オブジェクト トラッキングについて
オブジェクト トラッキングを使用すると、インターフェイス ライン プロトコル ステート、IP ルーティング、ルート到達可能性などの、デバイス上の特定のオブジェクトをトラッキングし、トラッキング対象オブジェクトのステートが変化したときに対処できます。この機能により、ネットワークのアベイラビリティが向上し、オブジェクトがダウンした場合のリカバリ時間が短縮されます。
この項では、次のトピックについて取り上げます。
• 「オブジェクト トラッキングの概要」
• 「オブジェクト トラッキング リスト」
• 「High Availability(高可用性)」
• 「仮想化のサポート」
オブジェクト トラッキングの概要
オブジェクト トラッキング機能を使用すると、トラッキング対象オブジェクトを作成できます。複数のクライアントでこのオブジェクトを使用し、トラッキング対象オブジェクトが変化したときのクライアント動作を変更できます。複数のクライアントがそれぞれの関心をトラッキング プロセスに登録し、同じオブジェクトをトラッキングし、オブジェクトのステートが変化したときに異なるアクションを実行します。
クライアントには次の機能が含まれます。
• Embedded Event Manager(EEM)
• ホットスタンバイ冗長プロトコル(HSRP)
• 仮想ポート チャネル(vPC)
• 仮想ルータ冗長プロトコル(VRRP)
オブジェクト トラッキングは、トラッキング対象オブジェクトのステータスをモニタし、変更があった場合は関係クライアントに伝えます。各トラッキング対象オブジェクトは、一意の番号で識別します。クライアントはこの番号を使用して、トラッキング対象オブジェクトのステートが変化したときに実行するアクションを設定できます。
Cisco NX-OS がトラッキングするオブジェクト タイプは、次のとおりです。
• インターフェイス ライン プロトコル ステート:ライン プロトコル ステートがアップまたはダウンかどうかをトラッキングします。
• インターフェイス IP ルーティング ステート:インターフェイスに IPv4 または IPv6 アドレスが設定されていて、IPv4 または IPv6 ルーティングがイネーブルでアクティブかどうかをトラッキングします。
• IP ルート到達可能性:IPv4 または IPv6 ルートが存在していて、ローカル デバイスから到達可能かどうかをトラッキングします。
たとえば、HSRP を設定すると、冗長ルータの 1 つをネットワークの他の部分に接続するインターフェイスのライン プロトコルをトラッキングできます。リンク プロトコルがダウンした場合、影響を受ける HSRP ルータのプライオリティを変更し、よりすぐれたネットワーク接続が得られるバックアップ ルータにスイッチオーバーされるようにできます。
オブジェクト トラッキング リスト
オブジェクト トラッキング リストを使用すると、複数のオブジェクトのステートをまとめてトラッキングできます。オブジェクト トラッキング リストは次の機能をサポートします。
• ブール「and」機能:トラッキング リスト オブジェクトがアップになるには、トラッキング リスト内に定義された各オブジェクトがアップ状態である必要があります。
• ブール「or」機能:トラッキング対象オブジェクトがアップになるには、トラッキング リスト内に定義された少なくとも 1 つのオブジェクトがアップ状態である必要があります。
• しきい値パーセンテージ:トラッキング対象リストに含まれるアップ オブジェクトのパーセンテージが、アップ状態になるトラッキング リストの設定されたアップしきい値を上回っている必要があります。トラッキング対象リストに含まれるダウン オブジェクトのパーセンテージが設定されたトラッキング リストのダウンしきい値を上回っている場合、トラッキング対象リストはダウンとしてマークされます。
• しきい値の重み:トラッキング対象リスト内の各オブジェクトに重み値を割り当て、トラッキング リストに重みしきい値を割り当てます。すべてのアップ オブジェクトの重み値の合計がトラッキング リストの重みアップしきい値を超えている場合、トラッキング リストはアップ状態になります。すべてのダウン オブジェクトの重み値の合計がトラッキング リストの重みダウンしきい値を超えている場合、トラッキング リストはダウン状態になります。
他のエンティティ(たとえば、仮想ポート チャネル(vPC))は、オブジェクト トラッキング リストを使用することにより、vPC を作成する複数のピア リンクのステートに基づいて vPC のステートを変更できます。vPC の詳細については、『 Cisco Nexus 9000 Series NX-OS Interfaces Configuration Guide 』を参照してください。
トラック リストの詳細については、「ブール式を使用したオブジェクト トラッキング リストの設定」を参照してください。
High Availability(高可用性)
オブジェクト トラッキングは、ステートフル リスタートを通じてハイ アベイラビリティをサポートします。ステートフル リスタートが実行されるのは、オブジェクト トラッキング プロセスがクラッシュした場合です。オブジェクト トラッキングは、デュアル スーパーバイザ システムでのステートフル スイッチオーバーもサポートします。スイッチオーバー後に Cisco NX-OS が実行コンフィギュレーションを適用します。
オブジェクト トラッキングを使用して、ネットワーク全体の可用性が向上するように、クライアントの動作を変更することもできます。
仮想化のサポート
オブジェクト トラッキングは仮想ルーティングおよび転送(VRF)インスタンスをサポートします。Cisco NX-OS はデフォルトで、デフォルト VRF のオブジェクトのルート到達可能ステートをトラッキングします。別の VRF のオブジェクトをトラッキングする場合は、その VRF のメンバとしてオブジェクトを設定する必要があります(「非デフォルト VRF のオブジェクト トラッキング設定」を参照)。
オブジェクト トラッキングの設定
この項では、次のトピックについて取り上げます。
• 「インターフェイスのオブジェクト トラッキング設定」
• 「トラッキング対象オブジェクトの削除」
• 「ルート到達可能性のオブジェクト トラッキング設定」
• 「ブール式を使用したオブジェクト トラッキング リストの設定」
• 「パーセンテージしきい値を使用したオブジェクト トラッキング リストの設定」
• 「重みしきい値を使用したオブジェクト トラッキング リストの設定」
• 「オブジェクト トラッキング遅延の設定」
