コンタクト ルーティングについて
各問い合わせはエントリポイントに到着します。ここで、ルーティング方法によってビジネスロジックが適用されます。ルーティング方法の評価基準に基づいて、システムは適切なキューを選択し、対応可能なチームの 1 つに問い合わせを分配します。
スキルベースルーティングについて
スキルベースルーティング(SBR)は、問い合わせ内容とその内容に対応できる適切なスキルを備えたエージェントをマッチングするオプションの機能です。SBR は、音声での問い合わせとデジタルチャネルでの問い合わせで使用できます。すべての通話がエントリポイントに到達すると、SBR はサブセットに通話を分類します。各サブセットの通話は、言語の流暢さ、製品の専門知識など必要なスキルがあるエージェントにルートされます。
SBR は、フロー内の通話にスキル要件を割り当てます。割り当てられたスキル要件に基づき、通話はキューに入り、一致するスキルセットを持つエージェントに配分されます。キューで指定された時間間隔内にエージェントが対応できない場合、エージェントのスキル要件を削除または緩和するように SBR を構成できます。詳細については、「スキル定義」を参照してください。スキル要件を削除または緩和するには、Queue Contact アクティビティでスキルリラクゼーションを指定します。
SBR は、問い合わせのすべてのスキル要件をエージェントのスキルと一致させます。フローでスキル値が適切に定義されていないために問い合わせに必要なスキル要件の 1 つが無効である場合、SBR は一致するエージェントを見つけることができません。このような場合、通話は最長で対応可能なエージェントにルーティングされます。
SBR は次の機能を提供します。
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問い合わせのスキル要件を、特定のスキルを持つエージェントと照合します。
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問い合わせにスキル要件を追加し、同じスキル要件を持つ問い合わせを単一のキューにルーティングします。詳細については、「Queue Contact アクティビティ」を参照してください。
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キューにサービスを提供する一連のエージェントを使用して、さまざまなエージェントチームを構成します。詳細については、「キューとアウトダイヤルキューの作成」を参照してください。
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これらのエージェントのプロファイルにさまざまなスキルをマッピングできます。詳細については、「エージェントプロファイル」を参照してください。
上記の例では、問い合わせ C1 には、スキル A が必要で、問い合わせ C2 にはスキル A とスキル B が必要です。C2 がキューに入ると、スキル A とスキル B の両方を持つエージェントが必要になります。最善のカスタマーサービスを提供するには、C2 をスキル A とスキル B の両方を持つチームにマッピングします。C2 をスキル A またはスキル B のどちらかを持つチームにはマッピングしないでください。C2 をC2 をスキル A またはスキル B のどちらかを持つチームにマッピングした場合、C2 は [パーク済み(Parked)] 状態で最も長い問い合わせになります。
スキルベースルーティングタイプ
SBR は、フローで構成されている問い合わせのスキル要件に基づいて、問い合わせをエージェントにルーティングします。詳細については、「スキルベースルーティングについて」を参照してください。
キューを作成するときに、[キュールーティングタイプ(Queue Routing Type)] 設定で SBR を有効にすることができます。詳細については、「キューとアウトダイヤルキューの作成」を参照してください。SBR は、必要なスキル セットを持つ複数のエージェントが応答可能な場合、次のいずれかの方法でエージェントに問い合わせをルーティングします。
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最長対応可能エージェント
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習熟度が最も高い対応可能なエージェント
最も長い時間対応可能なエージェント:SBR は、最も長い時間対応可能なエージェントに問い合わせをルートします。
習熟度が最も高い対応可能なエージェント:SBR は、スキルの習熟度が最も高いエージェントに問い合わせをルートします、問い合わせを習熟度が最も高い対応可能なエージェントにルートするには
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問い合わせを常に習熟度が最も高い対応可能なエージェントににルートされるように、問い合わせのスキル要件を必要な条件で設定します。
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問い合わせのスキル要件に対して <= 条件を選択した場合、値が低いほど、問い合わせの要件と一致していることを示します。
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問い合わせのスキル要件に対して >= 条件を選択した場合、値が高いほど、問い合わせの要件と一致していることを示します。
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問い合わせのスキル要件に対して IS 条件を選択した場合、値が高いほど、問い合わせの要件と一致していることを示します。
詳細については、「Queue Contact アクティビティ」の「スキル要件」を参照してください。
