障害が発生すると、残りのポート チャネル メンバーにフローが再分配されます。つまりポート チャネル モードではファブリックの中断が少ないため、VersaStack 設計で推奨されます。
図 15 Cisco UCS シャーシの検出ポリシー - ディスクリート モードとポート チャネル モード
VersaStack は多数のトラフィック タイプ(vMotion、NFS、FCoE、制御トラフィックなど)に対応し、トラフィック スパイクを吸収してトラフィック損失から保護することができます。この機能は Cisco UCS および Nexus QoS システム クラスとポリシーによって得られます。この検証では、MTU サイズが 9000 のジャンボ フレームをサポートするように、VersaStack が構成されました。ジャンボ フレームを有効にすることで、VersaStack 環境ではデバイス間のスループットを最適化しつつ、CPU リソースの消費を低減させることができます。
ジャンボ フレームを設定する場合は、MTU 設定をスタック全体に均一に適用して、断片化とパフォーマンス低下を防止することが重要です。
ファブリック インターコネクト - 直接接続設計
Cisco UCS Manager 2.2 以降では、ファブリック エクステンダ(FEX)を使用しなくても、Cisco UCS C シリーズ サーバを Cisco UCS ファブリック インターコネクトに直接接続できます。Cisco Nexus 2232 FEX を使用した Cisco UCS C シリーズの接続は現在もサポートされており、Cisco UCS C シリーズ サーバの大規模な導入では FEX の使用が推奨されます。ただし直接接続設計では、ハードウェアを追加購入しなくても、Cisco UCS C シリーズ サーバの小規模な接続と管理が可能です。
詳細な接続要件については、http://www.cisco.com/c/en/us/td/docs/unified_computing/ucs/c-series_integration/ucsm2-2/b_C-Series -Integration_UCSM2-2/b_C-Series-Integration_UCSM2-2_chapter_0110.html#reference_EF9772524 CF3442EBA65813C2140EBE6 [英語] を参照してください。
ファブリック インターコネクト - ファブリック エクステンダ接続設計
図 16 に、ファブリック エクステンダを使用した Cisco UCS ドメインへの Cisco UCS C シリーズ サーバの接続を示します。機能面では、1 RU の Nexus FEX 2232PP は Cisco UCS 2204 または 2208 IOM(Cisco UCS 5108 ブレード シャーシ内)の代替となります。FEX を通じて、各 10 GbE VIC ポートをファブリック A または B に接続します。シャーシ検出ポリシーに基づいて、FEX とファブリック インターコネクトによってポート チャネルが自動的に形成され、Cisco UCS C シリーズ サーバにリンクの復元力をもたらします。これは、IOM とファブリック インターコネクトとの接続動作と同じです。論理的には、Cisco UCS ドメイン内に形成される仮想回路は、B シリーズと C シリーズの導入モデル間で一貫しており、vSphere で形成される仮想のオブジェクトは、使用しているプラットフォームを意識しません。
図 16 VIC 1225 を搭載した Cisco UCS C シリーズ
Cisco Nexus 9000 は、Cisco UCS ドメインとエンタープライズ ネットワーク間の通信用にイーサネット スイッチング ファブリックを提供します。VersaStack All Flash の設計では Cisco UCS ファブリック インターコネクトは、仮想 PortChannel(vPC)を使用して Cisco Nexus 9000 スイッチに接続されます。
仮想 PortChannel(vPC)は、2 つの異なる Cisco Nexus 9000 シリーズ デバイスに物理的に接続されたリンクを、
単一の PortChannel として扱えるようにします。スイッチング環境では、vPC によって次のメリットが得られます。
· 単一のデバイスが 2 つのアップストリーム デバイスを介して 1 つの PortChannel を使用することを可能にします。
· スパニングツリー プロトコルのブロック ポートを排除し、すべてのアップリンク帯域幅を使用します。
· ループフリーなトポロジが実現されます。
· いずれかのリンクまたはデバイスに障害が発生した場合に、高速なコンバージェンスを実現します。
· VersaStack システム全体の高可用性が確保されます。
図 17 Cisco Nexus 9000 と IBM FlashSystem V9000 の接続