• 「非デフォルト VRF のオブジェクト トラッキング設定」
(注) Cisco IOS の CLI に慣れている場合、この機能に対応する Cisco NX-OS コマンドは通常使用する Cisco IOS コマンドと異なる場合があるので注意してください。
インターフェイスのオブジェクト トラッキング設定
インターフェイスのライン プロトコルまたは IPv4 や IPv6 ルーティングのステートをトラッキングするように Cisco NX-OS を設定できます。
手順の概要
1. configure terminal
2. track object- id interface interface-type number {{ ip | ipv6 } routing | line-protocol }
3. (任意)show track [ object- id ]
4. (任意) copy running-config startup-config
手順の詳細
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ステップ 1 |
configure terminal 例: switch# configure terminal switch(config)# |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
track object-id interface interface-type number {{ ip | ipv6 } routing | line-protocol } 例: switch(config)# track 1 interface ethernet 1/2 ip line-protocol switch(config-track)# |
インターフェイスのトラッキング対象オブジェクトを作成し、トラッキング コンフィギュレーション モードを開始します。 object-id の範囲は 1 ~ 500 です。 |
ステップ 3 |
show track [ object-id ] 例 : switch(config-track)# show track 1 |
(任意)オブジェクト トラッキング情報を表示します。 |
ステップ 4 |
copy running-config startup-config 例: switch(config-track)# copy running-config startup-config |
(任意)実行コンフィギュレーションをスタートアップ コンフィギュレーションにコピーします。 |
Ethernet 1/2 上でライン プロトコル ステートのオブジェクト トラッキングを設定する例を示します。
switch# configure terminal
switch(config)# track 1 interface ethernet 1/2 ip line-protocol
switch(config-track)# copy running-config startup-config
Ethernet 1/2 上で IPv4 ルーティング ステートのオブジェクト トラッキングを設定する例を示します。
switch# configure terminal
switch(config)# track 2 interface ethernet 1/2 ip routing
switch(config-track)# copy running-config startup-config
Ethernet 1/2 上で IPv6 ルーティング ステートのオブジェクト トラッキングを設定する例を示します。
switch# configure terminal
switch(config)# track 3 interface ethernet 1/2 ipv6 routing
switch(config-track)# copy running-config startup-config
トラッキング対象オブジェクトの削除
トラッキング対象オブジェクトを削除できます。
手順の概要
1. configure terminal
2. no track object- id
手順の詳細
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ステップ 1 |
configure terminal 例: switch# configure terminal switch(config)# |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
no track object-id 例: switch(config)# no track 1 switch(config-track)# |
インターフェイスのトラッキング対象オブジェクトを削除します。 object-id の範囲は 1 ~ 500 です。 |
次に、トラッキング対象オブジェクトを削除する例を示します。
switch# configure terminal
switch(config)# no track 1
switch(config-track)# copy running-config startup-config
ルート到達可能性のオブジェクト トラッキング設定
IP ルートまたは IPv6 ルートの存在および到達可能性を追跡するように Cisco NX-OS を設定できます。
手順の概要
1. configure terminal
2. track object- id { ip | ipv6 } route prefix/length reachability
3. (任意)show track [ object- id ]
4. (任意) copy running-config startup-config
手順の詳細
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ステップ 1 |
configure terminal 例: switch# configure terminal switch(config)# |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
track object-id { ip | ipv6 } route prefix/length reachability 例: switch(config)# track 3 ipv6 route 2::5/64 reachability switch(config-track)# |
