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目次
Quality of Service(QoS)は、トラフィック フローの優先順位付けを行い、高プライオリティ パケットの優先的な転送を実現するための技術です。 ネットワークに QoS を実装する基本的な理由は、より優れたサービスを特定のトラフィック フローに提供することです。 トラフィック フローは、送信元アドレスと宛先アドレス、送信元ソケット番号と宛先ソケット番号、およびセッション ID の組み合わせとして定義できます。 より広い意味では、トラフィック フローは、発信インターフェイスを宛先として送信された、着信インターフェイスから移動しているパケットとして説明できます。 エンドツーエンドの QoS 提供を実現するためには、トラフィック フローをすべてのルータ上で識別、分類、および優先順位付けし、ネットワーク全体のデータ転送パス上でトラフィック フローを転送する必要があります。 このモジュールでは、 トラフィック フローと パケットの用語が同義的に使用されています。
ネットワーク上に QoS を実装するには、帯域幅割り当てのサポート、損失特性の向上、ネットワークの輻輳回避/管理、ネットワーク トラフィックの測定、またはネットワーク全体でのトラフィック フローのプライオリティ設定により、より優れた予測可能なネットワーク サービスを提供する QoS 機能を設定する必要があります。
ネットワーク上のモジュラ QoS を設定する前に、次の概念を理解する必要があります。
Cisco IOS XR の QoS 機能を使用すると、ネットワークは、さまざまなネットワーク アプリケーションとトラフィック タイプを制御し、予測どおりにサービスを提供できるようになります。 ネットワーク内に Cisco IOS XR QoS を実装することにより、次の利点が得られます。
Cisco IOS XR ソフトウェア上の QoS は、次の技術に依存して、異種ネットワーク全体にエンドツーエンドの QoS を提供しています。
すべての技術が使用するネットワーク環境に適しているわけではないため、これらの技術の QoS 機能を実装する前に、ネットワークのトラフィック特性を識別し、評価する必要があります。
パケットの分類 /マーキング技術では、トラフィック フローを識別して、ネットワーク トラフィックを複数のプライオリティ レベルまたはサービス クラスに区切ることができます。 分類が 完了すると 、 他の任意の QoS アクションを 実行できます。
トラフィック フローの識別は、単一のルータ内で複数の方法(アクセス コントロール リスト(ACL)、プロトコル一致、IP precedence、IP DiffServ コード ポイント(DSCP) 、MPLS EXP ビット、サービス クラス(CoS))を使用して行えます。
パケット マーキングの詳細な概念および設定情報に関して、無条件マーキングについては、 このマニュアルの 「モジュラ QoS パケットの分類の設定(Cisco ASR 9000 シリーズ ルータ)」の に関するモジュール、および条件付きマーキングについては、 このマニュアルの 「モジュラ QoS の輻輳管理の設定(Cisco ASR 9000 シリーズ ルータ)」の に関するモジュールを参照してください。
入力インターフェイスまたは出力インターフェイスが VLAN タグまたは MPLS ラベルを追加する際には、これらのタグおよびラベルに入力する CoS 値および EXP 値のデフォルト値が必要です。 デフォルト値は、ポリシー マップに基づいて上書きできます。 CoS および EXP のデフォルト値は、システムに入る時点のパケット内の信頼フィールドに基づいています。 ルータは、パケット タイプおよび入力インターフェイスの転送タイプ(レイヤ 2 またはレイヤ 3)に基づいて、特定のフィールドの暗黙的な信頼を実装します。
デフォルトでは、ルータは設定されているポリシーマップなしでは IP precedence または DSCP を変更しません。 デフォルトの動作の説明は、次のとおりです。
xconnect やブリッジドメインなどの入力レイヤ 2 インターフェイスまたは出力レイヤ 2 インターフェイス上では、入力インターフェイスで追加されるすべてのフィールドに最も外側の CoS 値が使用されます。 レイヤ 2 リライトが原因で追加された VLAN タグがある場合は、新しい VLAN タグに最も外側の着信 CoS 値が使用されます。 MPLS ラベルが追加された場合は、MPLS タグの EXP ビットに CoS 値が使用されます。
