はじめに
このドキュメントは、Cisco IOS® ソフトウェアが稼働しているデバイスで発生する可能性のある 3 種類のエラー(スプリアス アクセス、アラインメント エラー、スプリアス割り込み)の説明を目的としています。
ご使用のシスコデバイスの、show alignmentコマンドの出力データがあれば、Cisco CLI Analyzerを使用して今後予想される障害と修正を表示できます。Cisco CLI Analyzer を使用するには、登録ユーザとしてログインする必要があり、また、JavaScript を有効にする必要があります。
前提条件
要件
このドキュメントに関する固有の要件はありません。
使用するコンポーネント
このコマンドは、すべてのプラットフォームでサポートされているわけではありません(縮小命令セット コンピューティング(RISC)プロセッサのみ)。
show alignment コマンドは 12.3(7)T で導入されましたが、それ以前のバージョンでは隠しコマンドでした。
表記法
ドキュメント表記の詳細は、『シスコ テクニカル ティップスの表記法』を参照してください。
スプリアス アクセス
スプリアス アクセスとは、Cisco IOS ソフトウェアがある制限されたロケーションのメモリ領域にアクセスを試みることです。スプリアス アクセスのシステム ログ出力の例を下に示します。
%ALIGN-3-SPURIOUS: Spurious memory access made at 0x60968C44 reading 0x0
%ALIGN-3-TRACE: -Traceback= 60968C44 60269808 602389D8 00000000 00000000 00000000
00000000 00000000
原因
スプリアス アクセスは、プロセスがメモリの最下位 16KB 領域から読み込もうとしたときに発生します。メモリのこの部分は予約されており、アクセスできません。このメモリ領域への読み込み操作は通常、存在しない値がソフトウェアの関数に戻されたとき、言い換えると、ヌル ポインタが関数に渡されたときに起こります。
Cisco IOS ソフトウェアの処理
プラットフォームによって、Cisco IOS ソフトウェアは異なる方法でスプリアス アクセスを処理します。この処理が行われるプラットフォームでは、ゼロの値を戻しイベントを記録するという方法で Cisco IOS ソフトウェア コードが無効なアクセスを処理します。プラットフォームでこれがサポートされていない場合、ルータは SegV エラーを発生させクラッシュします。スプリアス アクセスはすべて正当な操作でないため、ソフトウェアの不具合につなかる可能性があります。
スプリアス・アクセス・エラーの確認
スプリアス アクセスは、可能な場合、Cisco IOS ソフトウェアによってカウントされ記録されます。この情報は show alignment コマンドによって入手可能です。スプリアス アクセスの原因および修正部分を決定するには、トレースバック情報が必要です。
注:show alignmentコマンドは隠しコマンドであり、文書化されていませn。またこのコマンドは、すべてのプラットフォームでサポートされているわけではありません(Reduced Instruction Set Computing(RISC; 縮小命令セット コンピューティング)プロセッサのみ)。show alignment コマンドからの出力例を次に示します。
Router#show alignment
Alignment data for:
GS Software (RSP-PV-M), Version 11.1(26.1)CC, EARLY DEPLOYMENT MAINTENANCE INTER
IM SOFTWARE
Compiled Thu 27-May-99 20:48 by jjgreen
No alignment data has been recorded.
Total Spurious Accesses 167110746, Recorded 2
Address Count Traceback
0 10474 0x6012D488 0x6020FFB4 0x601D5CE0
0 49008 0x6012D488 0x6020D25C 0x6020E744 0x602106B4
Router#
スプリアス アクセス エラーの報告
スプリアス アクセス エラーは Cisco IOS ソフトウェアの不具合である可能性があります。これを取り除くためには、リリースの最新バージョンにアップグレードします(たとえば、Cisco IOS ソフトウェア リリース 11.2(14) を実行中の場合には、最新の 11.2(x) イメージにアップグレードします)。これで問題が解決しない場合、またはルータのアップグレードが不可能な場合には、Cisco TAC に連絡してください。スプリアス アクセスを報告するためにCASEを作成する場合には、次の出力を添付してください。
Alignment Errors
次は、アラインメント エラーについてのシステム ログ出力の例です。
%ALIGN-3-CORRECT: Alignment correction made at 0x60262478 reading/writing 0x60A9FF5C
原因
アライメント エラーは、読み取りと書き込みのアライメントがずれている場合に発生します。たとえば、メモリ アドレスが 2 バイト の偶数倍数でない箇所で 2 バイトの読み込みを行うと、アラインメント エラーが発生します。アラインメント エラーは、ソフトウェアの不具合によって引き起こされます。
アラインメント エラーの検証
アラインメント エラーはログの中で報告され、ルータにより記録されます。show alignment コマンドからの出力は、このエラーの記録とともに、場合によって有用なトレースバックを記録します。一般にアラインメント エラーのトレースバックをデコードすると、アラインメント問題を引き起こしている機能を明らかにできます。
注:show alignmentコマンドは隠しコマンドであり、文書化されていませn。またこのコマンドは、すべてのプラットフォームでサポートされているわけではありません(ハイエンド ルータのみがこれをサポートします)。show alignment コマンドからの出力例を下に示します。
Router#show alignment
Alignment data for:
RSP Software (RSP-ISV-M), Version 11.3(3a), RELEASE SOFTWARE (fc1)
Compiled Fri 01-May-98 18:28 by phanguye
Total Corrections 6, Recorded 2, Reads 6, Writes 0
Initial Initial
Address Count Access Type Traceback
60EF3765 3 32bit read 0x60262474 0x601AC594 0x601AC580
60EF3761 3 32bit read 0x60262478 0x601AC594 0x601AC580
No spurious memory references have been recorded.
