このドキュメントでは、「System returned to ROM by abort」または「System returned to ROM by trace trap」というシステム メッセージが show version コマンドの出力に表示される理由を説明します。また、このドキュメントでは、稼働しているルータが ROMmon モードに戻る原因を説明します。
このドキュメントに特有の要件はありません。
このドキュメントの内容は、特定のソフトウェアやハードウェアのバージョンに限定されるものではありません。
このドキュメントの情報は、特定のラボ環境にあるデバイスに基づいて作成されました。このドキュメントで使用するすべてのデバイスは、初期(デフォルト)設定の状態から起動しています。対象のネットワークが実稼働中である場合には、どのようなコマンドについても、その潜在的な影響について確実に理解しておく必要があります。
ドキュメント表記の詳細は、『シスコ テクニカル ティップスの表記法』を参照してください。
show version コマンドの出力には、ハードウェアやソフトウェアのバージョンなどの情報とともに、システムを再起動した方法の情報も表示されます。たとえば、reload コマンドで再起動されたルータには、「System returned to ROM by reload」というメッセージが表示されます。一方、電源を再投入して再起動したルータには、「System returned to ROM by power-on」というメッセージが表示されます。 これらのメッセージは次のように表示されることがあります。
Router uptime is 1 minute
System returned to ROM by abort at PC 0x8032A6EC
System image file is "flash:C2600-i-mz.122-10b.bin"
または
Router uptime is 2 minutes
System returned to ROM by trace trap at PC 0x32C2064
System image file is "flash:/c2500-js-l.122-10b"
「abort」や「trace trap」メッセージは、コンフィギュレーション レジスタが通常動作でブレーク キーを有効にする値に設定されている可能性があることを示します。ビット値 08(16 進数の0x0100)が設定されている場合、ブレーク キーはディセーブルになります(出荷時のデフォルト設定)。 ビット値が 0(明示的には 0x2002、暗示的には 0x0002 と同等の 0x2)に設定されている場合、ブレーク キーはイネーブルになります。ブレーク キーがイネーブルの場合、通常動作でルータがブートされた後でも、ブレーク シーケンスによりルータが ROMmon モードになります。コンソールからブレーク信号が意図的に送信されなくても、何らかの誤動作または端末のリロードによって、ルータにブレーク シーケンスと同様の信号が送信されることがあります。
異なるコンフィギュレーション レジスタ値の詳細については、「コンフィギュレーション レジスタ ビットの意味」を参照してください。
コンフィギュレーション レジスタの設定値は、show version コマンドの出力の最後に表示されます。
Router#show version
Cisco Internetwork Operating System Software
IOS (tm) 2500 Software (C2500-JS-L), Version 12.2(10b), RELEASE SOFTWARE (fc1)
Copyright (c) 1986-2002 by cisco Systems, Inc.
Compiled Fri 12-Jul-02 02:13 by pwade
Image text-base: 0x0307AA24, data-base: 0x00001000
ROM: System Bootstrap, Version 11.0(10c), SOFTWARE
BOOTLDR: 3000 Bootstrap Software (IGS-BOOT-R), Version 11.0(10c), RELEASE SOFTWARE (fc1)
R1 uptime is 9 minutes
System returned to ROM by trace trap at PC 0x32C2064
System image file is "flash:/c2500-js-l.122-10b"
cisco 2500 (68030) processor (revision F) with 16384K/2048K bytes of memory.
Processor board ID 04796554, with hardware revision 00000000
Bridging software.
X.25 software, Version 3.0.0.
SuperLAT software (copyright 1990 by Meridian Technology Corp).
TN3270 Emulation software.
Basic Rate ISDN software, Version 1.1.
1 Ethernet/IEEE 802.3 interface(s)
2 Serial network interface(s)
1 ISDN Basic Rate interface(s)
32K bytes of non-volatile configuration memory.
16384K bytes of processor board System flash (Read ONLY)
Configuration register is 0x2002
ルータが意図せず ROMmon モードに戻ることを防ぐには、コンフィギュレーション レジスタを、ブレーク キーをディセーブルにする値に変更します。ディセーブルにするには、コンフィギュレーション レジスタの 8 ビットを 1 に変更します(最も一般的な値は 0x2102 です)。
Router>enable
Router#configure terminal
Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.
Router(config)#config-register 0x2102
Router(config)#^Z
00:20:13: %SYS-5-CONFIG_I: Configured from console by console
Router#show version
Cisco Internetwork Operating System Software
IOS (tm) 2500 Software (C2500-JS-L), Version 12.2(10b), RELEASE SOFTWARE (fc1)
Copyright (c) 1986-2002 by cisco Systems, Inc.
Compiled Fri 12-Jul-02 02:13 by pwade
Image text-base: 0x0307AA24, data-base: 0x00001000
ROM: System Bootstrap, Version 11.0(10c), SOFTWARE
BOOTLDR: 3000 Bootstrap Software (IGS-BOOT-R), Version 11.0(10c), RELEASE SOFTWARE (fc1)
Router uptime is 20 minutes
System returned to ROM by trace trap at PC 0x32C2064
System image file is "flash:/c2500-js-l.122-10b"
cisco 2500 (68030) processor (revision F) with 16384K/2048K bytes of memory.
Processor board ID 04796554, with hardware revision 00000000
Bridging software.
X.25 software, Version 3.0.0.
SuperLAT software (copyright 1990 by Meridian Technology Corp).
TN3270 Emulation software.
Basic Rate ISDN software, Version 1.1.
1 Ethernet/IEEE 802.3 interface(s)
2 Serial network interface(s)
1 ISDN Basic Rate interface(s)
32K bytes of non-volatile configuration memory.
16384K bytes of processor board System flash (Read ONLY)
Configuration register is 0x2002 (will be 0x2102 at next reload)
コンフィギュレーション レジスタの 8 ビットを設定すると、システムはブレーク信号から保護されます。これを設定しないと、ルータが ROMmon モードになる可能性があります。新しいコンフィギュレーション レジスタ設定は、次のリロードで有効になります。このルータのダウンタイムのスケジュールは、必ずブレーク キーがディセーブルになる前に設定してください。
注:コンフィギュレーションレジスタの8番目のビットの状態に関係なく、ルータのリロードまたは電源投入後(ブートシーケンス中)の最初の60秒間は常にブレークキーが有効になります。コンフィギュレーション レジスタからブレーク キーをディセーブルまたはイネーブルにする場合、ルータは通常動作中にのみ影響を受け、ブート シーケンス中は影響を受けません。