(IPv4 パケットまたは IPv6 パケットに対してルーティングされた、またはラベルにより重み付けされた)入力レイヤ 3 インターフェイスまたは出力レイヤ 3 インターフェイス上では、3 つの DSCP ビットおよび precedence ビットが着信パケット内で識別されます。 MPLS パケットの場合は、最も外側のラベルの EXP ビットが識別され、この値は、入力インターフェイスで追加されるすべての新しいフィールドに使用されます。 MPLS ラベルが追加された場合は、識別された precedence 値、DSCP 値、または MPLS EXP 値が、新たに追加された MPLS タグの EXP ビットに使用されます。
PBB 設定では、パケットが PBB カプセル化を使用して顧客ネットワークからサービス プロバイダー ネットワークに入る際に、バックボーン VLAN タグ(B タグ)で使用されるサービス クラス(CoS)と廃棄適性インジケータ(DEI)、および PBB ヘッダーのサービス インスタンス タグ(I タグ)が、デフォルトでは着信パケットの最上位タグの CoS および DEI になります。
パケットがサービス プロバイダーから顧客ネットワークに移動すると、PBB ヘッダーが削除され、顧客インターフェイス上でインポーズされるすべてのタグにおいて、I タグの CoS および DEI がデフォルトで使用されます。 デフォルトのマーキングはインポーズされたタグに対してのみ実行され、既存のタグまたは変換されたタグには実行されません。
輻輳管理技術は、発生した後に輻輳を制御します。 ネットワーク要素が着信したトラフィックのオーバーフローを処理するための 1 つの方法は、キューイング アルゴリズムを使用してトラフィックを並べ替え、それを出力リンク上で優先順位付けする何らかのサービス手段を決定することです。
Cisco IOS XR ソフトウェアにより、ストリクト プライオリティ キューイング(PQ)を Modified Deficit Round Robin(MDRR)スケジューリング メカニズムに提供する低遅延キューイング(LLQ)機能が実装されます。 LLQ とストリクト PQ では、音声などの遅延に影響されやすいデータを、他のキューのパケットをキューから取り出す前にキューから取り出して送信できます。
Cisco IOS XR ソフトウェアには、クラスベースのシェーピングだけではなく、クラス単位で使用可能なトラフィック ポリシング機能が含まれています。
トラフィック ポリシング機能では、ユーザ定義の基準に基づいてトラフィック クラスの入力または出力の伝送レートを制限し、IP precedence、QoS グループ、DSCP 値などの設定値によりパケットをマーキングできます。
トラフィック シェーピングでは、インターフェイスから出力されるトラフィックを制御して、リモート ターゲット インターフェイスの速度にトラフィック フローを合わせ、指定されているポリシーにトラフィックを適合させることができます。 このように、ダウンストリーム要件を満たすように、特定のプロファイルに適合するトラフィックをシェーピングできるため、データレートが一致しないトポロジで発生するボトルネックが排除されます。
Cisco IOS XRソフトウェアでは、パラメータがクラス単位で適用される CLI メカニズムを使用したクラスベースのトラフィック シェーピング方式がサポートされます。
輻輳管理に関する詳細な概念および設定情報については、 Cisco ASR 9000 シリーズ ルータでのモジュラ QoS の輻輳管理の設定 に関するモジュールを参照してください。
輻輳回避技術では、トラフィック フローをモニタすることにより、問題が発生する前に、共通ネットワークおよびインターネットワークのボトルネックでの輻輳を予測し回避します。 これらの技術は、輻輳状況下においてリアルタイム クリティカルとして分類されているトラフィック(ビデオ ストリームなど)の優先的な処理を実現すると同時に、ネットワーク スループ ットおよびキャパシティ使用率を最大化しつつ、パケットの損失や遅延を最小限に抑えるよう設計されています。 Cisco IOS XR ソフトウェアでは、ランダム早期検出(RED)、重み付け RED(WRED)、およびテール ドロップによる QoS 輻輳回避機能がサポートされます。
輻輳管理に関する詳細な概念および設定情報については、 このガイドの Cisco ASR 9000 シリーズ ルータでのモジュラ QoS の輻輳管理の設定に関するモジュール を参照してください。
Cisco IOS XR ソフトウェアでは、異なる QoS 要件を満たすことが可能な複数サービス モデルであるディファレンシエーテッド サービスがサポートされます。 しかし、統合サービス モデルと異なり、ディファレンシエーテッド サービスを使用するアプリケーションは、データを送信する前に明示的にルータにシグナリングを行いません。