Router#
アラインメント エラーの修正
通常、アラインメント エラーはソフトウェアでの修正できるので、それが行われればクラッシュに至ることはありません。しかし、アラインメント エラーの修正はプロセッサ リソースを消費し、結果的にパフォーマンスが低下する可能性があります。アラインメント エラーが連続する場合には、ルータがその修復にほとんどの時間を費やして、CPU 利用率が上がる可能性があります。このエラーの訂正には割り込みが使用されます。
スプリアス 割り込み
スプリアス割り込みはスプリアス メモリ アクセスと同じものではありません。
処理済みパケットのために不要な割り込みが起きるとスプリアス割り込みが発生しますが、原因としては、内部での競合状態か、割り込み処理ルーチンの不適切な初期化が考えられます。ルータの動作にはスプリアス割り込みによる明白な影響はありません。スプリアス割り込みの件数が高くてさらに増加していたり、パケットの廃棄やパフォーマンスの低下を伴っているというようなことがない限りは、これは無視していても安全です。そうでない場合には、根本原因を調査する必要があります。
show align コマンドでは、スプリアス メモリ アクセスに関する情報が得られますが、スプリアス割り込みに関する情報は得られません。システムから取得できるスプリアス割り込みについての情報は show stacks の出力にあるものだけで、ここには発生件数を示すカウンタがあります。
Router#show stacks
Minimum process stacks:
Free/Size Name
3692/4000 DHCPD Receive
4796/6000 Router Init
1904/4000 Init
3408/4000 RADIUS INITCONFIG
4228/5000 DHCP Client
2468/4000 Exec
Interrupt level stacks:
Level Called Unused/Size Name
3 0 3000/3000 Serial interface state change interrupt
4 54351439 1760/3000 Network interfaces
5 64181 2872/3000 Console Uart
Spurious interrupts: 29
スプリアス割り込みの原因には、ハードウェアの欠陥による可能性とソフトウェアによる可能性があります。ほとんどの場合、ルータやスイッチの本来の動作への副作用はありません。それらは監視目的でカウントされているだけです。
数件のスプリアス割り込みでは CPU 使用率をそれほど増加させることはありません。ルータやスイッチで発生している症状がカウンタの増加だけで、他はすべて正常に動作している(パケットの廃棄などがない)場合は、スプリアス割り込みは無視してもかまいません。
68kプロセッサ(つまり、Cisco 1000、1600、2500、4000、および7000(RP))をベースとするCiscoルータでは、スプリアス割り込みの特定のしきい値に到達した場合にコアダンプを生成するように設定できます。
Router(config)#exception ?
core-file Set name of core dump file
crashinfo Crashinfo collection
dump Set name of host to dump to
flash Set the device and erase permission
memory Memory leak debugging
protocol Set protocol for sending core file
region-size Size of region for exception-time memory pool
spurious-interrupt Crash after a given number of spurious interrupts
Router(config)#exception spurious-interrupt ?
<1-4294967295> Spurious interrupt threshold
コアダンプ生成の詳細については、「コア ダンプの作成」を参照してください。スプリアス割り込みによるパフォーマンス低下の問題の場合は、TAC がこの情報を必要とすることがあります。これに該当する場合は、スプリアス割り込みの件数が高い上にさらに増加していたり、パケットの廃棄やパフォーマンスの低下を伴っているはずです。
TAC のサービス リクエストを作成する場合に収集すべき情報
関連情報