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[スキル定義(Skill Definitions)] と [エージェントプロファイル(Agent Profiles)] の作成時にエージェントに熟練度を割り当てます。
たとえば、言語能力として英語を話すスキルを持つエージェントに問い合わせをルーティングできます。英語熟練度レベルが 3 のエージェント 1 と英語熟練度レベルが 6 のエージェント 2 の 2 名のエージェントがいるとします。両方のエージェントがキューで対応可能です。
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問い合わせのスキル要件をフローで、 <= 条件に構成した場合、キュー内で問い合わせを接続するのに最も適したエージェントは、英語熟練度レベルが 3 のエージェント 1 になります。
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問い合わせのスキル要件をフローで、 >= 条件に構成した場合、キュー内で問い合わせを接続するのに最も適したエージェントは、英語熟練度レベルが 6 のエージェント 2 になります。
詳細なキュー情報
[詳細なキュー情報(Advanced Queue Information)] 機能を使用すると、問い合わせを長時間キューで待機させることなく、キュー内のログイン済みで応答可能なエージェントのスキルを問い合わせのスキル要件と一致させることができます。GetQueueInfo アクティビティはログオン済みで応答可能なエージェント数を示します。ただし、このアクティビティは、特定の問い合わせ要件に一致する特定のスキルを持つログイン済みエージェントに関する情報は提供しません。GetQueueInfo アクティビティの詳細については、「Get Queue Info」を参照してください。
1 日のある時間に、特定の問い合わせ要スキル要件を満たす十分なスキルを保持するエージェントがいない場合があります。管理者は、メッセージの再生、コールバックオプションの提示または別のキューにエスカレーションするなど別のアクティビティを開始するために、問い合わせをキューに入れる前後に、該当するエージェントに関する情報を取得する必要があります。
管理者は次のことができます。
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問い合わせをキューに入れる前にこのアクティビティを呼び出した場合、フローは、Advanced Queue Information アクティビティで構成したスキル要件と最後の通話配布グループのチームを使用します。これにより、ログイン済みで応答可能なエージェントの数を判断し、LoggedOnAgentsAll と AvailableAgentsAll 出力変数が入力されます。システムは、出力変数 CurrentGroup を –1 に設定します。
(注)
CurrentGroup の -1 値は、アクティビティが呼び出されたときに問い合わせがまだキューに入れられていないことを示します。フロー設計者は、出力変数 CurrentGroup を使用して、問い合わせがキューに入れられていないかどうかを判断できます。
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問い合わせをキューに入れた後にこのアクティビティが呼び出された場合、システムは問い合わせの現在のスキルを考慮します。現在のスキル リラクゼーション サイクルのスキルと現在の通話配布グループのチームを使用して、応答可能でログインしているエージェントを計算します。これらの値は、 LoggedOnAgentsCurrent および AvailableAgentsCurrent 出力変数に入力されます。システムは、現在のスキル リラクゼーション サイクルと最後の通話配布グループを使用して、応答可能でログインしているエージェントを計算し、これらの値を LoggedOnAgentsAll および AvailableAgentsAll 出力変数に保存します。さらにシステムは、PIQ、CurrentGroup および TotalGroups 出力変数にもこれらの値を保存します。
(注) |
LAA ベースのキューに対してこのアクティビティを呼び出すことができます。ただし、このアクティビティ用に構成されたスキル要件は、LAA ベースのキューには適用されません。このアクティビティはループで使用できます。フロー実行時、Flow Designer は、Advanced Queue Information アクティビティを呼び出します。 Flow Designer では、この機能に対して機能フラグが有効になっている場合にのみ、Advanced Queue Information アクティビティを使用してフローを作成できます。機能フラグが無効になっている場合、Flow Designer で Advanced Queue Information アクティビティを持つフローを操作することはできません。Advanced Queue Information アクティビティの機能フラグが有効になっていることを確認します。 |
(注) |
Advanced Queue Information の一環として、問い合わせがキューにパークされている際に、Advanced Queue Information 情報を使用して別のキュースタックを照会すると、これはサポートされず、エラーが表示されます。エラー応答コードの情報については、「Advanced Queue Information」を参照してください。 |
通話配布グループのエスカレーション
アプリケーションは、ポストキューイングループで Escalate Call Distribution Group アクティビティを使用して、次の通話配布グループまたは最後の通話配布グループを素早く移動します。通常、管理者はこのアクティビティを使用して、エスカレーショングループに対して保留されている問い合わせを識別します。これらのエスカレーショングループには、スキルが一致するログインしているエージェントが少なくとも 1 人いるか、ログインしているエージェントがいません。