差別化サービスでは、ネットワークは各パケットによって指定された QoS に基づいて特定の種類のサービスを提供しようとします。 この指定はさまざまな方法で行われます。たとえば、IP パケット内の IP precedence ビットの設定や、送信元アドレスと宛先アドレスが使用されます。 ネットワークでは、この QoS 仕様に基づいてトラフィックのマーキング、形成、およびポリシングを行い、インテリジェント キューイングを実行します。
ディファレンシエーテッド サービス モデルは、いくつかのミッションクリティカル アプリケーションで使用されたり、エンドツーエンド QoS を提供するために使用されます。 一般に、このサービス モデルでは、比較的粗いレベルのトラフィック分類が行われるため、集約フローに適しています。
Access Node Control Protocol(ANCP)は、QoS 関連、サービス関連、加入者関連の操作を実行するために、サービス指向の集約デバイスとアクセス ノード(AN)間のコントロール プレーン(DSLAM など)を作成します。 ANCP ネットワーク アクセス サーバ(NAS)は、ANCP 隣接(ANCP ネイバーとのセッション)を受け入れて維持し、ANCP メッセージの送受信を行います。
ANCP を使用すると、AN ポートと VLAN サブ インターフェイス間でのスタティック マッピングを行うことができ、これにより、ANCP サーバが受信した特定の加入者の DSL レートの更新を、その加入者に対応する QoS 設定に適用できます。 ANCP 経由で受信した DSL トレイン レートは、ルータの加入者側インターフェイスとサブインターフェイスのシェーピング レートを変更するために使用されます。
ここでは、Cisco IOS XR ソフトウェア上での QoS 実装において重要な役割を担う、その他の機能について説明します。
Cisco IOS XR ソフトウェアでは、モジュラ QoS コマンドライン インターフェイス(MQC)機能を介して QoS 機能を使用します。 MQC はコマンドライン インターフェイス(CLI)構造を採用しています。これを使用すると、ポリシーを作成し、作成したポリシーをインターフェイスにアタッチできます。 1 つのトラフィック ポリシーには、1 つのトラフィック クラスと 1 つ以上の QoS 機能が含まれます。 トラフィック クラスは、トラフィックの分類に使用されます。これに対して、トラフィック ポリシーの QoS 機能は、分類されたトラフィックの処理方法を決定します。 MQC の主な目的の 1 つは、プラットフォームに依存しないインターフェイスを提供することにより、シスコ プラットフォーム全体の QoS を設定することです。
MQC 機能に関する詳細な概念および設定情報については、 このマニュアルの Cisco ASR 9000 シリーズ ルータでのモジュラ QoS パケットの分類の設定に関するモジュール を参照してください。
ファブリック QoS 向けの個別の設定はありません。 ファブリックのプライオリティは、入力サービス ポリシーのプライオリティ アクションから取得されます。
トラフィック フローの識別およびマーキングを含むパケット分類機能を設定するには、 このマニュアルの Cisco ASR 9000 シリーズ ルータでのモジュラ QoS パケットの分類の設定に関するモジュール を参照してください。
キューイング、スケジューリング、ポリシング、およびシェーピング機能を設定するには、 このマニュアルの Cisco ASR 9000 シリーズ ルータでのモジュラ QoS の輻輳管理の設定に関するモジュール を参照してください。
WRED および RED 機能を設定するには、 このマニュアルの「Configuring Modular QoS Congestion Avoidance on Cisco ASR 9000 Series Routers」モジュール を参照してください。
Access Node Control Protocol(ANCP)機能を設定するには、このマニュアルの「Configuring Access Node Control Protocol on Cisco ASR 9000 Series Routers」モジュールを参照してください。
Cisco IOS XR ソフトウェアを使用して MIB を検索およびダウンロードするには、http://cisco.com/public/sw-center/netmgmt/cmtk/mibs.shtml にある Cisco MIB Locator を使用し、[Cisco Access Products] メニューからプラットフォームを選択します。 |
この機能によりサポートされた新規 RFC または改訂 RFC はありません。またこの機能による既存 RFC のサポートに変更はありません。 |
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