ルートのトラッキング対象オブジェクトを作成し、トラッキング コンフィギュレーション モードを開始します。 object-id の範囲は 1 ~ 500 です。IPv4 のプレフィックス フォーマットは A.B.C.D/length です。length の範囲は 1 ~ 32 です。IPv6 用の prefix の形式は A:B::C:D/length です。ここで、length の範囲は 1 ~ 128 です。 |
ステップ 3 |
show track [ object-id ] 例 : switch(config-track)# show track 1 |
(任意)オブジェクト トラッキング情報を表示します。 |
ステップ 4 |
copy running-config startup-config 例: switch(config-track)# copy running-config startup-config |
(任意)実行コンフィギュレーションをスタートアップ コンフィギュレーションにコピーします。 |
次に、デフォルト VRF で IPv4 ルートのオブジェクト トラッキングを設定する例を示します。
switch# configure terminal
switch(config)# track 4 ip route 192.0.2.0/8 reachability
switch(config-track)# copy running-config startup-config
次に、デフォルト VRF で IPv6 ルートのオブジェクト トラッキングを設定する例を示します。
switch# configure terminal
switch(config)# track 5 ipv6 route 10::10/128 reachability
switch(config-track)# copy running-config startup-config
ブール式を使用したオブジェクト トラッキング リストの設定
複数のトラッキング対象オブジェクトを含むオブジェクト トラッキング リストを設定できます。トラッキング対象リストには 1 つまたは複数のオブジェクトが含まれます。ブール式では、「and」または「or」演算子を使用して 2 種類の演算を実行できます。たとえば、「and」演算子を使用して 2 つのインターフェイスをトラッキングする場合、「アップ」は両方のインターフェイスがアップであることを意味し、「ダウン」はどちらかのインターフェイスがダウンであることを意味します。
手順の概要
1. configure terminal
2. track track-number list boolean { and | or }
3. object object-id [ not ]
4. (任意)show track [ object- id ]
5. (任意) copy running-config startup-config
手順の詳細
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ステップ 1 |
configure terminal 例: switch# configure terminal switch(config)# |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
track track-number list boolean { and | or } 例: switch(config)# track 1 list boolean and switch(config-track)# |
トラッキング対象リスト オブジェクトを設定し、トラッキング コンフィギュレーション モードを開始します。トラッキング対象リストのステートがブール式に基づいて決まることを指定します。キーワードは次のとおりです。 • and :すべてのオブジェクトがアップである場合にリストがアップになり、1 つ以上のオブジェクトがダウンの場合にリストがダウンになることを指定します。たとえば 2 つのインターフェイスをトラッキングする場合、アップは両方のインターフェイスがアップ状態であることを表し、ダウンはいずれかのインターフェイスがダウン状態であることを表します。 • or :少なくとも 1 つのオブジェクトがアップの場合にリストがアップになることを指定します。たとえば 2 つのインターフェイスをトラッキングする場合、アップはいずれか一方のインターフェイスがアップ状態であることを意味し、ダウンは両方のインターフェイスがダウン状態であることを意味します。 track-number の範囲は 1 ~ 500 です。 |
ステップ 3 |
object object-id [ not ] 例: switch(config-track)# object 10 |
トラッキング リストにトラッキング対象オブジェクトを追加します。 object-id の範囲は 1 ~ 500 です。オプションの not キーワードを指定すると、トラッキング対象オブジェクトのステートが否定されます。 (注) 例では、オブジェクト 10 がアップのときに、トラッキング対象リストがオブジェクト 10 をダウンとして検出します。 |
ステップ 4 |
show track [object-id] 例 : switch(config-track)# show track |
(任意)オブジェクト トラッキング情報を表示します。 |
ステップ 5 |
copy running-config startup-config 例: switch(config-track)# copy running-config startup-config |
(任意)実行コンフィギュレーションをスタートアップ コンフィギュレーションにコピーします。 |
次に、複数のオブジェクトを含むトラッキング リストをブール「and」で設定する例を示します。
switch# configure terminal
switch(config)# track 1 list boolean and
switch(config-track)# object 10
switch(config-track)# object 20 not
パーセンテージしきい値を使用したオブジェクト トラッキング リストの設定
パーセンテージしきい値を含むオブジェクト トラッキング リストを設定できます。トラッキング対象リストには 1 つまたは複数のオブジェクトが含まれます。トラッキング リストがアップ状態になるには、アップ オブジェクトのパーセンテージがトラッキング リストに設定されたパーセントしきい値を超えている必要があります。たとえば、トラッキング対象リストに 3 つのオブジェクトが含まれており、アップしきい値を 60 % に設定した場合は、2 つのオブジェクト(全オブジェクトの 66 %)がアップ状態になるまで、トラッキング リストがアップ状態になりません。