アプリケーションは QueueContact アクティビティを使用し、高度な GetQueueInfo アクティビティを呼び出し、特定の通話配布グループにログインしているエージェントがいるかどうかを判断します。特定の通話配布グループにログインしているエージェントがいない場合、Flow Designer は EscalateCallDistribution アクティビティを使用して、一連の次または最後の通話配布グループに進みます。エスカレートされたグループにエージェントがいる場合、Webex Contact Center は問い合わせをそのエージェントにルーティングします。そうでない場合、Webex Contact Center は問い合わせをその通話配布グループにすぐにパークします。
QueueContact アクティビティの詳細については、「キュー連絡先」を参照してください。
お客様のユース ケースとして、多くの通話配布グループを持つキューが挙げられます。最初の通話配布グループでエージェントが通話に応答できない場合、Flow Designer はその通話をキュー内の別の通話配布グループにリダイレクトします。各レベルで、通話が応答される可能性が高くなるように、通話配布グループ内のエージェントの数が増加します。1 日の特定の時間に、このグループまたは他のグループのエージェントが対応できない場合があります。
SBR および LAA ベースのキューの場合、まだキューに入っていない問い合わせで EscalateCallDistribution アクティビティを呼び出すと、エラーが発生し、フローアクティビティのエラーパスを終了します。
(注) |
Escalate Call Distribution Group は独立したアクティビティですこのアクティビティを AdvancedQueueInformation および GetQueueInformation アクティビティと共に使用して、キューの通話配布グループをエスカレートできます。QueueContact アクティビティの CheckAgentAvailability パラメータにより、通話配布グループがエスカレーションされます。EscalateCallDistributionGroup アクティビティを、QueueContact アクティビティの CheckAgentAvailability パラメータと一緒に使用しないでください。 Flow Designer では、この機能に対して機能フラグが有効になっている場合にのみ、EscalateCallDistributionGroup アクティビティを使用してフローを作成できます。機能フラグが無効になっている場合、Flow Designer で EscalateCallDistributionGroup アクティビティを持つフローを操作することはできません。EscalateCallDistributionGroup アクティビティの機能フラグが有効になっていることを確認します。 |
パークされたコンタクトのルーティング
SBR は、エージェントが問い合わせに接続するまで、問い合わせをキューにパークします。
エージェントが応答可能になると、SBR は次の選択方法のいずれかを使用して問い合わせをルーティングします。
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スキルベースの問い合わせ選択
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先入れ先出し(FIFO)ベースの問い合わせ選択
(注) |
デフォルトでは、組織でスキルベースの連絡先選択が有効になっています。 |
スキルベースの問い合わせ選択
スキルベースの問い合わせ選択では、問い合わせのスキル要件とエージェントのスキルの完全一致を前提に問い合わせが選択されます。スキルベースの問い合わせ選択では、問い合わせをは、先入れ先出し(FIFO)ベースでエージェントに割り当てません。問い合わせのスキル要件が、エージェントのスキルと完全一致した場合、キュー内の位置に関わらず、問い合わせは、エージェントに接続されます。同じスキル要件に完全一致するエージェントが複数いる場合、スキルベースの問い合わせ選択により、キュー内の問い合わせがフィルタ処理され、次の順番でエージェントに割り当てられます。
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優先度
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タイムスタンプ(昇順)
たとえば、スキル A のエージェントを必要とする問い合わせ C1 と、スキル B のエージェントを必要とする問い合わせ C2 が、エージェントに接続するためにキューで待機しているとします。スキル C のエージェントを必要とする問い合わせ C3 もキューに入ります。スキル C のエージェントが対応可能になった場合、C3 のスキル要件はスキル C のエージェントと完全に一致するため、C3 は C1 と C2 がエージェントに接続するのを待ちません。
先入れ先出し(FIFO)ベースの問い合わせ選択
キューに入る最初の問い合わせは、エージェントに接続する多面い最優先されます。一致するスキルを持つエージェントが応答可能になると、最初の問い合わせがエージェントに接続されます。エージェントのスキルが、キューに待機している最初の問い合わせのスキル要件と一致しない場合、エージェントは最初の問い合わせに接続されません。エージェントのスキルが、キュー内の別の問い合わせのスキル要件と合致しても、問い合わせは、最初の問い合わせがエージェントに接続されるまでパークされます。
たとえば、スキル A のエージェントを必要とするキューに入る C1 という最初の問い合わせと、 スキル B のエージェントを必要とするキューに入る C2 という 2 番目の問い合わせの 2 つの問い合わせがあるとします。 スキル B のエージェントが応対可能になっても、 C2 はスキル B に接続されません。C1 はキューに入る最初の問い合わせであるため、SBR はスキル A のエージェントが最初に C1 に接続できるようになるまで待機します。C1 がエージェントを見つけた後にのみ、C2 はスキル B に接続します。