図 17 は、vPC を使用した Cisco Nexus 9000 とファブリック インターコネクトの接続を示しています。この接続では、この図でポート チャネル 10 として示されている「ピア リンク」が必要になります。vPC 設定では、vPC ピア リンクに加えて、vPC ピア キープアライブ リンクが必要です。ピア キープアライブ リンクにより、vPC 対応の各スイッチでピアの状態を監視できるようになります。このリンクによりコンバージェンスが加速し、スプリットブレイン シナリオの発生が低減します。この検証済みソリューションでは、vPC ピア キープアライブ リンクとしてアウトオブバンド管理ネットワークを使用されます。
VersaStack アーキテクチャの検証で使用する Cisco Nexus 9000 関連のベスト プラクティスを次に示します。
· Cisco Nexus 9000 で有効にする機能
— Link Aggregation Control Protocol(802.3ad の LACP 部分)。
— リンクとデバイスの復元力のための Cisco Virtual Port Channeling(vPC)。
— インフラストラクチャの可視性とトラブルシューティングを可能にする Cisco Discovery Protocol(CDP)の有効化。
· vPC に関する考慮事項
— 一意のドメイン ID を定義します。
— 目的の vPC プライマリ スイッチの優先度をセカンダリ スイッチよりも低く設定します(デフォルトの優先度は 32768)。
— ピア キープアライブ接続を確立します。アウトオブバンド管理ネットワーク(mgmt0)または専用の Switched Virtual Interface(SVI)を使用することを推奨します。
— vPC 自動回復機能を有効します。
— ピア ゲートウェイを有効にします。ピアゲートウェイにより、vPC ピアのルータ MAC アドレスを宛先とするパケットに対し、vPC スイッチをアクティブなゲートウェイとして使用し、vPC ピアがトラフィックを転送できるようにします。
— IP arp 同期を有効にし、vPC ピア リンク全体のコンバージェンスを最適化します。
Cisco Fabric Services over Ethernet(CFSoE)は、設定、スパニング ツリー、MAC、および VLAN 情報を同期します。それにより明示的な構成の必要がなくなります。このサービスはデフォルトで有効になっています。
— vPC では少なくとも 2 つの 10 ギガビット イーサネット接続が必要です。
— すべてのポート チャネルは、LACP アクティブ モードで設定します。
· スパニング ツリーに関する考慮事項
— スパニング ツリーの優先度は変更されていません。ピア スイッチ(vPC 設定の一部)が有効になっており、両方のスイッチが VLAN のルートとして機能しています。
— ループガードはデフォルトで無効になっています。
— BPDU ガードとフィルタリングはデフォルトで有効になっています。
— ブリッジ アシュアランスは vPC ピア リンクでのみ有効になっています。
Cisco MDS 9000 は、Cisco UCS ドメインと IBM FlashSystem V9000 間の通信用に、ファイバ チャネル スイッチング ファブリックを提供します。VersaStack の設計では、PortChannel と仮想ストレージ エリア ネットワーク(VSAN)を使用して、Cisco UCS ファブリック インターコネクトが Cisco MDS 9000 スイッチに接続され、ファイバ チャネル トラフィックが分離および保護されます。
仮想ストレージ エリア ネットワーク(VSAN)は、接続されたファイバ チャネル スイッチのポートの集合であり、それが仮想ファブリックを形成します。1 つのスイッチ内のポートは、共有しているハードウェア リソースに関わらず、複数の VSAN に分割できます。反対に、複数のスイッチを多数のポートに接続することで、単一の VSAN を形成できます。各 VSAN は個別の自己完結型ファブリックであり、異なるセキュリティ ポリシー、ゾーン、イベント、メンバーシップ、ネーム サービスを使用します。トラフィックも分離されています。
スイッチ単位でサイズを変更する一般的なファブリックとは異なり、VSAN はポート単位でのサイズ変更が可能です。
VSAN を使用することで、ネットワーク内の特定のトラフィックを分離できます。VSAN で問題が発生した場合は、ネットワーク内の他の部分に対する影響を最小にして、問題を処理できます。VSAN は別個に設定することもできます。
VSAN を使用して、Cisco MDS スイッチに分離されたファブリック トポロジを作成することで、ホストおよびクラスタ インターコネクト トラフィックをサポートできます。
表 6 VSAN の使用
| Cisco MDS A | Cisco MDS B |
ホスト VSAN | 101 | 102 |
クラスタ インターコネクト VSAN | 201 | 202 |
PortChannel は、複数の物理ファイバ チャネル インターフェイスを 1 つの論理インターフェイスに集約し、より精度の高い集約帯域幅、ロード バランシング、およびリンク冗長性を提供する機能です。PortChannel はスイッチング モジュール間のインターフェイスに接続することができるため、スイッチング モジュールで障害が発生しても PortChannel のリンクがダウンすることはありません。