手順の概要
1. configure terminal
2. track track-number list threshold percentage
3. threshold percentage up up-value down down-value
4. object object-id
5. (任意)show track [ object- id ]
6. (任意) copy running-config startup-config
手順の詳細
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ステップ 1 |
configure terminal 例: switch# configure terminal switch(config)# |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
track track-number list threshold percentage 例: switch(config)# track 1 list threshold percentage switch(config-track)# |
トラッキング対象リスト オブジェクトを設定し、トラッキング コンフィギュレーション モードを開始します。トラッキング対象リストのステートが設定されたしきい値パーセントに基づいて決まることを指定します。 track-number の範囲は 1 ~ 500 です。 |
ステップ 3 |
threshold percentage up up-value down down-value 例: switch(config-track)# threshold percentage up 70 down 30 |
トラッキング対象リストのしきい値パーセンテージを設定します。指定できる範囲は 0 ~ 100% です。 |
ステップ 4 |
object object-id 例: switch(config-track)# object 10 |
トラッキング リストにトラッキング対象オブジェクトを追加します。 object-id の範囲は 1 ~ 500 です。 |
ステップ 5 |
show track [object-id] 例 : switch(config-track)# show track |
(任意)オブジェクト トラッキング情報を表示します。 |
ステップ 6 |
copy running-config startup-config 例: switch(config-track)# copy running-config startup-config |
(任意)実行コンフィギュレーションをスタートアップ コンフィギュレーションにコピーします。 |
次に、アップしきい値が 70 % でダウンしきい値が 30 % の追跡リストを設定する例を示します。
switch# configure terminal
switch(config)# track 1 list threshold percentage
switch(config-track)# threshold percentage up 70 down 30
switch(config-track)# object 10
switch(config-track)# object 20
switch(config-track)# object 30
重みしきい値を使用したオブジェクト トラッキング リストの設定
重みしきい値を含むオブジェクト トラッキング リストを設定できます。トラッキング対象リストには 1 つまたは複数のオブジェクトが含まれます。トラッキング リストがアップ ステートになるには、アップ オブジェクトの重み値の合計がトラッキング リストに設定されたアップ重みしきい値を超えている必要があります。たとえば、トラッキング対象リストに重み値がデフォルトの 10 である 3 つのオブジェクトがあり、アップしきい値を 15 に設定した場合、トラッキング リストがアップ状態になるには、2 つのオブジェクトがアップ状態になる(重み値の合計が 20 になる)必要があります。
手順の概要
1. configure terminal
2. track track-number list threshold weight
3. threshold weight up up-value down down-value
4. object object-id weight value
5. (任意)show track [ object- id ]
6. (任意) copy running-config startup-config
手順の詳細
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ステップ 1 |
configure terminal 例: switch# configure terminal switch(config)# |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
track track-number list threshold weight 例: switch(config)# track 1 list threshold weight switch(config-track)# |
トラッキング対象リスト オブジェクトを設定し、トラッキング コンフィギュレーション モードを開始します。トラッキング対象リストのステートが設定されたしきい値重みに基づいて決まることを指定します。 track-number の範囲は 1 ~ 500 です。 |
ステップ 3 |
threshold weight up up-value down down-value 例: switch(config-track)# threshold weight up 30 down 10 |
トラッキング対象リストのしきい値重みを設定します。範囲は 1 ~ 255 です。 |
ステップ 4 |
object object-id weight value 例: switch(config-track)# object 10 weight 15 |
トラッキング リストにトラッキング対象オブジェクトを追加します。 object-id の範囲は 1 ~ 500 です。 value の範囲は 1 ~ 255 です。デフォルトの重み値は 10 です。 |
ステップ 5 |