(注) |
組織で先入れ先出し(FIFO)ベースの問い合わせ選択を有効にするには、シスコサポートにお問い合わせください。 |
スキルベースルーティングの設定
手順
ステップ 1 |
スキルを定義します。詳細については、スキルの定義を参照してください。 |
ステップ 2 |
スキルプロファイルを定義します。詳細については、スキルプロファイルを参照してください。 |
ステップ 3 |
エージェントにスキルプロファイルを割り当てます。個々のエージェントにスキルプロファイルを割り当てることができます。現在、スキルプロファイルをチームに割り当てることはできません。詳細については、ユーザの詳細の表示を参照してください。 |
ステップ 4 |
チャネルタイプがテレフォニー、キュールーティングタイプがスキルベースのキューを作成します。 |
ステップ 5 |
通話の処理方法を定義するフローを作成します。詳細については、フローの作成と管理を参照してください。 |
ステップ 6 |
Queue Contact アクティビティを追加して、スキルベースルーティングが構成されているキューを選択します。詳細については、キュー連絡先を参照してください。 |
ステップ 7 |
エントリポイント ルーティング方法を作成し、作成したフローを選択します。詳細については、ルーティング方法の作成を参照してください。 |
エージェントベースのルーティング
エージェントベースのルーティングは、問い合わせを優先エージェントに直接ルーティングまたはキューに入れるオプションの機能です。エージェントの E メール アドレスまたはエージェントの ID を使用したエージェントルックアップは、問い合わせを優先エージェントにルーティングします。フローの Queue To Agent アクティビティは、エージェントベースのルーティングを実現するのに役立ちます。詳細については、「Queue Contact アクティビティ」項を参照してください。
問い合わせには、1 つ以上の優先エージェントを設定できます。問い合わせと優先エージェント間のマッピングは、Webex Contact Center 外の外部アプリケーションで管理されます。問い合わせに対する優先エージェント ルックアップは、フローの HTTP Request アクティビティを使用して実行されます。HTTP Request アクティビティは、外部アプリケーションからマッピングを取得します。その優先エージェントに対して問い合わせをルーティングまたはパークするには、フローで Queue To Agent アクティビティを構成します。Queue To Agent アクティビティでは、Webex Contact Center のエージェント ID または E メールアドレスでエージェントを指定できます。優先エージェントがすぐに対応できない場合は、優先エージェントに対して問い合わせをパークすることもできます。
フロー内でアクティビティをチェーンし、問い合わせをルーティングまたはキューに入れることを検討できます。
たとえば、ある Queue To Agent アクティビティを別の Queue To Agent アクティビティにチェーンし、問い合わせを複数の優先エージェントのキューに入れることができます。問い合わせに対応できる優先エージェントがいない場合は、Queue Contact アクティビティを Queue To Agent アクティビティにチェーンして、問い合わせをルートします。
エージェントベースのルーティングは、次の場合に役立ちます。
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優先エージェントルーティング:お客様が問い合わせを専任のエージェントまたは関係担当エグゼクティブに割り当てることができます。このようなシナリオでは、エージェントベースのルーティングは、問い合わせをその優先エージェントに直接ルーティングします。
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最後のエージェントルーティング:エージェントと話をするために、問い合わせがコンタクトセンターに何度のコールバックする場合、エージェントベースのルーティングは、その問い合わせに応答した最後のエージェントに問い合わせをルートできます。
どちらの使用例でも、問い合わせの詳細とエージェントマッピングは Webex Contact Center 外で保存されます。HTTP アクティビティがデータを取得します。Queue To Agent アクティビティは、問い合わせを優先エージェントまたは最後のエージェントにルーティングします。
エージェントベースのルーティングの設定
はじめる前に
Webex Contact Center のエージェント ID とエージェントの E メールアドレスを Webex Contact Center から外部アプリケーションにエクスポートする必要があります。Webex Contact Center は、エージェントとその問い合わせ間のマッピングを保存しません。
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Flow Designer の HTTP Request アクティビティを使用して外部アプリケーションからエージェントと問い合わせ間のマッピングを取得します(管理ポータルのナビゲーションバーで [新規(New)] をクリックして新しいフローを作成)。詳細については、「HTTP リクエスト」 項を参照してください。
の順に選択し、 -
Flow Designer で Queue To Agent アクティビティを構成します。問い合わせをルーティングするために一般設定と問い合わせ処理詳細を指定できます。詳細については、「Queue Contact アクティビティ」項を参照してください。