図 18 に、PortChannel を通じた Cisco MDS 9000 とファブリック インターコネクト間の接続を示します。Cisco UCS ファブリック インターコネクトと Cisco MDS 9000 ファミリ SAN スイッチ間のアップリンクは、portchannel に集約されます。それによって、各ファブリック インターコネクトから Cisco MDS スイッチへの 32 Gbps のアップリンク帯域幅が得られます。
FlashSystem コントローラでは、ホストに面する 8 Gbps のポートとストレージに面する 16 Gbps のポートが、Cisco MDS スイッチに接続されています。またファブリックあたり 2 つのポートによって、冗長性が確保されています。専用の VSAN によって、各 MDS スイッチで分離されたホスト接続が実現しています。
図 18 FlashSystem V9000 への Cisco MDS 接続によるホスト接続
図 19 に、Cisco MDS 9000 スイッチを使用した、FlashSystem V9000 コントローラとストレージ エンクロージャの接続を示します。コントローラとストレージ エンクロージャ間の接続は、すべて 16 Gbps です。
この設計では、V9000 の構成要素を追加し、同じファブリックに接続する際に統合することで拡張性が得られます。スイッチの既存のポートが飽和状態である場合は、既存のファブリックに MDS スイッチを追加することで、ファイバ ポートの数を増やすことができます。
図 19 FlashSystem V9000 への Cisco MDS 接続によるクラスタ相互接続
Cisco Nexus 1000v は、vSphere 対応環境に完全に統合できる仮想分散スイッチです。Cisco Nexus 1000v は、
物理モジュール型スイッチの動作をエミュレートします。
· 仮想スーパーバイザ モジュール(VSM)により、複数のモジュールに対する制御機能と管理機能が得られます。
· シスコ仮想イーサネット モジュール(VEM)は ESXi ノードにインストールされ、各 ESXi ノードは仮想スイッチ内のモジュールとして機能します。
図 20 Cisco Nexus 1000v のアーキテクチャ
VEM は VSM から構成情報を取得し、次のようなレイヤ 2 スイッチングや高度なネットワーク機能を実行します。
· PortChannel
· Quality of Service(QoS)
· セキュリティ:プライベート VLAN、アクセス コントロール リスト(ACL)、ポート セキュリティ
· 監視:NetFlow、Switch Port Analyzer(SPAN)、Encapsulated Remote SPAN(ERSPAN)
· vPath により、Cisco Virtual Security Gateway や Cisco ASA 1000v などの 1 つ以上の連動サービスにトラフィックが効率的にリダイレクト
VersaStack アーキテクチャでは、Cisco VSG、ASA1000v、vNAM など、Cisco Nexus 1000v を通じて提供されるその他のインテリジェントなネットワーク サービスが完全にサポートされます。
図 21 に、Cisco Nexus 1000v VSM に登録された VEM を使用する単一の ESXi ノードを示します。ESXi vmnics は、Cisco Nexus 1000v のイーサネット インターフェイスとして提供されます。
図 21 ESXi 環境内の Cisco Nexus 1000v VEM
ポート プロファイルは、Cisco Nexus 1000v で使用可能なイーサネット インターフェイスと仮想イーサネット インターフェイスに適用できる、論理テンプレートです。Cisco Nexus 1000v では、「System-Uplink」ポート プロファイルという 1 つのポート チャネルにイーサネット アップリンクが集約され、耐障害性とスループット向上が得られます(図 21)。
Cisco Nexus 1000v にはリンク障害の検出機能があるため、vNIC テンプレートでは Cisco UCS ファブリック フェールオーバーを無効にすることをお勧めします。
仮想イーサネット ポートに面する仮想マシンでは、仮想マシン ネットワーク、セキュリティ、およびサービス レベル要件のそれぞれに応じてカスタマイズされたポート プロファイルを使用します。VersaStack アーキテクチャでは、独自のポート プロファイルを適用した 4 つの VMkernel NIC(vmknics)を使用します。
· vmk0 - ESXi 管理
· vmk1 - vMotion インターフェイス
· vmk2 - NFS インターフェイス
· vmk3 - インフラストラクチャ管理
NFS および vMotion インターフェイスは、VersaStack インフラストラクチャ全体のデータ アクセスと VM のマイグレーションをサポートする、プライベート サブネットです。管理インターフェイスでは、リモート vCenter へのアクセスと、必要に応じて ESXi シェルへのアクセスがサポートされます。