show track [object-id] 例 : switch(config-track)# show track |
(任意)オブジェクト トラッキング情報を表示します。 |
ステップ 6 |
copy running-config startup-config 例: switch(config-track)# copy running-config startup-config |
(任意)実行コンフィギュレーションをスタートアップ コンフィギュレーションにコピーします。 |
次に、トラッキング リストのアップ重みしきい値を 30、ダウンしきい値を 10 にそれぞれ設定する例を示します。
switch# configure terminal
switch(config)# track 1 list threshold weight
switch(config-track)# threshold weight up 30 down 10
switch(config-track)# object 10 weight 15
switch(config-track)# object 20 weight 15
switch(config-track)# object 30
この例では、オブジェクト 10 とオブジェクト 20 がアップの場合にトラッキング リストがアップになり、3 つのオブジェクトがすべてダウンの場合にトラッキング リストがダウンになります。
オブジェクト トラッキング遅延の設定
トラッキング対象オブジェクトまたはオブジェクト トラッキング リストに対して、オブジェクトまたはリストがステートの変化を開始したときに適用する遅延を設定できます。トラッキング対象オブジェクトまたはトラッキング リストは、ステートの変化が発生したときに遅延タイマーを開始しますが、遅延タイマーが切れるまでステートの変化を認識しません。遅延タイマーが切れると、Cisco NX-OS は再びオブジェクトのステートを確認し、オブジェクトまたはリストが現在も変更されたステートのままだった場合にだけステートの変化を記録します。オブジェクト トラッキングは遅延タイマーが切れる前の中間的なステートの変化を無視します。
たとえば、インターフェイス ライン プロトコルのトラッキング対象オブジェクトがアップ ステートであり、ダウン遅延が 20 秒に設定されている場合は、ライン プロトコルがダウンになると遅延タイマーが開始します。20 秒後にライン プロトコルがダウンになっていなければ、このオブジェクトはダウン ステートになりません。
トラッキング対象オブジェクトまたはトラッキング リストには、独立したアップ遅延とダウン遅延を設定できます。遅延を削除すると、オブジェクト トラッキングからアップ遅延とダウン遅延の両方が削除されます。
遅延は任意の時点で変更できます。オブジェクトまたはリストがトリガーされたイベントから遅延タイマーをすでにカウントしている場合は、次のようにして新しい遅延が計算されます。
• 新しい設定値が古い設定値より小さい場合は、新しい値でタイマーが開始します。
• 新しい設定値が古い設定値より大きい場合は、新しい設定値から現在のタイマーのカウントダウンを引き、古い設定値を引いたものがタイマーになります。
手順の概要
1. configure terminal
2. track object- id { parameters }
3. track track-number list { parameters }
4. delay { up up-time [ down down-time ] | down down-time [ up up-time ]}
5. (任意)show track [ object- id ]
6. (任意) copy running-config startup-config
手順の詳細
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ステップ 1 |
configure terminal 例: switch# configure terminal switch(config)# |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
track object-id { parameters } 例: switch(config)# track 2 ip route 192.0.2.0/8 reachability switch(config-track)# |
ルートのトラッキング対象オブジェクトを作成し、トラッキング コンフィギュレーション モードを開始します。 object-id の範囲は 1 ~ 500 です。IPv4 のプレフィックス フォーマットは A.B.C.D/length です。length の範囲は 1 ~ 32 です。IPv6 用の prefix の形式は A:B::C:D/length です。ここで、length の範囲は 1 ~ 128 です。 |
ステップ 3 |
track track-number list { parameters } 例: switch(config)# track 1 list threshold weight switch(config-track)# |
トラッキング対象リスト オブジェクトを設定し、トラッキング コンフィギュレーション モードを開始します。トラッキング対象リストのステートが設定されたしきい値重みに基づいて決まることを指定します。 track-number の範囲は 1 ~ 500 です。 |
ステップ 4 |
delay { up up-time [ down down-time ] | down down-time [ up up-time ]} 例 : switch(config-track)# delay up 20 down 30 |
オブジェクトの遅延タイマーを設定します。指定できる範囲は 0 ~ 180 秒です。 |
ステップ 5 |
show track [object-id] 例 : switch(config-track)# show track 3 |
(任意)オブジェクト トラッキング情報を表示します。 |
ステップ 6 |
copy running-config startup-config 例: switch(config-track)# copy running-config startup-config |
(任意)実行コンフィギュレーションをスタートアップ コンフィギュレーションにコピーします。 |
次に、ルートのオブジェクト トラッキングを設定し、遅延タイマーを使用する例を示します。
switch# configure terminal
