トラフィック ストーム制御について
トラフィック ストームは、パケットが LAN でフラッディングする場合に発生するもので、過剰なトラフィックを生成し、ネットワークのパフォーマンスを低下させます。トラフィック ストーム制御機能を使用すると、物理インターフェイスにおけるブロードキャスト、マルチキャスト、またはユニキャスト トラフィック ストームによって、レイヤ 2 ポート経由の通信が妨害されるのを防げます。
トラフィック ストーム制御(トラフィック抑制ともいう)では、ブロードキャスト、マルチキャスト、ユニキャストの着信トラフィックのレベルを 3.9 ミリ秒間隔でモニターできます。この間、トラフィック レベル(ポートの使用可能合計帯域幅に対するパーセンテージ)が、設定したトラフィック ストーム制御レベルと比較されます。入力トラフィックが、ポートに設定したトラフィック ストーム制御レベルに到達すると、トラフィック ストーム制御機能によってそのインターバルが終了するまでトラフィックがドロップされます。
次の表に、指定したインターバルでのレイヤ 2 インターフェイス上のブロードキャスト トラフィック パターンを示します。この例では、トラフィック ストーム制御が T1 と T2 時間の間、および T4 と T5 時間の間で発生します。これらの間隔中に、ブロードキャスト トラフィックの量が設定済みのしきい値を超過したためです。
トラフィック ストーム制御しきい値の数値と期間の組み合わせにより、トラフィック ストーム制御アルゴリズムがさまざまな粒度で機能します。しきい値が高いほど、通過できるパケット数が多くなります。
Cisco Nexus 9000v デバイスのトラフィック ストーム制御はハードウェアに実装されています。トラフィック ストーム制御は、レイヤ 2 インターフェイスからスイッチング バスに渡されるパケットをモニタします。システムはパケットの宛先アドレスに設定されている Individual/Group ビットを使用して、パケットがユニキャストかブロードキャストかを判断し、3.9 ミリ秒以内の間隔で現在のパケット数を追跡します。パケット数がしきい値に到達したら、後続のパケットをすべて破棄します。
トラフィック ストーム制御では、トラフィック量の計測に帯域幅方式を使用します。制御対象のトラフィックが使用できる、利用可能な合計帯域幅に対するパーセンテージを設定します。パケットは一定間隔で着信するわけではないので、3.9 ミリ秒の間隔はトラフィック ストーム制御の動作に影響を及ぼす可能性があります。
次に、トラフィック ストーム制御の動作がどのような影響を受けるかを示します。
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ブロードキャスト トラフィック ストーム制御をイネーブルにした場合、ブロードキャスト トラフィックが 3.9 ミリ秒のインターバル中に制御レベルを超えると、インターバルが終了するまですべてのブロードキャスト トラフィックがドロップされます。
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ブロードキャストとマルチキャストのトラフィック ストーム制御をイネーブルにした場合、ブロードキャストとマルチキャストの混合トラフィックが 3.9 ミリ秒のインターバル中に制御レベルを超えると、インターバルが終了するまでブロードキャストとマルチキャストのすべてのトラフィックがドロップされます。
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ブロードキャストとマルチキャストのトラフィック ストーム制御をイネーブルにした場合、ブロードキャスト トラフィックが 3.9 ミリ秒のインターバル中に制御レベルを超えると、インターバルが終了するまでブロードキャストとマルチキャストのすべてのトラフィックがドロップされます。
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ブロードキャストとマルチキャストのトラフィック ストーム制御をイネーブルにした場合、マルチキャスト トラフィックが 3.9 ミリ秒のインターバル中に制御レベルを超えると、インターバルが終了するまでブロードキャストとマルチキャストのすべてのトラフィックがドロップされます。
トラフィックが設定レベルを超過する場合、トラフィック ストーム制御を設定して次のオプションの修正措置を実行することができます。
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シャットダウン:入力トラフィックがポートに対して設定されたトラフィック ストーム制御レベルを超えると、トラフィック ストーム制御がポートを errdisable ステートにします。このポートを再度イネーブルにするために、設定されたインターフェイス上で shutdown と no shutdown オプションを使用することも、error-disable 検出および回復機能を使用することもできます。error-disable 検出および回復用の errdisable recovery cause storm-control コマンドは回復間隔を定義する errdisable recovery interval コマンドと一緒に使用することをお勧めします。この間隔は 30 ~ 65535 秒の範囲にすることができます。
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トラップ:入力トラフィックが設定されたトラフィック ストーム制御レベルを超えたときに SNMP トラップを生成するようにトラフィック ストーム制御を設定できます。SNMP トラップ アクションはデフォルトでイネーブルになっています。ただし、ストーム制御トラップはデフォルトでレート制限されません。コマンドを使用して、1分あたりに生成されるトラップの数を制御できます。snmp-server enable traps storm-control trap-rate
デフォルトで、Cisco NX-OS は、トラフィックが設定済みレベルを超えても是正のための処理を行いません。