Cisco Nexus 1000v では、インフラストラクチャ全体で QoS ポリシーを統一して運用し適用するために、Cisco MQC もサポートされています。Cisco Nexus 1000v は、エッジでのマーキングと、VM 間のトラフィックのポリシングがサポートされています。
Cisco UCS B シリーズおよび C シリーズの Cisco UCS Manager サーバ上での Cisco Nexus 1000V シリーズ スイッチの導入におけるベスト プラクティスの詳細については、次を参照してください。
http://www.cisco.com/en/US/prod/collateral/switches/ps9441/ps9902/white_paper_c11-558242.html [英語]
IBM FlashSystem V9000 は、単一障害点(Single Point of Failure)を排除した高可用性ストレージ ソリューションを提供します(図 22 および図 23)。
システム内の各 IBM FlashSystem V9000 コントロール エンクロージャ(図のコントローラ A、B)は、アクティブ-アクティブ I/O のペアを構成します。コントロール エンクロージャに障害が発生した場合は、そのエンクロージャの I/O 機能を他のコントロール エンクロージャがシームレスに引き継ぎます。コントロール エンクロージャは FC SAN を通じて通信を行うため、冗長性と高いパフォーマンスを発揮します。
FlashSystem V9000 の各コントロール エンクロージャには、複数の SAN ファブリックに接続できる 8 つのファイバ チャネル ポートがあります(追加可能)。高可用性を得るには、2 つ以上のファブリックにそれぞれのコントロール エンクロージャを接続します。
図 22 IBM FlashSystem V9000 の構成要素の HA ケーブル接続:ホスト接続
IBM FlashSystem V9000 は、コントロール エンクロージャ、外部ストレージ、ホスト システム間の通信に対して完全な冗長接続をサポートします。SAN ファブリックの障害によって通信または I/O 動作が中断されると、システムが回復を行い、代替通信パスを通じて操作が再試行されます。SAN ファブリックまたはコントロール エンクロージャに障害が発生した場合に、ホストが I/O 操作を再試行できるように、ホスト システムはマルチパスを使用するように設定する必要があります。
図 23 IBM FlashSystem V9000 の構成要素の HA ケーブル接続:クラスタ接続
IBM FlashSystem V9000 は、最大 4 つのビルディング ブロック(最小構成ブロック)、最大 8 つのコントロール エンクロージャ、最大 4 つの追加フラッシュ ストレージ拡張エンクロージャ(合計 8 つのストレージ エンクロージャ)をサポートします。複数のビルディング ブロック、または拡張フラッシュ ストレージ エンクロージャを含むシステムは、FC SAN によってエンクロージャ間を接続し、通信を可能にする必要があります。単一のビルディング ブロックによる固定構成は、
エンクロージャ間を直接 FC ケーブルで接続できます。直接接続されていない構成は、FC SAN を通じてルーティングされます(図 24 および図 25)。
All Flash VersaStack のフルスケールのアーキテクチャは、VersaStack プログラムの一部として検証されませんが、構成としてサポートされており、必要に応じて構成要素を追加できます。
図 24 IBM FlashSystem V9000 のフルスケール HA 通信
図 25 ファイバ チャネル接続の詳細
VMware vSphere 5.5 Update 2 は、複数のコンポーネントと機能を備えた仮想化プラットフォームを提供します。この検証では、次の重要なコンポーネントと機能が使用されています。
· VMware ESXi
· VMware vCenter Server
· VMware vSphere SDK
· VMware vSphere Virtual Machine File System(VMFS)
· VMware vSphere High Availability(HA)
· VMware vSphere Distributed Resource Scheduler(DRS)
VersaStack ソリューションは、Cisco UCS Integrated Infrastructure の革新性と IBM ストレージ システムの効率性を組み合わせたものです。Cisco UCS Integrated Infrastructure には、Cisco Unified Computing System(Cisco UCS)、Cisco Nexus、Cisco MDS スイッチ、および Cisco UCS Director が含まれます。
IBM ストレージ システムは、データ仮想化、リアルタイム圧縮、および Easy Tier の各機能を使用して仮想環境を強化します。