switch(config)# track 2 ip route 209.165.201.0/8 reachability
switch(config-track)# delay up 20 down 30
switch(config-track)# copy running-config startup-config
次に、トラッキング リストのアップ重みしきい値を 30、ダウンしきい値を 10 にそれぞれ設定し、遅延タイマーを使用する例を示します。
switch# configure terminal
switch(config)# track 1 list threshold weight
switch(config-track)# threshold weight up 30 down 10
switch(config-track)# object 10 weight 15
switch(config-track)# object 20 weight 15
switch(config-track)# object 30
switch(config-track)# delay up 20 down 30
次に、インターフェイスがシャットダウンされる前後の show track コマンドの出力に表示された遅延タイマーの例を示します。
switch(config-track)# show track
Track 1
Interface loopback1 Line Protocol
Line Protocol is UP
1 changes, last change 00:00:13
Delay down 10 secs
switch(config-track)# interface loopback 1
switch(config-if)# shutdown
switch(config-if)# show track
Track 1
Interface loopback1 Line Protocol
Line Protocol is delayed DOWN (8 secs remaining) <------- delay timer counting down
1 changes, last change 00:00:22
Delay down 10 secs
非デフォルト VRF のオブジェクト トラッキング設定
特定の VRF でオブジェクトをトラッキングするように Cisco NX-OS を設定できます。
はじめる前に
デフォルト以外の VRF が最初に作成されることを確認します。
手順の概要
1. configure terminal
2. track object- id { ip | ipv6 } route prefix/length reachability
3. vrf member vrf-name
4. (任意)show track [ object- id ]
5. (任意) copy running-config startup-config
手順の詳細
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ステップ 1 |
configure terminal 例: switch# configure terminal switch(config)# |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
track object-id { ip | ipv6 } route prefix/length reachability 例: switch(config)# track 3 ipv6 route 1::2/64 reachability switch(config-track)# |
ルートのトラッキング対象オブジェクトを作成し、トラッキング コンフィギュレーション モードを開始します。 object-id の範囲は 1 ~ 500 です。IPv4 のプレフィックス フォーマットは A.B.C.D/length です。length の範囲は 1 ~ 32 です。IPv6 用の prefix の形式は A:B::C:D/length です。ここで、length の範囲は 1 ~ 128 です。 |
ステップ 3 |
vrf member vrf-name 例 : switch(config-track)# vrf member Red |
設定されたオブジェクトのトラッキングに使用する VRF を設定します。 |
ステップ 4 |
show track [ object-id ] 例 : switch(config-track)# show track 3 |
(任意)オブジェクト トラッキング情報を表示します。 |
ステップ 5 |
copy running-config startup-config 例: switch(config-track)# copy running-config startup-config |
(任意)実行コンフィギュレーションをスタートアップ コンフィギュレーションにコピーします。 |
ルートのオブジェクト トラッキングを設定し、VRF Red を使用して、そのオブジェクトの到達可能性情報を調べる例を示します。
switch# configure terminal
switch(config)# track 2 ip route 209.165.201.0/8 reachability
switch(config-track)# vrf member Red
switch(config-track)# copy running-config startup-config
次に、IPv6 ルートのオブジェクト トラッキングを設定し、VRF Red を使用して、そのオブジェクトの到達可能性情報を調べる例を示します。
switch# configure terminal
switch(config)# track 3 ipv6 route 1::2/64 reachability
switch(config-track)# vrf member Red
switch(config-track)# copy running-config startup-config
次に、トラッキング対象オブジェクト 2 を変更して、VRF Red の代わりに VRF Blue を使用してこのオブジェクトの到達可能性情報を調べるようにする例を示します。
switch# configure terminal
switch(config)# track 2
switch(config-track)# vrf member Blue
switch(config-track)# copy running-config startup-config