VersaStack は、多様な IT ワークロードをホストするのに最適な統合インフラストラクチャ プラットフォームです。シスコと IBM が共同で開発した、柔軟で拡張性の高いプラットフォーム基盤は、さまざまなユース ケースやアプリケーションに対応することができます。VersaStack は、仮想デスクトップ インフラストラクチャから SAP® まで、同じ共有インフラストラクチャで同時に動作するビジネス クリティカルなアプリケーションを効率的かつ効果的にサポートします。モジュール型のコンポーネントと柔軟なアーキテクチャにより、小さい規模から初めて、ビジネス ニーズの拡大に応じてインフラストラクチャを拡大できる拡張性を提供します。
また、VersaStack ソリューションは、Cisco Validated Designs(CVD)に基づいているため、アプリケーション展開の迅速化、IT 効率の向上、およびリスクの軽減を支援します。シスコでは、インフラ向けシスコ データ センター ソリューション サポート サービスを契約いただいたお客様とパートナーにワンストップ保守専用窓口を提供する予定です。
Cisco Unified Computing System:
http://www.cisco.com/jp/go/ucs/
Cisco UCS 6200 シリーズ ファブリック インターコネクト:
http://www.cisco.com/web/JP/product/hs/ucs/ucs6200/index.html
Cisco UCS 5100 シリーズ ブレード サーバ シャーシ:
http://www.cisco.com/web/JP/product/hs/ucs/ucs5100/index.html
Cisco UCS B シリーズ ブレード サーバ:
http://www.cisco.com/web/JP/product/hs/ucs/ucs_b/index.html
Cisco UCS アダプタ:
http://www.cisco.com/web/JP/product/hs/ifmodule/ucsa/index.html
Cisco UCS Manager:
http://www.cisco.com/web/JP/product/hs/ucs/cum/index.html
Cisco Nexus 9000 シリーズ スイッチ:
シスコ アプリケーション セントリック インフラストラクチャ:
VMware vCenter Server:
http://www.vmware.com/products/vcenter-server/overview.html [英語]
VMware vSphere
http://www.vmware.com/products/datacenter-virtualization/vsphere/index.html [英語]
IBM FlashSystem V9000:
http://www-03.ibm.com/systems/storage/flash/v9000/index.html [英語]
IBM Storwize V7000:
http://www-03.ibm.com/systems/storage/disk/storwize_v7000/ [英語]
Cisco UCS ハードウェア互換性マトリクス:
VMware および Cisco Unified Computing System:
http://www.vmware.com/resources/compatibility [英語]
IBM System Storage Interoperation Center:
http://www-03.ibm.com/systems/support/storage/ssic/interoperability.wss [英語]
IBM System Storage Interoperation Center:
http://www-03.ibm.com/systems/support/storage/ssic/interoperability.wss [英語]
シスコ UCS データセンター ソリューション エンジニアリング、テクニカル マーケティング エンジニア、Sreenivasa Edula
Sreenivasa は情報システム分野において 17 年以上の経験があり、DC アーキテクチャ設計、仮想化、コンピューティング、ネットワーク、ストレージ、クラウド コンピューティングなど、シスコ データセンター テクノロジー ポートフォリオ全体にわたる専門知識を有しています。
IBM Systems、シニア テクニカル スタッフ、Dave Gimpl
IBM の Systems グループで 25 年以上のエンジニアリング経験を有し、現在は FlashSystem V9000 のチーフ アーキテクトを務めています。FlashSystem 製品の開発には当初から携わっています。
このソリューションの構築にあたり、多大な貢献をいただいた以下の諸氏に感謝いたします。
· シスコ テクニカル マーケティング チーム マネージャ、Chris O’Brien
· シスコ、テクニカル マーケティング エンジニア、Jeff Fultz